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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
86/251

第84話 帝国帝都へ その1

第84話を投稿します。

最初書いたものが筋書と違う方向に行ってしまったので破棄して書き直しました。

遅くなりました。

 日本に招待されたアトラム王国交渉団は、第1護衛隊の各艦に守られて横須賀を目指していた。


 一方日本を旅立った日本側交渉団は5個護衛隊+2艦に補給艦2艦を加え24隻の打撃艦隊を構成してアトラム王国に向かっている。横須賀沖ではアトラム王国使節団副団長でゾリアス公爵(使節団長)の副官アナウムにミソラ達と日本を訪れた元冒険者船団乗組員2名に冒険者2名を加えた計5名を日本側交渉団旗艦DDH-184「かが」に乗せアトラム王国に向かっていた。

 日本側使節団が行く事については、アトラム王国交渉団旗艦コルグ・スメタナより長距離魔道通信にて事前に王都へ連絡が入っている。


「タイラグ宰相使節団からの連絡は入っているか?」と国王が宰相を呼ぶ。


「陛下、連絡は入っています。王国交渉団は日本側と接触して、「いおうとう」と日本側が呼ぶ島沖にて日本側船団と合流し「よこすか」と言う所に向かっているそうです。また、副交渉団長のアナウムが4名を従えて、日本側が送る使節団の船団に乗りこみアトラム王国に向かっているとの事です」とタイラグ宰相は澱みなく報告する。


「なんと日本側使節もこちらに向かっているのか、ますます侮れない相手ではあるな」スメタナ王はため息をつく。「こちら側の交渉団だけであれば相手を見極める時間を稼げると思ったのだが、まさか王国の動きにすぐに合わせて来るとは、相手を見極める時間も稼げないのか・・・」と嘆くが、日本側の姿勢が本気であることに内心うれしく思っていた。


「はい陛下、アナウムからの報告では、もうすでに王国に向かって航海中であると、また殆どの艦は150メートル級ですが、中には250メートル程度の空母らしいのですが、艦は真っ平らしいです。その様なおかしな形の艦が2艦混ざってそれが旗艦とか。報告だけでは信じがたいのですが、我が国第2艦隊を全滅させた倍の数が使節団として向かっているそうです」とタイラグ宰相はアナウムからの報告を王に伝えるが見ていないので要領を得ないし、タイラグ宰相自身ももどかしい。


 全通甲板様式の空母はアトラム王国にもスルホン帝国にもない。両国ともワイバーン空母を所有しているが半戦艦半空母の打撃と航空戦力を保持した特殊な形状をしていた。全通甲板のアイデアもアトラム王国にはあったのだが、対空戦力の乏しい両国では、主砲による撃ち合いが主で航空戦力は相手に致命的ダメージを与えるところまでに至っていない。せいぜい10kg程度の軽量爆弾を相手の船に落とす程度で、船上の砲科兵を殺傷する程度か、相手ワイバーンとの戦闘であった。


「なに第2艦隊を全滅させた倍の数とな・・・いったい日本は何を考えているのか・・・」と王は頭をかかえる。


「陛下、日本は我が国訪問に際して帝国艦隊との戦闘に備える為と説明しています」とタイラグ宰相は説明する。さらに「日本との交渉前でありますのでアトラム王国との共闘はできないが、帝国艦隊が日本側艦船に攻撃した場合は個別に対応するとの事です」


「そうか解った。スルホン帝国艦隊は健在だから用心する事にしたのだな。(日本が帝国第3艦隊を壊滅させた事は知らない)」と国王は無理に理解するが、日本艦隊との戦闘にならない様に各港や第1艦隊に連絡を徹底するように指示した。


 アトラム王国に向かっている護衛隊には海底を進む潜水隊も同行していた。


 DDG-179「まや」、DDG-180「はぐろ」には海底地形をマルチスキャンできる最新のマルチビーム観測機と専用分析装置が急遽搭載され海底探査を出港時から続けていたのだった。最新2艦は艦隊先頭を並走して海底地形スキャンをしており、護衛隊と潜水艦隊はスキャンの邪魔にならない様に艦隊は50マイル(約80km)後方に、潜水艦隊群は艦隊から80マイル(約128km)後方について来ていた。


 海洋観測艦 (AGS)のAGS-5105「にちなん」やAGS-5106「しょうなん」は、まだ新大島や南西諸島海域の調査を続けており第3護衛隊と共に未調査海域の探査を主に行っていた。

 また、旧式観測艦のAGS-5102「ふたみ」やAGS-5104「わかさ」はドーザ大陸北部の探査を第15護衛隊の旧式護衛艦と共に調査を続けていた。

 転移後の探索によってEEZ(排他的経済水域)や領土が拡大してしまった日本は海洋観測船、特に海底地形観測船をすぐに用意できない為に、新造艦のDDG-179「まや」、DDG-180「はぐろ」に観測装置を搭載した。


 アトラム王国交渉団は第1護衛隊と合流後、横須賀に向かっており、毎時14ノット(約25km/h)と遅くはあるが順調であった。現在は八丈青ヶ島沖を航海中である。



 総理官邸では当壁総理、佐野官房長官、防衛省高野大臣、立川統合幕僚長の4名が対帝国対策について話し合っていた。


「当壁総理、スルホン帝国制裁法の成立ありがとうございます。法に従いスルホン帝国および帝都作戦の実施許可をお願いします」と高野が当壁に依頼した。


 スルホン帝国制裁法は、スルホン帝国に対する日本政府の反撃許可として法制化された特別時限立法であり、その後のドーザ大陸開発許可をセットにした法として成立した。

 ただしスルホン帝国が壊滅もしくは日本の傘下に入った場合には、ドーザ大陸開発法案がすぐに審議される予定になっている。


 スルホン帝国制裁法にはドーザ大陸での人種差別、奴隷制度、貴族制度の撤廃と民主主義による選挙制度などの現代法が施行される事を目的としていた。


 具体的な内容としては軍事力によるスルホン帝国制裁および皇帝および重臣達の確保(逮捕)と裁判。各都市へ民主主義の普及浸透措置。

 その後、外務省や農水省、経産省、国交省、文部省等の省庁を巻き込んだドーザ大陸総合開発計画を実施する事となっている。

 この計画の最初の実施項目は、6項目の対スルホン帝国制裁作戦である。


 作戦内容としては、

 1.帝都主要施設に対する空爆(特にワイバーン基地壊滅および帝国親衛隊、帝都守備隊宿舎の破壊)

 2.帝国3個師団撃破を帝国各都市への宣伝と協力的都市との条約交渉

 3.帝都-チロルの森間に駐屯地や航空基地、補給基地および各種通信網の構築

 4.帝都占領

 5.皇帝や関係者たちの確保(逮捕)

 6.帝国軍事力の武装解除


 この為に陸上自衛隊は、北部方面隊をそのままドーザ大陸方面隊として創設転属させる事とした。

 現在の北部方面隊は2個師団と2個旅団で構成されているが、これを4個師団に再編成して1個師団は北海道に駐留させ北海道東北方面隊として東北方面隊と合流させる。

 その他の3師団と方面隊直轄隊は全てドーザ大陸に派遣して、各都市の協力が得られ場合(条約締結後)駐屯地や航空基地に海上自衛隊駐留港を作る事とする。その際道路や上下水道等のインフラ整備を行う。

 さらに後方支援として治安維持の為の旅団を国内で1個創設し、各都市における平和維持を警察庁や海上保安庁と協力して実施する。


 また防衛庁直轄組織として、北海道防衛局を当面はチロルの森駐屯地に移動させ、名称を「ドーザ大陸防衛局」と改名し防衛行政全般を受け持つ。

 また北海道に残る帯広防衛支局は廃止、千歳防衛事務所は支局となり存続する。


「スルホン帝国制裁作戦を発動し、日本領土の確定を実施します。実施後、人種差別・奴隷制度・貴族制度などの廃止および民主主義化については根強い反対がある事が予想されますので、その為の治安維持は必要であると考えます。もちろん各都市間や内乱等戦闘に発展する可能性も検討しなければなりませんが、まずは帝国軍を壊滅状態にした日本国自衛隊として各都市に信用と協力体制を構築する事に加え護衛艦隊は旧式艦でも十分戦える事が確認できましたので、各地に散らばる護衛艦隊を2つに分けて合流させて、大陸の各港に対して睨みを効かせます。もちろん新大島などの南西諸島には第3護衛艦隊を引き続き配置します。以後は危機管理室で地図を使って説明したいと思います」と高野は言う。


 一行は官邸地下の危機管理室に移動し、説明の続きを聞く。


「ドーザ大陸および周辺諸島については既に衛星データ等の採取により探査を完了、世界地図は完成しております。GPS衛星はまだ不足しておりますが、なんとか必要地域にGPS補完局を作り帝都までを補完できればと考えています。また帝都は第101特殊普通科連隊の報告により詳細地図が完成、地上局を作れば対地精密誘導が可能です。また第101特殊普通科連隊には精密誘導に使用するレーザー目標指示装置を装備させていますのでピンポイントで精密誘導弾を目標に投下できます。以上の作戦準備を1カ月以内に完了させ、その後速やかに北部方面総監部および同部隊は戦闘準備に入れると考えています。そこで早急に作戦実施許可の頂きたくまいりました」と高野。


「日本領土の拡大と宣言はできそうか」と佐野が聞く。


「ええ、周辺各都市に上空から大陸語のチラシを撒きます。その後各都市に使節を送り交渉を行いたいと思います」と高野。


「保護者であるスルホン帝国が弱体化しているから、日本になびく都市も出て来ると言う事か」と佐野。


「そのとおりです。日本に協力的な都市を多くして、大陸世論を動かします」と高野。


「して、どの程度までの拡大を見込んでいるか」と当壁は聞く。


「ではこちらの帝国地図をご覧ください」と高野。

挿絵(By みてみん)

「説明を続けます。現在割譲された地区はハイデルバーグとチロルの森全部となっています。しかし、帝都まで進むとなると、この3つの要塞都市、北からミリムソーマ、ドフーラ、ドミニク・フーラが壁となります。また周辺の街も巻き込む恐れがあり帝都を含む全ての都市や街道に日本自衛隊戦勝のビラを撒きます。その後、要塞都市を中心に交渉使節を送ります。うまくいけば要塞都市ドフーラ郊外に駐屯地と空港を作ります。この地から帝都までは2千キロです。各師団は北部、中央、南部に配置して、南部は港町ドルステインまでのルート確保を、中央はドミニクまでのルートを、北部はバロッサまでのルートを確保します」と高野は説明する。


「そうすると最初の防衛ラインはチロルの森西にある縦の街道と言う事だな」と当壁。


「はいその様に考えています。港町ドルステインが確保できれば海路と陸路での輸送に加え、航空基地を作り空輸も可能となります」と高野。


「港町ドルステインは、あの捕虜返還をしたところだな。護衛艦の接岸実績も街中の戦闘も経験したところだ」「うむ、だが帝都までは防衛ラインから2千キロもあるのでは、まだ動きにくいのではないかね」と当壁。


「そのとおりです。最初の防衛ラインによって準備を整え、次に西側縦の街道を抑えるつもりです。そうなれば帝都まで550キロの距離ですから、軽爆撃機による反復攻撃も可能となります」「また陸上自衛隊の防衛ライン構築前に帝都に対する攻撃を実施して、親衛隊と帝都防衛隊を減らす予定です」と高野。


「帝都攻撃はそれだけでは効果的でないと思うが。」と当壁。


「ええ、他に深夜を中心に人気のない、元老院議場と皇帝居城の一部を破壊します。居城の一部は親衛隊の宿舎と演習場になります」と高野。


「よろしい、作戦開始の許可を出そう。ただし都市に対する交渉は穏便にお願いしたい。戦闘行為になるのは仕方ないが帝国市民に被害は出したくない」と当壁。


「はい心得ています。予備移動を直ちに発令し、各都市へのチラシ作戦は1週間以内に実施します」と高野。


「よろしくお願いします。防衛大臣」と当壁。


 高野防衛大臣は防衛庁に戻るとすぐに作戦開始の命令書に書かれた総理のサインの横に自分のサインを記入の上、秘書官に緊急防衛会議の招集を命じた。


 直ぐに防衛省地下にある防衛会議室に主だったメンバーが集まり大臣の言葉を待つ。


「緊急で済まない。スルホン帝国制裁決議が採択され、本日総理よりスルホン帝国制裁作戦が承認された。各自役割を自覚して作戦に臨んでほしい」と高野防衛大臣。


「作戦内容は私が説明します」と立川統合幕僚長。


 この防衛省の地下にある防衛会議室は災害時には危機管理室にもなる。首都圏3つ目の危機管理室である。4つ目は陸上自衛隊立川駐屯地の隣にある。


 解散後直ちに統合情報伝達システムに作戦開始が発令され各方面隊や師団旅団に送られた。

 命令書に従い、北部方面隊は直ちに移動を開始する。

 大三角州も北海道の一部としている為に警備交代の部隊も移動を開始する。


 チロルの森駐屯地の動きはあわただしく、これから来る2個師団と北部方面隊直属隊の受け入れ準備を行っている。特に陸上自衛隊第2師団はチロルの森を守備としていたが、ハイデルバーグ南郊外にまで偵察隊を出し、野営地確保を行う。


 防衛省では帝国に撒くビラの素案を作成中でもある。

いよいよスルホン帝国制裁作戦の発動です。

楽しみです。

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