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約束

「今日は、スノーラも市場に行ってみようか。」

カエル事件からまた数年後、少しだけ訪れる暑い時期、夏が終わり、次の季節、秋の終わりにお母さんは私を市場に連れて行ってくれた。

生きていく為には色々と経験してみなければいけないからだって言ってた。

ただ、私の姿は周りと違いすぎて驚かせてしまうらしいので変装する事になった。


「これで・・・よしっ!」

そういって、お母さんは満足そうな顔をした。

わたしは、木で出来た屋根付きの小さな押し車・・・乳母車ベビーカーに乗せられた。

お姉ちゃん用にお爺ちゃんが用意していた物らしい。

長い間、使ってなくて埃だらけだったのでお母さんと二人で綺麗にするところから始めなければいけなかった。

そして、私の頭には毛糸で編まれたぶ厚い帽子を被せられる。

体には厚手の服を着せられ、その上から掛け布団をしっかりとかけられる。

乳母車の屋根もあり、簡単には中を見れない。

たとえ見えたとしても布団や帽子のお陰でそうそう、わたしが竜だとはわからない、変装は完璧だ。


近くの市場がひらかれる町まではお母さんの足で2時間ほどかな?

途中休憩しながらだから実際はもっと短い時間で行けるのかもしれない。

一緒に歩きながら色々話をした。


「わくわくするね。」

そう、わたしが言うとお母さんが笑いながらも何点か注意する事を告げた。


「お母さんの言いつけは守ること。」


「はい。」


「それから、絶対に乳母車から顔を出さないこと。

 スノーラが危ない目に遭うからね。

 人間は自分と少しでも違うモノを嫌うから。

 そして、無理はしないこと。

 気分が悪くなったら言うんだよ。」


「はーい。」


「あと・・・。」


「エーまだあるの・・・。」


「一番大切なことだ、しっかりと楽しむこと。

 約束してくれるかい?」


「うん。」

思いっきり頷きながら答えるとお母さんは嬉しそうに目を細め私の頭を撫でた。


「約束だよ。

 そろそろ、乳母車に乗りなさい、市場のある町は近いよ。」

なだらかな丘を下った先にレンガ造りの家々が見え始め、わたしはドキドキしながら乳母車に乗った。


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