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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
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第49話 ドーザ大森林三角州国境検問所3

第49話を投稿します。


 山側偵察調査隊は順調に進行していた。

 途中魔物にも出合ったが、「いのししもどき」「しまうまもどき」などが施設作業車の前に立ちふさがったが12.7mm重機関銃M2からの銃弾により1発か2発で動かなくなり施設作業車のドーザーブレードに引き裂かれるか無限軌道に踏みつぶされた。魔獣対応の為に止まる事は無く、順調に進んでいた。


 一方、海側偵察調査隊は「ぞうもどき」の来襲を受け、73式中型トラックが2台とも横転してしまった。

 燃料補給と昼食の為に海岸に道を作り焚火を起こしてキャンプの様に休憩していた。


 やがて燃料の入ったドラム缶を積んだ73式中型トラックが休憩地にやって来た。前回は3トン半燃料タンク車が燃料を運んできたのだが今回は73式中型トラックとドラム缶に手回し式の燃料ポンプだ、時間がかかる。

 各車交代で燃料を満載して見送りの「レッサーパンダもどき」に手を振り発車していった。


「隊長前方に川が見えます」

 大三角州から入り江に向かう途中には地図で幅2kmの川が確認されていた。

 その距離は大三角州から約200kmの地点である。


 川を調査すると、川幅は約2kmで流れが急で水深は測れない。

 海側偵察調査隊は渡河をあきらめて海沿いに渡れそうな箇所を探して迂回していた。

 海岸に出ると河口は広く流れも緩やかになっている。渡れそうだ。


 施設作業車を先頭に海岸で渡れるか河口を調べていた。突然砂浜が盛り上がり虫の様な物が出てきた。どうやら振動によって獲物を察知して捕まえる巨大なミミズの様な物らしい。またしても海側偵察調査隊に危険が迫る。ミミズの様なものは先頭の施設作業車に襲い掛かる。

 その巨大な体を持ち上げると高さ5mにもなる胴体は直径30cmだ。しかも3匹もいる。


 施設作業車は上部に取り付けたM2から12.7mm弾をミミズに撃ち込んでいた。

 その様子を確認した74式戦車2台は前方に出て、ミミズをひき殺そうとした。

 ミミズは戦車の振動に気づき、戦車に向かってきた。

 74戦車は先行してミミズを引き付け施設作業車から引き離し砲塔上部の12.7mm重機関銃と主砲同軸の副武装74式車載7.62mm機関銃を撃っている。

 ミミズは弾が当たっても、ある程度引きちぎれても別々になって動き回っている。


 だが、無限軌道に踏まれると復活はしない様だ、74式戦車は38トンもあるのだ。

 因みに施設作業車は約29トンで多少軽い・・・のか。


 74式戦車と施設作業車はミミズを撃つのを止めてひき殺すことに作戦変更した。

 87式偵察警戒車と73式中型トラックは振動を出さないように止まっている。


 どうにかミミズを3匹・・・分裂して8匹になったミミズは駆逐できた。

 74式戦車が砂浜を走り回り、他にミミズがいないか確認していく。

 河口は74式戦車が先頭になって向こう岸まで進んで行く。

 反対の岸もミミズがいないか74式戦車が走り回る。


 なぜか海岸には木製の大型船が朽ち果てて横たわっている。相当古そうだ。

 国籍も不明である。「エルフ達がここを通ったのだろうから聞いておけばよかったな」

 無線で三角州国境検問所に燃料とエルフに朽ち果てた船の事を聞いてもらうよう手配した。

 ここまで出発してから相当時間が経過して夜となってしまった。


 警戒陣形をとって休憩と休息を取ることにした。燃料は明日朝に着く予定となった。

 夜間の警備は危険だ、特に大三角州での休息中に「ハイエナもどき」に襲われた第1小隊は油断をしない。

 ここの浜辺なので海からの来襲も考えられるからだ。

 焚火を背に海、進行方向、森側、後ろと4方を警戒して交代で休息に入った。特にエルフが言っていた「闇夜の魔物」の話が頭から抜けない。


 深夜になり月が雲に隠れた「闇夜」である。


 海岸から青白い光を纏った何かが忍び寄って来た。

 これがエルフの言う「闇夜の魔物」なのか。魔物は陸上自衛隊の汗臭い戦闘服に引き付けられて来た様だ。

 冷たい海に冷やされてなのか冷血動物なのか赤外線には反応しない。隊員全員に「総員起こし」の警戒を出して戦闘態勢に移行した。

 74式戦車の砲塔が魔物に向かう。アクティブ投光器の赤外線フィルターを外して投光器として魔物を照らし出す。目の後ろに白い斑点がある。

 87式偵察警戒車も魔物に向かう。第1小隊長の命令待ちである。

「総員戦闘用意、撃て!」と号令がかかる。

 74式戦車から91式105mm多目的対戦車榴弾が撃ちだされ魔物に当たり爆発をした。

 魔物は大きな「シャチ」の様な体に短い4本の足がついている。海の中で夜光虫が纏わりついて青白く光っていた。だが、体長は4m位で小型である。

 ただし胴回りは太く全体は短い。「大島」に現れた「いるかもどき」と同じ系統の様だ。

 イルカ、シャチ、クジラは同じクジラ種であり大きさで区別されている。

 

「シャチもどき」は最初の多目的対戦車榴弾で体に穴が開き、ほぼ戦闘不能に陥っており、その後の12.7mm重機関銃や25mm機関砲はオーバーキルだったようだ。


 隊員たちは74式戦車の投光器の前を避けて両サイドから「シャチもどき」に近寄っていく。

 投光器の光は強力過ぎて近寄ると戦闘服が燃え出すほどだった。その前に人間はひとたまりもない。


 74式戦車は投光器を消した。87式偵察警戒車2台は魔物に向いてライトを付けた。

 よく見るとカバの様にもシャチの様にも見える。こいつがエルフを捕食していたのかと思う。


「シャチもどき」の死骸は森や海の魔獣の餌となる為に少し戻って再度休息の続きを行った。

 進んでも良いのだが燃料輸送車が危険な事に巻き込まれないように少し戻って河口の反対側、つまり国境検問所側に再度キャンプを張った。


 朝が来て燃料補給が完了したなら再度「シャチもどき」を観察して進む事で決めた。

 翌朝73式中型トラックがドラム缶を満載してやって来た。よく見ると73式中型トラックのフロント部分にはオフロード車の様な鉄管を溶接したバンパーが取り付けられていた。これで小型の魔物に体当たりして吹き飛ばすのだろう。現に鉄管に少し血が付いている。


 今回の調査は海側に災難が降りかかっているが山側は順調だった。


 山側偵察調査隊も川に到達していた。海側と違って山側はいくつかの支流があり、先で合流している様だ。これにより流れが急になっているのだろう。


 支流近辺は大きな岩が多く、渡河できる道を探すのに苦労していた。幸い岸が砂利になって車両が通過できそうな場所が見つかった。ただし雨が降ると様子は一変しそうだ。現在は穏やかな流れの水深50cmで幅は30m程度の支流を幾つか超えて向こう岸に渡る事が出来た。

 この一帯も岩が黒いところが多く、まるで石炭鉱脈でもあるかの様に見えた。

 

 順調に進行していた山側偵察調査隊であったが、川を渡って燃料補給のトラックを待っていた時、上空から野生のワイバーンが2匹襲い掛かって来た。


 歩哨を立てていたので、いち早く気づき12.7mm重機関銃M2にて対空射撃を実施する。

 ワイバーンは弱く、12.7mm弾1発胴体に当たっただけで落ちた。2匹に対処するのに1分もかかっていない。

 

 山側偵察調査隊は「ドラフマ」以来の戦闘だった。

 燃料を補給した山側偵察調査隊は見える岩肌などを写真に収めて進行した。


 やがて幅広い流れの急な川に出合った。エルフの言うように山側から渡河は無理の様だ。なにしろ幅広い滝があり膨大な水量で大河を流れている。まるで山の上にダムがあるように見えるが下からでは判らない。

 国境検問所経由で師団司令本部にOP-3Cにて詳細なデジタルデータを山から海にかけて実施してもらう。

 いざとなったら橋を架ける場所を探す為だった。

 ただ天然の要塞となっているので国境検問所を作りここを国境にしてしまおうと言う日本国政府の腹積もりの様だ。


 山側偵察調査隊は海側偵察調査隊より先に大河に到着したので、燃料補給してから河に沿って海側に道を作ろうとしていた。

 ここまでたいした魔物も出合っていないので進行速度は速くなっていった。地図で確認すると大河の長さは約170km程度で、長くはなかった。川幅は40km程度で流れが急であり水深を計れる程ではなかった。また大河の両岸は片幅30kmの砂利になっていて、道を作らなくても通過できそうだったが、少し戻って河原から3kmを海に向かって道を作っていった。なぜなら河から30kmも砂利があるという事は氾濫して木を押し流して砂利岸になっていると判断できた。森林部分に道を作る事で氾濫を回避できるとの計算であった。


 山側偵察調査隊は森林の中を120km程東に道を作り湾にでた。湾には大河が流れ込んでいるが周囲は240km程ある事が地図では確認できた。湾内は波が穏やかで湾としては優秀であった。工事が必要無い程であり、港湾施設を作るだけで機能しそうだ。なにより日本政府の目論見としては湾の両側にある半島から「手前島」の大陸側村までは300kmしか離れていない。中継港としては期待できるのであった。

 しかも大三角州の港からは700kmである。


 やがて海側偵察調査隊も合流してきた。燃料補給車を呼んで周辺調査に出かける。

 山側偵察調査隊は合流地点に広場を作り、湾と地上からの資材集積所を作っていった。

 海側偵察調査隊は少し戻って半島の先までの道を作り後に灯台とGPS補完アンテナの設置を計画していた。

 大河から南に700kmの地点には漁村があるのだが、ここまでなら村人も遭難位しか来ないだろうと思う。

 手漕ぎの丸太削り出し漁船でここまで来ることは非常に難しい。

ありがとうございました。

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