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努力のやり方を間違えている世界で、成長効率チートを授かりました ~現代知識で最短成長、凡人が無双するまで~  作者: 天城ハルト
第3章 騎士候補編

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外伝 再挑戦者 ―ヴェイン・クロスフォード―

ヴェイン・クロスフォードは、

夜の訓練場に一人いた。


灯りは少ない。

剣の軌跡だけが、闇に浮かぶ。


――カン。


剣が、地面に触れる。


「……違う」


小さく、吐き捨てた。


(俺は、弱くなかった)


剣も。

魔力も。

数値も。


どれも、上位だった。


なのに。


(負けた)


理由は、

今なら分かる。


(“強さ”しか、見ていなかった)


あの日。


特別演習の訓練場。


自分は、勝っていた。


そう、思っていた。


「押せ」

「前に出ろ」

「数で行け」


全部、正解だったはずだ。


――だが。


気づいた時には、

戦場が、別の形になっていた。


(……俺は)


(戦っていたつもりで)


(“踊らされていた”)


「……まだ、諦めないのか」


声がした。


振り返ると、教官が立っていた。


「再挑戦枠だ」

「条件は、最悪だぞ」


「構いません」


即答だった。


「俺は」

「ここで終わるつもりはない」


教官は、しばらく黙っていたが、

やがて言った。


「……理由は?」


ヴェインは、剣を握り直す。


「負けた理由を、理解したからです」


再評価演習。


条件は、厳しかった。


指揮固定


判断変更不可


失敗=即失格


(以前の俺なら)


(ここで、また前に出ていた)


だが、今回は違う。


「……待て」


ヴェインは、初めて

“止まる判断”をした。


味方が、驚く。


「いいのか?」


「ああ」


短く答える。


「今、行く意味はない」


一歩、遅らせる。


それだけで、

被害が、減った。


(……これか)


(“戦場を見る”っていうのは)


演習終了。


勝敗は、つかなかった。


だが。


「……合格だ」


教官の一言で、

全てが報われた気がした。


その後。


ヴェインは、

アレン・フィルドの姿を見つけた。


声をかけるべきか、迷う。


だが――

自分から、歩み寄った。


「……俺は」


言葉を探す。


「お前を、超える」


アレンは、驚いた様子もなく頷いた。


「はい」


「……いつか」


「ええ」


短い会話。


だが。


ヴェインは、確信した。


(こいつは)


(倒すべき“敵”じゃない)


(追いかける“基準”だ)


夜。


寮の部屋。


ヴェインは、剣を磨きながら考える。


(俺は、天才じゃない)


(でも)


(折れなかった)


それだけで、

まだ戦える。


再挑戦者。


それは、敗者の席ではない。


一度負けて、なお立つ者の席だ。


ヴェイン・クロスフォードは、

その場所に、確かに立っていた。

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