表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
34/251

第33話 大戦の足音

第33話を投稿します。

書き始めて1か月が過ぎました。10話程度で挫けると思っていたのですがなんか続いてしまってます。

これからもよろしくお願いします。


 日本山の戦いと後世で呼ばれる、陸上自衛隊と帝国軍の本格戦闘は、陸上自衛隊1名死亡、4名重症に対し帝国軍第2歩兵中隊の捕虜140名以外は全員死亡と言う結果を残して、世論を巻き込んで日本国内に大きな論争を巻き起こした。


「人道的に話し合いで解決できないのか」と誰かが言うと「いきなり剣で攻撃する相手と、どう話し合うのか」と反論する。テレビの討論番組でも人道主義や人権主義を名乗る者達が独自の理論を展開していったが、常に劣勢ではあった。「このままでは戦前の日本と同じ轍を辿る」と警告を出すが、実は人道主義や人権主義を名乗る者達も解決策を見いだせないでいた。

 ある者から「ならあなた方が最前線に行って帝国の兵士と話し合いをしてはどうかな」と言われ返答が出来ない状況に追い込まれていた。「行く」と言うと自分が危険なのは承知していたからだ。


 人権主義や人道主義は文明が進み、人心に余裕出来た時に発生するイデオロギー(社会思想)ではあるので、社会的に成長していないスルホン帝国に説いて回ることは自殺行為と等しい行いだと、頭の中では理解していた。しかも、もし実践して殺されでもしたら、世論は一気に軍国主義に傾くことを知っていた。

 スルホン帝国は解体しなければならないと言う世論も出始めている。


 帝国軍第2歩兵中隊の生き残り140名はC-2輸送機2機により、千歳航空自衛隊基地に移送されて、東千歳駐屯地に作られた捕虜収容所にいた。

 兵士たちは夢を見ているようだった。「おれたち空を飛んだぞ」「あんな早い馬車は初めて乗った」「美味いなここの料理は」「適度に運動もできるし快適だ」

 兵士として、戦闘に明け暮れ、ただ「敵を打ち負かすのみ」と教えられていた帝国兵は、捕虜になった時、死を覚悟した。そう教えられていたからだ。

 過去にアトラム王国が東海岸に上陸した際には「捕虜をつくるな」「一人残らず殺せ」と言われた。だから自分達もその様な扱いを受けるはずと思っていた。なのにである。収容所は快適で尋問以外自由時間だ。兵士であるから規則正しい生活には慣れている。収容所も規則正しい。

 しかも3度の食事と風呂がある。兵士は農家の出身が多く、川で水浴びする程度だが、ここは貴族が入るような大きな風呂があり、シャボンも置いてある。まるで天国の様だ。

 何人かが、「帰りたくない」と言っていた。負傷した者は丁寧に治療してくれた。それも帝国軍の治療と違って早く治っていった。夢のようだ。俺たちは何のために帝国で働いていたのか考える時間が出来てきた。


 高野防衛大臣と立川統合幕僚長は自衛隊の補強について話し合っていた。

 防衛設備庁長官も同席していた。「大臣、国産の砲類については開発は進んでおります」

 防衛設備庁長官は続ける。

「艦艇用の127ミリと大口径の255ミリについては制御装置も含め完成しております」「現在下北で連射テストを行っていますので、もうじき結果がわかるはずです」

「それから迎撃ミサイル類ですが、RIM-7FやMシースパローに替わる試誘-336号と、RIM-67スタンダードSM-2に替わる試誘-355号は当面の数値目標についてクリアしました」「最終テストを同じく下北で実施中です」

「懸案でありましたMk41垂直発射システムも国産化の目途が付いています」

「急ぎ開発していました、中型『ドラゴン』用の陸上自衛隊用新型35ミリ機関砲 試砲-410号も完成いたしました」「大学研究室の協力により、疑似『ドラゴン』の腹部を1発で貫通させ、内部で爆発します」「中型『ドラゴン』に対しては有効な手段となります」


「これを乗せた96式装輪装甲車の発展版、22式装輪装甲車の試作も完成しており、これは陸上自衛隊開発実験団本部の装備実験隊がいる富士演習場と東千歳演習場にて試験を繰り返しています」

「89式装甲戦闘車のエリコンKD35ミリ機関砲も先ほどの新型35ミリに乗せ換え可能となりました。これもテスト中です」「この新型35ミリ機関砲は小型化できていますので、従来の87式偵察警戒車に搭載しているエリコンKB25ミリ機関砲と換装も可能です。もちろん改造は必要ですが」

「これを発展させた地上型35ミリ機関砲も開発済みでして、けん引車で移動できるようにしています」

「対空砲としても使えるように、対空レーダーとのデータ連動も可能です」

「諸元はエリコン社と同等以上なのですが、発射速度はエリコンの毎分千発に対し毎分2千発と大きく超えています。このままで研究開発を続けようと思います。速度を落とすのは簡単ですから」

「この技術を応用して20ミリ4連機関砲を作りレイセオン社の「CIWS」に置き換えられないか研究中です」

「完成すれば純国産の護衛艦が建造できます」


「海上保安庁からも海獣対策として新型35ミリ機関砲の問い合わせが来ています。船舶用は実績もありますから早急に対応できる予定です」


 高野防衛大臣が言う「実は東山国土交通大臣から泣きつかれて、海獣が現れたら逃げるしかない巡視船では話にならないという事だそうだ」「それに我々と同様に新造船を作れない環境ではあるからな」

「彼らの兵器もブレーダ社やエリコン社製ですからね、我々の作った新35ミリ弾頭はエリコン社と互換性があります。40ミリはすぐには無理ですが、35ミリ弾頭はいくつか渡してテストしてもらいましょう」


 立川統合幕僚長は頷く。

「だが大型『ドラゴン』に対する手段は考えないと」


「ええ、航空装備研究所でも一番の研究課題となっています」

「大型空対空ミサイルで何とか仕留めましたが、あの「コールドブレス」は厄介です。少なくとも一方向からの攻撃では無理があります。複数同時着弾を目指さないと」「その為の研究と「トメス」に使用した80式空対艦誘導弾(改)をもう少しプログラムを変えて、レーダーホーミングしながら突入進路をランダムにして予測させない様にできないか調整しています」「スパロー4発分の炸薬ですから、当たり所が良ければ1発で、だめでも2発あれば何とかできると思います」「現在考えているのは、複数同時発射により各誘導弾が位置情報を通信しあって、固まらない様に同時撃破しようと言う物です」「最低4発を撃てば後は誘導弾が目標に対して進行コースを自動的に変えて四方から同時着弾にする予定です。しかも基地に位置情報と判定情報が蓄積されれば、AIによる撃破コースを自動選択する事となります。もうしばらく開発にかかりますが。今は赤外線センサーを付けるかどうかを検討しています。極冷気を検知すると回避行動を取るようにブログラムします。もちろん3次元機動ですが」


「それは良い物になりそうだ」立川統合幕僚長は頷く。

 高野大臣が言う

「それは80式空対艦誘導弾とは別物だと思うがな」

「はい93式空対艦誘導弾の半分以下の射程50キロ程度ですから80式空対艦誘導弾の有効利用と思ってください」「F-1時代から作ったのでまだ100発程度在庫があります。F-4EJ改にも搭載できます」

「あっ対地攻撃にも使えるようにモード変更を可能にします。また「トメス」の様な大型地上生物が現れないとも限りませんから」「80年代と違って新型回路は容量が格段にUPして演算速度も比べられないほどです」「初期のアポロロケットは初代ファミコンの容量と演算速度で飛んでいたようですが、この80式の新型回路はその10万倍以上です」


 高野大臣「大型飛行生物に対抗する手段となりえるな、完成したら「ドラゴンバスター」とでも呼ぼうか」と呟いた。


 続いて大切な話を立川統合幕僚長と二人で始めた。

「大臣、例の捕虜ですが、いかがいたしましょう」

「本来なら相手国と取引して返還したいのだが、しばらくは無理だな」

「もし宜しければ、南西諸島の護衛艦隊を南に見える半島に行かせて交渉しては如何かと思います」


「確実に戦闘に突入すると思うが」


「ですがこのまま養っていてもどうかと思います」

「日本山国境検問所から戻してもまた戦闘に加わりますでしょうし」


「うーむ、しばらくはこのままだな。良い手はない物かな」

「捕虜を訓練して自衛隊と共に戦闘させる事も考えられますけど、人権団体が煩そうです」

「うーん」


 結局、南の半島にある港町に出向いて捕虜返還交渉を行う事で決着しそうであった。

 新たなる火種の予感である。


 後日、東千歳駐屯地の捕虜収容所において、捕虜達に希望調査を実施した。

 若者を中心に50名近くは自衛隊に協力したいと言ってきた。残り90名は家族を思って帰りたいと。

 結局帰っても軍に戻れば、あの強力な陸上自衛隊によって次は死ぬ運命だからだ。

 それよりは自衛隊にいて「死なない」選択をしたかったのである。

 北部本面隊は何名かを選抜して、訓練に同行させたが成績は上位であった。

 格闘戦はかなり強い。だが射撃は初めてなので全くダメだった。


 それでも「訓練すれば行ける」とお墨付きをもらっていた。大陸に冒険者として潜入させるには良い人材である。

ありがとうございました。


なにか戦争の予感がします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] レールガンならブレスも何のその?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ