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⑩敗北

家庭教師の準備が終わると少し眠ることにした。

前回茜の超パワーを見せつけられたがその張本人が居るのだ。

学校を終えた静がうちに遊びに来た。

そして受験対策をしていた。

O茶女子大学付属の過去問を解いていた。

俺は眉をひそめた。

女子と付いているが中等部は共学だからだ。


K女子がいいんじゃないかなあと言ったがここがいいと言った。

浮気とか絶対にないので安心していいよとも言った。

玲奈も真似して勉強していたがこれもなかなか良い。

日本語を完全に習得したら静ほどじゃなくても良い高校に受かりそうだ。


「玲奈、先の戦闘で苦戦してたようだけど茜を止めることは出来るか」

そう聞いたら首を横に振った。

彼女は特別過ぎてわたしでは歯が立たないという。

なら俺と組んだらどうだと聞いた茜と一対二で戦うことを想定して欲しいと伝えたらいい線まで追いつめられるかもと言った。

時間が来たので家庭教師に行った。


茜の格好は白のタンクトップに青い短パン、以前見た格好だった。

中学二年生の普通の問題をやらせたところ以前より格段に出来るようになっていた。

これが戦士茜を取り込んだ本物の茜の力なのか。

困惑してるところを見せまいと通常授業に入るとキスされそうになりなんとか防いだ。


「このところ浮ついてるようですね。ちょっと休みましょう」

そう言って授業を中断してさっきお母さんから差し入れがあった飲み物の残りをいただいた。

茜は変わり過ぎじゃないか。

海デートの後明らかに違うとはっきりと言った。

あの時はまだ俺を好きだと言う奇特なただの中学生だった。


「思い出したんだ、わたしたちがまだ付き合っていた頃を。もう一人のわたしは不器用だったしわたしも意識がうまくリンク出来てなかった。それであなたは不安に感じたでしょう。わたしには感情がないって」茜の言葉に頷いた。

確かに恋愛感情をまったく感じないのでそのまま静の元に走った。


「だからわたしが積極的にもう一人のわたしとコンタクトを取り二人の気持ちを確かめたんだ。同じだったから今はわたしが主導権を握った。あの子はわたしの中で眠っている」けっこう衝撃的なことを言われた。いつの間にかタンクトップを脱いでいた。水色。静よりずっと大きな胸があった。吸い寄せられそうだった。でも触れずに服を着るよう伝えた。俺の彼女は静とはっきりと言った。


「元カノって辛いね。どうやっても逆転できない。でも絶対に取り返して見せるから」

いつまでもこんな話は不毛なので授業に戻ろうとしたら時間が来た。

母親から夕飯を勧められたが断った。

玄関のドアを出ると静が待っていた。

二階の窓からは茜が手を振っていた。


「こんな時間に一人で出歩いちゃ絶対にダメだ。危険な目に遭うかもしれないからやめてくれ」

戦闘フィールドでの出来事を思い出していた。

あの時真っ先に見つけ助けたのは戦士茜だった。

だがもう本体に取り込まれていると言う。

彼女の感情が薄いので静に乗り換えたのは事実だった。

だけど振り返ってみると戦闘では常に情熱的だった。

俺が分かってあげられなかっただけだった。


真弘抱きしめてと言うので静を抱きしめた。

言葉より今はこれがいい。

住宅街の中で静とキスをした。

薄紫、玲奈がロフトを登っていった。けっこうお気に入りのようだ。

静のお陰で料理も覚えつつあり俺も助かっていた。


俺の趣味で下着は全部薄紫か青だった。

スウェット他私服も徐々に揃いつつあった。

敵として現れたがすっかり溶け込んでいる。

戦闘訓練でも圧倒的な力を見せてくれていた。

それでも茜には歯が立ちそうにないと言う。

まあ戦闘力が高ければ偉いという訳ではないので気にしてはいない。


家庭教師の給料が入ったので玲奈と渋谷に来ていた。

自分で好きな服やバッグを選んでもらおうと思っている。

みちゆく人々の目が玲奈に集中していた。

文句なしの美少女だから仕方がなかったが連れている俺にも優越感があった。

日本語もほぼ思い出し後は敵に捕らわれる前のことを思い出して欲しかった。


「真弘、あの店に行こう」

クレープ屋を指差していた。

色気より食い気のお年頃のようだった。

今度の作戦でも彼女は重要な役割で出す。

そのため俺も帯同する。


「こんなところに来てなんだが敵に捕らわれていた頃を覚えているか」

相当打ち解けてきてたので思い切って聞いてみた。

なんでもカプセルのようなところで眠っていて敵の内部のことは何も知らないらしかった。

ただたまにカプセルを出る時もあって全裸で身体検査をされたという。

想像しただけではかどりそうだったが真面目な話の最中なのでやめた。

もう少し戦闘に出るのは先だったらしいが負け続けていたので早めに出撃させられたようだ。

もう一段階の進化の可能性もあったと予想できた。

基地には戦闘用ではないロボットやアンドロイドも居り大変親切な方々だったとも言った。


彼らには我々を殲滅させる意志はなく常に少数の部隊で挑んで来た。

玲奈や戦闘用アンドロイド、堅牢なロボットがいっぺんに来ていたら我々は全滅していた茜を除き。

ピンク。ロフトを登る玲奈を眺めながら俺は考えていた。

茜のことだった。

あれが茜本人の意志とはあまり考えていなかった。

戦士茜もちょっとずれているが真っ直ぐな人間だった。

我々が玲奈を奪ったように茜は既に敵に取り込まれているのではないか。

元々あっち側のモノだと彼女は語ったこともあった。


人間には心に隙ができることが良くある。

だからイ〇ラム教などという恥ずかしい宗教団体も存在するのだ。

洗脳というより心の隙に入り込み茜を操った。

そんなことを直接会わないで出来る存在があるんだろうか。

ここまで敵の正体はまるで見えてこない。

AIとか精神体(存在していれば)が居るのだろうか。

ピンクを眺めながら考えていたら睡魔が来て眠りに落ちた。

王子様ではないんだがキスされて眠りから覚めた。

静が来たのかと思っていたら茜だった。

もう茜の不意打ちには慣れていたのでどこから入ったかを聞いた。

この部屋はオートロックだった。

暗証番号がわからないと入れない。


「真弘の脳内を探ったらあった」正直に茜は言った。


いつからこんなことが出来るようになったんだ。

敵に居た時かそれとも最近なのかと茜に聞くと、わりと最近だと思う他人の脳内に侵入できるようになったのは。

ふぅんと頷き核心を突いてみた。

「お前はいつから茜に取りついたんだ。AIさん」

返事がなかった。

考え中なのかも知れなかったのでしばらく待った。

妙なものが頭の中に入って来たのでお前が嫌いだと全力否定したら去っていった。


「茜、お前はマインドコントロールされている。信じなくて構わないが一応覚えていてくれ」

俺がそう言うと不思議そうな顔をして茜が出て行った。

俺は玲奈を見て脳内への侵入を試みたら脳の一番深いとこに辿り付いたので命令をした。

すると玲奈がキスをしてきたので口をブロックした。

もういいよお帰りというと部屋の隅に帰って行った。

真似てみただけで出来たこの能力は危険だ。

脳の中なんて誰も覗かれたくないはずだ。

黒歴史や妄想で詰まっているのだ。

そして今茜はマインドコントロールされている。

たった一人で我々と対峙する人型、あれは茜だ。


静のところに行ってどうして欲しいか聞いた。

あのマインドコントロールされている茜の目的は俺の捕縛だ。

そして玲奈と二人で出撃するが勝てる可能性が低いことを伝えた。

またここで撤退したとしても現実世界で彼女が襲ってくると伝えた。

静は考えた長く、そして出撃して必ず茜と一緒に帰ってきて欲しいと言われたので両拳合わせて頷き戦場に向かった。

次に玲奈と話をした。

絶対に死なさないその時は自爆で茜を倒すと。

ところでアレはできそうかと聞いた。

ぶっつけ本番だけど出来るかもしれないという返事がきた。

ならそこまでフル援護するので茜と対峙できたら耐えてくれ。

もしどちらかを殺さなきゃならないなら茜を斬ると伝えた。


二台のバイクが発進した。

俺のは何度も茜と乗ったやつで玲奈は新品のHonda製だった。

ビームライフルを撃ちながら接近する。

玲奈はビームサーベルだけなのでこの時点では何もしない。

ただ交互に位置を変えながら茜に迫る。

茜は何もしてこない。

接近戦で我々を倒す自信があるのだろう。


残り50m完全に茜を射程圏内に入れると玲奈は飛翔した

。金属の翼を持った彼女は美しかった。

すぐさま茜も宙に舞い玲奈に切り掛かる。

俺はビームライフルで玲奈を援護する。

やはりシールドを二人とも持ってるとは言え攻撃されているとそれにも意識を割かないといけないので動きは鈍る。

玲奈が押していた。


「帰って来い茜!」

一瞬怯んだがすぐに元に戻った。

この一瞬射撃が止んでいる間に茜が玲奈に切り掛かった。

「MAXシールドだ玲奈!」

目で見てわかるシールドが玲奈を包み込む。そしてこっちに来いと伝えたので急降下して俺の横に立った。その瞬間俺は両手を上げて投降した。


「降参だ。どんな言うことにも従う」

これを聞いた玲奈がまだ戦えると言ったが後退準備をしろと伝えた。

「玲奈が完全に基地まで戻るのを見届けてからだ」

それから俺を好きにしていいと伝えた。

ここには捕虜に関する条約などない、切り刻んでもいいのだ。

玲奈が完全に戻ると白旗を大きく振ってさよならの合図をした。

静、戻ってあげられなくて済まない。



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