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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
95/251

第92話 帝都攻防戦 その2

第92話を投稿します。

前話が長くなりましたので、反省して半分の4500文字程度にしました。

そのかわり、帝都攻防戦が長くなりますのでご承知ください。

 アトラム王国に向かった日本交渉艦隊は2隊に別れ、第1艦隊は交渉と警戒に、第2艦隊はアトラム王国大陸東側で帝国艦隊を警戒していたが、偵察衛星で採取したデータの解析により帝国第1艦隊、第2艦隊はその母港から離れずにいる事が確認できた。


 状況分析で判明したのだが、帝国第1師団、第2師団が帝都に向けて移動中であり、陸の守りが無くなったため、帝国艦隊は西から来るアトラム王国艦隊に帝国艦隊だけで備えなければならなくなり、母港近海から離れられないのだ。


 帝国はアトラム王国第2艦隊が海上自衛隊に殲滅された事を知らない。情報不足の中、アトラム王国艦隊は健在と思い、それに備えていた。帝国第3艦隊も海自と空自の作戦により全滅させられていたのだが、帝国海軍上層部には、まだ自衛隊がとんでもない実力を持つ軍隊だとの認識は薄く、戦えば勝てるか互角だとの認識でいた。


 統合幕僚監部は状況分析を行い、日本からの民間物資や陸自第8師団第8施設大隊がアトラム王国南ロータス港に到着次第、帝国海軍に対する攻撃を計画した。その作戦には日本交渉艦隊の第1艦隊および第2艦隊にドルステイン駐留艦隊を加えた海自空自の合同作戦として、帝国第1艦隊と第2艦隊に対し同時に打撃を与え、西側海岸の守りを無効化する計画であった。



 護衛艦隊で言えば、日本を守る横須賀の第1護衛隊、大湊を母港とする第7護衛隊を佐世保に転進させて西側の守りを行っているのだが、今回の作戦はその2つの護衛隊を除く6護衛隊による過去に例がない大規模作戦である。


 日本交渉団第1艦隊は第4護衛隊と第5護衛隊に、第2艦隊は第2第6第8第3の各護衛隊にドルステイン駐留艦隊が参加する。それぞれの旗艦を日本交渉第1艦隊はDDH-184「かが」、日本交渉第2艦隊はDDH-182「いせ」、ドルステイン駐留艦隊はDDH-181「ひゅうが」とした。


 潜水艦隊は第1潜水隊群、第2潜水隊群の10艦が参加する予定である。日本では作戦を成功させる為に、ドーザ大陸西側、アトラム王国との中間に無線中継衛星を打ち上げ、情報の共有化を促進させる。なおGPS衛星については小型衛星を生産および打ち上げが間に合わず、西側海にGPSは展開できていない。

 将来的にはアトラム王国とドーザ大陸およびその中間にある大海に展開を計画している。


 GPSを展開できない現状に対し統合幕僚監部は慎重になり、まれに見る物量での作戦となった。ほとんどの長距離打撃が慣性誘導となる事が予想されていたからだ。


 ドーザ大陸方面隊は「きつつき作戦」の第2段階を実施中である。

 陸自第5師団は、中規模要塞都市ミリムソーマを味方につけ、師団本部をミリムソーマに置き、第5偵察隊は次なる要塞都市バロッサを目指している。


 陸自第2師団は小規模要塞都市ドフーラを、実力で領主を捕らえ陸自に協力させて、ドフーラ郊外に航空基地とドーザ方面隊駐屯地を建設している。これによりチロルの森駐屯地からドーザ方面隊の本部機能が転進する事になり、帝都の情報分析が円滑になると思われた。


 陸自第7師団は各師団最大の戦闘力を持って、ドーザ大陸南側の各都市を武力による説得と言う名の脅迫をして回っている。

 予定どおり、ドリルド街、要塞都市ドミニク・フーラを味方にして、最初から自衛隊に協力的なソミリア伯爵の協力を得て、ゾーマ・ラシアス城塞都市と港町ドルステインを抑えた。特に港町ドルステインは海自ドルステイン駐留艦隊の母港として活用でき成果は上々である。


 第7師団は第7偵察隊と混合隊(戦車隊に機動化普通科連隊を組み合わせた隊)を複数送り出し、次の目標として帝都に近い、要塞都市ミルドと南に展開している各都市に武力交渉隊を送り出していた。

 陸自第7師団の師団本部は、要塞都市ミルドとスルケ街の中間の荒れ地に展開し、特科群をはじめ要塞都市ミルドに対する包囲網を形成していく。激しい戦闘の予感がする。


 特に第5師団の予定している要塞都市バロッサから帝都は500Kmの距離、第7師団の予定している要塞都市ミルドから帝都は750Kmの距離である。

 交渉も難航が予測され、武力による交渉もやむを得ないと判断していた。

 ドーザ大陸方面隊も、この2要塞都市が前線となる事を予測しており、帝都攻略の要であると作戦の概要にも記載されている。



 日本を出港していたアトラム王国民間支援船団とその護衛の陸自第8師団第8施設大隊を載せたAOE-426「おうみ」と LST-4001「おおすみ」の到着を日本側交渉団は待っていた。


 すでに民間支援船団と陸自を載せた補給艦は南ロータス港到着まで1万キロを切り、20ノットの航行速度であと11日程度の距離に迫っていた。

 到着次第専門家によるアトラム王国セミナーと陸自第8師団第8施設大隊による上下水道整備に道路整備が開始され、民間車両運搬船にて運んできた大型保冷トラックにバスが姿を現し、民間ディーラーによる車両修理工場の開設にガソリン等の燃料備蓄基地建設と第42即応機動連隊による調査隊を結成して、アトラム王国に眠る資源開発を行う予定であった。


 その為に第42即応機動連隊では福岡市郊外の第5施設団より施設作業車を5両借り受け、上部に陸自第2師団を見習い、12.7mm重機関銃M2を取り付け、対魔獣対策を施していた。

 第42即応機動連隊は、その全てを輸送船団に載せられない為に、本部管理中隊と第1普通科中隊(機動化中隊)に機動戦闘車隊の打撃隊と連隊本部の一部を載せていた。

  16式機動戦闘車・96式装輪装甲車・軽装甲機動車による打撃部隊であり、魔獣対処と言っても大げさであるが、それなりにアトラム王国に対するデモストレーションを兼ねていると見えた。


 空自は当初の予定どおり、アトラム王国に向けてRO-2を送り出し、同時に給油機であるKC-767も2機随伴させていた。これでアトラム王国の衛星地図に対してデジタル地図を重ねて作り上げようとしている。


 これはアトラム王国にとっても利益のある事で、元々国家の地図は機密扱いであり、国交を結ぶ日本と言えど例外ではない。そこで日本はアトラム王国の資源調査と地図作成を同時に行うため、最近完成したばかりのC-2輸送機の偵察機改造版であるRO-2を投入したのだった。


 しかし、日本から2万Kmもの距離にあるアトラム王国に直接向かうのは限界があり、本格的交流はドーザ大陸を制圧して、ドーザ大陸西側に大型飛行場を建設してからとなる。そうすればアトラム王国との交流も活発化すると予想されている。日本から民間機などが空中給油無しでアトラム王国に直接向かう事は不可能である。


 まだアトラム王国に滑走路が無い現状での調査は難しいのだが、RO-2は多少の荒れ地でも500mあれば離着陸できる性能を誇っていた。ただし飛行距離は7500Km程度である事から何度も補給を強いられた。

 

 

 対帝国制裁作戦に話を戻すと、その作戦の一部である「きつつき作戦」は第2弾と第3弾が進行している。

 これが終わればドーザ大陸方面隊と空自による攻撃が帝国第1師団および第2師団の生き残りに対して実行されるが、帝都に戻った帝国軍のワイバーン隊が合流して帝都西側にあったワイバーン基地を避けて、少し北側に基地を作っていた。

 帝国民も駆り出され給金が良い事から、帝都民5000人程の建設隊が木造による宿舎を建設していたが、帝都民は帝都防衛のワイバーン隊が宿舎や飼育小屋に爆撃を受けた事を知ってるので、「こんな建物一撃なんだろうな」と思いながら、思ったより良い給金の為に働いていた。


 皇帝ガリル3世はワイバーン隊が合流したことで帝都上空の守りは固まったと思っていた。

 サイネグ宰相はもはや、タイミング良く帝都を抜け出す事を考えている。

 帝都にワイバーンが来ても、先の日本軍の攻撃を見ていたので、「無駄だ」と思っていた。

 しかもその思いは、すぐに実現するのだった・・・


 ドーザ大陸方面隊は、第101特殊普通科連隊より、帝国第1師団および第2師団のワイバーン隊80匹が帝都北西の荒れ地に宿舎建設中との報告を受けていた。

 帝都制空権の為には、ワイバーンが敵ではないと思うが、障害になりうる事を正確に分析していた。

 間違ってワイバーンに接触して緊急離脱する事があれば、パイロットの生命が保証できないのだ。

 

 そこで、ワイバーン隊の殲滅に別動作戦の立案を行い、高野防衛大臣の許可を得て当壁総理と内閣による承認をとった。


 ワイバーンは最高時速400Km以下程度で、高度も最高3000mまで届くのだが帝国兵操縦者が持たない。


 A-1軽爆撃機を対空仕様にして対空ミサイル5基を積み込めば、斜度機銃での攻撃は難しいのだが、攻撃重複を覚悟したとしても、20機のA-1軽爆撃機で最低60匹は撃破できると読んでいた。この理由としてワイバーンは赤外線を出さない冷血魔獣であるから安価な対空ミサイルの赤外線シーカーでは命中率が悪くなり、無駄も出てしまう。

 対してA-1軽爆撃機に積み込む99式空対空誘導弾は、レーダーホーミングで見こし発射できる為に、高価ではあるが、最適と考えられている。特にA-1軽爆撃機では最大速度600Kmは出せ、高度は約1万mを誇るので、ワイバーンを振り切る事ができる。



 ここに別動作戦の帝都制空権確保の為の襲撃作戦、「ワイバーン殲滅作戦」が発動された。


 帝都制空権は事実上、空自が確保しているのだが、より強固なものとする為にワイバーン隊を撃墜する事が許可されたのだった。

 発動当日、小規模要塞都市ドフーラ郊外に作られた無線中継所から命令を受けたA-1軽爆撃機隊は隊長以下全21機を全て対空仕様に変えて整備を行っている。

 最初の攻撃で帝都直上のワイバーン隊を殲滅させ、次の攻撃で飛び上がってきたワイバーンと完成したばかりの宿舎と飼育小屋を爆撃する予定であった。なお、ワイバーン隊の新宿舎や飼育小屋の位置は帝都に潜入した第101特殊普通科連隊より、逐次無線にて状況がドーザ大陸方面隊本部に伝えられていた。


「スカイボンバー101離陸を許可する」と仮設管制室から指示を受け、スカイボンバー隊、スカイキラー隊に隊長機の計21機が次々と飛び立つ。ドフーラの帝国民は耳をつんざくレシプロエンジン音に慣れてしまっていて、日常であるから注目もしていない。


 各機は帝都東側山脈上空7000mで後続を待つために大きく転回している。今回の作戦ではドーザ方面飛行隊第1飛行隊からV-22Jが2機、緊急救助用に救助隊員だけを載せてバックアップとして飛び立つ、V-22Jは補助タンクを使えば帝都往復と救助に必要な時間を飛ぶことができる。


 こうして皇帝の外堀を埋めて、帝国崩壊と帝都占領の為の手を自衛隊は次々と打っていく。

ありがとうございます。

そろそろ冒険話やアトラム王国インフラ整備の話を入れたいと思いますが長くなると・・・

適当な長さで話数が増えますがお付き合いください。

誤字脱字報告いつもありがとうございます。前話は長い分校正が間に合わなかったようで助かります。


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