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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
75/251

第73話 ドーザ大陸大戦 その3 A-1軽爆撃機初陣

A-1軽爆撃機が活躍します。初陣なのに見事です。


第3師団の運命はどうなるのでしょう。

 臨時軍団総司令のドメスアルム領主長公爵の誤算は、「戦闘にならず敵本拠地を砲撃できる位置まで突出せよ」と伝え忘れていたことだ。ハイデルバーグの出口で早くも戦闘になってしまった。予想していない事態だった。


 帝国第5師団参謀長から臨時軍団総司令に魔道通信にて状況を報告した。


 ドメスアルム領主長公爵は怒りに震えていた。

 第5師団自体は「おとり」であり、全滅しても成果があれば良しとしていたが、早々に発見されしかも戦闘にまで発展したとなると、日本軍に攻撃の口実を与えてしまった事になる。非常にまずい状況である。


「各軍に連絡、第5師団がハイデルバーグで戦闘となった。各軍は警戒しつつ早いタイミングではあるが作戦通り出発せよ。戦闘および略奪に関しては帝国軍の規定通りとする」


 体裁よく連絡したが、つまりは立ちふさがる者は全て破壊および虐殺し、その資材は軍の糧とせよと言うことだ。元の世界における中世時代の遠征と変わらない。しかも今回は自国民が相手なのだ、人の命の軽さをここでも感じる。


 一方攻撃を受けた第2偵察隊第1偵察小隊は深山小隊長の判断により、後退しつつ追ってくるものを撃退していた。主に軽装甲機動車(LAV)がその任を請け負い、87式偵察警戒車(RCV)は森の深くに待機して、見つからずに第5師団が通り過ぎるのを待っていた。偵察バイクの2名も同行している。

 砲撃隊の残りと念のために攻城隊を撃破する為であるが、見つかったら帝国第5師団の歩兵だけでまだ35万人近くいる。いくら87式偵察警戒車(RCV)とて対処できる数ではなかった。緊張が走る。


 第2師団作戦司令所の平沢陸将は作戦が成功したことで攻撃権を手に入れた。

「よし予定通り作戦2号(業火)発令」と平沢陸将が発令した。

 作戦2号は日本山簡易飛行場からA-1軽爆撃機による帝国第3師団への爆撃であった。

 その目的は兵糧隊や砲撃隊、攻城隊の破壊である。

 A-1軽爆撃機からの新型焼夷弾を使用して、帝国兵士陣を囲むように爆撃して、逃れられない火の輪を作り閉じ込めてしまうと言う作戦である。幸いチロルの森に点在する村からも遠い位置にいるので可能な作戦であるが、かれらの150Km先には村があり、早くから避難勧告はしていたが心配ではある。


 第2師団作戦司令所から日本山山頂基地に命令は伝えられA-1軽爆撃機はチロルの森上空にて後続を待ち、20機編隊を組んで帝国第3師団へと向かっていった。

 各機は新型22式500kg焼夷弾を3発ずつ積み込み、両翼先のハードポイントに90式空対空誘導弾を2発ずつ積み込んだ。90式空対空誘導弾は対空兵器(ドラゴンやワイバーン対策)、それに航空自衛隊初めての兵器、斜度機銃として12.7mm機銃×2基を翼下に装備している。これはガンカメラと連動して俯角ふかく25度(-25度)までできる機銃であり、水平に飛びながら前方下の敵を狙えるものである。もちろん俯角0度で水平にも撃てる。

 弾数は十分な各1000発計2000発を搭載している。


 A-1軽爆撃機各機は焼夷弾をモード1にして飛び立っていた。

 焼夷弾のモード1は高度50mで散布しながら炎上させるモード。従来の焼夷弾と言えばこのモードである。

 モード2は、高度150mで散布しながら接地しだい信管が爆発して燃えるモードである。

 モード2では接地信管が点火するまで可燃オイルが空気中を漂い点火と同時に燃え上がる。

 つまり燃え上がることで一帯の酸素が一気に無くなってしまう。非常に恐ろしいモードである。


 A-1軽爆撃機隊長機から各員に無線連絡。「各機ついてきているか。訓練どおりやれば大丈夫だ」

 同時に宗谷特別行政空港に併設されている宗谷特別行政航空基地(別名:大三角州航空基地)からエスコートにF-15Jが8機と同じく航空管制用にE-767が1機飛び立ち上空待機している。

 E-767の探知範囲は1万mまで上昇すると約700kmと言われているが、これは相手が飛行機の場合で、反射がある程度吸収される生物では400km程度が実用限界である。


 E-767が航空管制を実施する。E-767用のエスコートも2機のF-15Jが就いている。

 F-15Jは新型空対空ミサイル対応改修対応型で国内すべてのF-15Jが改修対応を受けている。

 

「各機こちらスカイエスコート1、索敵範囲にエネミーは見えず快晴。各機目標に向かい所定コースに入れ」「スカイボンバー101了解」「スカイボンバー201了解」「スカイキラー101了解」「スカイキラー201了解」各機は5機の小隊編成に別れ4方向から爆撃目標に向かう。


「スカイボンバー101より各機、機銃試射を始める、各自3発許可」

 途端に各機からボンボンボンと12.7mm対地用弾(炸裂弾)が発射された。曳光弾は5発に1発が混ぜられている。「スカイボンバー102完了。異常なし」「スカイボンバー103完了。異常なし」「スカイボンバー104完了。異常なし」「スカイボンバー105完了。異常なし」と全機から報告が隊長機に入る。

「諸君初戦ではあるが訓練通りやれば問題ない。緊張しすぎるな。解ったな」

「スカイボンバー102了解」「スカイボンバー103了解」と次々入る。

 隊長は全機異常がないことを視認しながら転舵準備に入る。

「スカイボンバー101より全機、目標上空に向かう方位4030.2523、高度2000メートルに転進用意、321。転進今」

 5機は隊長機を先頭に両サイドに2機の計5機陣形を維持しながら、綺麗に転進している。良く訓練されていた。


「スカイエスコート1からスカイボンバー101、お客さんは10キロ先だ武功を祈る」

「スカイボンバー101ありがとう、舞台に突入する」

 スカイボンバー101隊は帝国第3師団の左から回り込んで、後方の糧食隊とその食料を狙っていた。

「スカイボンバー101より小隊、アタック陣形」つづいて「アタック1、アタック2」と2発の22式500kg焼夷弾を投下した。陣形は3機が横一列で前方3機の間を後方2機が埋める必殺陣形である。


 スカイボンバー201隊は帝国第3師団の前方を爆撃して足止めする。

 スカイキラー101隊は左から、スカイキラー201隊は右から足止めした隊列を襲った。ほとんどの大砲が業火に包まれ、砲撃隊兵士の引く火薬が誘爆する。


 状況を確認したスカイボンバー101は「各小隊再攻撃」と短く伝え旋回する。

 再攻撃は火の手前で止まっている部隊に対し再攻撃するものである。各機から最後の22式500kg焼夷弾が投下される。これで帝国第3師団は全ての大砲と臼砲が炎上し、兵士は3万人程が燃えている。まさに業火である。


「スカイボンバー101から各小隊、帰投(RTB)する。つづけ」


 A-1軽爆撃機が巨大な3角陣形を形成して日本山に戻っていく。

 


 帝国陸軍第3師団参謀長のフルトハイムは馬車の中で喚いていた。

 虎の子の砲撃隊や攻城隊の火砲が燃えるどころか火薬にまで火が回り暴発で兵士が多数倒れていたが、火力が強くて助けに近寄れない。「なんだこれは、戦う前からこのざまはなんだ、あれが日本軍なのか、暗部からの報告は何もないではないか。戻ったら責任追及してやる」

「参謀長、師団長がお呼びです」と車手が伝える。

 無言でフルトハイムは馬車から降り、師団長の豪華な馬車に乗りこんだ。

 師団長はワインを飲みながら両サイドにはエルフが座っていた。

 むろん魔道通信用なのだが、この師団長ブルーム将軍には趣味と実益を兼ねた奴隷エルフであった。


「お前たち、臨時軍団総司令に連絡だ。我攻撃を受けたと、な。続けて予定どおり作戦を実行する。と伝えろ」


 フルトハイムはギクッとした。この状況で作戦どおりできるものかと。

「将軍、作戦どおり・・・ですか」


 通信を終えたエルフ達にどこからか声が聞こえてくる。魔道通信ではない強く優しい声だ。

「あなたたちの事は助けます。私たちハイエルフと自衛隊があなた方を見捨てはしません」とハイエルフ「マリア」の思念であった。近い。

「声を出してはいけません、指示するまでそこの兵士に従っていなさい。良いですね」と続けた。


 師団長付きエルフ二人は顔を合わせて「うん」と頷く。声は出していない。

 彼女たちの後ろの馬車も第1中隊から第5中隊所属の魔道通信エルフが乗っていた。

 各中隊に帯同させるのがセオリーなのだが、師団長ブルーム将軍の個人的趣味であった。


 日本山簡易飛行場に戻ったA-1軽爆撃機隊は22式特殊徹甲弾(フレシェット弾)を装備した。

 500kg爆弾の信管以外はタングステンの矢が入っている。その数1発にキャニスター4段で約800発、500m上空で爆発すれば半径1kmは矢の餌食となる。安価な範囲殲滅弾であった。


 タングステン弾は先端が重く、まるでダーツの矢のようになっている。


 これも自衛隊の秘匿兵器である。


 最近ようやく203mm自走りゅう弾砲用と99式自走155mmりゅう弾砲用の榴弾弾頭が完成したばかりだ。

 無論日本山の203mm自走りゅう弾砲と駐屯地分屯地の99式自走155mmりゅう弾砲に配られているが数は少ない。


「A-1軽爆撃隊再出撃」戻った時には準備はできていたから転換は早く、4機毎1機6分で飛び上がっていった。

 今回は補給の終わった順に戦場に向かい、あてがわれた目標に爆撃をする。5機編隊となり小隊編成で目標に向かっていく。再度E-767からの誘導がある。各小隊にF-15J、2機のエスコートが付く。


 爆撃隊隊長機でもあるスカイボンバー101隊から戦場に戻る。


 帝国兵士はまた火責めかと後方に逃げる。

「お前たち、豪華な馬車付近への投下は禁止だ、お嬢さんたちは無傷で回収するからな」

 スカイボンバー101隊全員の確認が終わり次第右旋回から高度2000mで爆弾をリリースする。

 22式特殊徹甲弾は高度500mで信管が爆発しキャニスターから矢をばら撒く仕組みであった。


 帝国師団は、各中隊が中隊順に行進していた。砲撃隊や攻城隊を押していた第1中隊の後方が第2中隊で、狭い森の道を縦列になって進んでいた。第4中隊の後方は幹部達でその後方を第5中隊、そして糧食隊である。


 帝国第3師団は前方の砲撃隊と攻城隊を焼かれ、後方の糧食隊も燃えていた。


 第1第2中隊の生き残りは進行方向左、つまり山麓方面に徒歩で移動していた。

 第3中隊が今度は狙われた、上空から音もなく矢が降り注いだのだ。


「うぎゃー」兵士の悲鳴が響き渡る。この1小隊5機の攻撃で第3中隊の半数がやられた。

 第3中隊は火で足止めされ固まっていたのが原因であった。続いて次の軽爆撃機小隊が22式特殊徹甲弾を次々と投下して行き、結果として第3中隊が全滅に近い損害を、続く第4中隊も60%の人員や荷馬車がやられ、戦闘能力は無いに等しかった。


 それでも師団長ブルーム将軍の伝令が走り、生き残りは第1中隊、第2中隊と合流しろと言う。

 そしてあのチロルの森の中を進めと、さすれば上空から狙われないとの伝令であった。


 師団長は馬車が森を抜けられないことを承知で、第1から第4中隊の生き残りに火を迂回させて敵居留地に向けて行進させた。もう敗残兵の行進である。

 師団長は火が治まるのを待って第5中隊と共に動き出すつもりであった。


 A-1軽爆撃隊は第5師団方面に向かっている。


 もう来ないと思った参謀長フルトハイムは馬車から降りて火の勢いを見ていた。

 すると突然異様な音があたりに響いていた。


 観測ヘリのOH-1である。師団長や第5中隊を見ている。


 その時、駐屯地から5機のAH-1Sが第5師団に向かってきた。

 AH-1Sコブラは20mm機関砲やハイドラ70ロケット弾ポッドからWDU-4A/Aを発射した。

 WDU-4A/Aは陸上自衛隊が使用していたハイドラ70用M261ロケットが子爆弾を内包する為に使用禁止としていた為、急遽在日米軍から新型WDU-4A/Aロケット弾を調達していた。これもフレシェット弾である。

 陸上自衛隊では対人ロケットのM261が使用禁止となったので米軍から対人ロケット弾の在庫を買い上げていたのだ、それがWDU-4A/Aロケット弾であっただけなのである。WDU-4A/Aロケット弾は200発の矢が内包され、空中信管により散布が可能である。


 師団長も参謀長も馬車を捨てて後方に走って逃げていた。


「さあ、あなた達今ですよ」突然前方からUH-1Jが空から降りてきて、エルフ達を乗せると飛び立っていった。

「助けられてよかった」とマリア。「ハイエルフ様」と言ったきりエルフ達は泣いていた。


 7人はやっと奴隷から解放されるのだった。UH-1Jの中でマリアも族長から授かった呪いの解放魔法を順番にかけて、7人の奴隷紋を消した。「これであなた方は自由です。さあ自衛隊駐屯地に向かいましょう」とマリア。


 魔道通信奴隷を全て無くした第3師団は、状況を臨時軍団総司令に送れなくなった。だがその逆も真なのだが帝国軍はいつ気づくのか。

ありがとうございました。

キーボードの反応がおかしいです。押したのに文字が出ないことがあります。買い替え時なのか・・・

誤字脱字チェックお願いします。Wordで校閲していますが精度がよくないもので・・それに文字も打ててないし・・トホ

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