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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
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第39話 ドーザ大陸東海海戦その1

第39話を投稿します。

評価にブックマークありがとうございます。

いよいよ艦隊戦が始まるらしいです。

 第3普通科連隊は激戦とは言え、一方的な殺戮戦から落ち着いた日常に戻りつつあった。

 砲撃で壊れた山道を補修の為に第2建設大隊の2個中隊に来てもらい、至る所にコンクリートパイルを打ち補強していった。崖崩れしている箇所は少し蛇行するが崖側を削り、道幅を広げていった。小さな穴などは重機用鋼板床材にて補強した。これで10式戦車も麓まで下りられることだろう。

 この所、難民の数も少なくなっていた。1日100名程度が最近は1日20名も来れば多い方で、誰も来ない日もあった。チロルの森に広がる村々では代表者が決められ、1週間に1回検問所参りが行われている。チロル5村の代表だから無碍にも出来ずマリアと連隊長が対応した。と言っても代表者2名がお茶をしにくるだけだったが、チロル地方の情報が入るのは有り難かった。


 最近の情報では、チロルの北に丘陵地帯があり、そこにも村が点在するとの事、チロル領の領主は先の戦に参加したが、それから誰も姿を見ていない事。年貢の取り立ても以前より緩くなり、どうにか生活できる事。

 チロルの森にいた魔物たち(いのししモドキやクマモドキらしい)が最近は見ない事。よって領主の居城があるバークの街に冒険者が少なくなった事などが伝えられた。南では帝国艦隊が来ていて出港するらしいとの噂がある。チロルから帝都に向かう途中に幾つかの要塞都市があり、帝国軍が駐留している都市もあるらしいとの噂などである。


 最近の戦闘でエルフ達が帝国陸軍第5師団第3中隊のテントから逃げ、3日後に検問所に保護を求めてきた。

「女神様のお言葉を聞き逃げました。途端にチロル地方が爆発し私たちは命を長らえることができ、女神様に感謝しております」と第2特科大隊の砲撃か空爆の事を言っているのだとわかった。

 エルフは姉妹であった、難民として保護し、ハイエルフ族長に奴隷紋と呪いを解いてもらい、大三角州にて働いているらしい。大三角州は既に民間会社が開発に入っており、空港も国土交通省によりハブ空港とすべく滑走路3本の巨大ターミナルを持つ空港として工事の真っ最中であった。港も海上自衛隊の軍港とは別にコンテナヤードを含む巨大ターミナルを建造中である。完成すれば北九州市-宗谷特別行政区間のフェリーが就航予定であった。また日本一周の豪華客船も予定に入っていた。


 難民の獣人は全て民間会社が雇い入れ労働力は充実してきた。

 特にウサギ族や犬族、猫族などの顔は人間で耳が特徴的な種族は、これから建設されるホテルやリゾート施設に引っ張りだこであった。エルフもホテル従業員としては人気が高い。

 虎族や猿族、ゴリラ族は労働力として、ドワーフ族は細工や鋳造技術が関市や三条市などの刃物工場で需要が高かった。経済的に落ち込んでいた日本にも新大陸と言う新天地が舞い込んで、低迷していた経済が右肩上がりでの経済成長を始めていた。

 食料についても自給率100%以上を合言葉に地方や都心の空オフィスなどに野菜工場が作られ、都会の就業率も向上していった。また、「J」ターンや「I」ターンが再びブームとなり、地方都市の農業就職率や海産物を扱う会社の就職率が高くなってきた。

 燃料や資源の心配をしなくてよくなった産業界は景気が良くなり、ハイエルフの里からの果実も入るようになり、「神の雫」と名付けられ有名デパートに並んだ。



「大島」を飛び立った「(仮称)EOP-1」は予定通り先行偵察を行っていた、南にある大きな島を何度か周回して写真と動画を「いせ」に送信していた。「いせ」は高出力短波無線により統合幕僚総監部に連絡していた。

 この時期になっても南西海上空の通信中継衛星は1.6GHz帯のナローバンドマイクロ衛星のみ上空にあるが遠距離のリンク16やリンク22の高速通信にはそれだけでは不十分である。海洋作戦行動用C4Iも現在は艦隊行動での見通し距離でしか運用できない。あと1ヶ月もするとマイクロ衛星による450MHz帯と1.2GHz帯のワイドバンド中継が可能となる予定だ。この周波数であれば画像や動画のデータやリンクも高速通信ができ送信が短時間で済む。

 低い周波数でのデジタルデータ送信は低速の16kbpsが限界であった。長い送信時間の為に途中変調などの影響によりデータが壊れる可能性があるのだった。


 南西諸島から南に800Kmの洋上に比較的大きな島があり、便宜上「(仮称)大南島」(だいなんとう)と呼んでいたが、ここは帝国の港町から700Km、大森林南部の漁村からは300Km程しかないので、ドーザ大陸を追われた者達が住んでいる可能性が高い島だった。「大島」に住んでいるゴリラ族も途中で寄ったらしいが、既に島民がいて自分たちの居場所は作れず、すぐに北に向かって行ったとの事であった。

 「(仮称)EOP-1」は通称「大南島」を幾度か旋回して偵察し、村らしき物を4つ確認した。「大南島」の大きさは、南西諸島「中島」の半分くらいだ。日本に例えると鹿児島県と同程度の面積であった。


 

「大南島」経由して半島の各漁村の状況を確認して港町の上空を旋回し、写真と動画を撮影していった。

 港町ドルステインと思われる場所には、軍艦が2千隻以上集まっており、撮影して各種データなど採取した、特筆すべきは黒い大きな軍艦があり黒い煙を吐いているので外燃機関動力によって動くと思われた。

 また磁気反応も激しく、鉄製であると確認された。空母の様な物も確認できる。

 途中空母らしき物から小さなドラゴンらしき物が飛び立ってきたが、高度を上げると付いてこなくなった。

 EOP-1の最高高度13,500mまで上昇はしなかったが、高度5千m程度で登ってこられないようだ、速度も200km/h程度と、とても遅かった。EOP-1は最高で990km/h、巡航でも830km/hを出している、とても200km/hに合わせられるものではない。EOP-1はレーダーデータや写真動画を保存して、後に分析を実施する。

 次に港町ドルステイン郊外に駐留する、帝国第5師団第1中隊の野営地を撮影してソミリア伯爵の居城ゾーマ・ラシアス城塞都市を撮影して、「大島」に戻っていった。


 ドーザ大陸交渉艦隊の旗艦「いせ」では連日幕僚と護衛隊指令を合わせた幕僚会議が開催されていた。

 EOP-1のデータや日本山国境検問所や捕虜たちの情報により、帝国の様子が補完されてきている。

 遠山海将補が「港町ドルステインらしき街に艦隊がいるが帝国第3艦隊らしいとの事だ」「我々を狙っているか、もしくは南西諸島の様子を確認したいのだろう」

 椎名主席参謀が「捕虜の話では、大陸の東からアトラム王国かその属国が攻め込んできたと言うらしいです。我々の事らしいですが」「これを殲滅すべく国境検問所では2度にわたる無謀な戦いが繰り広げられて、われわれが担当する90名の捕虜返還交渉になったわけですが、2度目の戦いでは2,800名もの捕虜が出来てしまったらしいですから、返還交渉も大変になってきますね」

「そうだな、返還の確定人数はまだ出ないのか」と遠山海将補。

「ええまだです」「なにしろ人数が多いですから」と椎名。

「できるなら全員返したいですね」と第8護衛隊司令の畑田一等海佐が言う。

「そう願いたいものだ」と遠山海将補。


「ところで帝国の第3艦隊なる艦艇群は如何するおつもりですか?」と椎名。

「避けて行くのも良いが、結局南西諸島を危険に晒すだけだと思うから、我々で対処する報告で良いと思う」「そうですね。それしかないですね」

「今回は前回と違って鉄製の大型艦です。しかも外燃機関を積んでいるらしく最高速力は不明です」

「やはり勿体ないですが、アウトレンジから大型艦中心に沈めてしまう事でしょう」


「それしかないと思うが、P-3Cの圏内ならば対艦ミサイルと短魚雷も使える」

「「大南島」でしたら「大島」から800kmしかないので、P-3C圏内です」


「我々もハープーンと90式艦対艦誘導弾でアウトレンジを目指すとして、タイミングを合わせてEOP-1を上空に来させないとな」「それにより管制が楽になる」

「ええ、既に「大南島」のデジタルデータは入手済みですから、目標さえ割り振りできれば、山越えで見つからずに攻撃できます」「ですね」各護衛隊司令も同意した。



 スルホン帝国第3艦隊は既に出港し、日本人が南西諸島と呼んでいる島嶼(とうしょ)群に向かっていた。

「しかし先日の飛ぶ機械は何だったのだろう、アトラムとの海戦でも見た事ないが、旗艦「セントナムラム」上空を回っていたから敵対勢力と思うが」と艦隊司令のドミニク男爵は幕僚に言う。


「わかりませんが、警戒は強化しないといけないですね」

「しかもわが軍のワイバーンを高度と速度で凌駕していました」「追加情報ですが通信係のエルフが耳を押さえて苦しんでいました」「なにかの魔導を感じたとか言っておりました」


「あの機械何か出していたのだろう。我々には感じなかったが」「だとしたら厄介だ」


「ええ、エルフも今まで感じたことが無い程の音が耳で響いたと言ってます」


「うむ、現在の状況はどうかね」


「はい、時速15ノットで先導役の港艦隊の後をついています」「東諸島に着くには約3日かかります」

「特に大陸東側の潮流が急だと帝都の先輩が言っておりましたので、実質それより遅くなるかもしれません」「星と方位を頼りに進みます」


「なにあのオンボロ船なんといったか、エミリアだったか、が行けたんだ、帝国最新のこの艦が行けない事は無いだろうよ」

「はい、そのとおりでございます」だが、参謀は一抹の不安を感じていた。それは大陸東の海は未知の領域であるから何が起こるかわからないのである。たまたま旗艦「エミリア」が行けただけかも知れない。

 しかも未知の敵に一方的に沈められ、1,000隻が160隻になったなど、海中の怪物にでも遭遇して「嘘をついている」と思っていた。それにしては良くできた嘘だ。


 帝国第3艦隊は大陸の沿岸を北上する最短の進路を取り、スルホン帝国から逃げた人間達がいる東島を無視する方向に北上を続けていた。参謀は「帰りに東島を我が艦隊の駐留地にして、逃げた人間を奴隷にしてやろう」と考えていた。これが後で後悔を生む原因でもあった。

 帝国の言う「東島」とは日本ドーザ大陸交渉艦隊の言う「大南島」の事であった。


 ドーザ大陸交渉艦隊は「(仮称)大南島」(だいなんとう)調査の目的もあったので、島の東側を進行していた。艦隊旗艦「いせ」は帝国第3艦隊との戦闘も考えられるため「大南島」の海岸に「いせ」からSH-60Jを2機出して着陸させ、ハイエルフの「ひなた」と外務省職員に護衛役として海上自衛隊員8名を交渉と言うより現状調査にあたらせた。


 判明した事は、この島は人間と猫獣族が半々住んでいる事、漁業にて生計を立てている。

 帝国が今から50年前の獣族討伐を開始した時、前領主が良い人で忘れられない領民と猫獣族が協力して大陸から「東島」と呼ばれているこの島に流れ着いたとの事。いままで帝国の船は来ていないらしい。

 それは大陸沿いに北上して途中からこの島に寄ろうとすると激しい潮流により大陸沿岸に戻されてしまうらしい。ただ「半年前位から潮の流れも穏やかになり魚の漁も満足できる」との事、日本が転移した事で潮の流れが変わったのかと思う。


 一方、帝国第3艦隊は予定どおり大陸に沿って北上していた。ちょうど島と大陸の中間となる沿岸から150km沖を進んでいた。フローダ半島は大陸南に突き出た長さ300kmの細い半島であった。先端を回り約1日かけて、ドーザ大陸フローダ半島の港町ドルステイン反対側を航行していた。距離は約650kmであった。東島まではまだ200km以上ある。


 1時間前から「大南島」付近の哨戒活動を行っていたDD-117「すずつき」のOPS-20C 2次元海上レーダーに不明艦隊が映し出されていた。艦隊主力は「大南島」の東側で帝国艦隊からは死角となる位置取りができていた。旗艦「いせ」の遠山海将補司令は椎名主席参謀にEOP-1による偵察とP-3C 4機による哨戒飛行を要請した。EOP-1は1時間で、P-3Cは1時間20分で到着する。


 EOP-1は先行して偵察を行い、港町ドルステインにいた艦隊である事を報告していた。


 またしても大陸東の海における戦いが始まろうとしていた。

ありがとうございました。

時間があれば残りのマップも作ろうと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] あ!敵艦隊にはエルフいたのか。 っという事は前の時もエルフはちんじゃったか・・・ 今回も?
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