第13話 フィオの話
フィオは小さいころから父親の商売のついて歩く活発な少女であった。
しかし、いわゆる基本四属性があまり使えず、黒髪である自分に悩んでいた。
「私も青とか赤だったらなぁ」
父親はメレーナ商会の商会長をしており、自ら各地を飛び回る生活をしていた。
フィオも一緒にいき、国内のあちらこちらを見て歩く。
しかしその各都市も、次第に目新しさはなくなっていく。
「なんか、つまんないんだよね」
裕福な家庭、過不足ない食事。
母親は下の子を産んで、フミレスの町で帰りを待っていた。
父親や商人たちとの旅は楽しくはあっても、次第に飽きが来ていた。
「もっと新しいことがしたい」
「そうは言ってもなぁ」
冒険者ギルドにはそうそうに登録したものの、あまり冒険者らしいことはさせてもらえない。
そんなとき見つけたのが、マクネス町でのレナの噂だった。
六歳、フィオと同じ年で、最近冒険者になったばかりだというのに、薬草に魔石、それからたまに魔物肉まで持って帰ってくる。
アイテムバッグを所持しているらしく、普通の冒険者よりも多くの獲物を持ち帰るその少女は、注目の的になっていた。
「レナ様、ね」
フィオもその噂を早速聞いて、聞き込みを開始する。
ギルドでの様子、外でどんなことをしているのか。
フィオはあまり冒険者らしいことはさせてもらっていなかった。
理由の一つは一人だと危ないという話であった。
「お父様、それでレナ様と一緒なら、冒険者活動をしてもいい?」
「しっかりした子が一緒なら、やってもいいぞ」
「はーい」
「でも、他人を使い捨てにするような子に育てた覚えはない。ちゃんと友人、同僚としてしっかり付き合いをしなさい」
「わかってるって。パパ大好き」
こうしてフィオはレナに近づいていった。
「あなた、えっと、レナ様」
「レナ様、私を、フィオを仲間にしてください」
勇気のいる告白だった。
あの噂のレナ様をパートナーにする。
注目もされるだろう。
しっかり冒険者として仕事をしないと、飽きられてしまうかもしれない。
不安もあった。しかし彼女レナに対する憧れも抱いていた。
あんなレナ様だったら、私を退屈から救ってくれるはず。
結果は、この通り。
だた町のすぐ前の平野で、薬草とモンスター狩りをするだけでも楽しかった。
レナにはレクスというウサギが一緒にいて、とてもかわいい。
彼はなんと、ボーパル・バニーで、念話で会話もできる。
すごい。
ただの冒険者活動が、輝いて見えた。
それからというもの、今日まであっという間だった。
レッサー・ワイバーン事件が起き、ラーミ村へと行き、ワイバーンを討伐した。
その時に、シャドウ・バインドで拘束することもできた。
活躍して、認められたのだ。
ギルドランクも二回も上げてもらい、今ではGからFになってカッパー級冒険者だった。
まだまだ半人前も半人前だ。
それからレナ様の料理の数々。
美味しい料理ばかりを作って、みんなを驚かした。
特にカレーもどきという料理は特別で、スパイスが効いていてこのへんでは食べたことがない、独特の美味しさがあった。
そこに高級食材のワイバーン肉をふんだんに使って、料理して見せたのだ。
私も目をキラキラさせて、ばくばくと食べてしまった。
お手伝いをしたので、作り方はだいだいわかる。
今度、パパにお肉のカレーもどきを作ってあげようと思う。
スパイスを複数種類入れて、それでお肉と野菜を煮込むのだ。
一般的には魔法を使えないという噂の「白銀」の髪のレナ様。
実際には、火魔法から水魔法までなんでもこなす。
その上級火魔法、ファイア・ストームを使った時なんて、髪の毛が一瞬で赤く染まり、その指先から真っ赤な炎が噴き出してワイバーンを攻撃する姿は目に焼き付けるほどだった。
私もああなりたい。
闇魔法には闇魔法なりの使い方がある。
火魔法も初級魔法くらいなら使える。
そうやって複数の魔法を連携して使えば、活躍できると示してくれた。
ギルド長とも話をした。
レナ様はそういうときもしっかりしていて、すごい。
フィオは小さくなって横でちょこんと座っているだけだった。
本当になにもできない。
これでも商会を継ぐ予定でいるんだからフィオもこのような商談のようなことは経験してきていた。
でもギルド長といえば、重役。
顔はこわばってしまうし、相手の顔は怖いし、やはり簡単にはいかなかった。
そして極めつけはバーナル男爵だ。
レナ様とフィオで例のカレー料理を作って出した。
ほとんどレナ様の独壇場で、フィオはすることがなかった。
たまに手伝いをしただけだけど、本当にそれだけ。
フィオももっと活躍できるといいな、と思った。
「じゃあね! また明日」
レナ様と別れて、メレーナ商会の取引先の商会のところへ帰る。
パパはフィオがここにいる間にフレミスとの間で、塩や小麦を満載して、もう一往復していた。
その間だけ、レナ様と一緒に活動していいとお許しを貰っていた。
「パパが戻ってきたら、もうお別れかも」
レナ様はこの後どうするつもりだろうか。
もし、よければ一緒にフレミスまで行かないか、誘ってみよう。
そうして夜、眠りについた。




