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⑮Acid My House(最終回)

敵を全て倒し戦いは終わった。

十年後も我々は支配されることなく生きていけるはずだ。

基地内はお祭り騒ぎだった。

しかし数えきれない仲間たちも死んだ。

俺は監獄の少女を連れ帰ることにした。

贖罪?違う、犯した罪と向き合うためだ。

静たちにも知っていて欲しかった。

祝勝会などくそったれだ。

俺は戦勝の立役者でヒーローらしい。

だが茜と玲奈を守るためだけにやったことだ。

大多数の人間の命などどうでも良かった。

そんな者を英雄とは普通呼ばない。

浮かれてる者たちを後にしてその場を後にした。



監獄の少女をロフトで寝かし手錠と足枷を外した。

ここには玲奈がいるから万が一の暴走を止められる。

静は手錠と足枷あたりが膿んでいるので治療を行った。

下着と服は茜が貸してくれた。

俺はLSDを決めた。

いつもは基地でやるんだが今日はこの部屋で。

静が首を横に振っている。

あまりやらないでくれということだろう。

決めたいんだ今日は。

太陽はいつも君のために昇る。

だが俺の世界では太陽は沈んでしまいもう二度と昇っては来ないんだ。


学校には休学届を出していた。

当分行く気にはならなかったからだ。

ヤクをポリスの目を気にしないでやれる欧米に行きたいと思った。

俺の部屋はAcid My Houseにはなり得ない。


静のことは意図的に避けている。

もう連れて来た少女をレイプしたことを知ってるはずだから。

ずぶ濡れになりたいのに秋の空は高く澄み渡っていた。

戦争が終わったという理由で靖国神社に行った。

しかし参拝方法がわからないという理由で引き返した。

すると茜がいつの間にか車の隣に居た。

戦士の茜だ。


あまり家に居ないと静から聞いた。

お前らは幸せになるべきだから帰れと言われた。


「静はまだうちに来ているのか」

と聞いたところ毎日行っていると聞いたと茜は言った。

静からメッセは無かった。

俺の口から直接聞きたいのだろうか。

あの邪悪な行為のことを。


茜はいつでも戦場に繋がれるようになったらしくそこで別れた。

俺は自宅に向かった。


ただいまと言ったら玲奈が走ってきた。

おかえりなさいと。

静は捕虜の少女に日本語を教えていた。


「この子を下に下ろすの手伝って」と静に言われた。

手伝うと言ってもロフトの階段は細いしと考えていたら静が降りてきた。

水色!と言ったら静がスマホを投げて額に当たった。

結局、飛行能力がある玲奈に頼んだ。

この子は牢獄生活で満足に足が動かないんだった。

ロフトで寝かせるべきではなかったんだ。

足が動くかどうか確かめるため足を掴み動かしてあげるととても嬉しそうだった。


「この子真弘にすごく懐いてるよね」

と静が言ったので小さな声でストックホルム症候群と言った。

玲奈が話があると言ったので近所の公園に行った。

まだ空が突き抜けるように青かった。

「最近の真弘はなにかものすごく辛そうに感じます。静に言えないならわたしが聞きます」

玲奈が言ってくれたが流石に無理だ。


「戦士の方の茜が知ってるから聞いてみて欲しい」

と伝え昼なのにビールを飲んだ。

「真弘さん!」玲奈が珍しく怒った。

だが俺は背を丸め座ってビールを飲んだ。玲奈は帰ってしまった。

許されようとか思ってないんだ。

むしろ撃ち殺して欲しいんだよ。

誰もそうしてくれないなら自分でやる。

家に戻ると静が夕飯の支度をしていた。

玲奈は出掛けてしまった。

たぶん基地だろう。

残った三人で食事をいただいた。

食器を洗い終えたので静を家に送って行った。


「苦しいの真弘」静が聞いて来たので無言で頷いた。

昼に玲奈と来た公園に連れてこられた。


「忘れるか無視しちゃっていいよ。そんなこと」静が驚きの発言をした。

彼女はもうとっくに知ってたようだった。

俺は頭をぐちゃぐちゃに搔き乱した。

強くやったので出血した。静は血を止めると小さな胸に俺を抱いた。


「ストックホルム症候群。優しくしてもらった彼女はあなたを慕ってる。それでいいじゃない」と静は言った。更に続けた。


「玲奈ちゃんが殺されそうになったんだから報復して当然だ。だからもう気にしないでね」静が言った。

俺はなんとか立ち上がり静を家まで送った。


玲奈は帰って来ない。

事実を知って去ったのだろう。

それでいい、彼女ごっこなんてしなきゃ良かった。


「おーい」と捕虜の子を呼んだ。

調べれば名前はきっとわかる。

だがそうしたくなかった。

ロフトを登るには脚力がまだ不足しているようなので自分で降りた。


「ここの居心地はどうだ」と聞いたら笑顔で笑った。

気に入ってるようだ。

そりゃ全裸で両手両足を拘束されてた頃に比べたら天国だろう。

だがそのうち思い出してしまう。

俺が自分を滅茶苦茶にレイプした男だということに。

まだ能力は消えてないはずだ。

その時ぼろきれのように切り刻んでくれ。


この子の言語習得が異様に遅い。

恐らくかなり幼い頃に拉致、改造されたと思われる。

つまり狼少女だ。

いいこと何一つなく育った上に凌辱された女の子。

知能が遅れてることが救いだった。


「今からちょっと出かけるからここに居てね頼んだよ」彼女にそう言って一人ドライブをした。車は1,000万円から出した中古のスポーツカーだった。


突然出掛けた理由は一つ。

欲情してしまったからだ。

凌辱した上まだ求める鬼畜。

戦争の英雄ではなくただの性犯罪者だ。

いくら走ってもリビドーは収まらない。

すると戦士茜が並走してきたので車に乗せた。


「お前が一番話しやすいから来てくれて助かった」

というと茜はわからないという顔をした。

俺は今あの捕虜に欲情している。

お前はどう思う俺のことを。


「自然なことだ。男はそうできていると聞いた。お前があのことを今でも気に病んでるのは分かる。平時なら法律違反だからだ。だがお前は戦時下で捕虜をレイプした。あれは最高の自白剤となりAIがボスであるという貴重な情報を我々にもたらしてくれた。だからもう気にするな」茜らしい回答だった。


「性欲が収まらないと言うならわたしの身体を貸そうか。本体とリンクを切ってるから自由にして構わない。元々お前はこの身体が好きだったろう」茜は滅茶苦茶なことを言い出した。


「魅力的な提案だが断るよ。本体と同じ見た目だから彼女にも聞かないといけない」と言って逃げた。

あまり帰らないと不安になって飛翔する可能性があるので茜と別れ帰宅した。


いけないことだが捕虜の女の子と同衾しながら寝た。

あんまり帰ってこないので泣いていたのだ。

先の戦争は結局ロボット対人間の戦いだった。

強化人類も機械のようなものだろう。

10年後と比較的新しいAIだったので戦術面でぽんこつだから勝てたようなものだ。

いや、二人の強化人類を味方にできたことが一番大きかった。

AIにはなにか正義があったようだが戦争になるとただの殺し合いになった。

なにか大きな主語で敵に攻め入ってもただの殺し合いになるのと変わりがない。

いろいろ考えていたら捕虜の女の子が起きたのでおはようと言った。

昨夜風呂に二人とも入らなかったので下着と服を用意してシャワー浴びるよう伝えた。


強化人類は戦場とここを行き来できるようで二人で基地に行った。

外を歩いていたら墓があったので手を合わせた。

その後基地に戻るといやらしい視線が俺たちに集まったが気にしなかった。

隊長によると新たな敵の動きはないので二週間以内に撤収するという。

やや早いと思えたがそう判断したなら仕方がない。

ここはこの子の居場所ではないと判断しバイクで敵アジトまで行った。


破壊されたままで再生気配はなかった。

自販機だけは生きていたので二人でイチゴ牛乳を飲んだ。

お昼はうちで摂ろうと思っていたので早いが帰宅した。

昼寝から明けると静がやってきた。ものすごく久し振りに感じた。

静と二人きりになりたかったが捕虜の女の子は外出すると寂しがって泣き出してしまう。

大きな赤ちゃんを引き取った感じだ。

静にもものすごく懐いているのでこれはこれでいいのかも知れないが。

見えるところに居れば安心らしいのでロフトに静と上がった。

ピンクだった。

玲奈がしばらく帰って来ていないことを伝えた。


「玲奈さんは同じ敵の強化人類だから真弘のしたことは許せないのかも知れない。だけどあの日二十人が亡くなったんだよ。血糊でべたべたになったから覚えてる。この子がやったんだ」


「戦争に善悪はないんだ。あの日真弘がした行為はいけないことかもしれない。だけど二十人の殺人鬼になら許されるはず。問題はあの子には罪の意識は欠片もないことだと思う」更に静は続けた。


「あなたが死ぬほど苦しんでいるのに当の被害者はあなたにすごく懐いてる。だからもういいよ。あなたは罰を十分に受けたから。これからは三人で生きて行く道を探そうよ」静はそう言って微笑んだ。


その晩また静に嘘を付いてもらい泊まってもらうことにした。

そうは言っても超難関中学校を目指す静は勉強で忙しい。

一応手伝ったが正直付いて行ける気がしない。

塾の時先生してたのは長い予習の成果だった。

夜食のサンドイッチを捕虜の女の子と一緒に作り皆で食べた。

女の子がロフトで寝たので下のベッドで静と同衾した。

正直にものすごく欲しいと伝えると静はパジャマを脱いだ。

急いでブラを下げるとかわいい胸を見ながら自慰をし大放出した。

ティッシュで全て拭き取ると静は質問した。


「あれで良かったの?触ったりその先したくなかった」と聞かれたのでしたかったけどあと四年我慢すると言った。既にヤッてるのに変なのと静が言うのであれはマーキングと答えた。


罪を忘れることはない。

たまたま刑務所に入らずに済んだだけだ。

Acidの方は罪とは思ってないので無視する。

愛する人がいたから耐えられた。

静に否定されたら散弾銃で頭を打ち抜いていただろう。

玲奈は離れてしまったが当然だ。

二人の茜は今も遊びに来てくれる、自分は運が良かっただけだ。

静は戦場で夥しい血を見て過ごした。

だからいろいろと悪事への意識が鈍感になっていただけなのだろう。

俺も戦場じゃなければ決してやらない犯罪行為だった。

贖罪として彼女は一生面倒をみる。

静も同意してくれてる。

旅行にもまた行こう、今度は三人で。










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