表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力のやり方を間違えている世界で、成長効率チートを授かりました ~現代知識で最短成長、凡人が無双するまで~  作者: 天城ハルト
第3章 騎士候補編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/32

第28話 想定外は、最初から起きる

未開発区域の空気は、重かった。


瘴気が、肌にまとわりつく。

呼吸をするたび、肺が鈍く軋む。


「……研修初日で、これかよ」


ログスが、低く唸る。


「ええ」


リィナは、すでに地面に膝をついていた。


「魔力濃度が」

「想定より三割高い」


「そんなの、聞いてない!」


ミーナが、声を上げる。


「聞いてません」


即答だった。


「だから」

「想定外です」


その瞬間。


地面が、震えた。


「――来る!」


セシリアが、剣を抜く。


地中から現れたのは、

大型の魔獣。


甲殻。

四肢。

そして、異様な魔力反応。


「……魔物図鑑に、ない」


リィナが、息を呑む。


「はい」


アレンは、落ち着いて答える。


「未登録個体です」


魔獣が、吼える。


音圧だけで、足元が揺れる。


「散開!」


誰かが叫ぶ。


だが――

遅い。


魔獣の前脚が、振り下ろされる。


「ログス、左!」


アレンの声。


反射的に、ログスが跳ぶ。


地面が、抉れた。


「……助かった」


「まだです」


アレンは、視線を外さない。


「……アレン」


セシリアが、低く言う。


「今、指示してるわね」


「ええ」


否定しない。


「止めますか?」


一瞬の沈黙。


誰も、何も言わなかった。


「……続けて」


セシリアが、剣を構える。


「今は、あなたが一番冷静」


それが、決定だった。


「全員、円形に」


アレンの声が、通る。


「前に出ない」

「攻撃は、牽制のみ」


「ミーナ」

「詠唱は短縮、範囲を狭めて」


「リィナ」

「回復は、重傷者優先」


指示は、簡潔。


無駄がない。


魔獣は、強い。


だが――

動きが、単調だ。


「……突進、三拍後」


「え?」


「今です」


全員が、動く。


魔獣の突進が、空を切る。


「……避けた!?」


ログスが、目を見開く。


数分後。


魔獣は、後退。


完全に倒せたわけではない。


だが。


「……逃げた?」


ミーナが、息を整えながら言う。


「ええ」


アレンは、頷いた。


「この個体は、単独行動」

「深追いは、危険です」


沈黙。


誰も、異を唱えなかった。


セシリアが、剣を納める。


「……判断、正しい」


リィナは、胸を押さえながら言った。


「……生きてる」


高所。


リュシア・ノクティスは、

遠隔観測用の結晶を通して、

その様子を見ていた。


(……引き受けた)


(誰かに命じられたわけじゃない)


(自分で、前に立った)


彼女は、静かに記録する。


特記事項

想定外発生時

指揮権自然移行

周囲の反発なし


その夜。


簡易野営地。


焚き火の前で、

ログスが言った。


「……なあ」


「はい」


「最初から」

「こうなるって、分かってたか?」


アレンは、少し考えた。


「可能性は」

「高いと思っていました」


「……だよな」


ログスは、苦笑する。


「なら」

「これからも、頼む」


一人、また一人と頷く。


誰も、命令とは思っていない。


セシリアが、静かに言った。


「……あなたは」

「前に立つ人じゃないと思ってた」


「ええ」


「でも」


一拍。


「必要な時だけ、前に出る人なのね」


アレンは、否定しなかった。


想定外は、最初から起きる。


だからこそ。


誰が、判断を引き受けるか。


その答えが、

この場で決まった。


特別研修は、まだ始まったばかり。


だが――

すでに、学園を超えている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ