表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
49/251

第47話 ドーザ大森林三角州国境検問所1

第47話を投稿します。

何か大森林の南検問所に来たようです。

 宗谷特別自治区には3つの国境検問所が出来ていた。

 北側は第5旅団が原油田や貴重な鉱物資源の鉱山一帯を警備し、原油、石炭に鉱物資源の掘り出しは第5旅団第5施設隊から引き継いだ民間会社が活動を行っていた。第5旅団の第6普通科連隊、第27普通科連隊、第5特科隊、第5後方支援隊、第5戦車大隊、第5偵察隊は旅団規模ではあるが、ハイエルフの里から北に150km地点に駐屯地を作り一帯の警備を行っていた。

 特に第5旅団、第4普通科連隊は第5施設隊に依頼して、第5旅団駐屯地から北に100kmの大河に国境検問所を設置し、管理を行っていた。こちらは魔物がたまに現れる程度で、人族や獣人族などは来訪していない。

 だが、国境検問所としては気を抜けない場所であった。


 南側は三角州南の端から南5kmの地点に国境検問所を開設していた。ここは第2師団の管轄である。

 幅5m深さ3mの堀と鉄条網にコンクリート壁高さ4mを200kmに渡り設置するとの壮大な計画もほぼ完成し、第2師団の第25普通科連隊と第2戦車連隊第1戦車中隊及び第3戦車中隊の90式戦車・74式戦車計40両と第2高射特科大隊第2高射中隊、第3高射中隊の81式短距離地対空誘導弾10両と87式自走高射機関砲15両にて、対人や対魔物そして対ドラゴンの対策も厳重であった。

 しかも国境検問所の後方、大三角州には第4特科大隊、第5特科大隊と第3高射中隊が控えていた。


 中央の日本山国境検問所には第3普通科連隊が2回に渡る帝国陸軍との死闘に耐えていた。

 また本土入り口の宗谷岬には第7師団の第11普通科連隊に第7高射特科連隊が害獣侵入を阻止すべく守っていた。

 今のところは日本本土への魔獣等の害獣侵入は確認されていない。

 この頃になると日本各地から動物園の依頼を受けた珍獣ハンターが大森林侵入の許可を貰い、罠を多数仕掛けていた。森で暮らしている魔獣たちは罠に慣れていないので簡単に捕まり、全国の動物園に送られていった。海も民間の大型船で海中生物の捕獲を目的とした漁が盛んにおこなわれていた。


 この世界は世界動物園協会やイルカの捕獲禁止で有名な水族館協会などは無く、知られていない魔獣や海中生物であるから捕獲し放題であった。全国各地の動物園や水族館では「ドーザの森の生物展」や「珍しい海中生物展」などの催しが人気であった。



 大三角州から近くの国境検問所は大三角州が『ドーザ大森林三角州』と呼ばれていた事から、「ドーザ大森林三角州国境検問所」と呼ばれていた。通称は「大三角州検問所」である。


 帝国軍の捕虜返還も終わり、2022年も終わろうとしていたある日「三角州検問所」のセンサーに反応があった。検問所内の分屯地に警報が鳴り、隊員が各持ち場に駆けつけていた。


 検問所上部に作られた大森林を睨む12.7mm重機関銃M2銃座にて監視していた隊員から報告が上がった。

「森から誰かが走って検問所に向かってきます」大森林に作られた検問所南側には道がない、検問所から100m区間は警戒区域として木は全て伐採していた。すぐに連隊本部から連隊長と第1普通科中隊長がキャットウォークに上がり双眼鏡を覗いていた。

 緑色の髪をしたエルフが裸足で何かから逃げている姿が確認された。

 後ろから走ってくるのは、ハイエルフ達が「森の悪魔ドラフマ」と呼んでいる「くまモドキ」1匹であった。ドラフマは2足で威嚇する様にエルフを追い立てていた。

 力尽きたところを食らうのであろうと推測できる、ある程度は知恵のある魔物の様だ。


 エルフは意外と力強く走っており悲壮な感じはしなかったが、如何せん魔物と人族である、ドラフマが手加減して追い立てていなければ、すぐにでも食われてしまう状況に変化はなかった。

 やがてエルフは国境検問所の手前50mまで近づいてきた。

 連隊長は射撃手に「目標「くまもどき」撃て」短く命令して、国境検問所の上2か所から「森の悪魔ドラフマ」に向けて12.7mm弾が撃ち込まれた。


「森の悪魔ドラフマ」は6発の銃弾を受けたのだが、急所ではなかったようで血の様な物を流しながらゆっくりではあるがふらつきながら4足で歩いてエルフに迫っていた。連隊長がマイクで「しゃがめ」と叫び、再度銃座から12.7mm弾が「森の悪魔ドラフマ」に向けて撃ちだされた。


「森の悪魔ドラフマ」は動かなくなった。後で検分すると全長6m、特に大型の「くまもどき」であった。

 そう言えば全国数か所の動物園には特別の檻で「森の悪魔ドラフマ」を見ることができる。

 日本人にかかれば森の悪魔も形無しである。しかも子供のドラフマは子供たちに人気であった、子供と雖も(いえども)3mはある大型のクマなのであるが。なんと言うか顔が幼いので、「ぬいぐるみ」と言われても大きさは3mもあるが判別できないほどであった。


 連隊長はエルフに向かって大陸語で「止まれ」と言い。周囲警戒とセンサーの確認をさせた。

 エルフは一人で来たようだった。


 本日の正門警備担当の第4普通科中隊員と中隊長が通用門からエルフを招き入れ経緯を聞く事となった。


「座ってください」と一角の椅子をすすめ、ペットボトルの水を1本、キャップを開けて差し出した。

 連隊長と第1普通科中隊長も入ってくる。連隊本部から本部要員の女性自衛官が録音機材を持って入って来た。


 ペットボトルの水を半分まで一気に飲み干したエルフは大陸語でお礼をいい、話を始めた。


「私はここから5km南にあるエルフの隠れ里の者です。「森の悪魔」が現れて何人かのエルフが犠牲になり、私が村長の娘だから「森の悪魔」を引き付けて走って村から遠ざけたのです。死を覚悟していました。本当に助かりました」と息を乱しながら話した。



 実は大三角州に国境を作ることが決定した時に、大三角州から5kmとの指示を受けていたのでそれより先の調査はしていないのだ、ただし侵入者や魔物対策として各種センサー類を設置していたが、それだけで擁壁工事に入ってしまった。


 エルフの話は続く、「私たちはスルホン帝国がエルフ狩りをしていた時に逃れて、大森林の奥地に隠れ里を作って暮らしていました。私たちは平和に暮らしていたいだけです」「村を助けてください。実は村から山に向かうとドラフマの巣が山の中腹にあります」「また海からも凶悪な魔物が夜間に上陸してきます、いつもではないのですが夜の闇に紛れて上陸して襲ってきます」「特に暗い夜は海から魔物が歩いてきます」


 と一気にしゃべって水をまた一気に飲んだ。


「100人もいた仲間が今では60名程になってしまいました」「ドラフマのぬしを倒す程の方たちなればご協力願いたいと切に願います」


 あの「くまもどき」は「ドラフマのぬし」だったのか。


 また変な依頼が陸上自衛隊に入ってしまった。


 ドラフマの巣や海中海獣を倒すにしても道を大森林に作らなければならない。

 即答は難しかった。


 第2師団司令本部に連絡すると、司令本部から第2師団幕僚長 中野一等陸佐が偵察バイクで飛んできた。距離は20km位であるから無謀ではない。

「話を詳しく聞かせてくれ」と言いエルフと連隊長が対応した。


「実はここだけの話だが、防衛省から南下して大森林調査を進めるように指示を受けている」と言った。


「先日渡した衛星写真に写る入り江を調査しろとの指示だ」

 確かに衛星写真には国境検問所から南550kmの距離に大河と入り江が確認できる。


「その大きな浜は知っています。私たちは帝国から逃れる為にイカダを作って大河を迂回したのです」とエルフが言う。「河は流れが急で深く、超えることができませんでした。ですから木を切ってイカダを作ったのです」と自然の要塞のようになっているらしい。


 この頃になると、第2師団の普通科連隊は全て機械化連隊とすべく96式装輪装甲車が全中隊に配備されていた。全てが国産であり武装の12.7mm重機関銃M2は国内ライセンス生産されており必要分は作成できるのだった。

 特に大森林で活動する第2師団と第5旅団は優先的に機械化が完了していた。


「ちょうど良い機会だ、第2偵察隊もここに合流させ、また第1施設中隊と第2施設中隊の施設作業車2台で道を山側と海側の2つ作って欲しい。入り江の大河を国境とすべく調査をお願いする」


 こうして突然の大森林南側調査が下命された。

ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] エルフさんたち、陸も海も危ない そんなとこになぜ住んでるんだ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ