待望
お待たせしました、第四部開始となります!
貴方が応援してくださることで、作者のやる気はめっちゃ上がります。是非よろしくお願いします!
では、ゆっくりとお楽しみください。
「魔石の質が戻ったね」
「アア。オーガヲ発見スル事ガ増エタ」
東の森、フォレイトス。そこにある一軒の古家で老婆と一角鬼という、およそ会話なんて成立しないであろう二人が話をしていた。
「お前がある程度狩り尽くしてから、そう経っていないはずだが……はて。イッカク、ダンジョンで何か珍しい事はなかったかい?」
そう尋ねる老婆に、一角の鬼は思案しゆっくりと口を開く。
「ソウイエバ……何度カ上層二居タノヲ見タナ」
「オーガが上層に?」
「アア、ソノ時ハ近クニ居テクレテ助カッタト思ッタ。今思エバ、少シ妙ダッタカ」
「……そうかい」
今度は老婆が顎に手を当てて思案する。ーーダンジョンの魔物は、元来産まれた領域から滅多なことでなければ、出ることは無い。その領域から地上へ向かってくる、まるで逃げるような動きとなると、それこそその領域より下に何か異変があったか、あるいは……。
そこで老婆は、思い出したように話し出した。
「ちょっと前に、百鬼夜行があったね」
「百鬼夜行?」
「お前も少し弱っていただろう? あれだ。ツテがあってね。今は会っていないが、そういう情報は逐一持ってこさせていたんだ」
ーー封印が解けた? いや、そんなはずはない。初代が目一杯にした封印だ。あやつに今動かれちゃ敵わん。今回のは十数年前に中央都市であった事件、その関連じゃないと困る。アニエスはそう結論付けた。
「だが……そうなってくると、オーガキラーがここに来るのは、ダンジョンの騒ぎが落ち着いてから、か」
まぁいい、待つのには慣れている。期間が少し伸びるだけだ。魔石の質も戻ったし、結界の展開に支障は無い。老婆の心持ちは軽いものだった。
「イッカク。中央都市の方は?」
「動キハ何モ無イ。俺ガ見ツケ次第狩ッテイルカラカ、イツモ通リダ」
「それなら、まだ期待して良いかも知れないね」
そういって老婆は、大きい魔石を手に取り齧りついた。
ふと、イッカクと呼ばれた鬼が、窓の方へ視線を向けそのまま一点を見つめ始めた。
「どうした?」
「ーーアニエス、来タゾ。アイツダ」
「……ほう?」
そう告げられた老婆は口角を上げ、普段よりも声高にイッカクへ指示を出す。
「少し遊んでおやり。間違っても殺すんじゃないよ?」
「分カッタ。仲間ノサキュバスハ居ナイ様ダ」
「本命以外はどうでもいい。さ、行っておいで」
アア。そう告げてイッカクは外へと向かっていった。老婆はいそいそと机にあった水晶を手に取り、座っていた椅子へと戻る。先程齧っていた魔石を一齧りしながら、水晶へ魔力を込めていく。すると、水晶の中にイッカクと対峙する少年の姿が映し出された。アニエスが結界を施している部分、その一部を切り取って見ることが出来る魔法だった。
アニエスは食い入る様に、水晶に映る少年を見つめる。
「待ち詫びたよーーーー三代目」
アニエスは高揚した気分を抑えられず、自然と笑みがこぼれていた。




