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努力のやり方を間違えている世界で、成長効率チートを授かりました ~現代知識で最短成長、凡人が無双するまで~  作者: 天城ハルト
第2章 学園編

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第16話 最下位クラス、初勝利

およそ1ヶ月たったある日の午後。

合同基礎演習の相手として指定されたのは――

第一戦闘科・Dクラス。


「……え、Dクラス?」


ログスが、眉をひそめる。


「一つ上、か」


Dクラスは、落ちこぼれではない。

平均的な戦力を持ち、

最低限の連携もできるクラスだ。


Eクラスにとっては、

“勝負にならない”相手。


教官ハロルドも、淡々と告げた。


「勝敗は問わん」

「事故を起こさなければ、それでいい」


その言葉が、

すでに期待値を示していた。


演習開始前。


Eクラス側は、沈黙していた。


ログスは、剣を握りしめている。

ミーナは、詠唱を口の中で転がしている。

ハルドは、地面を見つめたまま動かない。

ユリスは、腕を組み、舌打ちしていた。


「……なあ」


ログスが、低く言う。


「さっきの配置」

「本気でやるのか?」


全員の視線が、

アレンに集まる。


「はい」


即答だった。


「Dクラスは、連携が前提です」

「だから――」


アレンは、短く言う。


「崩します」


配置は、奇妙だった。


前衛がいない。

突出する役もいない。

全員が、半歩後ろ。


「……逃げ腰すぎるだろ」


Dクラス側の生徒が、嘲る。


「Eクラスは、最初から諦めか?」


だが。


開始の合図と同時に、

違和感が生じた。


Dクラスは、教科書通りに動いた。


前衛が圧をかけ、

後衛が支援。


正しい。

だが――


「……当たらない?」


攻撃が、空を切る。


Eクラスは、

受け流すだけ。


攻撃しない。

押さない。

ただ、間合いをずらす。


「ミーナ、今」


「……っ!」


短い合図。


魔法は、威力を抑えた範囲制御。


派手さはない。

だが、進路を塞ぐには十分。


「ログス、左」


「チッ……!」


文句を言いながらも、

ログスは指示通りに動く。


Dクラスの隊列が、

わずかに歪んだ。


その“わずか”を、

アレンは見逃さない。


「今、全員半歩前」


一斉に動く。


それだけで、

Dクラスの前衛と後衛が分断された。


「……しまっ――」


遅い。


「止まれ!」


教官の声が響く。


Dクラス側に、

“連携不能”の判定。


沈黙。


「……え?」


誰かが、間抜けな声を出した。


Dクラスが、負けた。


剣を折られたわけでも、

魔法で吹き飛ばされたわけでもない。


形が、崩された。


教官ハロルドが、

目を見開いたまま、しばらく動かなかった。


「……演習、終了」


それだけ言うのが、やっとだった。


見学していた他クラスが、ざわつく。


「今の、見たか?」

「Eクラスだろ……?」


Bクラスのフィオナは、

目を輝かせていた。


「すご……」

「全然、派手じゃないのに!」


隣のエルナは、静かに呟く。


「……勝ち筋が、最初から決まってた」


Eクラス側。


誰も、すぐには喜ばなかった。


「……勝った?」


ミーナが、小さく言う。


「いや」

「勝った、よな?」


ログスが、剣を見下ろす。


ハルドは、震える声で言った。


「……机上通りに」

「進んだ……?」


ユリスは、舌打ちした後、

小さく笑った。


「……悪くない」


全員の視線が、

アレンに向く。


「次は?」


その問いに、

アレンは首を振った。


「次は、ありません」


「え?」


「一回勝てば、十分です」


その言葉に、

ログスが眉をひそめる。


「……なんでだ?」


「これ以上やると」


アレンは、淡々と答えた。


「目立ちます」


だが。


すでに、遅かった。


教官ハロルドは、

その夜の報告書にこう書いた。


「EクラスがDクラスに勝利

戦力差を埋めた要因は

一名の判断による配置最適化

要経過観察」


“要経過観察”。


それは、

監視対象が格上げされたという意味だった。


その頃。


別の場所で、

セシリア・フォン・アルトヴァインは、

演習結果の報告書を読んでいた。


「……Eクラス?」


眉が、わずかに動く。


「……また、あなたなの?」


最下位評価の男――

アレン・フィルド。


彼女の中で、

“無視できない名前”が、

静かに定着し始めていた。


最下位クラス、初勝利。


それは、小さな一歩。


だが――

学園の秩序に入った、最初の亀裂だった。

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