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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
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第242話 元の世界へ その15 謀略の果てに1

遅くなりました。日曜日は風呂に一日入り、月曜日は痛みに耐えて整形へ、薬処方されましたが痛みは治まりません。このまま2週間様子見です。

ダメなら・・・手術だそうです。

長征とのバトル。あとがきに書きます。

 在米国ロシア大使のロドル大使は本国より返信された秘匿通信を読む。

「無理だと言っているのに本国の返答は「予定通り実施」・・なんだこれは」


 大使は机の内線呼出を押す。


「大使、御用でしょうか」秘書と言う名のFSB職員、米国通り名「ジェフ」が顔を出す。

 ジェフはロシア人ではあるが、ロシア本国で英語や米国生活習慣を叩きこまれ、親の仕事上と言う名目で16歳から米国ワシントンD.C.に暮らしている、現在はロシア大使館勤務の一般人として雇用関係にはあるが本国からは大使館や大使を監視する様に送り込まれた人物である。本名は知らない。

 FSBは、正式名はロシア連邦保安庁と言い、KGBの一部を継いだ組織であるが、今回の様に非合法工作などを限定的に実施する組織であり、KGB時代の面影がある。

 本来、対外諜報はロシア対外情報庁(SVR)がロシア国内に対外諜報機関としてあるのだが、各国大使館などにはロシア連邦保安庁(FSB)職員が配置され、理由を説明しやすくなっている。

 FSBは本来、米国FBIと同様に犯罪捜査機関なのであるから、米国内で犯罪を犯すロシア籍の人物情報を事前にFBIに渡すなど協力関係にあるでFBIもCIAも表立って抗議できないのが現状である。

 だが・・ロシアの不透明さが際立っている組織であり米国内活動に監視が付いている事に変わりはない。


「これを見てくれ」大使は通信内容を示す。


「やるしかないのでしょう」見もしないでジェフは答える。


「計画通り実行するとして何人集められるのか」


「米国内で協力者含め20名前後ですかね」

「なに!!、襲撃計画の全容は聞かされていないが、そんな人数で出来るのか!!、少なすぎると思うが!!」


「大丈夫でしょう。すでに空港職員として複数名を潜り込ませてますので。それに(人数が)多いと計画が漏れる可能性が高いですよ」

「だが、情報によると陸上自衛隊が1個中隊規模でいるらしいではないか」


「はははは、大使、実戦を経験していない軍隊など、計画に支障があるわけないでしょう」

「侮るな、自衛隊は強いと聞くぞ」

「情報では200名程度の中隊なのでしょう、敵ではありませんよ。それに、こちらが仕掛けるのは人質を利用した転移です。心配する方がおかしいですよ」


「そうは言っても、お前達の成否で私の・・・」

「心配しすぎですね。任せては頂けないのですか。ならば大使が指揮しては如何ですか」

「なにを馬鹿な事を」

「なら、黙って我々に任せる事です」

「計画が失敗したなら全員本国に生きて戻れないと思え」

「片道の転移ですから、すでに覚悟はできています」

 どうやらロシア本国からは、日本へ数名を送りこんで情報と資源などをロシアへ、送れと言う事らしい。

 戻るのは現地調達なのだろうか・・片道の危険な計画・・



 一方中国本土・・・

 なんとかサンディエゴ沖の転移予定海域に原子力弾道ミサイル潜水艦「長征型」を配備し日本に送り込みたいと考えているのだが・・・監視がきつすぎる。


 サンディエゴ沖には、日本国から依頼されたアメリカ海軍の哨戒機であるP-8と、その目としての無人機MQ-4Cトライトンが潜水艦などを発見する目的で旋回している。

 勿論、米国交戦規定では潜水状態で相手国への侵入は敵対行為とみなされるのだが・・・


 中国本土の統合作戦指揮センターでの会話。


「なんとかして米国哨戒監視網に穴を開けて欲しいと入電しています」

「夜間に接近し着底後、待てと打電しろ。そうでないと日本政府を核で脅迫する計画が・・」

「静穏改良型の長征18号でも無理だと思います」

「なんとかするしかないだろう」


「なら、シスコ付近で先に騒ぎを」

「距離があり過ぎて無理だな、却下」

「でしたらロスではどうですか」

「ロサンゼルスか、それなら可能性はあるのか」

「了解、「長征14号」が支援の為に太平洋近海にいるので向かわせます」


「それで良い、米軍哨戒機を遠ざけるのだ、その隙に「長征18号」を近づける」

 その計画で良いのか・・・護衛艦や「バンカー・ヒル」も海域にいるのに自殺行為に等しいと思うのだが。


 結局「長征14号」がロサンゼルス沖で潜望鏡を上げてレーダーにワザと捕捉されると言う作戦が始動してる。

 米国海軍のP-8や旧式であるが現役のP-3Cなどがロス沖に集結し、潜水艦狩りを行う事になるのだが、長征14号は急速潜航し、出鱈目に潜航しながら哨戒機を引き付けている。



 その頃、サンディエゴ沖。


 突然DDG-179「まや」から警告が発せられる。


「まやCICから低周波ソナー感あり接近警報発令、西から中国製らしき潜水艦、水中速度1ノット距離60Km、依然接近中」まやに搭載されているAN/SQS-26を聴音機として使用していた為に長距離探索が可能であった。 

 サンディエゴ沖に停泊中であり、航海制限区画に指定されている為に船舶が皆無であり、雑音が少ない穏やかな海域である。


 中国潜水艦の接近を捕らえたDDG-179「まや」が日本、米国に対し警報を発した。

 特徴ある音紋から中国籍の艦艇だと判断を下していた。


 突然の接近を米国側に伝えると、「バンカー・ヒル」「モービル・ベイ」が動き出し、当該海域に向かう。

「我々も出すぞ」南司令の一言で「いずも」と「かが」も抜錨し直ぐにSH-60Kを4機発進させると、交代機を用意する。

 同時に停泊していたDDG-179「まや」、日本から各国VIP護衛の為に転移してきたDDG-174「きりしま」に

DD-107「いかづち」も抜錨と同時にエンジンを始動し、すぐに移動を開始する。


 まさか米国沖でこんな事態になろうとは・・・


「南だ、敵潜はまもなく米国排他的経済水域内に入り込む、キツネは追い込んで米国艦艇に引きわたす。抵抗するなら米国艦艇に退治を任す」

 米国海軍には連絡済みであると同時に対潜分担が伝えられる。


 何と言っても米国領海なので探索に協力する以外に南司令の選択肢はない。



 一方同時刻、「長征18号」艦内。

「艦長、敵は気づいていない様です」小声で副艦長が報告する。現段階では無音航行に徹しているので潜望鏡も上げられない。

「微速前進、このまま気づかれずに着底」艦長は操舵員に小声で伝える。返事はない。


「艦長、水上艦多数接近中」

「推進停止」


 ・・・・・

「長征18号」は停止しても原子炉冷却装置が動いている為に完全静音とはならない。


「気づかれたか、微速後退」潮流に流されながら停止する形になる。

 海中に停止状態となる。


 当該海域に先に到着した「いずも」所属SH-60K、2番機がLOFARソノブイを複数投下、その後にSH-60K、3機が同海域にHQS-104吊下式ソナーを降ろしてキツネを探索する形で範囲を狭めていく。


「突発音、ソノブイ投下」ソナー員が報告。すでに無音航行モードから戦闘モードに切り替わっている。

 追い詰められた「長征18号」は微速後退から最大船速に切り替え、反転を試みようとする。

「最大船速、取り舵反転」


「かが、海豹2(ツー)タリホー」と発信すると同時に海上に白煙筒を投下する。

「長征18号」の反転が遅れた為に発見されてしまった。


「操舵員不規則転回、振り切れ」長征の艦長から檄が飛ぶ。


 海豹2の投下した白煙筒周辺にSH-60Kが集まってくる。


「長征18号」は、なりふり構わず水中最大速度の22ノットで逃げる。西側の見立てでは最大水中速度20ノット以上とあったが、実際には22ノット程度である。速度は短時間であれば25ノットも可能なのだが・・


「かが」配属の海豹1に、「いずも」所属の海虎(しゃち)1、海虎2が探索範囲を広げる。


 海豹2はしっかり「長征18号」に張り付いている。


 後方から「バンカー・ヒル」「モービル・ベイ」が35ノットの最大船速で迫りくる。


「いずも航空参謀から各機、交代機発進、到着次第交代せよ」


「各機米軍さんから感謝が届いている。「日本自衛隊の奮闘感謝するキツネを追い込むのは任せろ」」

「交代機到着後、任務移行、広範囲に探索継続、米軍が最後の仕上げをする」


 突然「モービル・ベイ」から2基のRUM-139 VLA(新アスロック)が発射される。

 交代機のSH-60Kは巻き込まれない様に距離をとる。



 長征指揮所。

「海上突発音2つ」ソナー員が報告する。

「最大船速2」と艦長。

 最大船速2は「長征18号」の隠し速度で最大25ノットを5分間だけ出す事ができる。


「追ってきます」

「面舵45度、深度70デコイ5番6番射出」

「長征18号」はデコイを射出し、デコイは反転し後部に迫る魚雷に向かう。


 RUM-139 VLAの弾頭はMk.46Mod.5A短魚雷でありアクティブ/パッシブ方式で目標追尾する為、中国製デコイの偽音響には騙されない。追尾は続行中・・・


「デコイ躱されました追尾続行中距離700」

「3番、4番短魚雷距離200自爆にセット、射出」


 長征の短魚雷が反転して後方に向かい、自爆する。


「自爆確認、追尾続いています」

「急速浮上、警告、なにかにつかまれ」船体が海中で45度になり海上に向かう。

 海上がすこし盛り上がったと思ったら潜水艦が飛び出してくる。


「長征18号」が海上に飛び出すと同時に船体に2つの打撃音が走る。

「ゴン」「ゴン」

「不発なのか」と艦長。(いやそんなはずはない、米国海軍に遊ばれただけか)

「自爆用意」

「艦長ダメです。米国EEZ内です」と副艦長。

「知るか、自爆モード開始」

「艦長」副艦長が叫ぶ、発令所の全員が艦長を見る。


「馬鹿者、戦略ミサイル原子力潜水艦だぞ、拿捕なんかされたら家族全員が粛正される」

「それでも自爆は海域を放射能汚染させます。考え直・・・」「自爆を強行する」

「うっ」「何をばかな・・」副艦長は艦長を刺した。

「艦長すいません。自爆シーケンス解除および停止、これより本艦は降伏する」

 副艦長は無弾頭魚雷を撃たれた事で米国海軍の意図は充分に理解していた。


「副艦長、海上艦2後方に3」「だろうな」

 副艦長は緊急脱出口を開けると白旗を持って船体に上る。

「思った通りか」副艦長は思う。

「バンカー・ヒル」「モービル・ベイ」2艦は停船した長征18号の前後に位置取り、逃げられない様にして62口径5インチ単装砲2基の2艦計4門を長征18号に向けている。


 すでに各タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦は作業艇を降ろし、拿捕すべく中国潜水艦に向かってくる途中である。

「独身で良かった」と副艦長は呟く。下に向かって「艦長を拘束して手当してくれ」(ん?逆か)

長征18号が拿捕されていますが、現実に起きたなら自爆は必須と思います。(米国内であっても)

また長征型は性能詳細は不明なので推測で書いています。

潜水艦戦闘シーンは不慣れなので生暖かい目で見て頂けると助かります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 「はははは、大使、実戦を経験していない軍隊など、計画に支障があるわけないでしょう」 ところがぎっちょん、中世の騎士&パイク兵が相手とは言え『実戦証明』済な部隊を当該地に…
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