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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第8話 ラーミ村

 二頭引きの馬車は、商人のおじさんの簡易馬車よりもスピードが出た。

 それでも途中、一泊していく。


 馬車を休憩所に止めて、簡易テントを設営して寝た。

 翌朝。


「お料理作りますね。そういっても麦粥だけど」

「それでもありがたいです」


 同行する冒険者の人に褒めてもらう。

 大きな鍋を並べて人数分作ると、結構な量だ。

 他の人にも手伝ってもらって、なんとか作る。

 昨日の夜ご飯はみんなで、お肉を焼いてバーベキューをやった。

 火の上に鉄板を置いて、ジュージュー焼いていくのだ。

 お酒は禁止だけど、けっこう盛り上がった。

 お肉はウルフ肉、ホーン・ラビット肉など各種、近くの森の猟で捕れる種類だ。

 畜産は狩りで比較的捕れることもあって、それほど普及していない。

 それでももっと町のほうへ行くと、近くに牧場なんかもあるんだって。

 後、村では鶏を飼っていて、卵が取れる。


「いただきます!」

「美味しそう!」

「いただきます、ふぅふぅ」


 みんな各自、自分のお椀で麦粥を食べる。

 今日は麦粥に卵、ハーブ、お肉のあまりを入れてある。

 ハーブは朝早くに近くで採ってきたものだ。

 何種類か入れると、匂いが混ざり合って、いい感じになる。

 ほんのりスパイシーな感じもする。


「美味しいね!」

「うん、レナ様、うれしいです」

「うふふ、フィオちゃんもお手伝いしてくれたんね」

「うん!」


 私たちも、隅っこで座って食事にする。

 ハーブの香りに素朴な麦粥は朝の定番だ。

 町に行くと、ハーブがないので、町の住人は、野菜くずと干し肉を少し入れるような感じの麦粥を食べているらしい。

 だから、この麦粥はそれよりも豪華なんだって。


 そうしてこうして再び出発して、夕方にはラーミ村に到着した。

 村人も集まってくる。


「レナ~」

「ばあば!」


 感動の再会だ。

 元気してたかなぁ。

 私が薬草採取してなくても、ちゃんと薬草も集まっていたんだろうか。


「ばあば、こっちがフィオちゃん。私の相棒」

「フィオです。ばあばさん?」

「あはは、エルシールだよ」

「エルシール様、ですね」

「まあ、硬いことはなしだよ、レナが世話になっているみたいだね」

「世話って程では」

「いいっていいって、ありがとうね~」


 私も前よりも防具も買ったし、多少冒険者らしくなっている。

 フィオちゃんは服装も身ぎれいだし、いいところのお嬢様となんとなく分かる。

 ばあばは人を見る目があるから、大丈夫だろう。


 村人たちが何やら噂をしているが、気にしないことにする。

 きっと私のことも、色々言われていると思う。

 レクスのこともあるもんね。


 そのレクスがレッサー・ワイバーンに襲われたのが、そもそもの発端なんだけど。


「レッサー・ワイバーンが村で出たんだってねぇ」

「そうそう、話そびれてたんだよ」

「あらまぁ」


 ばあばにことの顛末を説明すると、顔を青くした。


「まあ、でも大丈夫でしょう。強そうな人もたくさんいるしねぇ」

「だといいね!」

「ふふふ」


 私たちは自分の家へと戻り、収納からベッドを家に戻して寝られるようにする。


「フィオはお母さんのベッドね」

「ごめんね、なんか」

「いいのいいの」


 よし、とりあえず私たちの拠点はできた。

 他の人たちは、家があるわけでもないし、広場に馬車を止めてそこで寝るみたい。

 馬車の中に寝転んで睡眠をとる人もいた。


 夕ご飯は別々だったので、私たちはちょっと久しぶりにシチューを作る。


「おいしい!」

「ねー」


 自分たちの分くらいなら、簡単だ。

 ブラウンシチューにはお肉、野菜などがふんだんに入っている。

 あとは収納から出した買い置きの黒パンをつけて食べると、とても美味しかった。


 レッサー・ワイバーンがまたくる可能性があるということで、何人かは夜も見張りだ。

 ワイバーンは夜行性じゃないけど、夜もある程度見えるらしいんだって。

 昼夜を問わず活動するから、侮れないってギルド長が渋い顔をして言っていた。


 さて、問題はこれからだ。

 何かワイバーンをおびき寄せる方法があればいいが、向こうからくるまで待っているとなると、長期戦になるかもしれない。

 狙われたのがレクスなのか、どうかも不明だ。

 たまたま襲われたのか、それとも何か魔力とかが目立っていて狙われたのか、そういうことは考える必要がある。

 とはいえ、私たちは学者ではないので、とりあえず様子を見ることになっている。


 コケコッコー。


 自分のベッドに寝てぐっすりして、朝だ。

 朝は同じように麦粥だ。

 これが消化もいいし、腹持ちも悪くない。

 パンは買わなきゃいけないから。

 自分の家で焼くのは難しい。

 ほとんど膨らまない薄焼きパンならできるんだけどね。


 私は短剣を装備した皮鎧姿で、ギルド長たちと合流する。


「私がワイバーンを見たのは、あっちの森の中です。村ではないですね」

「そうだったよな、ありがとう」

「いえ」


 森の中といっても、空を飛ぶモンスターからしたら、目と鼻の先ではある。

 よく小さいボーパル・バニーのレクスを狙ったものだ。


 そういえば近くに岩があった気がする。


『そうそう、岩の上で日向ぼっこをしていたら、上にちょうどワイバーンがいてね、目をつけられたんだ』

『そういうことだったんだ』


 その話をちょっと改変して報告すると、ギルド長はニヤッと笑って作戦を考えた。



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