プロローグ
まだ肌寒い春の風が桃色の桜を揺らし、散った花びらはまるでこの高校に入学した僕への紙吹雪のように思える。浮き足立つとはまさにこの事なのだろう。都会とは言えないこの場所で中学は全てを勉強に捧げてきてやっと来ることができた場所だ。この桜並木を抜け、右に曲がるとすぐに正門が見えてくる。夢にまで見たこの瞬間がすぐ目の前まで迫っていると思うと更に胸が高鳴る。
「おっはよー!!柊!」
テンションが限界突破しているコイツは凪 愛花。幼馴染で人付き合いの苦手な僕の唯一の女友達だ。だが、、、。
「あー!!露骨に嫌な顔したー!!」
「声がデカい。そんな叫ばなくても聞こえるから。」
おそらくこれを世間ではダル絡みと言うのだろう。
「折角君の為に頑張って同じ高校入ったのにー。私は悲しいよ...。」
そう。こいつは僕がこの高校に行くと知った12月から全力で勉強をして合格を掴んだいわゆる"天才"だ。
「全く悲しそうには見えないな。」
そんな事を言っていたらもう正門の目の前まで来てしまった。愛花の邪魔が入ってもここまで感動的だと愛花の邪魔が無かったら号泣していたかもしれない。そういう意味では愛花に助けられたといえる。
「あっ!ねぇねぇ、入学式の立て看板で写真撮ろー!」
「そうだな。そのためにデジカメ持ってきたし。」
「でじかめ...?ギャハハハハ!!!」
「・・・なんだよ。」
「ふーっ。」
ひとしきり笑い声終えたのか深呼吸している。
「何が可笑しいんだよ。」
「柊おじいちゃん。今の時代の高校生はね。デジカメ持ち歩かないんだよ。全部スマホで済ませちゃうの。」
「そうなのか。」
デジカメの方が綺麗に撮れる、といってもまた馬鹿にさせるだけなのだろうから言葉にするのはやめておく。
とりあえず今は写真撮っている人がいるから待つか。
「あっ!すいませーん!一緒に写真撮りましょー!」
「!?」
愛花が話しかけていたのは今家族で写真を撮っている人達。
「知り合い?」小声で愛花に聞くと、
「ううん?知らない人。」
こいつはどこまで身勝手なんだ。そして、愛花が話しかけた人をよく見て驚愕する。
銀髪の長い髪に端正な顔立ち、柔らかみのある身体つきに170cmはあるであろう長身。
控えめに言ってドタイプだ。エルフならもっと良かったが3次元の世界なのでそこは仕方がない。
「あ、はい。...?」
「ホントですかー!?ありがとうございます!ほら、柊行くよ!」
「え、僕も行くのか。」
疲れた。
ただでさえ人付き合いの苦手な僕だ。初対面でかつドタイプの女子と話すなんて人生で初めてとも言える。これからおそらく自己紹介などがあるのだろう。もう次の日に持ち越したり出来ないのだろうか。そんなこんなでクラス発表だ。
「僕は1年1組か。」
「え!一緒ー!」
「おわりだ。」
教室、行くか。
「どんな奴がいるか楽しみだな。」
もうどうにでもなれ、と思い気持ちを切り替えた僕はそんな事を言って気を紛らわせる。その隣には今にもスキップしそうな愛花がいる。
「ルンルンルン♪」
ルンルンルンって声に出して言うものなのか...。コイツにはツッコミどころが多くて困る。
「もう着くぞ。」
「楽しみだねー!高校では私以外にも友達作るんだよね?まあ出来ないと思うけど!」
「うるさい。」
もう扉の前だ。ここでこの高校生活3年間が決まると言っても過言では無い。そう意気込んでからゆっくりと扉を開ける。
がらり。
教室を見渡すとまず目に入ってきたのは・・・。
"長い銀色の髪"
僕の高校生活は思ってもみない方向に進みそうだ。そうこの瞬間確信した。
-------------キリトリセン--------------
ここまで読んでくださってありがとうございます!
初めての投稿で緊張してますが締められるまで頑張ろうと思ってます!よければレビューやアドバイスなの頂けると嬉しいです!
ちなみに主人公の男の子はフルネームを出す機会が無かったのですが東雲 柊です!




