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純、i。 ※休載中  作者: ゆうまに
新しい日々の始まり《プロローグ》
2/31

Episode-2 新春新学年新クラス 2


 衝撃の幕開けから一日経った。

 新春には、よく、『出会い』があると言われているが、なんとも喜びがたい出会いとなるとこの先の日々が思いやられる……。


 「…………」


 あまり気乗りしない朝。いつもより、学校へと歩く足が重く感じる。

 なに、理由は分かってる。


 ──昨日、ふと舞い降りてきた『天使』の所為で、あやうくクラスメートに天国へ逝かされそうになった。

 平穏さえあればいい、そう願っていた新学期は俺の望みと正反対の形となって、今の俺の足を重くさせているのだ。

 

 体を動かしたわけではないが、どっと疲れが溜まり、その日はそのまま家に直帰した。


 ふと冷静になって、事の整理をつける。

 ある日──と言っても、偶然ではないだろう、しいて言えばアイツが転校してくる事は『必然』だった──

 どんな理由かは知らんが、アイツは俺の隣に座りたいと申し出て、担任の幕野内も易々と了承した。

 

 たったそれだけの事なのだが、クラス全体(主に男子)の目つきが一変し、急に殺意を俺に対し向けるようになった。理由は……何となく分かる。


 「……面倒な事になった」


 正直、転校生だとか、美少女だとか、俺はどうでもいいと思っていた。

 なんとか矛先だけは、向けられたくないと願っていた。

 

 そして学校に着いた。


 「(頼むから何も起こらないでくれ……!)」


 ただそう願い、俺は昇降口へと向かった。



 

 「おはよう」


 教室へ入ると、真っ先に聞こえたアイツの声。変に意識していたせいなのか、それ以外の環境音がまったく聞こえない。

 

 俺は黙り込んだまま、自分の席につく。


 「あれ、聞こえてないのかな? ……おはよう、純一君」


 「……へっ?」


 「お、は、よ、う。って言ったんだよ? 聞こえてたでしょ?」


 「あ、ああ……! おは、おはよう……」


 「どうしたの? 私、何か変だった?」


 ……変なのは俺だ。そして、俺の背後からものすごい殺気を発してるやつらだ……。

 

 「う、ううん! 全然、そんなことないんだけど……」


 俺が言葉を濁すと、佳織は首を傾げるようにして俺の様子を窺っている。

 その行動一つ一つが、俺の寿命を縮めているんだ……! 気づいてくれ!


 「そっか……」


 何かを諦めたか、佳織は前へ向き直り、途端に静かになった。


 「(気分屋なのか……?)」


 そんなことを頭で考えつつ、授業開始のチャイムがすでに鳴っていたのを聞き、すぐに授業の準備を始めた。



 

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