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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
52/251

第50話 冒険者ミソラ・ロレンシア1(改)

第50話を投稿します。

黒船来航です。

 2023年1月、特に旧世界の様な冬は無く、どちらかと言えば温暖なそして少し寒いようなまるで秋の季節が続いているような季節が続いていた。4月に転移して異世界に来てから夏は無く、春と秋が続いているような感じで過ごしやすい気温が続いていた。しかも台風が来ないのだ。環境が違うからそうなのかも知れないが、台風の発生も発達も無い。雨は適度にあり農作物も干ばつに悩むことは無かった。


 突然「母島」東京都小笠原支庁母島出張所の職員から第三管区海上保安本部に連絡が入った。

「お世話になります。こちらは母島の東京都出張所ですが、本日11時頃に不審船が母島沖に来ています」

「了解しました。難民などですか?」

「話している言葉が判らないのですが、水が欲しいらしいです。えーと沖には黒い蒸気船と思われる船が5隻来ています」

「黒船ですか・・・ええ危険が無ければ警察と協力して対処してください。こちらは関係各所に連絡します」

「はいお願いします」と少しノンビリしたやり取りが交わされた。


「母島」に漂流して何かがたどり着くことは「前地球」でも殆どなく島は対処に困っていた。

 だが小笠原諸島と伊豆諸島には神奈川県横浜市にある第三管区海上保安本部から、不審船や漂流者がある場合は、第三管区海上保安本部に連絡する様に指示を受けていた。


 その日、「母島」沖に突然黒い蒸気船が黒煙を吐きながら5隻現れた、形は外輪船であり島民はテレビなどで放送される歴史ものの番組の中だけで現物は初めて見た。なにしろ日本に外輪がある蒸気船が来ることはペリー以来の出来事であった。


 第三管区海上保安本部はPLH-32「あきつしま」とPL-31「いず」の2艇を「母島」に向かわせることが決まり出港した。同時に内閣府と海上自衛隊にも連絡が入った。

 PLH-32「あきつしま」は第三管区海上保安本部いや海上保安庁で最大級の巡視船でその「しきしま」級巡視船の2番艦である。兵装は「しきしま」より強力な物になっており「しきしま」とは区別して「あきつしま」型1番艦と呼ばれることもある。ボフォースMk.3 40mm単装機銃を船首と船尾に各1門とヘリコプターを2機搭載できヘリコプター格納庫も備える。実は護衛艦構造とした巡視船であり、はたかぜ型護衛艦と同サイズ(全長150m)である。過去に使用済み核燃料をイギリス・フランス再処理工場に運ぶための警護として建造された。竣工当初は世界最大を誇る巡視船であった。


「外輪を持った黒い蒸気船が来訪している。乗員は異国の言葉を話す」との連絡が入る。

 海上自衛隊ではどの様に対処するか検討されていた。

 最初に不審船の対処は海上保安庁の仕事であり、戦闘になった場合の依頼が無ければ海上自衛隊には出動の機会が無い。

 だが帝国との戦争を経験した自衛隊総監部は直ちに海上自衛隊に対し警備行動を発令し、厚木基地からUS-2に隊員と大陸語翻訳機を乗せて「母島」に向けて発進させた。


「母島」へは東京から960kmもあり巡視艇では20ノットで24時間もかかる。

 US-2は交渉隊員を乗せて飛び立ち、約2時間後には「母島」に着いていた。US-2は巡航距離4,700kmを誇り、時速470km/hで飛ぶ。そして海に着水でき空港の無い母島には最適であった。


 巡視艇が来れば引き渡すとして、取りあえずの交渉兼護衛を海上自衛隊が行う。


 早速「母島」に到着したUS-2から隊員が6名降りて島民に出張所の位置を聞き走って駆けつけた。

「初めまして海上自衛隊の青葉です。漂着者は居ますか」

「はいこちらです。私は小笠原支庁母島出張所の出雲と言います。言葉が判らなくて困っていたのです。どうぞ」


 応接室に案内された。


 不審船だから男と思っていたのだが女性であった。しかも若い様に見える。

「はじめまして、言葉判りますか」と大陸語翻訳機で語り掛ける。

「よかった。私の母国語ではありませんが話せます。私は冒険者のミソラ・ロレンシアと言います」

「私も良かった。青葉と言います。そのロレンシアさんは何故ここに来たのですか?」

「私の国はアトラム王国と呼ばれる国です。スルホン帝国と戦争中なのですが、国民に希望が持てるように国王から冒険を許可され西の海を渡ってきました」

「するとあなたはアトラム王国から来た冒険者という事でよろしいですか?」

「その通りです」

「私たちの東側の海は海ばかりで何もないと聞いていましたがアトラム王国から海を渡って来たのですね」

「その通りです。出港してから49日かけてまっすぐここに来ました。本当はドーザ大陸東の大森林を目指していたのですが」

「そんなにして大森林を目指していた目的は何ですか?」


「実はスルホン帝国がドーザ大陸を占領する前のルミナス王朝とアトラム王国は交流があったのです」

「私も絵本などでアトラム王国の物語「神々の洞窟」を何度も読み聞かされすっかり覚えてしまうほどでした」

「その絵本の舞台が大森林なのです」


「興味深い話ですね。教えて頂けますか」

「おとぎ話ですが良いのですか?」

「ですが、あなたはそれを信じて海を渡って来たのでしょう」


「ええそうなんですけど・・・信じてもらえるか自信が無いので」

「聞きます」青葉は目を見つめていった。


「実はアトラム王国の古い神話の話なのですが、昔々・・・・」

 と冒険者ミソラ・ロレンシアは古い神話を語りだした。


 それによると大昔に神がいて、3つの大陸を自由に行き来する為に「神々の洞窟」を作ったとの事。

 すでに2つはアトラム王国内の大陸で発見されて2つは自由に行き来できる通路として活用しているとの事。

 それが大森林にもあると言うのだ。王家に伝わる鍵によって門が開き閉める事が出来ると言う話らしい。

 神々は門を守る為に魔物を大森林に置き守らせたと言う話である。


「ですが、ルミナス王朝はもう滅んでしまって鍵は無いのではないですか?」

「いえ、ルミナス王朝の最後のルミサイア王女は鍵と共にアトラム王国に亡命してきたのです」


「王国に扉が見つかったと報告すれば鍵が渡ってきます」

「実は神話の中に鍵が失われた場合の事も書かれています」

「それはどの様な事ですか」

「神の化身と言われるエルフ族の特別な種族がその扉を開けられると言う物です」

「そんな種族がいるのですか・・・不思議な世の中ですね」と知らないふりをした。


「ええ、だけど会うと頭の中が真っ白になって何も考えられない人になると言い伝えがあります」

「こわいですね」適当に合わせる。


「実はあなたが行こうとしている大森林は日本国の所有する領土です」

「ロレンシアさんせっかく海を渡ってきて悪いのですが、許可が無い限り大森林には立ち入りできません」

「ご理解をお願いします」


「ぇっ」と小さく驚きの声を上げてロレンシアは押し黙った。


「水や燃料、食料は大丈夫ですか?」


 ロレンシアは少し考えて、「水を5隻分頂けますか」

「大丈夫と思いますよ」と母島出張所の出雲を見ながら言う。

「ただしここは水が貴重品ですので、次の島「父島」に行けば補給できますよ」

「西に50キロの距離です」


「はい行きます。私たちの船で3時間位です」

「あなた方は全部で何人ですか?」

「ええ大森林で魔物と戦う事を考え5隻で3百人程います」

「大人数ですね」

「先ほど申した通り、私たちは王の許可を取った冒険者で軍隊ではありません」

「なる程わかりました。出雲さんあれありますか?」

「はいはい大丈夫ですよ。千本備蓄しています」

 漂流者などや災害の為にペットボトルで東京水道水を千本備蓄していたのだ。

 

「では「父島」に着くまでの水をお渡しします」

「助かります」と一連の話は済んで「水」を5百ミリリットルペットボトルで3百本渡して「父島」の地図を渡して誘導した。US-2も「父島」にて給油もできる。海上自衛隊の父島基地があり海難救助用に燃料の備蓄があるのだ。

 父島に連絡し、二見港に入港させる。

 父島経由で海上保安庁と防衛省に冒険者の話を伝え対応を聞く。

「一応外務省に連れて来るように」との指示を受けた。

 時速12ノットで進む黒船は東京港まで44時間かかる。


「父島」で水と食料の補給を受けた黒船は二見港で1泊して翌日昼に巡視船と合流した。

 自衛隊員の青葉は海上自衛隊第31航空群第71航空隊第71飛行隊の厚木基地救難待機派遣機の機長兼隊長であった。本隊は岩国航空基地内にある。

 青葉隊長と冒険者ミソラ・ロレンシアは巡視船艦長及び副艦長と面談していた。

 青葉は日本語である程度伝え、巡視船に監視業務を交代してもらい、燃料を補給して本来の業務に戻った。

 巡視船は冒険者ミソラ・ロレンシア達の5隻に横浜港で続きの話しを聞くと伝え、横浜港まで44時間かけて航海していった。横浜港は黒船を一目見ようと人だかりである。

 第三管区海上保安本部は横浜大さん橋の隣の海上保安庁巡視船用埠頭に5隻を横付けさせた。

 巡視船は隣の新港埠頭8号バースを借りて停泊した。

 黒船が泊る埠頭は第三管区海上保安本部専用の埠頭で庁舎の一部であり内部は立ち入り禁止である。

 ただし山下公園の隣にある大さん橋の北側デッキ(荷揚げ用の道路と芝生デッキになっている)から黒船は良く見え大人気であった。国際航路が無くなった今となっては、大さん橋が客船入港以外は解放され、大さん橋の土産物屋やレストランは大忙しであり、横浜中華街もコースの一部として人で溢れかえっていた。

 また第三管区海上保安本部専用の埠頭も遊歩道と道路があるが行き止まりであり柵の向こうに黒船がまじかで見られるため休日はものすごい人出であった。出店も出ている。

「現代の黒船」としてテレビ局もワイドショーなどで特集を組み横浜老舗料理店の紹介と共に視聴率を稼いでいた。

 横浜港に到着した冒険者ミソラ・ロレンシアは第三管区海上保安本部のヘリポートからヘリに乗せられ生れてはじめて空を飛んだ、行先は防衛省であった。 

ありがとうございました。

やはり神の化身はハイエルフなのですかね。

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