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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
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第28話 女神様

第28話を投稿いたします。


なにやら難民が来たようです。

 第3普通科連隊第3中隊長の東山は連隊本部に報告すると共に、山頂で見つけた「エルフ」と「ストーンゴーレム」の子供を連れ、山道を下って行った。途中の崖になった細い道では、隊員がゴーレムをロープで横に引き、なんとか落ちずに麓まで連れてきた。ゴーレムが落ちたら隊員も無事では済まないので慎重にゆっくり下りた。


 麓の検問所で連隊長に報告し、エルフとゴーレムを紹介した。と言ってもゴーレムの通訳はエルフなのだが、連隊長はいろいろ聞き、そして肝心な何を食べるのか尋ねる。

 ハイエルフと違ってエルフは何でも食べられるようで心配はいらなかった。

 一方ゴーレムは石や岩が主食なのだが、好き嫌いがはっきりしており、食べられる物が少なかった。

 新発見は、ゴーレムの子供は木も食べるようであった。特に大森林の木は美味しいらしい。


 問題は解決した。


 いろいろ聞きだした後は第3普通科連隊第3中隊にハイエルフの里まで送らせた。

 族長を見るなりエルフは「女神様」と跪き、泣き始めた。

(泣かないで、辛いことが沢山あったのですね)

「はい、女神様それも過去の思い出になります」

(そうですか、それはよかった)

(奴隷紋と呪いを解きましょう)

「有難うございます女神様」族長は両手のひらをエルフにあてて何か呟いた。

 途端に両手のひらが眩く輝き、次第にエルフを包んで行った。

(さあもう大丈夫ですよ)(奴隷から解放されました)(幸せに歩んでください)

 第3普通科連隊第3中隊長の東山隊長は「奇跡を見たのかな」と小隊長に向かって言った。

「ええ、さっきから女神様と言っていましたがその意味が解りました」

「エルフの方たちや奴隷にとって、ハイエルフは神様だったのですね」

 エルフがはっとした様に言う。

「そういえば、私たちエルフの間で、東の海に女神様が現れたと噂が回りました。最近の事です」

(そうなのですか、娘かも知れないですね)(日本国に留学してお仕事をしているようですから)


(東山隊長ストーンゴーレムの子供は私の里で預かります)

(このエルフの子は日本で助けてあげてください)(いろいろお役に立てるはずですよ)


 東山隊長は意味が解らなかったが、取りあえず師団司令本部に連れて行くことを決めた。

 師団司令本部は女性?と言う扱いで、女性自衛官に大三角州に設置された臨時購買部にて予備の下着と白いTシャツに予備で持って来た迷彩服3型を一式渡して着替えて貰った。もちろん購買部費用は平沢陸将のポケットマネーから出た。


 幕僚長の中野一等陸佐が何か考えていた。

「彼女、もしこちらに協力していただけるのであれば、帝国に欺瞞情報を流すことが可能になります」

「だが危険だろう」

「彼女の話では同じように奴隷にされたエルフを中継して連絡しているそうですから、山頂につくる国境検問所で魔道通信して貰えば比較的安全で、逆に帝国の情報も集まるのではないかと思います」

「だが中継も奴隷らしいから、途中で帝国に気づかれたら酷い仕打ちを受けるのではないかな」


「可能性はあります。例えば大規模な作戦をする場合、何かに使えるのではと思います」

「また帝国内での通信を傍受できれば役に立つと思います」

「だがまさか平文で通信したりしないだろう」「聞いてみましょう」


 中野一等陸佐が尋ねた。

「魔道通信はどの様に行うのですか」

「はい、通信文を渡されて、相手を呼び出してから行います」

「通信文は普通に読める内容ですか」

「ハイデルバーグ領に来る内容は判る内容でした」「軍は判りませんが」

「今回連絡を中継する役目で連れてこられたのですが、中継する前に逃げました」


「よくわかりました」「すこしお休みください」優しい口調で翻訳された。

 最近のポケット翻訳機は一部の感情を読み取って翻訳に乗せるようだ。まったく。


 予定通りエルフの里からの山道を拡張する工事に取り掛かった。


 試掘している現場の先から、3つの山をまたいで「つづら折り」の道を作る計画。

 戦車はまだ無理だが、装輪装甲車は通れるようにする。

 また国境検問所の防護壁を大三角州で組み立てに入った。


 大きな木枠とエポキシで型枠を作り、高張力コンクリートに鉄筋を沈め作成する。

 サイズは1m×1mの長さ10mだ、これを現地で組み上げる。

 地盤補強の為にコンクリートパイルを打ち込みその上にコンクリートブロックを特殊なエポキシ系接着剤で接合していく。時間が節約でき、強度も申し分ない。幅2m高さ4mの防護壁で検問所を取り囲み監視塔を20mの高さで設置する。

 国境検問所の付近の山頂は比較的削りやすい岩場で、山頂を回り込むように『ストーンゴーレム』の村に道が反対側チロルの麓から続いていたが、山頂を削り国境検問所の前を広場にした。左右に逃げられない様に防護壁も建てる。

 防護壁の前面は幅4m深さ3mの堀と鉄条柵で囲み防護壁には上に登って射撃できるようにキャットウォーク(犬走り:警備用の通路)を設ける。

 因みに国境検問所とは呼んでいるが、誰一人通すつもりはない。まるで砦の様に作られた国境検問所であった。


 工事中にチロル側から何かが来た。


 隠れ住んでいた、獣人とエルフが50人も来た。

「ここは女神様の国なのか」「私たちはドーザ大陸で暮らしていたのですが、スルホン帝国の迫害にあって隠れ住んでいました」「ここに女神様の国ができると聞いて皆で逃げてきたのです」

「どうかお慈悲を」


 一人も通すなと厳命されていたが、難民なら仕方ない。


 警備担当の第3普通科連隊第2中隊長の山下中隊長に連絡が行き、連隊本部とやり取りした結果、山頂で尋問し、ハイエルフを向かわせるのでスパイでないか判断してもらうとの事。


 この頃ハイエルフも多少日本語を覚えていた。特に若いと言っても250歳らしいのだが、一人のハイエルフは日本語が堪能になり、第2師団との交渉もしていた。通り名で「真莉愛(マリア)」と名乗っていた。


しかもこのハイエルフは、特別に日本政府から連絡用に古くなったKLX250を借り受けていた。

 大森林には道路がない。名目上私有地扱いであったので、自由に乗り回せたのだった。

 将来町が出来たら、免許を取ってもらう約束だ。KLX250は第2偵察隊所有の廃棄直前の中古だったのだが、整備は行き届いている。

 砂利道をヘルメットをかぶったハイエルフがKLX250でふっ飛んでいく。なにかの映画のようだ。


 あっと言う間に国境検問所建設現場に到着した。

 山下中隊長から内容を聞き質問する。

 嘘があれば思念で解る。


 この集団は本当に逃げてきたようだった。

 35人の獣人と12人のエルフ、そして3人のエルフの子供。全員が裸足であった。子供は足から血を流している。山下中隊長はいたたまれなかった。自分にも3歳の女の子がいる。


 尋問結果を連隊本部に連絡したところ、師団司令本部にて預かるとの事。荷物を下ろした73式大型トラックに全員を乗せ、ゆっくり坂道を下らせ師団本部に送るように指示した。


 第2師団司令本部では幕僚会議が開かれていた。

 大三角州の名称と町を作るから概要を参考に送れと言う無茶振りである。

「われらはデベロッパーではない」と平沢陸将は言ったが誰も同意しなかった。


 外務省では大森林が日本の国土と決まったが、ハイエルフを始めとする外国人の扱いをどうするか揉めていた。国籍もない。人間ですらない。しかし、日本領土に元からいる人種としての扱いをするか、移民か難民としての扱いをするか紛糾していたのだ。どうやら難民の方が扱いやすい事と結論付けられ、特別パスポートを

『ナナ』『リナ』『ミーナ』『レイナ』『ヒナタ』の5人に渡すことにした。ハイエルフの里はとりあえず識別の名前を名乗ってもらう事で結論とした。


 意外にざっくりである。


 国土交通省は、大森林の道をどのように扱うか国土地理院と協議していた。

 現在、道と言っても森林を切り開いただけの道なので、まだ必要もないとは思うのだが、利権が絡むのかかなり積極的に動いている。


 通商産業省は大森林を国内扱いして、街を作ることを計画していた。

 それには名称と都市計画が必要になる。空港も現在の簡易航空基地ではなく、4千m滑走路3本を持つ国内最大級の空港を目指していた。また、鉄道を引くことも計画として入れた。国土交通省の担当のはずであるが、先手を取ろうと言う魂胆であった。

 手つかずの2百kmの砂浜を持つ巨大リゾートを計画して、街も大きなものを考えていた。

 他には、警察署や消防署に飲食店、住居と架空の計画は進む。

 大型害獣や『ドラゴン』の事は完全に忘れられていた。

 

 そんな時、忘れるなとでも言うように、仙台市に『ドラゴン』2匹が飛んで来ようとしていた。

 しかもなにやら前回より大きい。仙台は大丈夫なのか。

ありがとうございました。


『ドラゴン』が仙台に向かっているようですよ。

しかも前回より大きいらしいです。

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― 新着の感想 ―
>>通商産業省は大森林を国内扱いして、街を作ることを計画していた。 中央省庁再編で通産省は経済産業省に改編されたと思うのですが、、、、、
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