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鏡の向こうは猫の国  作者: 苺しふぉん
2/2

ようこそ猫の森へ!

『鏡の向こうは猫の国』の第2章です。

今回はギルドの中を案内してもらうお話です。

にゃなみにギルド内を案内してもらう莉々でしたが慣れない語尾に戸惑ってしまって…


まだまだ一次創作に慣れていないのでおかしい部分があるかもしれませんがご了承ください。

 これはある日、ひょんなことから猫の世界に異世界転移してしまった人間のお話です。


「りりにゃさん、まずは2階から案内しますニャ」

「…あ、あの!」

「ん、どうかされましたかニャ?」

「あの、…みなさんのこともっと教えてもらえませんか?」

「…ふふ、良いですよニャ!案内しながらお教えしますね」

「お、お願いします」

「まずは2階に上がってすぐ、ギルドの入口から見える正面のここがギルドマスターのお部屋ですニャ。あ、そういえばまだギルドの名前をお教えしてませんでしたね。このギルドは『猫の森』っていう名前なんです。マスターがみんなの憩いの場になるようにと願いを込めて付けたそうですニャ」

「猫の森…」

「あとで外に出てみましょう!きっとこの名前の意味が分かると思いますニャ」

(いったい、どんな見た目の建物なのだろうか?猫型とか…?)

「あと、この階にはさっきまでいた救護室と他にも研究室、ゲストルームなんかがありますニャ。次は3階に行ってみましょうニャ」

「意外に大きな建物なんですね……あ、…ごめんなさい…意外にだなんて失礼ですよね」

「いいえ!気にしないでください。これでもうちは小さいほうなんですニャ。隣街にあるギルドはそれはそれは巨大なんですよニャ!」

(私はこれくらいのほうが落ち着くけどなぁ…)

「3階は私たちの部屋があるんですニャ。りりにゃさんのお部屋はまだ、準備出来てないのであとで案内しますニャ」

どうやら今、準備をしてくれているようだ。なんだか申し訳ない。

「左側手前からにゃん太さん、にゃ助さん、にゃ次郎さんのお部屋になってますニャ。にゃん太さんはさっきも言っていたようにマスターのお孫さんです。冒険者のお仕事をしていますニャ」

「冒険者のお仕事ってどんなことをしてるんですか?」

人間界にはそういう世界観の書籍やアニメなんかが溢れている。

なので元々、人間界にいた私にはなんとなく分かるけどわざと分からないフリをした。

「魔物退治とかどなたかの護衛なんかでしょうか。基本、ギルドに依頼がきてそれを冒険者が選んでお仕事するんですニャ。…でもうちのギルドには配達とか落とし物を探して欲しいくらいの小さな依頼しか来ないですけどニャ…」

にゃなみは苦笑いした。

(でもそれってこの町が平和な証拠だよね)

「気を取り直してお隣は同じく冒険者のにゃ助さんのお部屋ですニャ」

「…にゃ助さんてちょっと怖そうな雰囲気ですよね……第一印象ですけど…」

「そうですね、やっぱり初めての方にはそう見えるのかも知れないですにゃ…」

「…実際はどうなんですか?」

「実際は案外優しい方ですよ。私も最初はなかなか打ち解けられなかったのですがある時から仲良くなれたんです。だから大丈夫ですニャ!」

思ったよりも悪い方ではなさそうだ。

「そのさらに隣がこのギルドのシェフ、にゃ次郎さんのお部屋です。にゃ次郎さんは元々ギルドマスターのお友達でマスターがこのギルドを創った時にお誘いしたそうですニャ。

食堂に居るはずなのであとで挨拶しましょうね」

(どんな猫なんだろう?名前的にはシェフというより板前さん?)


 「次は向かい側の手前から私、りりにゃさん、ニーニャ、の部屋になってますニャ」

「にゃなみさんは看板娘でしたよね?」

「はい、僭越ながら看板娘をさせてもらってますニャ。私は主に依頼の管理と食堂の配膳などをしています。それほど仕事はないですがニャ…」

(なんかさっきから自虐が時々…)

「さて、ニーニャは…りりにゃさんにとって騒がしいイメージですか?」

私はにゃなみの切り替えの速さに驚いて固まってしまった。

「……あの、どうかしましたニャ?」

「えっ!…あ、いえ…なんでもないです」

ニーニャの第一印象は正直、騒がしいおてんばだった。まぁ、いきなり大きな音を立てて部屋に入って来た上にこれまた、大きな声で「いたニャー!!」なんて言われたらびっくりしない人はいない。しかも初対面で!

「えーっと、第一印象はおてんば…ですけどいい子なんだろうなってイメージです」

「そうなんです!とってもいい子なんです!それに頭もとっても良くて、このギルドのメカニックなんですよニャ」

「メカニックって機械を直したりとかの…あれですよね?」

「はい、実はかなり大事なお仕事を担ってるんですニャ!」

「失礼ながらそんなイメージないです。意外ですね!」

人は…いや、猫は見かけによらないということなのか。なんにせよさっきのあの子からは全く想像出来なかった。



 私たちは1階に戻ってきていた。

「1階には沢山の本が所蔵されている図書館と多くの者が集い交流を深める…はずだった食事場がありますニャ」

後半につれてにゃなみさんの歯切れが悪くなっていった。

たしかにこのギルドは閑散としている。私の想像ではこういう場所はもっとガヤガヤしているイメージだ。正直、自虐的になるのも分かる気がする。

「ではまず、図書館に行ってみましょうニャ」


いかにも重そうな扉を開くとその先には驚きの光景が広がっていた。

「うわー!」

私はおもわず感嘆の声を上げた。

目の前に大きな本棚が幾つも立ち並び、その本棚にはびっしりと本が詰まっていた。

「どうですかニャ?初めて見た方は皆さん驚かれるんですよ!」

「これを見て驚かないわけないですよ!」

「このギルドで一番の見所かもしれニャいですね」

そんなやり取りをしている時に奥から声が聞こえた。

「にゃなみさん、こんにちはにゃ」

「あ!ニャンナさん、また来てたんですニャ?」

「はい、ここにしかない本が沢山あるのでニャ……ところでそちらの方は…?」

「この方は今日からうちのギルドに入った新猫さんですニャ」

「りりにゃです。よろしくお願いします!…ニャ」

語尾を忘れかけた私はなんだか歯切れの悪い挨拶をしてしまった。

「私は…ニャンナです。このギルドのメンバーではないですが…時々、この図書館を利用させてもらってますニャ。…こちらこそよろしくお願いしますニャ」

第一印象だがニャンナはとても大人しそうな雰囲気の子だ。

「食堂と図書館はこうして誰でも利用できるのですニャ」

下手に口を開けばさっきみたいにぎこちない語尾になりそうだったので頷くだけにした。

にゃなみさんがそれを見て察してくれたのか

「では次の場所を案内しますニャ」

と早々に切り上げてくれた。


 図書館を出るとにゃなみさんがヒソヒソ声で話し出した。

「りりにゃさん、大丈夫ですかニャ?」

「ごめんなさい…さすがにまだ語尾が馴染まなくて……」

「仕方がないですよ、さっきマスターからお願いされたばかりですからね。少しずつ慣れていきましょうニャ!」

「ありがとうございます…ニャ」

にゃん太さんもさっき町の住民たちにバレたら大変だ的なことを言っていたし、これだけ気にするということは私が人間なことがバレるときっとヤバいのだろう。

まぁ、人間が鏡に触ったら猫に…なんて普通なら信じられるわけないだろうし……私自身もまだ、正直信じられないし…

絶対、怪しまれるに決まっている。最悪、スパイだなんだって疑われて捕まるかも!それはなんとしても回避しないとほんとに2度と帰れなくなる…

このギルドの方々以外と話をする時は特に気を付けなければ


 私が脳内会議しているうちに食堂に着いていた。

「さぁ、食堂に着きましたニャ!」

中に入ると丸テーブルと椅子が沢山並んでいた。奥のほうにはカウンターがあり何脚か椅子が備え付けてある。

そのカウンターの横には壁掛けボードがあるが何も貼られていないようだ。

「あのボードはお仕事関係のですか?」

「はい、今日は何も貼られてないですが……ニャ」

「あ、あの!シェフのにゃ次郎さんはどこに居るんですか?」

「にゃ次郎さんならこちらだと思いますニャ」

カウンターの横の扉へと進んだ。

扉の奥はキッチンだった。

「にゃ次郎さん、少し良いですかニャ?」

「夕飯の準備中だ、手短に頼む…」

「分かりました。こちら、今日から仲間入りしたりりにゃさんですニャ」

「りりにゃです。よろしくお願いします…ニャ」

「先ほど、にゃん蔵から聞いた。こちらこそ宜しく……ところでお主、食べ物の好き嫌いを教えてはくれぬか?」

「えっ?えっと……」

「まぁ、すぐじゃなくて良い。またこっそり教えに来い。」

「は、はい!分かりました」

一見、寡黙そうに見えるが優しい方のようだ。

「にゃ次郎さん、お邪魔しましたニャ。りりにゃさん、最後に外に出てみましょう!」



 外に出ると辺りはすっかり夕方になっていた。

数歩進み、振り返るとそこには夕日に照らされたギルドが建っていた。

ギルドの建物の上には大きな木々が生い茂っている。なんと猫の顔の形に剪定してあるようだ。建物自体にも至るところに猫モチーフが隠されており、その見た目はまさに『猫の森』そのものだった。

「どうですか?名前の意味、分かっていただけましたかニャ?」

「はい……名前のとおりの見た目でびっくりしました…」

「ふふっ…改めまして、ようこそギルド『猫の森』へ!」

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