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流れ星  作者: ふみりん
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新しい暮らし

悠治さんの両親に挨拶に行くことになった。

「千里です。宜しくお願いします」

その後はどんな話をしたのだろう?

殆んど覚えていない。

「きっと、気に入られてはないのだろう?」

そう思いながら、彼の母の顔を見た。色白で品のある顔立ちで凛々しさが感じられた。しかし会話は弾まない。

何も言われないことに深く傷ついていた。

自分が正妻の子で無いことが悔しかった。


優しい悠治さんは詳しく言わないが、千里との結婚は大反対されていたと後から知った。普通の家庭なら何も問題なかったのか…

「一緒になるのは悠治さんと私なのに」

悠治さんは医院の後継ぎだと聞く。家と家の縁組には自分は適していない気がした。義母と上手くやっていける自信もなかった。


最後に、結婚を認める条件を言われた。千里は実父の子として嫁ぐと言う事だ。病院長をしている父に頼んで式が出来る事になった。


これで私も普通の家庭を持つことが出来ると思うと嬉しかった。

「先の事はその時かんがえよう」

これから色んな事が起きるかもしれない。あーだ、こーだと悩んでも仕方のない事。先ずは悠治さんとの生活を楽しく送ろう。

千里の顔は何かふっきれた様に生き生きしていた。


悠治さんとの暮らしは両親との同居ではなく、二人でスタートした。千里も仕事をしていたので彼も家事を時々手伝ってくれる。10人兄弟だった彼は母の大変さも理解して家事をする珍しい九州男児だ。


暫くして一人目を身ごもった。彼の子が出来た事に女として喜びを感じた。これでようやく有村家の人間になれた気がした。


妊娠中は悪阻が酷くて仕事が辛かった。食事も食べないで横になっていると悠治さんが桃を買ってきてくれた。甘い桃は何とか口にすることが出来た。

「美味しい。ありがとう」

自分は一人ではないと実感した。しかし女は難儀だともと思った。

「仕事して、家事して、子供産んで、」


一人目が産まれる前に悠治さんの実家近くに引っ越した。同時に新しい医院を二人でやる事になった。

「上手くやっていけるのだろうか?」

「お腹の中にいる子供と幸せに暮らしたい。」

千里の願いはそれだけだった。その為には義父から受け継いだ医院を成功させなくてはいけない。プレッシャーに押し潰されそうだった。


「これから、二人で感張ろうね。宜しく」

悠治さんの優しい声に千里の心は穏やかになっていった。



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― 新着の感想 ―
とても読みやすいですね。 思ったことを率直に書きますね。 なんというか、言葉がやわらかくて、すんなりと入ってきます。 人と会話をするとき、語彙によっては、トゲがあったり、茨があったりするものです…
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