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エッチ絵特殊部隊 エッチ群! 各国のエッチマンを蹴散らせ!

 二十一世紀の半ば、加齢によって政治の場から性嫌悪主義者がいなくなり、えっちなものに対してフルオープンになった日本。


 刑法175条の大爆発と共に日本には大エッチ時代が訪れた。


 珍しく政治的に他国を先取り出来た結果、世界から日本にエッチな人間が集まることになる。エッチ亡命である。


 各国から流れ込んだエッチ亡命画家によって日本のエッチ絵はただでさえ高かったレベルがさらに上がり、エッチ画家の全力のエッチ絵は、初めて見た人間が鼻血を出して倒れるほどになった。



 大型のエッチ本イベント帰りの猛者たちは、画集や漫画などのエッチ本を徐々に開くことで目を慣らしながら楽しむのだ。



 エッチ絵が非殺傷兵器としての威力を持った!



 エッチ絵が世界的に注目されると同時にそれに反発する者も出てくる。生命に麿ツわぬ者達、つまり反エッチ主義者だ。


 アイスランド、アイルランド、…………ニジェール、ネパール…………レバノン、ロシア、などの国家と地域の出資によって生み出された団体、「Harm Hentai Hate」日本国内では縮めて3Hトリプルエッチと呼ばれている。


 3Hはエッチに反対するロビー活動や武力行使を行っている。


 あるとき、3Hの部隊は日本国内で人気を博する人気な漫画家「ズハラバー」先生の住宅を襲撃し、立てこもってしまった。


 3Hは各国からの援助を受けているため、死者を出すような大捕物は出来ない。また、二十世紀から変わらず日本の宝であるエッチ漫画家を殺傷することもあってはならない。


 こんなこともあろうかと自衛隊は対3Hの非殺傷部隊、「えっち群」を編成していた。陸上自衛隊内からえっちのために戦うえっち絵描きを招集したのだ。


 96式装輪装甲車が「ズハラバー」先生の邸宅に向かっている。警察がその家を包囲してあれこれ言うが、何も動きはない。


 装甲車の中にはエッチ群の精鋭四人。


 ケモノを愛するフランクフルト隊長。

「ズハラバー先生の作品は読んだな?」




 情けない成人男性が大好物のキリトオシ。

「もう見ても気絶することはないでしょう」



 股間にマグナムのついた少女を好むナンブ。

「先軍号とブラックパンサーの本が最新作っすよね」



 ロリコンのクレバス。

「擬人化メインの人だから。支援サイトの最新作はツカノだね」


 


 ズハラバー先生宅の二階、書斎。


 そこには


 白い星の赤い覆面を付けた男が一人。

「このジャップの本。随分ばら撒かれてるな」



 赤い星の青い覆面を付けた男が一人。

「南韓のデモでもこいつの絵が使われた。『先軍号とブラックパンサーの本気エッチ』は悪名高いな」



 トリコロールの覆面を付けた男が一人。

「あいつら、トラップは仕掛けただろうか」


 ゼットが描かれた覆面の男が一人。

「千を超える兵器の擬人化性的絵を十数年に渡ってネットにアップし続けた悪名高きヤポンスキー。許さんぞ。なぜ貴様はそんなことをする」




 眼鏡を掛け、椅子に縛り付けられた男が一人。

「エッチだからに決まってるだろ。エッチなものがなくていいのか生活に。そんなんだからお前らはいつまでもエッチな物を毛嫌いして才能を潰し続けるんだ」




「こいつの口もしばれフレンチ」

「命令すんなヤンキー」

 


 そう「ハーム・ヘンタイ・ヘイト」の面々が話していると、ドアや窓を蹴り破る音が家中に響いた。


「行くぞ!」


 四人のエッチ群はばらばらな場所から突入する。彼らが目にしたものは、3Hの者達が持ち込んだエッチ絵が家の中に貼られている様子だった。



 そして、エッチ絵を手元に携えた数人の覆面達。だが。



 エッチ群の面々は自身の用意した画集を見せる。よりエッチな絵を持っている物が勝利する。


 エッチ絵のエッチ情報が脳に到達するまでの時間を競う、これぞまさに「エッチ早打ち」である。エッチのガラパゴスと化した日本国内で醸造されたエッチ絵の情報の濁流は3Hの者達の思考を押し流した。



「ぐわー!」「ワッタ!」「チュダイ!」「ベネ!」


 エッチ群の絵を見た瞬間、彼らは覆面を貫くような勢いで鼻血を噴き出して倒れた。エッチ群は3Hの用意した絵を見る。



「抽象画っすかね」



「写実画みたい」



「かわいいポニーちゃんの絵ね」



「プラウダに載ってそうですね」




 だが、これで終わりではない。二百弱の国家及び地域の支援によって3Hは成り立つので、莫大な人数がこの作戦に関わっている。



 冷蔵庫、タンス、机の下、ありとあらゆる場所からエッチ絵をもった3Hの者達がエッチ群に向けて飛び出すのだ。



 廊下を通ろうとしたフランクフルトを二人が挟み撃つ。


「水彩画のポー!」「油絵のダン!」

 二人の男が自分の思うエッチな絵を見せつける。



「でえい」

 フランクフルトは二冊の薄い本を取り出し、表紙を自身の前後に突き出す。




「どわ!」「えっち!」

 二人の男が鼻血を噴き出しながら倒れる中、天井から降りた男が絵をばら撒こうとする。


「かかったな!」

 その男がそう叫んだ瞬間、フランクフルトは二冊の薄い本の表紙を見せつける。


「三枚ある!」

 表紙の絵は繋がり、一枚の大きな絵になった。


 


「どうふ!」

 男は鼻血を噴きながら自身の絵の中へ倒れ込んだ。




「抽象画のペンス!」「エアロピチュールのオン!」

 クレバスの前にタンスから出てきた二人が立ちふさがる。




 クレバスの手元にあるのは布、そう皆さんご存じエッチな抱き枕カバーである。

「枕カバーにはこういう使い方もあるんだ!」


「ゲべ!」「アッチャー!」

 各々の絵を手元に持ちながら鼻血を噴いて倒れる二人。


「水墨画の金!」「色鉛筆のポール!」

 キリトオシの前にも冷蔵庫と戸棚から出てきた者達が立ちふさがる。


 一枚の絵をキリトオシは見せる。

「それがなんだ!」




「これで終わりではありません」

 キリトオシはライトを後ろから当てた。光によって絵は透け、新たな姿が浮かび上がる。


「ドベ!」「バソス!」

 二人は鼻血を噴き出して倒れた。



「パステルのソル!」「切り絵のマギ!」

 洗濯機から飛び出してきたものがナンブの前に立ちふさがる。




「おら」

 ナンブは普通に二枚の絵を見せた。


「ボ!」「バ!」

 二人の男は鼻血を噴き出して倒れる。



 家の各方面から突入したエッチ群は階段の前に集結する。



 二階で彼らを待つ3Hの面々も、下の様子は大体察しはついていた。


「ジャップが上ってくるぞ」


 四人分の足音が階段を上る。


「心配してんじゃないぞヤンキー。この部屋の前には四人が構えてるんだ」




「ぬわー!」「ドオー!」「ギャーす!」「えっち!」




「駄目みたいだな。コリアン、AIの画像はできそうか?」

「プロンプトはどうすんだよ」

「エッチなもん適当に入れりゃいいだろ」

「私の祖国にそんなものはない」


 ドアには鍵がかかっている。


「押さえねーと破られるぞ」


「あっちも四人だからこっちも四人でやらねーと」


 ドアを挟んで猛烈な押し合いが行われる。ドアにとっては史上最悪のおしくらまんじゅうである。


「もごもごもごもご! もごもご!」


 悲鳴を上げる自宅にズハラバー先生が叫ぶが、悲しいかな押し合いは無慈悲に続く。突入のために一階のあれこれをぶち破ったので今更ではあるのだが。



 部屋の外から押す力が弱まる。3Hの面々が喜ぼうとした束の間、ドアの隙間から一枚の紙が差し込まれる。


「マーッ!」「ヌット!」「シット!」「ジェネ!」


 3Hの面々は鼻血と共に吹っ飛んで、地面に倒れ込む。すぐにエッチ群が部屋に突入した。


「クリア!」「先生は無事ですね」「すいません色々汚しちゃって」「今縄斬るね」


 こうして、ズハラバー先生は助け出された。


 3Hの構成員三十名余りが現行犯逮捕され、小菅辺りの拘置所に連れて行かれる様子が報道される。



 ズハラバー先生は元気に雑誌の連載の話をSNSで呟いた。


 エッチ群の戦いは終わらない。Harm Hentai Hate縮めて3Hは世界中で人間からエッチを奪おうとしている。


 これはエッチ代理戦争なのだ。


 日本にもまだまだ3Hのつけ入る隙はある。今度は印刷機械メーカーに対して爆破予告が行われた。


 ここの機械で印刷されたエッチ絵は世界中の自由を求める運動で用いられている。自称自由の国、特色ある自由の国、相対的に自由な国。エッチは自由と共にある。


 それが反エッチ主義の3Hは気に食わないのだ。


 予定時刻までにエッチ群は3Hのアジトに突入し、彼らを取り押さえるのだ。


 いけ、エッチ群。日本のエッチを守るんだ!

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