表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流れ星  作者: ふみりん
2/7

出会い

恋愛はいつでも突然はじまる。

大学を無事に卒業した千里は郷里に戻り就職した。都会で働くことも考えたが、年老いていく母を一人には出来なかった。


暫くして若い人の集まる会に参加した。こんなときはいつもより化粧が念入りになる。

「アイライン濃かったかな」

お気に入りの香水も少しだけ…


「ああっ、タイプ」

背の高い男性が目に留まった。

瞳がとても優しそうだった。

「どうしよう」

暫く下を向いて迷っていたが、勇気を出して声をかけてみた。

「こんにちは、一緒にお話しませんか?」

千里の胸の高まりは止まらない。今にも口から心臓が飛び出してきそうだった。


学生の乗りとは違って社会人は言葉を選びながら会話する。素の自分を最初から出さずに相手に気に入られるよう気を遣う。

携帯のなかったこの時代、紙に相手の名前と家の電話番号書いて貰った。

「有村悠治 09……」

「何て綺麗な字を書く人なのだろう」


「ご職業は?」

「歯科医師です」


千里の恋は始まっていた。

穏やかに話す悠治さんの言葉には嘘はないと思った。彼の事をもっと知りたくなった。


悠治さんにも自分の名前と電話番号を渡した。その日別れてから彼からの電話を待っていた。

「かかってくるだろうか?」

心配で眠れない日が続いた。


学生の頃はその時が楽しければそれで良かった。相手のふとした仕草や言葉で傷ついたり、別れたり、また付き合い出したりした。特にクリスマスイブは一人で過ごすには辛すぎた。

「クリスチャンでもないのに、世間はバカ騒ぎしている。恋人がいない人も楽しくイブを過ごしたいのに」


一週間位して悠治さんから電話あった。

「次の休みにドライブ行きませんか?」

「はい喜んで」

千里は嬉しくて足をバタバタさせていた。


心の中で誓った。

「この恋は遊びではない。出来るなら一緒になりたい」

「でも初めからそんな感じ出すと嫌われちゃうかな?」

「何を着ていこう?」

清楚な服で奥ゆかしさをアピールなんてどうかな…

「何処に連れていってくれるのかな?」

「サンドイッチ作ろうかな」

ワクワクが止まらないとはこの事だ。


夜になって星空の中に大きなお月様を見つけた。お月様は何でもお見通しって顔をしている。

この恋がどうなるのか知ってたら教えて欲しかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ