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第十五章「悠久なる邂逅」2

 四年制大学である慶誠大学の三回生になった私にはいくつかの大きな変化があった。

 その一つは大学生活についてだ。


 社会福祉学部に所属する私は来年には保育士試験を受けて国家資格である保育士資格を取得しなければならない。

 四年間で慶誠大学卒業を果たし、保育士として仕事を勤めて行くためには職場を選ぶ就職活動も含めるとそれほど悠長に構えていられるほど、時間的な余裕はない。

 

 三回生の夏に二週間、秋に二週間の実習を施設や保育園で受け、さらに四回生でも実習を受けた上で、保育士試験に臨まなければならない。


 合格率十パーセントから二十パーセント台の狭き門である保育士試験を合格するためにはそれ相応の覚悟を持って勉学に臨まなければならないことは自分でもよく分かっていた。


 そういったこともあり、私は今年度中に慶誠けいせい大学卒業に必要な単位を取得することを目標の一つにしている。


 必要単位数は増えるが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得することが出来る学部だけあり、専門科目は私が興味を示すには充分過ぎる程本格的な内容だ。


 三回生になると基本科目からは解放されて、必然的にそういった学部に合わせた興味のある専門科目が増えて来る。そうした中でより自分の進路に合わせた取捨選択を求められる。


 学部内で効率的に取得できる資格をどんどん目指していくのもいいが、私自身はそれほど秀才というわけではないので、一部の資格は諦めている。

 それは卒業に必要な単位以外の科目まで同時に受けなければならないことや、保育士になるための実習や資格を取得するための試験勉強に当てる時間が取れないためだ。


 国家資格であればそれだけ難問が多く試験に合格するためには相当な勉強を集中して行わなければならない。

 そのため、私はあまり負担にならない程度の資格だけを狙うことにして、そのほかの目標のことも考えて無理はしないようにしている。

 もちろんそれには心配をしてくれている恵美ちゃんや華鈴さん、往人さんの意見も考慮してのことだ。


 どこかで妥協をしなければならないということは六月にインフルエンザに患ってしまい、多くの迷惑を掛けてしまったことで改めて考え直した点が多い。

 

 私は一番の目標である保育士になる夢に向かって、出来る限り真っすぐに進んでいく事に決めた。

 もちろん、坂倉さんのように留年を経験する手もあるが、今のところそこまでは考えていない。ちなみに坂倉さんは今年で卒業をする気満々でいる。実際に卒業できるかは分からないが、涼子さんが先に卒業をしてしまったので、もう大学生活に飽き飽きしてしまっている様子だ。


 恵美ちゃんは相変わらず変わらない様子だけど、私と同じタイミングで卒業をして就職をする予定でいる。


 一足先に卒業をして遠く宮崎まで行ってしまった静江さんの後ろ姿を見ていたことで、勉強に対するモチベーションアップに繋がったようである。


 静江さんがいなくなってしまったことでサポートスタッフの支援をしてくれる人も変わり、恵美ちゃんも積極的に手伝ってくれている。

 同じ学部だから同じ専門科目を受けることも多く、そういった点で迷わずに済み、一緒に勉強をすることが出来る分、本当に恵美ちゃんには助けられているのだった。

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