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流れ星  作者: ふみりん
6/8

夏旅行

千里は結婚してからも、学生の頃の友人達との付き合いが続いていた。夏休みには子供連れでプチ同窓会をするのが恒例だった。今年は和歌山のホテルを予約していた。悠治さんと離れるのは少し寂しかったが、姑から解放される旅行を楽しみにしていた。


折角なので、千里は姪の真由美に、一緒に行かないか声をかけてみた。

好奇心旺盛な真由美からは「行きます」と元気な返事が返ってきた。兄嫁の許可を得て、千里の娘、百合と志保、姪の真由美は鹿児島を出発した。


和歌山に向かう前に京都の義兄に会うことにした。ホテルで待ち合わせてお好み焼きをご馳走になった。

「こんなに美味しいお好み焼きは食べたことがない」

真由美は伊勢海老の入っているお好み焼きに大興奮だった。


外科医をしている義兄は素敵だ。長髪で、悠治さんとは違う大人の魅力を感じる。

「病院ではもてるだろうなぁ」

渋めに笑う兄の顔に女心をくすぐられる。

「お姉さんはお元気ですか?」

と尋ねてみた。

「子育てに大変そうだよ」

穏やかに答える兄に自分の父と同じ匂いを感じた。

「女がいるかも…」

いやいや、憶測で決めつけてはいけない。自分の勘違いかもしれないし、兄夫婦の問題は私には関係ない事だろう。

もうすぐ30になる千里は義兄が他の女性に惹かれる気持ちもわからないではなかった。


複雑な思いが行き来する。

家庭のある父が母と出会わなければ自分は生まれていない…

義兄はわざわざ会いに来て、お好み焼きを私たちの為に焼いてくれている優しい人なのだ…

「悠治さんには私だけでいて欲しい」

そんなことを考えながら兄と別れて和歌山に向かった。


2人の娘、そして姪との女旅はとても楽しい。電車の中でも良く喋る。賑やか過ぎるぐらいだった。

家では悠治さんも子供から解放されて美味しいお義母さんの手料理を食べていることだろう。後ろめたい気持ちはこれっぽっちもなかった。


和歌山のホテルにはプールあった。娘達は水着を持ってきていたが、真由美が持ってきてなかったのでホテルでビキニを買って渡した。

「ええっ、ビキニ!」

5年生の真由美は最初恥ずかしそうにしていたが、その内プールで楽しそうに遊び始めた。スラッとした真由美には良く似合っていた。


友人達とは子供が寝てから、家の事、病院の事、これからの事、学生時代の恋愛事等色々話した。若い頃に戻ったようにはしゃいでいたら12時を過ぎていた。たまに友と会って旦那の悪口を話すのも悪くないと…

「来年また会おうね」

と約束してわかれた。


空港まで悠治さんが迎えに来てくれた。

「楽しかった?」

「ええ、とっても。留守にしてごめんなさい」

千里が答えると

「次は僕も行こうかな?」

その答えに少し驚いた。

「悠治さん、寂しかったのかしら…」


子供達とは小さい頃から寝室が別だ。

以前は寝付くまで絵本を読んだりしていたが、小学生になると1人でも眠れるようになった。


千里はシャワーを浴びるといつものようにシルクのパジャマを身につけた。

この日の悠治さんは私の事をいつもより深く愛してくれた。

「彼の気持ちに答えなくては」

温かい気持ちに包まれて、彼と一緒になったことに喜びを感じていた。



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