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純、i。 ※休載中  作者: ゆうまに
新しい日々の始まり《プロローグ》
3/31

Episode-3 初めての昼食・初めての雑用


迎えた昼休み。


 俺は、特に誰かと昼食を一緒にとるとは考えていなかったため、今日は校内にある『学食』を利用することにした。

 俺の隣の転校生──もとい、佳織は、数名の女子に誘われ中庭で一緒に食べるらしい……別に、盗み聞きをしていた訳ではない。


 「さあて、今だけ伸び伸びできるな」


 あの教室から出ると、まるで違う世界にでも来たかのような浮遊感を覚える。


 俺の事を睨む者は居ない。話しかけてくる厄介者(佳織)も居ない。

 もしかしたら、この昼休みだけが、俺の安らげる時間なのでは?


 「……あれっ、純くん?」


 「ん?」


 後ろを振り返ると、そこには俺の良く知るあかねが居た。

 

 「やっぱ純くんだ。おはよう」


 「おう、茜か。おはよう」


 「なんか、疲れてる?」


 「え? なんで?」


 茜は、心配そうに俺の顔にそのつぶらな瞳を近づけた。


 「だって……隈があるもん。寝てないの?」


 「ああ、それはまあ、そんなとこだ」


 「ふーん……」


 しかしこいつ、相変わらずの髪色だな。よくそんな色で高校入ったな。


 「…………」

 

 俺がまじまじ茜を見つめていると、少し頬を赤らめ、顔をうつむかせた。


 「純くん、あたしの入学式来なかったじゃん。どうして?」


 ああ。

 そういえば、入学式があったのか。すっかり忘れてた。


 「すまん、忘れてた。」


 俺は至って真剣に謝った。が、茜はまだ頬が少し赤いまま怒った表情で俺に向き直った。


 「許さないよ、いつか埋め合わせてもらう」


 「そんな怒らなくても……あ、じゃあ、せっかく学食に居るし何か奢ってやるよ。どうせ、茜もここで食べるんだろ?」


 「んんー、いや、それはいいや。友達待ってるし」


 「友達? お前、高校入って一日で友達出来たのか?」


 「そだよ。」


 ……こいつがそんなコミュニケーション能力を持っているとは、全然知らなかった。というか、こいつとは昔から『兄妹』みたいな付き合いだったから、俺以外に友達が居るのかなんて気にしたことなかった。


 「……あ、来た来た。おーい! 里桜ちゃん!」


 茜が読んだ里桜りおという子は、茜の隣に立っている俺の事をチラチラ気にしながらも、小走りでこっちに向かってきた。


 「ごめんね、茜ちゃん。ちょっと、先生に呼ばれてて……で、この人は……」


 「ああ、この人は純くん。あたしの……幼なじみ? みたいな人。」


 「みたいな、じゃなくて幼なじみだ。はじめまして、里桜ちゃん」


 「あ、はいっ。はじめまして……!」


 腕白な茜とは違って、とても落ち着きのある良い子だ。

 容姿は、あまり茜と変わらないくらいの背丈で、学校指定の白のセーターを着ている。髪は後ろで二つ括り……ツインテール、というやつだ。


 「んじゃ、純くん。またね~」


 「おう。」


 いつも通りな茜と、その隣で俺に会釈する里桜ちゃんを横目に、俺はさっさと学食の券売機へ向かった。


 


 

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