いつ死ぬかわからないから
俺の部隊が一番後ろから行くことに茜は猛抗議していた。
今にも飛び出しそうだったので腕を掴んで抑え込んだのだが華奢な腕だった。なんで女の子なのにこんな戦闘に参加しなきゃならないのかさっぱりわからない。とにかく今夜はきっと危ない。大敗の予感がした。
隊長隊を先頭に無数の戦車が敵陣目指し突っ込んで行く。斜めからは対戦車砲部隊が敵ロボット?に大きなダメージを与えていて杞憂にも思える。
だが彼らはこんなに弱くないはずだ。茜の銃は敵からの鹵獲品だがこれは銃弾補填が一切要らない。
こんな訳がわからない兵器を持っていて弱いはずがない。
すると敵のUFOに足が生えたかのような戦車のようなものが回転しながら我々の主力に襲い掛かる。
部隊は一気に三分の一に減った。対戦車砲も弾く装甲、機動力は戦車の非ではなかった。そして前衛部隊ではなく俺の部隊に襲い掛かってきた。
敵は10m近い高度を飛んでいる。
効かなかったら終わりだなと思いながら外に出てランチャを構えた。
下が弱くあってくれ!ありったけの弾をぶち込むと大きな爆発音とともにやつは消えていった。
基地まで撤退して静を乗せて負傷者の収容に向かう。回転するやつは一基だけだったようで残存戦車には撤退のために砲撃をしながら緩やかに後退してもらった。
戦車部隊隊長もやられたようだった。
負傷者を残った戦車に乗せ撤退を始めた。
敵が前進してくるので歩兵隊は対戦車砲を打ち込む。
今の戦力なら敵を叩けるが先ずは助けられる人間を救うべきだ。
ほぼ救助した後全軍に撤退を命じた。
戦車隊で生き残ったのは俺だけだったので指揮をした。静はなんとか命を救うべく頑張っていたが助からない者は見捨てるよう指示した。完全に撤退が終わり地下施設に負傷者を移した。
味方の三分の二を失う大敗北だった。たった一匹のUFOみたいなのにやられた。
この先アレが数匹居たらおしまいだ。というより何故一匹だけだったのがが気になる。今後もこういう中ボスっぽいのを倒せばなんとか生き残れるのだろうか。
「静、お前は俺が戦闘してるのが見えた。俺の脳内にアクセスして俺の部屋とここを繋げないか」と依頼したところやってみますと言う回答があり、基地から俺の部屋にアクセスすることができた。
「大変小さな部屋ですが負傷兵を移動させます。清潔なのでここよりは少しは楽なはずです」といい移動させた。
茜も負傷兵にありったけの包帯を巻きつけていた。
俺は寝てしまっていたのだが起きると負傷兵が何人も横たわっていた。異なる時代とこの部屋が繋がったということが確認できた。すぐにまだ居る負傷兵の手当に行きたかったが茜が止めた。
「最後の敵と交戦した時の爆風による怪我が酷い。真弘も負傷兵だ」
そう言われてみると全身に痛みを感じた。「静にお任せください。絶対に死なせません」静は決意に満ちた顔をしていた。
この戦いに巻き込みたくなかった静が献身的に働いている。この子は小学生の枠に括れる子じゃないと改めて感じた。
「すまなかった真弘。あなたが言ったとおり昨日は大敗を喫してしまった。あなたが居なかったら全滅していた」そんなことより包帯巻いたらお風呂入ってきなさい。血や泥で大変なことになってるぞと言ったら優しい笑顔でありがとうと言った。
戦闘フィールドと俺の部屋が繋がったことでいつでもあちらに行けることになった。茜はそうしてたみたいだが。
「静はどうするんだ。随分たくさんの死体を見たんだ。もうこんな地獄に付き合わなくてもいいんだぞ」と本音を伝えた。
「いえ、救えた命もたくさんありました。この戦闘が避けられないものなら行かせてください」
としっかり答えた。
そうか、今は茜が使っているがお風呂に一度入るといい。
根を詰め過ぎたらお前が倒れかねないしな。というと嬉しそうに頷いた。
しばらくして血で汚くなった顔を洗いに脱衣場に行った。
もう二人とも風呂を出てるはずだから。するとそこには全裸の静が居た。俺は両目をタオルで縛った。
「ごめんなさい。誰にも言わないで。決してわざとではなく事故です。お願いします」
ちょっとまだ向こうの基地の方で負傷兵が居たので手当してただけですといいながら縛ったタオルを取った。
二度目はしっかり見えてしまった。
目を渾身の力で閉じながらなんでそれ取っちゃうのと聞いたら見られても構わないからと答えた
「子供だからといいながらなんで目を隠すんですか。それだけ魅力があるってことですよね。正直な先生は好きですよ」と俺に言った。
何にも言い返せずくちをぱくぱくさせてる俺が居た。
凄く疲れたし体中痛かったが静の裸が頭から離れてくれない。今日は家庭教師の仕事があるので彼女見て忘れようと思った。いつものようにけだるげな茜。授業も聞いてない様子だった。
休憩にお母さまから出された珈琲を飲んでいた。突然茜は立ち上がると服を脱ぎ始めた。
夏でノースリーブだからそれで充分なんですよと思った。
「好きでしょ裸。さっき静の見てたから」
好きだけどあれは事故でいきなり脱がれるともっと困るんですと言ったがもう下着だけになっていた。
お母さんに見られたらクビになっちゃうと言いながら服を着せようとしたらたぶん大丈夫と言われた。
気が付くと茜を抱きしめていた。
そうしたかった。
彼女が服を着てくれたので何もなかったかのように授業を再開した。
股間の上にはA4の教材を置いた。
帰ると戦闘フィールドと繋がってしまった部屋があった。覗いてみると今日は戦闘はないようなので寝ることにした。何かあったら来て欲しいと伝えてあった。
今日はデートだった。茜ではなく静と。裸を見た責任を取ってくださいねというメッセがあったので従うしかなかった。
小学生だからサンリオでいいかなあとか考えてるうちに静が来た。
丁寧に招き入れるとお邪魔しますと言って入ってきた。一緒に珈琲を飲んでいると静が疲れてそうですねと言ったので頷いた。
「それじゃ今日はこの部屋でのんびりしましょう」と静が提案してきた。
戦闘フィールドでも大きな動きは無さそうなことを二人で確認してからそうすることにした。
静は二つの次元を開けたり閉じたりできたので今日は閉めてしまった。
きょろきょろ部屋を見渡しながらロフトあるんですねと言ったので目を閉じた。下から見ると丸見えだからだ。
彼女は白いTシャツと若干短いピンクのスカート姿だった。
俺は考えていた。
この子も数年で高校生になる。態度がイマイチわかりずらい茜よりストレートなこの子のがいいんじゃないかと。
と言っても二人とも十代前半で気変わりしやすい年齢だ。
今日好きと言っても来月そうだとは限らない。なら同世代の大人がいいんじゃないかな前は振られたけどとか考えていた。
疲れからかネガティブだった。
「真弘さあん、降りれなくなっちゃった」
ロフトの上から静の声がしたので手助けすることにした。
白!ミニスカで階段降りてこられたら絶対に見える。
しかも支えなきゃいけないから目を閉じるわけにはいかない。
この子策士過ぎだろと思いながらパンツをずっと見ている自分がいた。
A4の教材を腿に乗せあぐらをかき普通に話そうと思ったら教材を取られた。
静はじーっと股間を見つめているが何もなかったよう大学のサークルの話をしてやり過ごそうとするが静は許してくれない。
こんなになっちゃうなんてわたしへの愛なのかなと言うのでいいえ生理現象ですと答えた。
近くに寄ってナニを見に来たのでTシャツから白いブラもばっちり見えた。
スポブラじゃないのかとか煩悩が止まらずどうしていいかわからなくなった。
「俺を好きと言ってくれるけどどのくらい?」一番聞きたいことなので聞いてみた。
従軍看護師としての彼女は小学生とかそんなもの遥かに超えていたし。
「ずっと好きでした。これからもずっと」
と言うと彼女は目を閉じた。もう観念してキスをした。
ねだるので何回もした。
罪悪感が酷かったがそもそも茜には好きだとは言われたけど実感がなかった。静には実感があったのでキスをした。だけどいつ振られるか分からないとも思った。小学生を彼女にしてもポリスにたびたび捕まりそうだしあまりいいことはないんじゃないかとも思った。
「小学生を彼女にしたって!」
幼馴染の神田鈴にリークした。誰かに言わないと不安で仕方がなかった。
「それで塾とかどうなんのよ、バレたら確実にクビっていうか都条例で逮捕でしょ」鈴が言うので仰る通りですと答えた。
「これからの人生に関わるよ。悪いこと言わないから止めた方がいいって。どうしても他に候補いないならわたしがなってあげてもいいし」
思いがけない言葉だった。
鈴はかわいくて活発だから何度か告ったがその度に振られていたからだ。
「あの鈴、最近破局でもしたの」
と正直に言ったらチョップが飛んできた。
聞けば誰とも今まで付き合ったことがないと、一番有力なのは俺だったけど押しがちょっと足りなかったからだと。
「押しって言ったって振られて更に追いかけたらストーカーじゃん。無理でしょ」
と正論を言った。
「そうなんだけど好きな人には押されたいかなって思ったよ」
女は無理難題を言う。
ところでアレ何とバトルフィールドの方を指さした。
戦争だよ本物の。つい最近この部屋と繋がったんだ。
鈴は行くとか言わないでくれよ。
ほんとに死ぬ可能性あるんだからねと念を押した。
今日は戦闘がある日なんで行かなくちゃならない。
よく考えたら毎回怪我しててそろそろ死んでもおかしくないと考えていた。
それなのに都条例?塾をクビ?そんなことどうでもいいや。
逃げるという選択肢もあったけど茜や仲間たちが居るのでもう引くことは出来ない。
なら一番好きな茜や静を恋人にした方がいい。
常識的なら鈴だけど今の俺は静と茜が好きだったから。
ちらっと新隊長がこっちを見たな。
今日死ぬかもしれない戦いに行ってきます。
話を聞いてくれてありがとう鈴。




