1.テタテート
位の高い少女は生まれながら呪われ、
特別な眼を持つと言い伝えられている。
まずは、位について話そう。
位とは位置のことである、あなたがアナタである位置。
出生や容姿、アルゴリズムなどは位の代表格と言える。
『つまり位とは、あなたを表す全ての情報ということだ』
僕はハギノ、唐鉄村の住人だ。
唐鉄村は、鋼鉄業や漁業が盛んな村である。
僕の両親は片親で、母が宿屋経営をして生計を立てている。
宿屋のお手伝いを任されているため、遊ぶ時間があまりない。
しかし職業柄色んな話が聞けるので、
面倒なこともあるけど嫌いではなかった。
僕には大切な友人が二人いる。
それは幼馴染みのコトナと、子火竜のカチカチのことだ。
幼馴染みのコトナとは、産まれたときから場所も同じという、
奇跡のような出合いだった。
しかし決定的に違うものがある、それは眼だ。
コトナは、生まれながら特別な眼を持つ。
特別な目には、ローマ数字でI~XIIの数字が刻まれる。
村の人間は、コトナを呪われた子供と呼んで恐れた。
どうしてコトナを怖がるのか?僕にはわからない。
子火竜のカチカチは、
家の前で怪我をしていたのを、
助けたのがキッカケとなり、
そのまま一緒に暮らしている。
子火竜とは、火竜の幼体である。
赤い鱗のドラゴン、それが火竜。
火竜は国を滅ぼす災厄と呼ばれている。
コトナとカチカチは、村ではあまり良い印象を持たれていない。
二人を庇う僕と母は、村の厄介者扱いだ。
ある時、コトナが夢の話しをしてくれた。
世界を自分の足で歩いて、旅をしたいと。
「私には様々なものを見て、知る責任がある」
知る責任とは、何のことだかわからなかったが、
冗談を言える雰囲気ではなかったため、
静かに話しを最後まで聞くことにした。
そこでコトナは言葉を切って、しばらく無言の時間が過ぎる。
心配になった僕は、彼女に声をかける。
「コトナ?」
俯いていたコトナは、顔を赤く染めながら、
僕の目を見据えると、漸く何かを決心した様子で、
重い口を開いた。
「ハギノには…一緒についてきてほしい」
紫色の瞳にかかるオレンジ色の髪、
ふと甘い石鹸の香りが鼻腔をくすぐる。
突然の申し出に驚いて、
つい聞き返してしまった。
「僕に?」
困った様子のコトナは、肯定を示した。
「うん」
僕には夢みたいな話しだ。
そんなこと考えたこともなかった。
「旅か…それもいいかもしれないな」
パァーッと表情を綻ばせたコトナ、
今度は僕が、暗い表情で俯く。
「だけど駄目だ」
綻んだ表情は、一瞬で暗い顔へ。
コトナは、あなたに問いかける。
「どうして…?」
申し訳なさそうな僕を見て、
言葉の続きを催促する。
「母さん一人に、宿屋を押し付けるなんて出来ないよ」
コトナはしょうがないねと笑った。




