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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
58/251

第56話 神々の洞窟3

第56話を投稿します。


なにか危険な匂いがします。

 冒険者ミソラ・ロレンシアが言う「神々の洞窟」では戦闘が起きてしまった。

 ミソラは良くしてくれた日本に対して申し訳ない気持ちでいっぱいであった。

 だが、スルホン帝国とアトラム王国は戦争中であるので、なぜこのような事をしたのかは、貴族の娘としては理解できる。だが心では納得し切れていなかった。


 ここはまだ古代の遺跡の麓の広場である。

 第2偵察隊隊員は73式中型トラック2台でピストン輸送して、洞窟内から遺体を麓まで運んで木組みに遺体を乗せて火葬しようと奮闘していた。

 捕虜は52名だけなので、「ドーザ大森林三角州国境検問所」に無線で連絡して、(新)73式大型トラック(通称大トラ)を3台派遣してもらい、捕虜を分乗させ床に座らせ後部を第2偵察隊隊員2名で守って「ドーザ大森林三角州国境検問所」まで送り届けた。どうやら兵士達に魔法を使えるものはいなく、後日聞いたところによると「魔導士」などの職業の者が魔法を専門的に使うとの事、一般兵では魔法を見る事はあっても使う事はないそうだ。聞き取りをした第25普通科連隊長は「そんなものなのだな」と呟いた。


 麓の広場では何とか火葬の準備が終わり、ガソリンを撒いて火をつけた。


 広場の隅にはアトラム王国の最新戦車が12台並んでいるが、全て砲塔が誘爆にて壊れていた。幸い車体前部にも狭いが脱出用ハッチがあり、そこから中の遺体を取り出していた。

 遺体は全部で68体もあり、特に戦車隊隊員は全ての戦車隊員が遺体となった。


「それにしてもアトラム王国戦車は簡単に誘爆しすぎだろう」と戦車から遺体を引き出している第2偵察隊隊員が愚痴をこぼす。

「いや第二次世界大戦の日本軍の戦車も同じような物だったらしいぞ」「そうそう動く棺桶とか聞いた事がある」「そんな危険な物に乗るのも大変だな」「そうだな」

「お前達喋る暇があるならもっと気合い入れて遺体を集めろ!」と遺体集めを指揮している第1小隊曹長の激が飛ぶ。


 洞窟内では「ナナ」と「レイナ」がいろいろ見ていた。

「ハイエルフの伝説だと思っていたけど実際にあるなんて驚きだわ」

「そうね、私たちでは呪文さえ忘れかけていたしね」

「族長はほんとに物知りですね」

「うふふ、そうね」と族長の娘である「ナナ」と「レイナ」が喋りながら改めて洞窟をみて回る。

 

 ミソラが洞窟に来た。

「あっナナさんレイナさん、すいませんこんな事になって」

「いいのよミソラさん、私たちも横浜で軍属が紛れ込んでいるのを発見したけど、今日まで泳がせましたからね。気にしないで」

「そんな前に判っていたのですか、先ほどの思念を受けてからハイエルフ様ではないかと思っていましたが、やはりハイエルフ様ですよね」

 ナナとレイナは顔を見合わせて笑いながら、「「ハイエルフですよ」日本の為に協力しつつ、大学で勉強しています」と言う。

「アトラム王国で大学と言えば、選ばれた国民が行くものですからお二人とも優秀なのですね」

「ミソラさんそれは違うのですよ、この日本では試験さえ受けて合格すれば誰でも大学に行けるのですよ」

「そんな事が・・・日本てすごい国ですね」

「因みに私たちはAO入学ですから筆記試験も受けていませんけど」と笑う。

「特殊能力があれば入学できますよ」

「特殊能力ですか」

「ええそのかわりに時々日本政府に協力しているのです」

「そうですよ、「ひなた」なんか大学にも行かずにアイドルしていますから」

「アイドルってなんですか」

「元の意味は「偶像」「崇拝される人や物」などと言われているけど、要はファンがたくさんついている人と言う意味でいいと思うわ。それに「ひなた」も楽しそうだしね」


 ヒナタは「ひなた」としてアイドルデビューしていた。歌声に少し思念を乗せてたちまちファンを作り、親衛隊まで作ってしまった。暴漢が向かってきても「ひなた」だけで立ち向かえるのにである。

「ひなた」はファンにとっては文字通り「神様」であり、実年齢は146歳なのにみんなは16歳程度と思っている。ずるくないか。ハイエルフのアイドルは日本のトップアイドルになっていた。


「ミソラさんこの洞窟どう思いますか」

「ええ戦闘が起きる前に仲間と言っていたのですが、やはりアトラム王国にある「神々の洞窟」と同じ作りに模様だなと思います」

「実は王都で冒険者をしていた頃に「神々の洞窟」付近に魔物が湧いて討伐に参加したのです」

「その時洞窟を見ています。ここの模様はそっくりです」と指さした。


「私たちもハイエルフの言い伝えで残っている程度ですから忘れていました」

「ここは神々の通路として作られたと神話にあるけど、本当にそれだけなのかな」とレイナが意味深な事を言う。「私もそれ思っていました」とミソラも同意する。

「けど開閉と破壊の呪文しかハイエルフには残っていないのでわかりません」とナナ。

「破壊したのですか」とミソラが聞く。

「ええ、残しておいても争いの種になりますからね」「日本政府からも永遠に閉鎖して欲しいと依頼がありました」とナナとレイナが言う。

「そうですか、少し残念です」とミソラが言う。「アトラム王国の神話では神々の武器があると言われていますがアトラム王国側はいくら調べてもなにも見つかっていません」

「ここに何かあるのではと思っていたのですが、ほとんどアトラム王国と同じ作りですからがっかりです」

 ミソラは戦闘後初めての笑顔を見せた。


「そんな事よりお腹すいた」とレイナが言う。


「では戻りましょうか」とナナが言い、出口に向かって行く。


 麓で仕事していた顔見知りの第2偵察隊第1偵察小隊の小隊長がナナを見つけて言った。

「ナナさんレイナさん、族長さんから伝言です。東京は楽しいところとは思うが、ハイエルフの里にも顔を出しなさい」と言う事らしい。

「やべっ」「見つかったか」とナナとレイナは言う。乱暴である。


「帰りは「宗谷特別行政空港」からの航空券を用意しているそうで、帰りは第2師団師団長の平沢陸将に会って航空券を貰ってください」「いまは前回と違ってハイエルフの里の近くに師団の駐屯地がありますよ。送りますから声をかけてください」

「はーい」とナナとレイナが返事をする。「夕食は平沢陸将からジンギスカンが届いていますよ」

「やったー」とレイナが踊り出す。ナナは「子供だな」と思う。あまり年に違いはないのだが。


「ミソラさんとお仲間にはお聞きしたいことがありますので、しばらくこちらと一緒に行動をお願いします」「痛い事や危険な事はしませんので大丈夫です」と第1偵察小隊長。

「わかりました」とミソラ。

 仲間の冒険者もすまない気持ちがあるのか、第2偵察隊を手伝っていた。




「では皆さん「ドーザ大森林三角州国境検問所」に送り届けますから集まってください」と第1偵察小隊長が号令をかける。やがて冒険者にミソラとナナ、レイナが集まり73式中型トラックの荷台に上がり込み座った。冒険者から「あのーハイエルフ様ですか」とナナが聞かれる。

「そうよ」と言いナナはニッコリ微笑む。こわいぞ。


「女神様と会えた。これだけでも戻ってから話に困らない」と冒険者は言う。

「うふふ、可愛くて綺麗だったと宣伝してくださいね」などと言う。横でレイナは呆れていた。

 そんな冗談を言っている暇もなく、「ドーザ大森林三角州国境検問所」に到着した。

「お腹すいた、みんなで食堂に行きましょうね。いいでしょ小隊長」「そうですね我々は連れて戻ってくることが任務ですから、大丈夫と思います。連隊本部には報告しておきますからお食事行ってください」と小隊長も言う。

「やったー」とレイナが言い。「皆さんこっちですよ」と検問所内をレイナが先頭で移動していく。

 本日のメニューは「ドーザ大森林三角州国境検問所」名物のカレーである。

「おじさんジンギスカンのっけてね」とレイナが注文する。「はいよレイナさん」声でレイナとわかったようだ。糧食班長は手際よく平沢陸将差し入れのジンギスカンを焼いてカレーにのせた。

 うまそうだ。


 ハイエルフがだんだん我が儘になっているのは良いのか。


 ミソラ達冒険者もカレーを始めて食べた。「うまい」「これを持って帰れないのかな」などと言う。

「これはお土産としては最適よね」とミソラは言う。

 ミソラ達冒険者のカレーにもジンギスカンがのっている特製だ。


 連隊長が食堂に来た。「おっナナさん美味そうですね、うちの糧食班長のカレーは陸上自衛隊で一番ですよ」などと褒める。

「ええ、学食や外務省とは比べ物にならないくらいおいしいです」とナナが言う。糧食班長は聞いてて小さくガッツポーズをする。うれしい様だ。


 連隊長が言う「ナナさんとレイナさんは今日国境検問所にお泊りください。明日朝族長さんまで送らせますから」「はーい」とレイナ。


「それからミソラさん冒険者の皆さんはお聞きしたいことがあるので、朝から質問をしますね」

「大丈夫ですよ、夕方までにはお返しします」


「はっはい」とミソラが代表で返事をする。

 突然冒険者仲間の一人が大陸語で糧食班長に聞く、「このカレーと言うのはお土産として買えますか?」

 ナナが代わりに答える「日本のお店でカレー粉は買えますよ。ただしこの味を出すには糧食班長の秘伝の技が必要ですけどね」と糧食班長に嬉しい事を言う。

 冒険者達はカレー粉を買おうと思っている。


 翌朝、ナナとレイナは「ハイエルフの里」に車で送ってもらった。

 ミソラ達は間諜との関係を何度も聞かれたが、「神々の洞窟」に向かう為の募集だと全員が答えたので御咎めなしとなった。

 もちろん横浜で黒船に残っている間諜の仲間5名は海上保安庁に捕らえられていた。

 捕らえられた事で仲間は作戦が失敗した事を悟った。


 ナナとレイナは「ハイエルフの里」で族長と会っていた。

(そなた達 かわりはないか)と思念で会話する。

(はい族長さま、日本は私たちに良くして頂いています)

(族長さまは御変りございませんか)

(きわめて我々も良くしてもらっている)

(族長さま、この前新宿のデパートでハイエルフ果物と言うのを見ました)

(うむ、日本は高値で買い取ってくれるから生活に困ることは無いぞ)

(ええ、私たちの小遣いでは手が出ない値段でした)

(そうであろう、ここから冷蔵で日本まで運んでいるのだ、日本はすごいな)

(ええ我々も大学で学ばせて頂いてそう思います)

(ならよかった)

(今回の件ありがとうございます)

(あの呪文はハイエルフでも限られた者しか知らないから、そなた達が知らなくて当然)

(はいありがとうございました)


(ところで族長様、いっしょの冒険者が通路には他に武器が隠されていると聞きました)

(あれの事かな・・・そなたたちは知らなくて良い、知っていると危険だからな)

(あるのですね)


(あるとは言えない、伝説だけだからな、神々が作った悪魔を退治する武器と伝わっている)

(しかもその見つかった洞窟だけでは何もできない、別の洞窟で起動すると思いのままに動く機械が各洞窟から現れると古い言い伝えにある)(しかもその洞窟は見つかっていないと思う)


(そうなのですね)

(そうだハイエルフの古い言い伝えで、私でもその場所は知らない)

(私たちは聞かなかったことにします)

(それが良い、ゆっくりしていきなさい)

(そのー神々の雫を食べたいです)


(そんなことか、農園に行けば食べきれないほどあるぞ、行きなさい)

(はーい、族長様ありがとうございます)


 と何やら危険な話がされた様だ。ハイエルフは本当に神の末裔なのか。

ありがとうございました。

「ひなた」はアイドルとしてやっていくのでしょうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 中盤に 「はーい」とナナとレイナが返事をする。「夕食は平沢陸将からジンギスカンが届いていますよ」 「やったー」とレイナが踊り出す。ナナは「子供だな」と思う。あまり年に違いはないのだが。 …
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