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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
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第59話 東海事変2

第59話を投稿しました。

よろしくお願いします。

 陸上自衛隊第2師団長平沢陸将と、副団長の佐藤陸将補と幕僚長中野一等陸佐は師団長執務室で打ち合わせを行っていた。「「防衛省の命令書」を元に駐屯地と防御概要が出来ました」と幕僚長が書類を2人に差し出す。最初は防御陣地の地形図だ。

「五稜郭は知っているがこれはすごいな」

「ええ背部が日本山ですのでこれが効率的と思いまして構想しています。幕僚部でも意見が別れましたが決定的打撃を求めるならこれしかないと思います」

 具体的には8つの角が付いた斬新な駐屯地で、後部が日本山の国境検問所になっているので背後に回られない様に防御壁と鉄条柵にて登山口や山の斜面一帯を閉鎖している。

 挿絵(By みてみん)


 副師団長は「これなら効率的に防御出そうだな、特にどの方向から攻めてきても2方向以上での射撃が可能となるな」

「ええそれを一番に考えています」

「ところでこの壁沿いに巾20メートルにも及ぶ堀を作り水を流すそうだが、引く水は確保できるのかな」と平沢陸将が聞く。

「チロルの森に流れている川が少し遠いですがありますので大丈夫です。水量もあります」

「地元民の協力はどうか」と平沢陸将。

「ええ現地調査の時に村長と話をしていますが協力できるとの事です。なにしろ皇帝陛下のお墨付きですからね」

「確かにそのとおりだ」と一緒に平沢陸将は笑う。「帝国の墓穴にして見せようと思う」


「ええ援護もこれだけ配置していますので問題ないかと思います」「特に師団長が支援要請した航空隊は旧日本山検問所を改造して滑走路と駐機場に弾薬庫を作ります」


「特科はこの位置だな」

「ええ、駐屯地から5kmの距離です」と駐屯地と同様な8角形の陣地構成となる。


「特科の防御はどの様に考えている。戦車中隊と高射群を「ドーザ大森林三角州国境検問所」から呼び戻して、戦車大隊と高射大隊を構成して、駐屯地と分屯地の両方を守らせます」


「また、第3普通科連隊だけでは荷が重いので、第25普通科連隊、第26普通科連隊も共同で対処に当たります」「第25普通科連隊が管理している「ドーザ大森林三角州国境検問所」は第11旅団の第18普通科連隊と第11戦車隊、第11特科隊、第11高射特科隊に任せます」


「彼らは道内警備だけだったから良い機会ではある」

「戦闘になれば、大森林北部を守る第5旅団から第27普通科連隊と第5戦車隊第3戦車中隊が駆けつける事になっております」


「それは心強い」


「他には北部方面隊より第52普通科連隊と第1特科団が来ます。特にMV22の2機は当面第2師団専用になります」

「北部方面隊第1特科団第1特科群は日本山山頂の旧迫撃砲陣地にてM110 203mm自走榴弾砲とMLRSを展開します」


「それで第2師団全ての特科が麓に展開できるのだな」

「ええその通りです」「防御一方とは言え強力な守備力となります」


「2段構えの特科か考えたくもないな」

「そのとおりです。なにも知らずに突っ込んでくる帝国兵士が少しかわいそうではあります」


「そして日本山山頂飛行場から最新のA-1軽爆撃機を20機配備承認されています」

「例のプロペラ機だな、戦力として大丈夫なのか、プロペラと聞いただけで不安があるのだが」

「分析しました所、対兵士なら大丈夫です。最新の22式焼夷弾と22式フレシェット弾も開発して納品されるそうです」

「今どき、プロペラ機とフレシェット弾に焼夷弾か、第二次世界大戦初期の有様だな」

「ええ同感ではありますが、人海戦術を得意とする帝国には有効な手段です」


「それに、このA-1軽爆撃機はアメリカが2021年から導入した「A-29」を手本として作られましたので航続距離はフル装備で3千キロと上昇限界1万メートルに兵装重量2千キロを実現して距離8百メートルで飛び立てるそうです。しかも、5つの兵器ポッド(ハードポイント)があり2つに空対空ミサイルを搭載するので、残り3つに爆装できます」

「そして防衛設備庁の航空装備研究所での試作として、F-35の25ミリ機関砲ポッドを参考に12.7ミリ機銃を入れてガンカメラ連動させることが可能とか、対兵士用のガンシップとしても機能します」


「まさか斜度機銃と言っていたあれか」

「そうです」

「羽の下から斜め下を撃つとか、装備庁も良く考えるな」

「頼もしい限りです。敵なら嫌ですが」と副師団長も相槌をいれる。


「工事には北部方面隊の第3施設団が全面的に協力して頂ける予定です」

「3個施設大隊に当師団の第2施設大隊かすごいな」

「ええ、堀に水を引く予定もありますから4個施設大隊で突貫工事を行います」

「完成時期はどの程度見れば良いのか」と師団長。

「はい、基礎から初めて2ヶ月で完成です」


「また随分早いな」


「ええ4個施設大隊ですから、それに日本山から麓のチロル地方まで重量物運搬道路を作りましたから重機が入れます」

「そうだった。2回目の攻撃の後だったな、第3普通科連隊には苦労をかけた」


「師団長、直接隊員にお願いします」

「よしわかった。工事前に陣中見舞いをしよう」


 とチロル地方の防衛に関する会議は楽観的見通しも含めて終えるのだった。


 一方アトラム王国第2艦隊とフルトヘイグ3世は謎の部隊から攻撃を受けて、旗艦『エコーリア2世』が大破していた。旗艦を第2艦隊の元の旗艦「ドルストイ」に戻し、損傷した船を置いて命令に従うべく航海を続けていた。

「フルトヘイグ司令、もうあの飛ぶ機械は来ないとお思いですか?」

「いや判らんぞ、簡単に砲艦2隻に空母3隻を失い、最大戦力である旗艦『エコーリア2世』が大破する程だ」「これで終わりとは言えないだろう」


 そのとおりである。防衛省ではスルホン帝国とアトラム王国に対しては強大な打撃を加え、再度日本に武力が向かう事を食い止めようとしていた。その為にはどんな相手だろうと白旗を上げるまで手を緩めることは無かった。


 再度の攻撃が、百里基地からのF-2とF-4EJ改に下命された。

 また浜松航空基地の航空教育集団直轄の第1航空団にも下命された。通常第1航空団にはT-4練習機のみの配属なのだが、先の冒険者達の黒船騒動のおり、太平洋側の防衛拠点として松島基地のF-2Aが浜松航空基地に転進しており、松島基地の第4航空団第21飛行隊の一部がF-2A(練習機)を持って第1航空団に合流していたのだ。

 F-2の習熟訓練は浜松基地にて行う事となった。これは転移後の日本地形が関係しており、松島基地よりは浜松基地の方が東側から飛来するブルードラゴン等の敵に対処できるためであった。

 F-2Aに教官達が乗り込み、対艦装備にて4機が飛び立つ。


 E-767は全ての航空機管制を行う。厚木基地から上がった海上自衛隊のP-3Cも誘導を行う。


 前回の会敵結果を分析して、砲艦と空母が一番の脅威であり、他の支援駆逐艦(対空駆逐艦)については艦船への打撃は小さい物として、護衛艦等の砲撃で対処が決まった。


 護衛艦が会敵までまだ14時間もある。

 航空機による撃破で、大型艦を減らすことに決定した。


 百里基地のF-2とF-4EJ改各2機と浜松基地からのF-2Aが4機、計22基の93式空対艦誘導弾を持ってアトラム王国第2艦隊に向かって行った。


 厚木基地を飛び立ったP-3Cが4機、先にアトラム王国第2艦隊と会敵をする様だ。8基のAGM-84Jハープーンが獲物を探す。

 E-767により目標は300m級砲艦4隻となった。一斉にミサイルを放出して厚木基地にP-3Cは引き返す、ハープーンはGPS誘導により目標艦に向かいそれぞれの喫水を狙い誘爆させた。この艦も横転して水蒸気爆発を起こす。乗組員などは海に放り出され、必死で船から離れようとする。引きずり込まれたら生きてはいられないからだ。


 アトラム王国第2艦隊の陣形は300m級砲艦44隻、ワイバーン空母200m級が2隻、100m級の対ワイバーン用の対空駆逐艦は100隻全て健在であった。


 次には浜松基地のF-2Aが4機120kmに接近している。

 E-767より空母全艦と300m級砲艦を6艦割り振られる。


 距離100kmにて第1射の93式空対艦誘導弾が8発放出される。

 空母2艦と砲艦2艦である、空母は2発を受けて後部から垂直になり轟沈している、砲艦は誘爆を起こしそのまま爆発して2つに折れ、前後ともに沈んでいく、乗組員に助かる者はいないだろう。

 つづいてF-2Aが第2射に入る。今度は全て300m級砲艦が対象となった。


 旋回し再び100kmの距離から第2射を行う、300m級砲艦4艦に8発の空対艦ミサイルが飛んでいった。これもGPS誘導なので撃ちっぱなしでF-2Aは浜松基地に帰投する。


 3艦は横転して水蒸気爆発により二つに折れ沈んだが、1艦は誘爆が艦全体に起こり、上部構造物を全て爆発させて黒煙を吐いて火災を起こし、海を漂っている。

 つづいて百里基地の後続隊が襲い掛かる。


 F-2とF-4EJ改各2機に与えられた目標は300m級砲艦である。

 各6発の93式空対艦誘導弾が撃ちだされ砲艦2艦が轟沈に2艦が1発を受け誘爆している。

 再アプローチを行い、残り2艦とF-4EJ改は1発を当てた艦に狙いを付けて再度放つ。


 2艦は誘爆して横倒しとなった。1発当てた砲艦は誘爆を起こして速度が止まりかけていたが再度の攻撃で横倒しになった。これで残りは300m級砲艦30隻、ワイバーン空母200m級が0隻、100m級の対ワイバーン用の対空駆逐艦は100隻となる。

 第2艦隊の元の旗艦「ドルストイ」も沈められ、フルトヘイグ3世も上部構造が誘爆により吹き飛び即死していた。


 残った第2艦隊は密集体形を取り、慎重に進んで行く。


 航空自衛隊に攻撃中止命令がでた。ただしE-767は引き続き三次元レーダーによる管制を命令されている。


 海上自衛隊が会敵ポイントに到着した様だ。

 横須賀を母港として、司令本部がある第1護衛隊群の第1護衛隊と第2護衛隊群の第6護衛隊と地方艦隊の第11護衛隊の計11艦が対処の為に緊急で出港していた。


 第2艦隊の船足が遅くなった影響もあり、先に会敵ポイントに到着してE-767からのデータリンクにより状況分析を実施していた。

 11艦の内容は第1護衛隊DDH-183「いずも」、DDG-171「はたかぜ」、DD-101「むらさめ」、DD-107「いかづち」に第2護衛隊群の第6護衛隊-174「きりしま」、DD-110「たかなみ」、DD-111「おおなみ」、DD-116「てるづき」に加え、地方艦隊の第11護衛隊DD-152「やまぎり」、DD-153「ゆうぎり」、DD-154「あまぎり」の計11艦である。


 62口径76mm単装速射砲を乗せる地方艦隊を引き連れてきた理由は砲弾径が小さくても速射できる艦で駆逐艦を沈める為であった。「やまぎり」などのオートメラーラ76mm砲は1分間に85発もの射撃が可能である。

 余談だが「やまぎり」は初の女性艦長が生れた艦でもある。現在は第25代艦長として同じく女性3代目艦長が指揮を執る。

 全て横須賀が母港の護衛艦が勢ぞろいした。


 各艦は旗艦「いずも」の指令によりRGM-84 ハープーンや90式艦対艦誘導弾を準備して、E-767からのデータより「いずも」が戦術情報処理装置に次々と各艦の割り当てを入力していく、距離はまだ180kmもある、全艦速度を落として会敵ポイントにて待機して、待ち伏せをする。

 敵艦の進みが遅く感じられる。緊張の時間だ。


 その時海上幕僚監部より入電。

「艦対艦ミサイルにより300メートル砲艦撃滅の後は帰投せよ」と受け取った。

 旗艦「いずも」に乗り込んでいた第1護衛隊群の艦隊司令南(みなみ)海将補と主席幕僚の吉田一等海佐は顔を見合わせた。「なんだこの指令は、きっちり片づけるつもりなのに、どう思う?」と艦隊司令が言う。

「多分ですが、潜水艦隊の訓練をするのでないかと思います」と主席幕僚。

「なる程、実戦は何よりの訓練だからな」と納得した。

「ならばやる事は一つだ、敵砲艦が全て沈むまで艦対艦ミサイルを撃て」

「了解しました。残り20キロです。敵距離100キロにて一斉に攻撃します」

「かまわん、やってくれ」

「では少し前進します」と言って速度を上げ自ら距離100kmになるようにした。

「会敵ポイントです、全艦合戦準備よし」

「では全艦攻撃開始」司令の命令が全艦に無線で伝えられる。

 各艦は指定艦をマークして脅威判定が高い物から自動的にミサイル射撃していく。対艦ミサイルがセルや筒から放出されて100km先の敵に飛んでいく。


 壮大な眺めだ。


 全艦から艦対艦ミサイルが合計60基も飛んでいく、4発発射管などでミサイル補給が間に合わない艦は最新のセル発射方式艦に全ミサイル発射後足りない分を補ってもらう。相手からの反撃もなく、いや相手に見つかる事なく、これだけの攻撃は大南島海戦以来であった。


「司令報告です。横須賀基地より第2潜水隊SS-592「うずしお」SS-595「なるしお」SS-597「たかしお」に、第4潜水隊SS-505「ずいりゅう」SS-598「やえしお」SS-599「せとしお」の6艦が出港しているとの情報です」

「すごいな、一度にそんな沢山の潜水艦を見る機会はないぞ、あっ見えないか」と二人で笑う。

ありがとうございました。

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