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魔法練習

ユキとパーティを組むことになり、再び冒険者ギルドを訪れている。周りからの視線はいつもより多いかな。

そんなの気にせず、


「どの依頼にするか。」


と掲示板を眺める。


「この依頼でいいか。」


そう言って目の前にあった依頼を手に取る。


「森鼠5匹の討伐」


森鼠は攻撃能力が低くあまり危険性がない魔物だ。攻撃性がないとは言え村の農作物を食い荒らしたり、森の珍しい植物を食べてしまったりするため依頼が出されることが多い。


難易度的には初級クラスの新人が受けることが多い印象で俺がいるなら魔法の練習相手には丁度いい。


「はい。」

「じゃあ、持って行くぞ。」


そう言って受付に依頼を持っていく。


「カナデさん、珍しく他の人と一緒ですね。」

「この子とパーティを組むことになった。」

「へぇー。この2年間、一人でしか依頼をこなしたことのないカナデさんがパーティを組むなんて。何か心境の変化ありました?」


そんなに意外ですか。まあ、一度も組んだことはないけどそこまで驚かなくてもいいのに。

隣にいるユキも俺の顔を見て苦笑いしている。


「この子が知り合いだったから組んだだけだよ。」

「そうだったんですか。」

「それで今日はこの依頼を。」


そう言って依頼書を渡す。


「森鼠の討伐の依頼ですか。ユキさんは初心者冒険者なので丁度いい依頼ですね。」


そう言いながら依頼書の下の方に俺とユキの名前と今日の日付を記入する。


「はい。期限は明日までです。ユキさん頑張ってくださいね。」

「はい。」


ユキが元気よく返事した後、


「ユキ行くぞ。」


そう言って冒険者ギルド入り口方向に歩いて行った。



街を出てすぐ近くにある畑の前に俺たちは来た。

森鼠という名前だけあって森の中にも生息するが森は岩猪や他の魔物が出現するため初心者には向かない。今回は畑などに食べに来た森鼠を倒す。


「さて、まずは魔法の練習をしようか。」


俺はユキの方を見てそう言うと


「はい!」


とユキは元気よく返事をする。


「少し待ってて。」


そう言って索敵魔法を展開する。近くに森鼠がいる。


「ついてきて。」


そう言って森鼠のいるところまで移動する。


「あれが森鼠だ。」


指輪指した方には小さな鼠がいる。


「小さいですね。」

「ああ。あのサイズで動くから魔法が当てづらい。」

「じゃあ、どうすれば。」

「動くから当てづらいんだから今から動けなくする。」

「え?」


驚くユキに構うことなく左手に魔力をためて魔法を展開する。

勿論雷属性。


雷拘束(サンダバインド)


それを放つ。雷の小さな球体が勢いよく飛んでいき鼠に直撃する。威力は抑えたので死ぬことはなくその場で倒れる。


下準備終了だ。


「これで動けなくなったから魔法の練習始めようか。」


そう言う俺を見てユキは何も言えなくなっていた。


「じゃあ、最初から詠唱なしの魔法を使おうか。」

「えっと、どうやれば。」


やり方がわからなくて困惑している。


基本的なことだ。


詠唱をすれば簡単に魔法を使うことができる。しかし、頼り過ぎれば自分で応用が出来なくなる。魔力と魔法の関係それを理解して初めて魔法を自分で使えることになる。

そう魔法使いは言っていた。


「手を前に伸ばして。」


そう言うとユキは素直に手を前に伸ばす。


「掌に魔力を集中させて。」

「魔力を。」


そう呟いて魔力を掌に溜めようとするが上手くできずに、何も起こらずに魔力が消えてしまう。


やはり難しいか。根本的な話をしないといけないみたいだな。


「ユキ。一旦やめていいよ。その代わり俺の質問に答えてくれ。」

「えっと、はい。」


ユキは魔力を溜めようとするのをやめて俺の話を聞く。


「どうやって魔法を使うかわかるか?」

「詠唱ですか?」

「そう詠唱して魔法を放つ。」

「はい。」

「じゃあ、その詠唱は何のためにしていると思う?」

「えっと。」


ユキは考え始める。

多分答えは分からない。俺が教えるしかない。

悩んでいるユキに答えを説明する。


「もう考えなくていいよ。」

「ごめんなさい。全く想像できなくて。」


そう言って頭を下げる。

わからない前提で聞いたので謝る必要はないんだけど。


「今は分からなくていいよ。今から説明するから、しっかりと聞いといてくれ。」

「わかりました。」


そう言って俺の目を見る。


「始めるか。」


そう言って話し始める。


「魔法っていうのは身体に流れている魔力を操って特別な力を使えるようにできるものだ。魔力そのものが魔法を生み出している。


詠唱は魔力の流れを変えどんな魔法を出すか決めるものってだけで実際、詠唱がなくても魔法は扱える。


だから魔力を扱えるようになるということは自分の思い通りに魔法を扱えるようになるのと同義なんだよ。」


「魔力を扱う。」


ユキはなんとなく理解したようでそう呟いて再び魔力を掌に流す。しかし、何も起こらずすぐに魔力が消える。


詠唱は説明書だ。使いたい魔法の情報を詠唱として口にすることで自動的に身体中の魔力が流れ始める。


詠唱すれば自動的に自分の魔力を消費し魔法が撃てる。詠唱は無意識にコマンドを話しているだけのもの。

どうやって


なので、どんな魔法を使いたいかそれにどれだけ魔力を流したり増幅したりすればいいかを覚えることで感覚だけで魔法を撃つことができる。


魔力を自在に扱えれば簡単な魔法が使えるようになり、流す魔力の調整ができるようになる。それだけで魔法が自由自在に作れる。


それだけ魔力を扱えるようになることは大切なことである。


「じゃあ、今度は指先に溜める感覚で魔力を流してみて。」

「はい。」


そう言って再び魔力を流す。僅かであるが魔力が溜まったのか指の先がほんのりと光る。


「それをそこの魔物に投げる感じで放ってみて。」


と伝える。それを聞いてユキは大きく腕を振って光る魔力を飛ばす。


飛ばした魔力は魔物に当たると消える。全く効いていないようだった。


それを見て


「ダメでしたか?」


と聞いてくる。


「大丈夫だ。あれでいい。」


魔力を飛ばすことはできていた。あれを練習すれば、そのうち魔力を自由に扱えるようになるはずだ。


「よし、じゃあ、次の段階に移るか。」


そう言って俺による魔法の基礎特訓が始まった。

ここまで読んでくださり大変ありがとうございます!


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