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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第17話 フレミス伯爵

 はいはーい。

 今日はフレミス伯爵とカレー会合の日だ。

 パーティーでも会議でもないけれど、どこか堅苦しい。


 メレーナ商会はとびっきりのドレスを用意してくれて、ピンクのフリフリに仕上がっている。


「かわいい、かわいい」

「うんうん、さすがレナ様、かわいい」

「ぴぎゅぴぎゅ」


 レクスも同意らしい。


「こんなの、着てられないよぉ」

「いいのいいの、はぁ、かわいい」


 エランダさんもにっこにこである。

 まあ、かわいいけどね、元来の根暗少女にはちとキツい。

 部室棟の隅の文芸部で、古い小説とかを読んでるのがお似合いなのだ、本来は。


 黒塗りの馬車がスーッとメレーナ商会の前に横付けされる。

 私たちはそれがくるのをじっと待っていた。


「では、行ってきます」

「きゅぴ」

「レクス、頼んだよ」

「きゅぴぴ」


 本日はフィオちゃんは自主休暇だった。

 逃げたのだ。ぐぬぬ。

 まあ、本当に領主様だもんね。ちょっと怖いよね。


 なんか顔に傷がある古い将軍みたいな人で、それは顔は怖い。

 六歳児が逃げるのも分かる。


「黒塗りの馬車ね……」


 私は一人馬車の中で、独り言だ。

 ふー怖い、怖い。


 町の真ん中、お城の堀を抜けて橋を渡り、中へと入っていく。

 そこがフレミス伯爵邸だった。


「どうぞ、こちらです」


 中へとどんどん入っていく。

 それに合わせるように豪華になっていく内装。

 赤い絨毯、魔道具の照明がずらりと並ぶ。

 魔道具は比較的高価なので、庶民はこんなふうに使うことはない。

 知らない絵や壺がところどころに飾ってある。


 怖い。静かなのが余計怖い。

 それでも人の気配はする。

 私も魔法使いの端くれ、魔力をなんとなく感じるのだ。

 ゲームとかだと、魔力探知とか魔力察知と言われるスキルだ。

 この世界はあまり、スキルという厳格なものでできているわけではないので、よく知らないが、そういうのの類だろう。


 そうして奥の間へと通される。


「ようこそ、レナちゃん。おじさんはフレミス伯爵だよ」

「……そうですか」

「ワイバーンのカレーを作ってくれるそうだね」

「はい」

「では、待っているから、よろしく頼むよ」

「わかりました」


 それだけ言って、一度、執事さんに厨房へ案内される。

 厨房といっても一般向けの食堂の厨房とは別で、ここは領主一家の厨房だろう。

 またバーナル男爵家の再現だ。


「ワイバーン肉です。えっと、時間停止があるので、鮮度は大丈夫です」

「時間停止、すごい」

「ワイバーン肉なんて、初めて見るぞ」


 厨房がざわつく。

 さきに玉ねぎを飴色になるまで炒める。

 その間にお肉を切ってもらい、こちらも鍋の中で炒めてもらう。

 そこに野菜を追加して煮る。

 ぐつぐつしてきたら、野菜から水分が出てくるので、それで大丈夫。

 そこにカレーのスパイスもどきを入れて、ほい完成。

 後は本当は、三十分は煮たほうがいいと思うんだけど、いいや。


「ほら、完成」

「すごくいい匂いだ」

「これが、ワイバーン肉のカレー」

「あ、今日は一等部位にしてあります」

「一等部位か、ふむ」


 そうしてカレーを持ってフレミス伯爵の前に向かう。


「妻のレジーナです」


 壮年の夫婦という感じだろうか。


「息子夫婦は王都でしてね。是非、本当なら食べさせてあげたいのだけど、王都へ行ったらお願いしたいわね」

「あ、はい」


 そう言って、そっとカレーを食べ始める夫婦。


「うまいな」

「美味しいわ。とっても」


 さすが伯爵ともなると上品なものだ。

 でも、食べたことがないのか、とてもよろこんでくれた。

 これなら、料理人冥利に尽きるね。本職の料理人じゃないけど。

 私も席に案内されたので一緒に食べる。

 うーん、前のよりスパイスも洗練されて、なかなか美味しい。

 悪くはないんじゃないかな。

 そうして和やかに過ごしたんだけど……。


「あ、痛たたた」


 奥様が腰がお悪いようで、腰をさすっていた。


「あら、大変」


 私は席を立ち、奥様のすぐそばまで寄る。

 そっと手をかざし、魔力を探る。

 聖魔法は単純に魔法をかければいいのではなく、魔力の循環の不具合や体調を見る必要がある。

 必要があるというか、そういうふうにしないと高い魔力で強引に治さないといけなくて、治療が難しいのだ。

 だから、単に聖魔法を持っているだけではなく、医療知識とか、魔力操作とかの高い適性が必要だった。

 それで、普通の人がそんなの持っているわけもなく、ピンク髪でもてんでダメな人もいる。

 でも勉強すれば、それなりになるはずなんだけどね、そういう機会もないという。

 教える側の知識がある人が少ないのも理由だ。


「我、彼のものに癒しの力を与えたまえ、ヒール」

「あ、ぁあああ、治ったわ、治った」


 奥様が急に背筋をピンと伸ばして、屈伸とかはじめてしまう。


「お前、なんだ、よくなったのか?」

「聖女様よ、聖女」

「まあ、このことは、できれば内密に」

「そうだな。いいな、みんな」

「「「はい」」」


 周りの係の人たちを一瞥する。

 わわ、ちょっと怖い。元将軍だっけ。

 この人もきっと聖女の話、知ってるんだろうな。


 お土産の金のお菓子をいただいて、へこへこして帰ってきた。

 ちょっとざわついたけど、大丈夫。

 えっと金貨、何枚だろうこれ。

 よし、これでフィオちゃんと杖か剣を買うぞ。



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