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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
55/251

第53話 冒険者ミソラ・ロレンシア4(改)

第53話を投稿します。

軍事力のデモストレーションです。

おっ「みてみん」の不安定が改善されたようです。


 次に軍事プレゼンスの日時が決まった、日本見学の1週間後だ。


 また冒険者と船乗りは7台のバスに分乗して東名高速を御殿場で降りて陸上自衛隊 東富士演習場のある富士駐屯地に入った。季節は一応冬であるので富士総合火力演習の観覧席は無い。

 急遽300名の冒険者達の為に座れる場所を作り、アナウンスは大陸語で行った。

 中には大陸語がダメな者もいたが、周りがアトラム王国公用語で通訳した。


 最初は入間基地から飛び立つC-1輸送機による空挺団降下であった、普段は習志野駐屯地にいる第1空挺団から第3大隊の第7中隊が降下訓練を実施する。今回は大隊長も隊員と一緒に飛び降り空挺団訓練検閲を兼ねるとの事。北東の空からC-1輸送機が3機、空挺隊員各45名を乗せて飛んできた。

 冒険者達の目の前で降下が開始された。空挺団は35歳までに転属先を決めなければならない。そう空挺団にいられるのは36歳未満なのだ、大抵の隊員は元隊に復帰する。階級も上がり元隊では神様扱いされる。だが稀に退団するものもいる。空挺団出身者は民間企業から大人気である。

 今回はC-1輸送機からの中空飛び出し中空開花である。C-1輸送機の両扉から45名の隊員が次々と飛び出して行く。空に次々と13式空挺傘が開き、見ていると早い速度で地上に達する。

 今回は降下訓練検閲であるから装備は少ない。普段の訓練では100kg近い装備を持って飛び降りる隊員なのだが、今回は兵器類と弾薬類のみである。降下し終えた隊員はパラシュートを仕舞い即座に戦闘態勢に移行していく。大隊長が最後に飛び降り大隊本部要員と共に最新のMC-4傘で降下してくる。13式空挺傘は元来の丸形なのに対して、MC-4傘は民間のパラシュートなどで使われる長方形の中に空気が入り滑空できるタイプである。着地地点コントロール性が抜群に良い。少しずるい。


 同じく入間基地から先に飛び立った、CH-47JAチヌークが5機飛来して、後部ドアから高機動車とけん引された120mm迫撃砲 RTと空挺特科大隊の第1中隊が降りて展開を始めた。

 空挺中隊は前方に展開し、的に向かって89式5.56mm小銃や5.56mm機関銃 MINIMIを撃ち特科隊の時間稼ぎをする。突然アナウンスが「右前方より敵戦車が2両接近中」と流れた。

 空挺隊員は慌ただしく01式軽対戦車誘導弾を用意し同時に4発を敵がいると仮定した方向に撃ちだす。

 やがて5台の120mm迫撃砲 RTの準備が出来、号令により一斉攻撃に入った。前方の山が連続で爆発する。

 冒険者達は呆然としている。空から人が降ってきて目の前の敵を撃っている。しかも変な二枚の回転する何かの乗物らしき物から車が吐き出され、大砲を撃っていた。しかも歩兵が火の矢を4本撃ち物凄く遠い的に命中させている。

 そんな冒険者達がひと声も発せないまま、73式大型トラックと96式指揮通信車が来て隊員と大隊長と中隊長達を乗せて通り過ぎて行った。あっと言う間だった。


「次は戦車隊による砲撃訓練です」とアナウンスが入る。

 戦車群のお披露目である。10式、90式、74式が隊列を組んで進行し、号令により一斉に転舵して的に向かい火砲を放つ。全て命中した。冒険者達はため息が漏れた。

 冒険者の中でもアトラム王国で戦車を見た物がいたが、あまりの大きさと速さに比較にならないほどだった。アトラム王国でも戦車を開発していたがそれは小型の戦車であり、第二次世界大戦初期に現れた軽戦車の様な物であった。実際にアトラム王国戦車を見た者へ写真を見せて何に似ているか聞いたところ、日本陸軍の九五式軽戦車に似ているらしい。

 九五式軽戦車は九四式三十七粍戦車砲と37mm砲であるらしいが、アトラム王国では最新の30mm砲を積んでいるらしい。火薬が悪いのか知らないが射程は2km程度でただ鉄の弾頭が飛ぶらしい。爆発もしないらしい、対人では意味が無いようにも思えた。

挿絵(By みてみん)

(フリー素材館 ゆーき様より素材をお借りしました 感謝 九五式軽戦車)


 アトラム王国戦車より大きく早く大砲も大きい。こんな代物始めて見た。

 他の大きな戦車は撃ってから直ぐに退避して視界から消えたが、目の前の10式戦車2両は砲塔を目標に向けたまま車体は回転しており、その状況の中で的に目掛けて撃ち命中させた。

「あれは魔道誘導だよな、きっとそうだよな」と冒険者の声が漏れる。


「次は大砲などの特科による砲撃実演です」と流れる。

 最初は96式多目的誘導弾システムのデモである。小さな車体が目の前に来て後ろが次第にせり上がり、対戦車ミサイルが飛ぶのを始めて見た冒険者は「火の槍が飛ぶ」と言って「これは何という魔法だ」と聞いて来た。大騒ぎだ。

 次に99式自走155mmりゅう弾砲に155mmりゅう弾砲が補助動力で自走して展開し砲撃をしていた。

 その轟音に冒険者達は震えあがった。しかもかなり先に正確に着弾している、これも「魔道誘導ですよね。それにしても、すごい距離を飛びますね」と言っていた。いちいち否定するのも煩わしくなってきた。


 次に歩兵隊(普通科)のデモストレーションだ、89式装甲戦闘車を先頭に96式装輪装甲車が4両出てきて、的を向いたと同時に後部扉から隊員が飛び出し、的に対し伏せ体制と89式装甲戦闘車の90口径35mm機関砲KDEと96式装輪装甲車の上部に取り付けられた12.7mm重機関銃M2が4両から的に向かい撃ちだされた。

 昼間であるが12.7mm重機関銃M2は全て曳光弾にしているので、弾道が見やすくなっている。

 一斉射撃に冒険者達は何度目かの震えが走る。自分達に向けられてはいないが自分たちが撃たれているような錯覚に陥る。


「次はヘリボーン実演です」とアナウンスだけが現実に戻してくれる。

 UH-60JAが北西から飛んできて後部の扉から4本のロープが垂らされ4名の隊員がロープを滑り降りてきて、すぐに伏せ体形で目標を実弾で撃ち始めた。これには冒険者達も一番驚いていた。

 これは戦地で背後から襲われるからだ、油断できないと思う。

 先ほどの96式装輪装甲車が来て隊員を乗せて走り去った。


 その後百里基地の第301飛行隊からF-4EJ改が2機飛来して吊り下げていたGBU-12ペイブウェイ精密誘導爆弾を2発目標に向かって投下した。高度2千mから何が起こったか判らないうちに標的が爆発した。その轟音に強者の冒険者達も震え上がった。


 そして16式機動戦闘車と再び10式戦車による連携撃滅デモがなされた、5台の10式戦車と3台の16式機動戦闘車が左右の方向から隊列を組んで進み、突然一斉に転舵して目標を砲撃した。その後16式と10式戦車のスラローム射撃では砲塔が目標に固定されて車体とは別物の動きをするのを見て冒険者達は絶望を感じるのであった。一通りのデモは終了となった。

 さっきの冒険者が「あれは魔道誘導だよな、きっとそうだよな」と同じことを繰り返し言う。


 冒険者一行は富士駐屯地の講堂に移動して質疑応答をする。富士駐屯地は陸上自衛隊の普通科、特科及び機甲科養成学校であり、大きな講堂があるが300名を想定していないのでギュウギュウである。一部立っている者や階段に座っている者がいる。


 冒険者から真っ先に出た質問は一体どのくらい兵器があるかという事だ、日本地図を出して「機密事項ではあるがこの地を敵から守れる程あります」と答える。


 次にはどのくらい飛ばせるかと言う質問だ、元軍人の冒険者が興味津々で聞く。

「先ほど見て頂いた大型の砲では(多分155mmりゅう弾砲の事だと思う)約20キロ飛ばせます」本当は30kmまで飛ばせるのだが適当に誤魔化す。

 何人いるのかの質問には「陸上自衛隊で15万人くらいです」と答え、89式5.56mm小銃の模擬銃を見せて「この小銃を隊員全員が持っています。もちろん支援火器として大型の機銃などもあります」と言って模擬銃を冒険者達に渡して見てもらった。本物と同じ重量で作ってある模擬銃である。

 冒険者達は珍しそうに手に取っていろいろ動かし見ていた。

「はい質問です。この銃と言う物はどの程度飛びますか」

「ええこちらの89式5.56ミリ小銃は有効射程で5百メートルと言われていますが、3百メートルなら訓練された歩兵は外さないでしょう」

「盾は有効ですか」

「後ほどお答えします」


「例えば戦車などが来た場合はあの火の槍で対応するのか」と質問が出た。

「ええ、あれは対戦車用の特別なミサ・・・火の槍です。目標にされた戦車は逃げられません」

 一同から「おおお・・・」とどよめきが起きた。

 なぜならアトラム王国での戦車は最新の兵器であり対歩兵の切り札なので、その歩兵が戦車を撃退できること自体、いや戦車の対処方法があること自体にアトラム王国は大問題なのであった。


「アトラム王国と戦うのか」と言う質問が出た。

「アトラム王国が日本の安全を脅かすなら戦います」ときっぱり答えた。

「ならスルホン帝国とは戦いますか」と質問が出た。


「実はスルホン帝国とはもう戦っています。帝国陸軍20万と我々陸上自衛隊が戦いスルホン帝国陸上軍は排除しました。海の上でも海上自衛隊がスルホン帝国第3艦隊と戦い、その大型艦を殆ど沈めています」と説明する。

「自衛隊の損害はあったのですか」と質問される。「陸上戦ではスルホン帝国の20万人に対し2,412名を捕虜にしました。我々の被害は死亡1名です」

「先ほどの盾の話ですが、スルホン帝国兵士の持つ盾は小銃の弾を通しましたね」

「なのでこちらの犠牲は少ないのです」


「海戦では相手が見えない位置から対艦長距離ミサイル・・・船専用の火の槍を投げて1隻につき1発で沈めました」「おおおお」と船乗りからどよめきがあがった。


「もしそうだとしたら、我々が助かるすべがない」と元海軍の船乗りが嘆く。

「いや陸上もそうだ、あんな物が20キロ先から飛んで来たら、なにが起こったか知らない内に死んでいる」

「そうだ、たとえ戦車を盾にしても戦車が真っ先にやられるぞ、隠れる物がない」

「そんな事より船だ、相手が見えるから砲撃出来るのだぞ、相手が見えなければ砲撃は出来ない」と元海軍上がりの船乗りが言う。

「でも地上も相手なんて見えないだろう。そんな相手まで行きつく前に全滅するはずだ」

「おぃ、スルホン帝国陸上軍は最強だと聞いているぞ、なのにたった一人の犠牲で相手が全滅とかありえないだろう」と軍人上がりの冒険者が言う。

「いや、さっきの見ただろう、あれが向かってくるなら全滅もあり得るのではないのか」


「みなさんお静かに、他にご質問はありますか」


「あの傘みたいなもので空から人が降りてきましたが何人位いるのですか」

「はい第1空挺団は相手の後ろに降下して補給隊を全滅させたり、例えば相手の王都に降下して王都と王族を捕虜にしたりと日本でも最優秀の部隊です。その人数は公表できませんが本日のデモをした中隊が5つ以上あると思ってください」

「おお、後方の食料部隊がやられると前線の部隊も全滅する」と元軍人冒険者が嘆く。

「王都が占領されれば戦争は敗北で終わる」と冒険者が喚く。


「今日は見ていないですが海軍はどの位ですか」と船乗りが聞く。

「艦艇は戦闘艦が50艦位ですね、他にも秘密の部隊があります」

「ひみつの部隊ってなんですか」

「はっきりとは言えませんが、海中を進む部隊です。今のあなた方には探知できないと思います」

「そんな部隊が・・・海獣ではないか」とざわめき出した。


「その他にあなた方も見たと思いますが、空を飛ぶ機械が多数あります。本日はF-4EJ改と言うもう50年以上も使っている戦闘機でしたが、ドラゴン程度はF-4EJ改で十分対応できます」

「ブルードラゴンには少々手を焼きますけどね」

「おおおお、ドラゴンも退治できるのか」

 これに一番反応したのはミソラ・ロレンシアと仲間たちだ。

「そそそ、それはこの国にもドラゴンが来たという事ですか」とミソラが質問する。

「ええ2匹のドラゴンと2匹のブルードラゴンを退治しました。最初は犠牲がでましたが。2度目はすんなりと撃退できましたね」

「ぶぶ、ブルードラゴンもですか!」「ええ最初は相手の力を知らないので犠牲はでましたが、次来たら犠牲者を出さずに撃退できますよ」

 ミソラは声が出なかった。なぜなら「神々の洞窟」探検はドラゴン退治の報酬としてここに来ているのだ。

 仲間30人と一匹のドラゴンに向かって行って、23人が犠牲となった。魔法で拘束してやっと殺せたのに「次は大丈夫」とかないだろう。しかも「ブルードラゴン」も次は一撃だとか。「ブルードラゴン」は神々の使いとしてアトラム王国最強の空飛ぶ殲滅者と言われている。ミソラは恐ろしくなった。



 いい感じに日本側の軍事プレゼンスは成功した。対して冒険者は震えが止まらない者が続出した。

 あの間者は何を感じたのだろうと「ナナ」は思う。

ありがとうございました。

次回はいよいよ「不思議な洞窟」の調査です。

なにが起きるのか心配です。

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