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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第3話 マクネス町

 夕方、マクネス町の入口へと到着した。

 森はいつの間にか途切れ、町の周りには草原が広がっている。

 夕方だというのに、まだ薬草採取の人があちこち活動しているのが見える。


「ここがマクネス町」

「そうだよ。ようこそ」


 通行税などはないようで、馬車のまま門を通過できた。

 門はレンガ製。

 それに対して、城壁はやや崩れている土壁、いわゆる土塁だった。

 外側は掘られて水堀になっている。


 水堀では何人か釣りをしている人もいた。

 魚によっては食べられるのだろう。


 内陸だから魚料理がないというのは勘違いで、実際には川魚もよく食べられるのだという。


「フナ料理とか、あるっちゃある」

「食べたことある?」

「いや、ないけど、話には聞くね」

「へぇ」

「ぴぎゅ」


 薬草を町の周りの草原で拾ってくるというのは、定番なのだろう。

 ただ、みんなが採っていたら、だんたん減ってしまうのではないか、という疑問はある。

 それなら森のほうが収穫があるのではないか、という話だ。

 でも森ではモンスターが出てきたときに対処できないかもしれない。

 私は多少魔法も使えるから戦えるつもりだけど、町の住民みんながそうというわけではないのだろう。


 門の中は大通りが一本、向こう側の門まで続いている。

 左右にはテントの露店がずらっと並んでいて、さすが町というだけはある。


「お店いっぱい」

「はじめてって言ってたか?」

「はい!」

「フミレスの領都はもっとすごいぞ」

「へぇ、今度、行ってみたいです」

「だよなぁ、俺も行ってくるかな」


 宿屋の前で停車して、降ろしてもらった。


「ありがとうございました」

「いいって、ご飯、ありがとう」

「いえいえ、では」


 私は先にお勧めだという、この宿の受付に行く。


「えっと、子供一人」

「子供も大人も料金は一緒だけど、個室かい?」

「はい」

「個室の安い部屋でいいのかな?」

「それで」

「はいよ、一日銀貨五枚だけど、大丈夫?」

「はい。えっと二日分で」


 銀貨十枚が金貨一枚だ。

 そっとなけなしの金貨を差し出す。

 金貨五枚なので、十日分か。

 それ以外に銀貨が百枚くらいあるはず。

 銅貨もあるにはあるけど、安い買い物でしか使わない。


「はい、いま帳簿つけちゃうから」

「ありがとうございます」

「鍵、どうぞ」

「確かに」


 鍵は一応、この世界にもある。

 いくらでも偽造とかピッキングとかできそうだけど。

 ないよりはマシなのだろう。

 ちなみに本当に厳重な鍵は魔法鍵という魔道具がある。


 二階に上がって、部屋へと入る。

 清潔ではあるが、どことなくホコリっぽい。

 ベッドはシングルサイズだけど、六歳児の私には十分な大きさだ。

 レクスは見せても特に何も言われなかったので、問題ないのだろう。

 小さいペット枠はこういうときお得だ。

 レクスの足をタオルで拭いてやり、ベッドに上げる。


『ベッド、気持ちいい!』

『もう、レクスったら』


 ベッドの上を一通り堪能したら、部屋の中を見回す。

 安い部屋なのだろう、たぶん。

 ベッド以外は、椅子が二つと小さなテーブルが一個あるだけだ。

 テーブルの上には、ロウソクが置いてある。


「ファイア」


 ロウソクに火をつけてみると、明るくて柔らかい光が部屋に広がった。

 もう夕方を過ぎた時間帯だったので、なんだかホッとする。


 火を消し階段を下りて、食堂に顔を出した。


「えっと、セットの日替わり、一つ」

「はーい」


 周りの人が、子供が一人でいるのを不思議がってじろじろ見てくるが、気にしてはいけない。

 いいんだ。


「おまちどおさま」

「ありがとうございます」

「きゅぴ」


 黒パンにトマトパスタ、サラダのセットだった。

 フォークをうまく使ってパスタを食べる。

 小さな村ではあったけど、パスタは食べたことがある。

 前世の記憶のほうが多いかな。

 少し取り分けて、レクスにもあげる。


 トマトの丁度いい酸味と塩にオリーブオイルとニンニクの香りが食欲をそそる。

 サラダには粉チーズが振ってあって、アクセントになっていた。

 黒パンは薄くスライスしてあったので、それを一生懸命噛んで食べる。

 スープにつけて食べるものだと思っていたけど、そのままでも意外と食べるみたい。


 こうして今日は宿にどまって、夜もお休みです。



 ぴーぴぴぴ。

 朝、鳥の鳴き声がする。

 町の朝って感じがすごくして、なんだか楽しい。


「おはよう、レクス」

『おはよう、レナ』


 顔をくっつけて、もふもふする。

 ボーパル・バニーといっても、やっぱりウサギさんだ。


「では、商店で薬草を買い取ってもらいます」


 朝ご飯をしっかり食べて、通りを見ていく。

 その中に、薬草店というかポーションなどを売っている薬屋さんを発見した。


「すみませーん」

「なんだい、お嬢さん」

「薬草を買い取ってほしいのですが、できますか?」

「いいですよ、見せてくれますか?」

「はい」


 お店のお兄さんに薬草を見せると、見分してくれる。

 そこそこのお金になった。

 これなら数日は過ごせそうだ。

 私の収納は鮮度はそのままにできるので、遠く離れた町までもっていくことも可能だったりする。

 実はこれ、すごい可能性を秘めているのでは。

 たとえば、砂漠に薬草を持っていくとか、平原の真ん中で海の幸を提供するとか。


「にしし」

『儲かったみたいで、よかったね』

「うん、レクス、ありがと」



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