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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
53/251

第51話 冒険者ミソラ・ロレンシア2(改)

第51話を投稿します。

洞窟調査に行くようですよ

 防衛省の市ヶ谷に冒険者ミソラ・ロレンシアを乗せたヘリコプターはやって来た。

 防衛省に建設された建物で一番高い建物の最上部がヘリポートになっている。そこにヘリは到着し会議室へ冒険者を連れて行く。冒険者ミソラ・ロレンシアは何が起こるのか不安になっていた。

 白い広い会議室に案内されて「少しお待ちください」と言われて座らされた。

 入り口には女性自衛官が2名立っていた。

 それも不安を煽る要素なのだが・・・

 別の女性自衛官が温かい紅茶を運んできてロレンシアの前に置いて「どうぞ」と完ぺきな大陸語で勧めた。

 紅茶の良い匂いが会議室に充満していく。一口飲んだ。「うまい」アトラム王国でも飲んだことが無い味だ。冒険者と雖も(いえども)ミソラ・ロレンシアはロレンシア公爵の娘であった。腹違いの兄が2人いるが王都に勉強に行っており邸宅にはミソラと弟リーブスにミソラの母の3人であった、執事とメイドが3人の為に12名もいる。

 大屋敷は広く敷地も大きいが王都から馬車で10日の距離がある。約1,200kmの道のりで王都のある都市からは大陸の一番端にあたる。毎日、海を見て海岸で遊び、時にはロレンシア領の漁民と漁をして魚を貰ってきた。

 のんびりした田舎の子として育っていた。贅沢はしない。たまに客人が見えたが母が対応した。

 そんなミソラは母の読んでくれる絵本が小さい頃の楽しみであった。

 それにロレンシア公爵の4人の子供の3番目であり、いずれ屋敷を出て暮らさなければならない事は判っていた、だから冒険者になって母の読んでくれた絵本の神話を確かめる旅に出たのだった。


 10歳になって祝福を受け、それが女で初めてのロレンシア流を受け継いだとわかると、母に「王都に行って冒険の旅に出たい」と言った。母は猛反対である、貴族と結婚して正妻となり子供を産み最終的にはロレンシア家の為に裏から貴族を誘導する様な、自分の様な結婚を母は夢見ていたからだ。

 それからミソラは剣に炎を纏わせる為に血のにじむ修行を重ねた。

 ある日ミソラは領土に戻った父に相談して王都学園に入学する為に父と一緒に王都に向かった。

 途中の街で魔物を偶然やっつけて冒険者登録の手紙をギルド長から受け取っていた。

 ミソラは炎の剣を使えるロレンシア流剣士である。

 王都に着いたミソラはお付きの剣士に見守られ、学園入学試験を受けた。そしてついでに小さいころからの夢である「冒険者」登録を王都で行った。


 その前の年に……腹違いの兄たちはいなくなった……

 スルホン帝国との戦いに参加して二人とも死んでしまったのだ。

 結果、ロレンシア公爵家は弟リーブスが継ぐ事になった。リーブスはまだ8歳であった。


 王都で冒険者登録してからは、王都冒険者として活躍した。

 16歳になった時に兄たちが眠るアーリア大陸の東海岸に行き、冥福を祈った。その時に「西の海を渡って神話の洞窟を探す」と誓った。


 そして17歳になった時にアトラム王国スメタナ王に謁見する機会が訪れた。

 王都郊外に現れるドラゴンを仲間と退治したのだ。

 王都では「ドラゴン退治(スレイヤー)のミソラと仲間」として有名になった、ミソラが若くきれいな事が一番なのだが、戦争に明け暮れ暗い雰囲気に王都が満たされた時に、明るいニュースとして瞬く間に広がったのだった。


 元々公爵令嬢で王とも、王女ソフィアとも面識がと言うより、王都冒険者となったミソラは王に呼ばれ、王女ソフィアの遊び相手をしていた時代もある。

「おもてをあげよ」と王に言われ正面を向いた。後ろには仲間が控えている。

「この度のドラゴン退治大儀である」「そして何か望むものはあるか」と聞かれた。ミソラはこれを待っていた。「はい1つだけ望みがございます」「申してみよ」

「幼き頃から母に教わって来たアトラム王国の神話に「神々の洞窟」の話があります。これを探す旅に出たく思います」

 スメタナ王は言う「西の海は魔物が多く何人もの冒険者が行方不明になっている。それでも行きたいのか?」と。

「はい、幼き頃よりの夢です。なにとぞスメタナ王にご承認をお願いいたします」とミソラは真剣な目で言う。

 少し考えた後にスメタナ王は言う。「あえて危険に飛び込むか、冒険者にしかできない事だ」と笑い。

「よかろう、王の名で「西の海調査隊」を作り行くがよい。ただし戻ってこい」と言い承認された。


「夢までもう一息」と仲間と話し、王都の南の貿易港南ロータスにて船と一緒に冒険する仲間と食料と燃料を王名で調達した。市価の半額で調達できる「王すげー」と仲間が言うが不敬罪にはならないのか。

「さて明日から仲間の募集だね」とミソラが言う。調達できた船は5隻で80m級の貨物船として現役の石炭ボイラー船であった。

 翌日からミソラは一緒に航海にでる仲間を募集し結果、船乗り100名の冒険者200名の計300名で船は5隻となる。


 出港してからしばらくは穏やかであった。大陸を西から回り込み大陸の端に来たところから北に進路を取って故郷を遠くに見た。今でもいるであろう母に手を振り西の海に旅立った。

 だが、聞いていた事とは違い西の海はどこまでも穏やかであった。

 時折雨が降ったりするが、強い風もなく順調に進んだ。

 そんな航海が48日を迎えた頃、向こうに島が見えた。

 西の海は広大で海図もアトラム王国には無いに等しい。

 そんな中に未知の島が見えたのだ。無論ミソラは無人島だと思っていた。

 大きな島に煙が上がっているのが見えた。船も何隻か小さい物が見える。

「こんな僻地に人が住んでいるのか」と驚き、ボートを下ろして島に向かった。それが母島だったのだ。

 近づいて行くと港が作られ漁用の小さな船と、馬が付いていない小さな馬車が走っている、「おどろいた」まさに驚きであった。人が住んでいることも驚きの一つではあるが、アトラム王国より進んだ文明を持っている。アトラム王国でも車はあるが王族だけしか所有していない。

 ミソラの父親のロレンシア公爵も王族に連なる者だから王都に車がある。だがミソラは領地で暮らしていたから王都に来るまで車を見たことが無かった。



 それが今、市ヶ谷の防衛省会議室で眼下には無数の車が往来している。驚きすぎて驚愕である。

「おまたせしましたミソラさん」外務省の担当官と防衛省の政務次官に族長の娘の『ナナ』が入って来た。

『ナナ』達ハイエルフはエルフ族と違い耳が長くはないので外国人と見分けがつかない。


 各自挨拶をして『ナナ』は外務省の担当者と名乗った。


「初めましてアトラム王国で冒険者をしています「ソア・ミソラ・ロレンシア」と言います」と通り名ではなく祝福名を含めた正式名を名乗った。ミソラの前には「名刺」と呼ばれる小さな紙が5つ並んでいた。

「君たちもういいよ」防衛省政務次官を名乗る者が入り口に立っていた女性自衛官2名に言い、彼女らは部屋を出て行った。


「ミソラさん改めて来訪の目的をお聞かせ願いますか?」と言い会議という名の尋問は始まった。

「なる程、「神話の洞窟」ですか。それを探しに来たと言うのですね」ミソラは何度も言っている話を辛抱強く話していた。


「私たちが行こうとしている大森林は日本の領土とお聞きしました。ですが私は見てみたいのです」と懇願した。

「いや大森林は危険が多く我々も立ち入りを制限しています」「ええ軍隊でなければ無理ですよ」

 と諫める。


「ところで他の「神の洞窟」はアトラム王国が見つけて管理しているのでしょう?」

「なら3つ目を見つけて何をするつもりなのです。アトラム王国の兵士を送り込むことも可能でしょ」

 ミソラは答えに困った。純粋に見たい開けたいと思っていたのでその先は考えてもいなかった。

「ドーザ大陸でこれ以上の戦闘は望みませんよ」と政務次官が言う。

「ですね、そんな洞窟があれば背後からスルホン帝国を狙えますね」

「ええ、戦略的に大問題です。スルホン帝国にとっても我々日本にとっても」


「そこを何とかして頂けませんか、小さいころからの夢なのです」

「あなたの夢で国を危険に晒すことはできません」


 突然『ナナ』が言う。「宜しいのではないですか。鍵はアトラム王国にあるのでしょ、開けなければ問題ありません」みんなが『ナナ』を見る。

 ミソラは何者だこの女と言った目で『ナナ』を見るが味方になってくれているので下手な事も言えない。

「『ナナ』さん危険ではないですか」と政務次官も丁寧な言葉で言う。

「なにかあれば私が何とかします」と『ナナ』は根拠のない話をする。


「持ち帰って検討させてください」と防衛省と外務省が同時に言う。

『ナナ』は楽しそうな目で、「シンクロしている流石は役人」と思ったけど言わない。

「この子は禁止されても多分行きます。どんな手段を使ってもですね」と『ナナ』は言う。

「そんな危険を冒すより見せて納得させた方が早いと思うけど」


「それはそうなのだが、アトラム王国が来ることが問題なのですよ『ナナ』さん」

「だけど内側から開かないから問題ないのでは?」

「うーん難しい話です」

『ナナ』は何が難しいのか判らないが一緒に悩んでいるふりをした。


「ではひと時退出させていただきます」と言い。全員出て行ってしまった。

 代わりにまた女性自衛官が入ってきて入り口に立った。


 ミソラは思い切って聞いてみた。「あのー(かわや)はどちらですか」と。

 女性自衛官は頷き「こちらへ」と大陸語でいい。トイレに案内して中まで入って来た。

「こちらに腰かけてこちらに向きます。終わりましたらこのボタンを押してぬるま湯がでますから洗って、もう一度押すと止まります。次にこのボタンを押すと温風が出ますので乾かします。そして拭きましたらこのレバーを下げますと流れます。と言って流して見せた。ミソラは目を丸くしていた。一応貴族の娘なので使用人がトイレでも、いろいろやってくれるのは抵抗がなかったのだが人のやる事が全て機械で行われることにショックを受けた。

「では私は扉の向こうにいますので何かあれば声をかけてください」と言って個室からは出て行った。

 ミソラは見よう見まねで用をすまして個室をでた。女性自衛官が「こちらで手を洗えますよ」と言って蛇口をひねり、「これが石鹸です」と言って短いレバーを指さした。

 ミソラは言われるままレバーを押すと手の甲に石鹸が付いた。「手のひらで受けてください」と言われもう一度今度は手のひらで受けて水で洗った。いい匂いがした。


『ナナ』達5人は別の階の会議室にいた。「あの子の思念を見たけど嘘は言っていないし、見ない限り帰らないとも読み取れました」と言う。

「困りましたね、まさか冒険者が来るとか考えてもいなかった」と政務次官が言う。

「ええ全くです」と外務省も続く。

「なら提案ですが、私も彼女に同行して洞窟を見ても良いでしょうか。もしミソラでなく他のものがカギを持っていても閉められると思います。やったことは無いですけどね」

「それは本当ですか」「ええハイエルフの古い言い伝えに意味が失われた呪文があります。何かを開けると言われていますがそれがカギではないかと思います」「詳しくは族長様に聞くしかないのですが」

「ではちょっと聞きますね」と言ってスマホを取り出すと番号を選んで押した。

 少しの間呼び出し音が響いていたが「もしもし族長。ナナです」えっと周りの者が驚いた。

 ハイエルフがスマホを使っている。しかも族長も持っているのかと。

 防衛省内部は機密事項が満載なのでたとえ大臣でもスマホは持ち込めない決まりになっていた。

 なのに「ナナ」は堂々とスマホを使っている。

 防衛省政務次官は問題だなと思い、後で連絡しようと思っていた。思念を使ったのかとも思っていた。


 ナナはハイエルフの古い言い伝えの確認をしていた。謎の呪文は2つあり、1つは何かを開閉する呪文と、もう1つは何かを壊してしまう呪文だとの事。ナナは提案する。「もしおかしな真似をしたら壊してしまいます」と。

 担当者は考えた末に一度見せるという事で決着した。

 ただし現地の第2偵察隊も同行して、変な真似ができない様に監視すると言う条件付きで了承した。

ありがとうございました。

アトラム王国が現れないと良いのですが・・・

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