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異世界で平凡だけど幸せな暮らし

作者: エロン公麿

初めての投稿で至らない点もあるかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。どうぞ、最後までお付き合いください!

青山ピコは、今日もいつも通りの仕事を終え、自宅のベッドに横たわった。広告代理店での仕事は最近順調で、目立ったトラブルもなく、順調な日々が続いている。それでも、どこか物足りない。毎日が同じように過ぎていく中で、何か新しい刺激が欲しいと感じることが増えていた。


「明日も普通の一日が始まるだけかな…」


そんなことを考えながら、ピコは目を閉じる。だが、次の瞬間、突然のまばゆい光がピコの部屋を照らした。


「え、何?!」


驚いて目を開けたピコが見たものは、まるで夢のような風景だった。目の前に広がるのは、色鮮やかな花々が咲き乱れる草原と、青い空。風は柔らかく、鳥のさえずりが聞こえる。


「ここ、どこ?」


ピコは周りを見渡したが、自分がよく知る東京の景色とは明らかに違う。「まさか、これって異世界転生?」と、自分の中で勝手にそう結論付けた。最近流行りの異世界もの小説やアニメを思い出し、なんだか不思議な気持ちになった。

ピコが目を覚ました場所は、「グリーニア」という平和な小さな村だった。村人たちは優しく、ピコがどこから来たのかをあまり詮索せず、彼女を受け入れてくれた。村の中には美しい川や、果樹園が広がり、鳥のさえずりが響く平穏な日々が流れていた。


「ここで暮らしてみるのも悪くないかも…」


そう思ったピコは、村での新生活をスタートさせた。幸運にも、村のパン屋さんで働き始めることができ、毎日おいしいパンを焼く日々が始まった。

ピコが勤めるパン屋は、優しいご夫婦が経営していて、ピコをまるで家族のように迎えてくれた。お店には毎日多くの村人たちが訪れ、ピコも次第に村の一員として溶け込んでいった。


「ピコちゃんの焼くパン、最近すごくおいしいよ!」「おかげで毎朝楽しみなんだ!」村人たちの温かい声に、ピコの心はほっこりと温かくなった。


ある日、パン屋に新しいお客さんがやってきた。背が高く、筋肉質な体つきのその青年は、村の守衛を務めるロイという男性だった。ピコは彼を初めて見た瞬間、どこか気になる存在だと感じた。


「はじめまして、青山ピコです。新しくここで働いてます!」


ピコは元気に挨拶をすると、ロイは少し照れくさそうに笑って応えた。


「ロイだ。よろしくな。最近、君のパンが村で評判だって聞いてね。食べに来たんだ。」


ロイは照れ臭そうにパンを注文し、それを手にして店を出て行った。ピコはその後ろ姿を見送りながら、どこか胸が高鳴るのを感じた。

その日から、ロイは頻繁にパン屋に立ち寄るようになった。仕事の合間に立ち寄るロイと、ピコは少しずつ会話を交わすようになり、二人の距離は次第に縮まっていった。

日が経つにつれ、ピコとロイはますます親しくなっていった。二人は村の市場で出会ったり、一緒に川沿いを散歩したり、夕暮れ時には村の丘の上で夕日を眺めることもあった。


「この村って、本当に穏やかでいいところだよね。」ピコがロイに言うと、彼はうなずきながら応えた。


「そうだな。特に最近は、もっと素敵な場所になった気がする。君がここに来てからだよ、ピコ。」


ピコはロイの言葉にドキッとしたが、その優しい眼差しに思わず微笑んでしまった。彼女にとって、ロイとの時間は日常の中で一番の楽しみになっていた。


やがて、二人は自然に恋人同士となり、村の人々もその仲睦まじい姿を温かく見守っていた。ロイは村の守衛として、毎日村の安全を守る仕事をしていたが、仕事が終われば必ずピコの元に顔を出してくれる。ピコもパン屋で働きながら、村の生活にすっかり馴染んでいた。

ある日、ロイはピコを村外れの丘に連れて行った。そこは二人がよく夕日を眺めた思い出の場所だった。


「ピコ、君と一緒に過ごす時間は、僕にとって何よりも大切だ。君が異世界から来たってことは分かってる。でも、もし君がこの世界での暮らしを選んでくれるなら…ずっと一緒にいたいと思ってる。」


ロイの言葉に、ピコは胸が熱くなった。彼の誠実な気持ちが伝わり、ピコも同じ思いであることに気づいた。


「私も…ロイと一緒にいたい。この世界に来たのは偶然だったけど、今はここが私の家だって思えるの。」


その言葉に、ロイはにっこりと笑い、ポケットから小さな指輪を取り出した。


「結婚してくれ、ピコ。」


ピコは驚き、そして感激のあまり涙があふれ出した。頷きながら、彼女はロイの手を取り、指輪を受け取った。


「はい、よろしくお願いします!」


こうして、ピコとロイは結婚することになった。村全体が二人の結婚を祝福し、賑やかな結婚式が開かれた。村の教会では鐘が鳴り響き、ピコは純白のドレスに身を包んで、幸せいっぱいの笑顔を浮かべていた。


「こんなに幸せな日が来るなんて思わなかった。」


ピコはそう呟きながら、ロイと手を繋いで村の広場に出ると、村人たちの祝福の声に包まれた。

その後、ピコとロイは穏やかな日々を過ごしていた。ピコはパン屋での仕事を続け、ロイは村の守衛としての務めを果たしていた。二人の生活は平凡ではあったが、それは何よりも幸せなものであった。

ピコは異世界での冒険や魔法に満ちたドラマチックな展開ではなく、こうした穏やかで平和な日常こそが、自分にとっての本当の幸せだと感じていた。

時折、東京での生活を思い出すこともあったが、今の生活が何よりも心地よかった。村の人々に囲まれ、愛するロイと共に過ごす時間が、ピコの心を満たしていたのだ。


「ここが、私の居場所だ。」


そう確信したピコは、村での生活を続けながら、未来に向けた新しい夢を育んでいた。それは、いつか自分たちの家族をこの平和な村で育てること。


「ピコ、これからもずっと一緒にいような。」


ロイがピコの手を握りしめ、穏やかな笑みを浮かべる

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