第19話 カレーショップ
メレーナ商会のパパ様が戻ってきたので、次に行く場所に連れていってもらうことになった。
もちろんフィオちゃんも一緒だ。
学校は二週間くらい通ったかな。
それでも色々知識はついたので、よしとしよう。
でもその前に……フレミスでの恩返し、カレー店をやってみようと思おう。
メレーナ商会の仲介で、露店のスープのワゴンを借りてきた。
「で、これでカレー店をやろうって」
「それで?」
「町への恩返しのつもりなんだけど」
「いいね、いいね!」
フィオちゃんにも賛同いただいたので、二人でカレー鍋を仕込む。
カレー粉のスパイスをまた買ってきて補充した。
こちらでははじめてだったので、メレーナ商会伝いで教えてもらった店だ。
なんでもメレーナ商会で教えてもらえるので、便利~。
さすらにワイバーン肉とはいかなかったので、今回はビーフ。
この世界では、あまりどのお肉は食べちゃダメ、みたいなのはあまりないみたい。
あぁ、ゴブリンのお肉は食べないね。
単純に不味いらしいよ。
「ふんふんふ~ん」
「らんらんら~ん」
二人でカレーを煮込む。
いい匂いもしてきて、とても楽しい。
いつもこんなんだったら、もっとやろうかな。
こうして出来たカレーと薄焼きパンを満載して、いざ出陣。
バザール地区の場所貸で、屋台を停めてそこで販売をする。
激戦区というほどではないけど、この辺りには飲食店も多い。
「カレーでーす」
「カレーと薄焼きパン、いかがですか~あ」
私とフィオちゃんでお客さんを呼び込む。
いざとなったら私たちも戦えるから、変な人がきてもやっつけちゃうもんね。
まあ、そうならないように祈るよ。
「どれどれ、いい匂いだ」
「カレーです、どうですか?」
「じゃあ、一つ貰うよ」
「ありがとうございます」
かわいい店員のスマイルつきだぞ。
カレーをよそって渡す。
薄焼きパンもついております。
さすがにナンじゃないけどね。
「うまい、うまい」
「こっちもくれ」
「こっちも!」
「あ、はい、今、出します!」
こうしてお店は大盛況。
カレーがばんばん売れていく。
匂いからしてたまらないもんね。
その香りは凶暴だ。
食べている人がいると、匂いが広がって、この前を通るだけでみんなクンクンしていく。
そのうちの何人かが引っかかって、売れていく。
「特製カレーですよぉ」
「美味しいですよぉ」
「スパイス、香辛料が効いてます!」
かわいい店員さんつきだよぉ。
カレーの販売は、一週間続いた。
「今日でラストです!」
「もう、食べられなくなるのか~」
「そんなぁ」
「フィオちゃん~レナちゃ~ん」
「そう言っても、予定ですし」
「私たち、旅に出るんです」
「そっか、それじゃあ、しょうがないな」
「二人のたびに、乾杯!」
いつの間にか、カレーを食べながら他の店からお酒を取り寄せて乾杯している。
えっとエールは許可制なんだけど、ワインとかは売っていいんだよ。
普通のお店でガバガバ飲んで酔っ払っちゃうのは駄目だんだって。
一応、名目上はね。
「そっか、もう終わりかぁ」
みんな私たちのお店を名残惜しく感じてくれたようだ。
なんだか、やってよかった、よかった。
カレーショップ。最初はちょっとどうなるかと思ったけど、カレー売るだけだもんね。
そのカレー売るだけが難しいんだよ。
次から次にくる注文をさばいたり。
薄焼きパンが先になくなっちゃいそうになったりね。
パンだけ欲しいという人がいたり。
とにかくこうしてカレーショップは大盛況のまま終わりを迎えた。
孤児院にもたまに顔を出している。
ハーブを採ってきたり、薬草採取をしたり、今のところ順調なようだ。
そうそう、私たちがいなくても、うまくやっていけるようにしなきゃだよね。
「レナ! フィオ!」
「おーほいほい」
「また、くるからねー」
「絶対だぞ」
「また、一緒に遊ぼう!」
そうそう、年頃の男の子たちと遊んだのも実ははじめてだ。
私はあまり遊びを知らなかったので、色々教えてもらった。
女の子たちにも、女の子の遊びを教えてもらったよ。
おはじきとかそういうの。
こうして出発の準備は順調に進んでいった。
聖女であるという話は広まっていないようで、一安心だ。
フレミス伯爵もいい人みたいで助かった。
あとは、そうだな、冒険者ギルドにはちゃんと顔を出していないけど、いいのかな。
まあ、いいか。
最近、冒険者っぽいことはしてないな。
ずっとメレーナ商会でお世話になっていたから。
宿代とかも出してないし、なんだか本当にラッキー。
いい縁に出会えたものだ。フィオちゃん、ありがとう。
さて、次は港町ララベル。
それから王都エルシーラに向かう。
どちらも西側へ進んだ先にあるんだって。
また前回乗った幌馬車にみんなで乗り込む。
「エランダさん、また~」
「フィオ、レナちゃん、またね」
「ばいばい、行ってきます」
「ばいばい、ママー」
親子で抱擁だ。
なんだかちょっとうらやましい。
おっと、私も一緒にだっこしてもらっちゃった。
朝、フレミスの領都を馬車が進んでいく。
私たちは荷台に乗って、ガタコト出発だ。
さて、次はどんな冒険が待ってるかな。
はやくスローライフしたいね!




