第77話 ミソラ・ロレンシアの冒険 その5 函館-札幌-稚内
第77話を投稿します。
なんかミソラ達の冒険が夢に出てきて、夢で見た内容に変更しています(笑)
戦闘は熊相手なのでお気軽にお読みください。
誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かります。
ミソラ達は北海道のルートを考えていた。ドネルグも一緒である。
「姉さん、なんかほっかいどうと言う所は広いですな。街の間も結構離れていて難儀しそうです」
「そうね、でも牧場とか広い所が多いので泊まる分には不自由しないと思うけど」
「姉さん、このすきーってなんでしょうか」
「なんか日本が前の世界では雪が降るらしいよ、それで板にのって滑り降りるらしいけど。この世界の日本では雪は降らないのですきーできないらしいよ。あっ人工スキー場って言うのはあるらしいけど」
この世界の日本は温暖な気候で、四季の内、春と秋で夏と冬は無いらしい。当然雨は降るのだが雪は降らない。北海道も雪は無くスキーなどのウインタースポーツは人工スキーや人工ジャンプ場でスケートは屋内専用であった。すこし寂しい。
そうこうしているうちにフェリーは函館に着岸を始めていた。
「皆様、津軽海峡フェリー函館ターミナルに到着します。お忘れ物の無い様にお願いします。下船はAデッキ中央となります」
みんながロビーに集まってきた。
「みんな忘れ物は無いか点検」とミソラ。
「大丈夫よー」と気の抜けた声のミリア。
「ホントに大丈夫かよ。ははは」とタトルが笑う。
「えーとみんな、私たちの下船は最後らしいの、それまでこの付近で待っていてね」とミソラ。
「えーー。まだゲームできる?」とソラ。どうやらほしい景品が取れていないらしい。
「いいけど少しの時間しかないよ」ミソラ。
「もう1回、いや2回させて」
「仕方ないな、2回だけだよ」
「ミソラさん達、本日は当社をお使いいただいてありがとうございます。記念にお写真でも撮りませんか」と船会社のチーフパーサーらしき人が言う。
「はいお願いします」とミソラ。その頃にはソラも戻ってきた、どうやら取れなかったらしい。
みんな整列して思い思いのポーズを取り写真に納まった。「後ほど旅の途中にお届けしますね」
「それとこれどうぞ」船会社から大量の名産品にソラが取れなかったぬいぐるみが差し出された。
「うほ」変な声を出してソラが喜んでいる。「昔飼っていたミンスクに似ているの」とソラ。
ミンスクとはアトラム王国で小さい頃飼っていた、ネコ科の動物でリスと猫のハーフの様な動物である。ぬいぐるみはどう見ても「リス」なのだが・・・「この背中の縦の筋が似ているの」だから「リス」だって。
一行は函館ターミナルで下船して函館中央警察署に立ち寄り挨拶をしておいた。
また途中で函館病院の小児科を慰問してから大沼に国道5号で向かった。近い。
東大沼キャンプ場が目的地であった。ここでも地元住人やキャンプ場の支配人から大歓迎を受けていた。
旅人なら函館で海鮮を食べたり見学したりするのだが、多少海鮮は寿司など食べられるのだが自ら食べようという気にはならなかった。なので、生ホタテやいかの一夜干しを仕入れてきたのだ。
「皆様ごきげんよう。差し入れなどありがとうございます。後で時間を作りますので質問などありましたら聞いてくださいね」とミソラがお礼に時間を作り質問を受け付ける。いつもの事だ。
「ドネルグ今日の料理は何だい」とトムスが聞く。
「うーん何にしようかね、でかいハム貰ったのでハムステーキにポトフとポテトサラダにパンかな」とドネルグがメニューを言う。作るのはドネルグとソラとタトルの仕事だ。因みにミリナの仕事は食べる係だ。
ミリナは14歳なのに大食漢ではあるが、食べても太らないらしい。
テントやキッチンの設営も終わり、ドネルグとソラとタトルが食事にかかる。ミソラとミリナは質問を受け付けていた。
ついでにドネルグに「ばふふ」を出してもらい、料理しやすい様にトムスが解体する。
地元民も初めて見るアトラム王国の動物に興味津々で見入っている。
手際よく解体するのを見ていた猟師と思われる老人が「そんだば、くまも解体できるべ」と言う。
トムスは「くま」を見たことがないので、ぽかーんとしている。「くまだて、くま」と老人は言うが解らない。「じいさん「くま」は日本にしかいないのではないかな」と誰かが助ける。
「ほぉーいねのけ、難儀だな」と老人。北海道は標準語に少しだけ方言が混じるので青森よりは理解できる。
一行は周りを見物人に囲まれて食事を取る。仙台からいつもこれだから慣れた。
一人の男の子が「腹減った」と言うと、ミソラはハムステーキを半分おすそ分けした。「うめ」と男の子。「これお礼さ言えや」と見物人が笑いながら言う。
男の子は恥ずかしそうに「うめかった。ありがとう」と照れながら言っている。
「みんな明日は6時出発で八雲と言う所に向かうよ」とミソラ。
そうかこれがツイッターで拡散されるのか。早くも明日の目的地が判明してしまった。しかもミソラをフォローしているのはもう2百万人もいる。ただしミソラはツイッターはやっていないのにである。
八雲町から長万部で国道37号に変えて洞爺湖に向かい、そこから札幌に向かった。
途中、洞爺湖から国道230号に変えて定山渓に向かう。定山渓では牧場主から是非にと宿泊を希望された。
テントではなく母屋に宿泊したが夜中に物音がして目が覚めた。
「外になにかいるぞ」とミルネが起き出した。
「うん何かいるね」とミソラ。4人は一部屋に寝ていた。
「あんたたち起きてるかい」と牧場主と奥さんが来た。
「多分「くま」だと思うので外に出ない様にしてくれ。襲われるからね」と奥さん。
「みんな準備して、トムスとタトルを呼んできて」とミソラ。「くま」と戦う気だ。
「おぅ来たぞ」とトムスとタトル。物音で起きて支度していたようだ。さすが戦士だ。
「みんなやるよ」とミソラ。事前に熊は害獣だから駆除しても問題ないと聞いていた。
「私たちは熊を狩ってきますから、皆さんは外に出ない様にお願いします」とミソラ。
ミソラ達7人は外に出ていた。
大きなと言ってもアトラム王国での魔獣と比較にもならないほどの小さな獣だ。でも立ち上がると3m程度あるのだが・・・
ミルネとソラが魔法で足止めすると、トムスとタトルは切りかかり一瞬で首を落とした。
「気を付けて、まだいるよ」とミリナが叫ぶ。
藪をかき分けて熊がさらに2頭、子熊が2頭の4頭いる。親子なのだろうか。
「うぉー」熊が唸りをあげている。親子の熊は一番危険なのだ。
ミルネが風を操り砂で目つぶしをする。トムスが切りかかる。
ソラも残る親熊に対し水を勢いよく噴射して視界を奪う。タトルとミソラは剣を構え走っている。
一頭の親熊が倒れる。トムスが首を落としたのだ。
つづいてミソラが剣に炎を纏わせて切りかかる。タトルも近づき剣で腹を衝く。
親熊は傷が浅いのか向かってくる。速度は怪我している分早くは無い。
ミソラは再度炎を纏わせ首を狙い横に薙ぎ払う。
タトルは再度腹に剣を刺す。大きくジャンプしたトムスは飛びながら薙ぎ払う。
ミソラがわずかに早く首を落とした。
「子熊どうする、かわいいよ」とミリナ。
「そうだな殺すのはかわいそうだな。とりあえずドネルグ収納してくれ」と僅差で負けたトムスは力なく言う。「トムス一匹仕留めただろ」とタトル。「こっちは2回刺しても向かってきやがった」
「どんまい」とミリナ。いつ覚えたのやら。
「うへー」タトルが反応する。
「すごいな、あんた達やったのかい。3頭も」と牧場主と奥さんが現れた。
「ええ、アトラム王国では冒険者で魔物退治専門でしたからね、久しぶりに運動しました」とミソラ。
「ところでこれどうします」とドネルグ。
「熊肉は精が付くから北海道では、とても貴重なのですよ」と牧場主。
「なら1頭はこちらに置いていきます。残り2頭は我々が持っていきます」とドネルグ。
「それならすぐ血抜きして解体しないと、肉を冷やさないと臭みがでるから」と牧場主。
「了解です」トムスが獲物の前に立ち完全に首を落として、ドネルグに架台を出してもらうとロープで逆さに吊るし始めた。
「そろそろ良いかな」とトムスが言うとあっという間に一頭を解体した。
牧場主は熊の内臓から肝と胆汁袋を取り出して「これが薬になるのだよ」持っておくといいよ。
「なんか苦そうな匂いが・・・」とトムス。
「トムスもう2頭もお願い」とミソラ。
解体された熊は肉の塊になって牧場の裏の泉につけられ冷やされた。
「この毛皮は全部こちらに置いていきますから」とミソラ。
「はいありがとう」と奥さん。
「それから子熊が2頭いたのですが、どこか飼っているところはありますか。殺すにはかわいそうで」とミソラ。
「それなら、有名な動物園が旭川にあるし、熊牧場もあるけど、子熊ってどこに?」と奥さん。
「ドネルグが収納しています」とミソラ。
「あらま。そんな事ができるのかい。買い物楽だね」と奥さん。いや軽自動車事、収納できるのだが・・・
「熊牧場は洞爺湖湖畔にあるから戻らないとならんね」と奥さん。
「あっ大丈夫です。旭川は目的になっていますので、旭川まで運びます」とミソラ。
翌日牧場主にお礼を言いミソラ達は再び旅人になった。
札幌では道庁に挨拶してから道警からの講演依頼を1件こなし、今や北海道で知らない者がない状態のミソラ達は知事より特別に札幌ドームでの講演を依頼された。
札幌は1日の予定であったが2泊となり、翌日札幌ドームで3講演を行っていた。宿泊はVIP待遇で市内の最高級ホテルのスウィートを3室あてがわれ、警備も警察官が廊下に立つほどである。
ホテルは気を利かして旧世界の料理に日本料理を次々と出したが、ミソラ達の一番の好物はやはりと言うか、ステーキであった。ただ最年少のミリナはお子様ランチのハンバーグとスパゲッティが大好きで気づいたら5回もお替りしていた。大食漢健在なり。
「ねえ、ミリナどれだけ食べられるのかな、一度テレビでやってみたら。昨日大食いとか言う番組やってたし、大食いチャンピオンも札幌に来ているらしいよ」とソラが煽る。
「そんな食べられないよ、好きな物だけ食べるのさ」とミリナ。
ホテルからそんな情報を聞いた札幌のテレビ局が大食いチャンピオンとの対戦を申し込んできた。
大食いチャンピオンは小柄な女の子で、ミリナより少し大人であった。
二人は札幌名物のジンギスカンをビール工場に隣接したジンギスカン専門のレストランで対決した。
本来は焼いて食べるのだが、時間勝負と言う事で、焼いたジンギスカンを野菜込みで1人前を作り、それで対決する予定となった。
「ミリナ大丈夫?」とミソラ。「うーんそんな食べたことないから、わからない」
なんと大食い対決にカメラが5台にアナウンサーと日本では有名なお笑い芸人と言う人も来た。
「ミリナ、もう逃げられんな・・・ははは」とトムスが笑う。
「まかせろ」とミリナが無い胸を張る。アトラム王国では14歳は成人なのだが、ミリナはまだ見た目幼いのである。
テレビ番組にミソラ達は初めて出演をする。講演の様子を地元テレビが中継したりはしていたが、札幌を通じて全国に大食い大会が流された。演出上大食いに自信のある者5名とチャンピオンにミリナである。
「スタート・・・」と司会がサイレンを鳴らす。見学者も二百名以上いて熱気がこもっている。
チャンピオンとその他の人も食べ始める。
ミリナは少し遅れて食べ始めるが、「これ美味しいね。いっぱい食べられる」と勢いよく食べ始め、一瞬でみんなに追いついた。
「チャンピオンもう2皿目だ! みんなは追いつけるのか」と司会が煽る。
ミリナも頑張って早食いをする。
「ミリナ頑張れ」とミリアやソラが声援を送る。
「頑張る」とミリナは頬張りながらもぐもぐ言う。
時間は経過し10分となった。チャンピオン6皿、ミリナ6皿でほかの人は4皿である。
今回の制限時間は30分で多く食べた者が勝ちである。
20分経過しチャンピオンが12皿ミリナも12皿、他の人は8皿から脱落し始めた。
25分経過。チャンピオンとミリナの一騎打ちとなった。
30分経過。チャンピオン15皿、ミリナ16皿。おなかもパンパンである。
「ストーーーーップ。そこまで、」と司会が止める。30分経過して計測に入る。
「チャンピオン16皿、意地です」「ミリナさん17皿」「優勝はミリナさんです!」
会場からはどよめきと拍手が同時に起きる。
「優勝はミリナさん。小さい子が優勝です」と司会者。
「優勝したミリナさんにはスポンサーより賞金百万円とジンギスカンパック1年分。そして会場提供いただきましたビールメーカーから缶ビール1年分。おめでとう」と司会者。
日本では20歳からの飲酒が認められているので、いくら成人しているとはいえミソラ達で飲んで良いのは、魔導士ミルネとドネルグだけだ。残念。
変な経緯でテレビ対決する事になったミソラ達は、午後ではあるが出発する事とした。
札幌から国道12号を旭川方面に向かい豊幌で石狩川岸での宿泊をした。因みに観客は三百名以上いたが時間が遅かったのでそんなに大騒ぎにはならなかった。
つづいて美唄に宿泊して、翌日は深川へ、そして旭川に入った。
この頃になると見物人がぞろぞろとミソラ達の後を先をついてきて、名産や漬物やシャケ1本などをお土産として渡していた。
旭川では旭山動物園を訪問していた。
「ようこそ遠い道中お疲れさまでした」と園長が出迎える。
「初めましてミソラです、そして仲間たちです。道中いろいろな方から差し入れをいただき感謝しています」とミソラ。「そうだ園長にお願いがあるのですが、実は道中で子熊を捕まえまして、こちらにおいて頂けないかなと思いました。如何ですか」
「子熊ですか、途中で遭遇したのですな」「ええここは動物園ですから大丈夫ですよ」
「よかったお願いできますか。ここが目的地でもあったので、助かりました」とミソラ。
「ええ、それはお疲れさまでした。さて1匹ですか?」と園長。
「いえ2匹なのですが」
「そうでしたか、大丈夫ですよ」
「ぜひお願いします」
「子熊と言う事は、はぐれたのでしょうかね」と園長。
「いえ泊めていただいた牧場に夜現れまして、親と仲間の3頭は退治したのですが子熊2頭がかわいそうで連れてきてしまいました」とミソラ。
「えっ子連れの熊は凶暴で有名なのですが、あなた達で倒したのですか、それはすごい」
「で子熊はどこに」
「ドネルグが収納しています。この魔法は時間が止まった空間に収納するので生き物でも大丈夫なのです」とミソラが説明する。
「それは助かります。ではこちらにどうぞ」
「熊の宿舎です。どうぞお入りください」と園長。
エリアはもうじゅう館と言う所で、それぞれの獣ごとに別れていた。
ドネルグは空いている熊の檻に子熊を出して餌をあげていた。
「かわいいものですな、そうだ名前を付けないと」園長。
「皆さんに付けて頂ければ助かります」とミソラ。
「なら公募にしましょう。まだ幼いようだしそれが良いでしょう」と園長。
「そうしてください」とミソラ。
「ねえミソラ、日本の動物勉強する良い機会でしょ、見学しようよ」とミルネが言う。
「そうねミルネ、東京でも横浜でも動物は猫と犬ぐらいだったから、見ていこうか、良いですか園長」
「そういう事ならガイドを付けますので見て行ってください」「一旦入り口まで戻りましょう」と園長。
ガイドと全員にパンフレットを渡し、見たいものがあればガイドに言ってください案内しますから」「帰りにまたお寄りください」と園長はミソラ一行を送り出した。
まだ午前中なのでミソラ達は気になった動物を見て回る。
「ミソラ、ワイバーンのはく製だって。日本にもワイバーンいるんだね」とソラが言う。
ガイドが慌てて「それはこの世界に転移してから捕まえた物で日本には元からいないのですよ」と訂正する。
「そっか、私たちの世界の動物だったか」とトムス。
「ねえ、ペンギンってどんなの?」とミリナ。
「ええ、この旭山動物園でも人気者です。本当はもっと寒い所に住んでいるですが、この気候ですからね」とガイド。
「みて、かわいいよ、食べられるのかな」とミリナ。
「さぁペンギンは保護獣ですから、食べませんのでわかりません」とガイドが冷たく言う。
「それに、ここにいる日本以外から来た動物は繁殖しない限りいなくなる運命なのです」
「そうか異世界に転移したから仕方ない事なのかな。捕らえられないからな」とタトル。
「アトラム王国に戻れば魔獣はたくさんいるのにな」とトムス。
ガイドははっとして、トムスを見た。「魔獣が沢山いるのですか」
「ええ、魔獣は沢山いますよ、ドラゴンも」とソラが続ける。
「それは見てみたいです」とガイド。「アトラム王国には、ここの様な動物を展示している施設はあるのですか?」とガイド。
「王宮にはあるけど、一般人は見られませんよ」とミソラ。
王立軍の為にサンプルの生きた魔獣や王都近郊の獣が飼育されているが、あくまでも軍や冒険者の為であり一般民は見ることすら叶わない。
「そうですか、将来国交が結ばれて魔獣館ができるとお客様が喜びますよね」とガイド。
「ここを見るまで考えもしなかった」とドネルグ。
「そうだな戦うものであって魔獣は見るものではなかったからな。でもこうやって特性がそれぞれ説明されていると、一般民も出会ったらどの様に逃げれば良いか解るのにな」とトムス。
「これは良い施設だ、王国に戻ったら作りたいな」とトムス。
「そうね、王国に動物園・・・いや魔獣園か、素敵ね」とミソラ。
「さっそろそろ先を急ぎましょう。もう夕方ですよ」とミソラ。
入園口まで戻ると園長に挨拶をする。園長からいろいろお土産を渡される。
「今日は市内のホテルに泊まってください。ホテルからも是非にと言われましてどうですか」
「はい時間が遅いので次移動するか悩んでいたところです」とミソラ。
「なら連絡しますので、お待ちいただければホテルから迎えが来ますよ」と園長。ほっとしている様だ。
「なら泊まらせていただきます」とミソラ。時間は午後5時であった。
園長は連絡をすると市内から大型バスが着いて、ミソラ達を乗せ、市内の高級ホテルに泊まった。
「みんな明日は6時出発よ」とミソラ。
「はーーーい姉御」とみんなで言う。ミソラは少し顔を赤らめた。
「姉御はやめてー」とミソラ。
翌日は6時に出発し、国道40号を稚内に向かっている。
旭川から士別で泊まり、名寄を経由して豊清水で泊まり、旅は順調に進んでいた。
意図せず、陸上自衛隊第2師団の駐屯地や分屯地があった場所ばかりを通り稚内を目指す。
問寒別で泊まり、兜沼まで行き宿泊。ここまで来ると見物人はせいぜい20人程度である。
国道40号に沿って兜沼から山中に入っていく、険しくなっていく。
ついに稚内郊外の大沼までたどり着いた。宗谷岬はすぐだ。大沼湖のほとりで宿泊し、翌日は稚内市内で警察を訪問し挨拶する。
すると警察庁から連絡が来ていたのか、道警のパトカー3台でミソラ達一行を日本側の宗谷岬公園検問所に連れて行ってくれた。ここは陸上自衛隊第7師団がドーザ大陸からの害獣侵入を阻止する最前線として要塞化している検問所である。富士演習所で軍事プレゼンスに参加していた戦闘車両が車両が何台も並び、分屯地化している岬公園に宿泊所と浴場に食堂が作られ、何人もの自衛隊隊員が動き回っている。
前にドラゴンが来襲したこともあり、対空火器も並んでいる。
ミソラ達は異世界に迷い込んだ面持ちで落ち着かない。
自衛隊員の説明では、外務省の最終許可が下りれば通過できるとの事、ただしいつミソラ達が到着するか不明であったために、通過手続きはこれから行う事になるとの事。時間は3日間かかるとの事らしい。
ミソラ達は宗谷岬公園に作られた外来者用テントで外務省の許可を待つ事になった。
ありがとうございます。
次回からは戦闘に戻ります。第2師団は勝てるのでしょうか・・・
帝国にも知将がいるのでしょうか