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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
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第239話 元の世界へ その12 日本からの転移開始。

1日遅くなりました。すいません。

あまりにもプライベートが忙しく書く時間がなかなか取れません。

ご心配おかけしました。

まだ忙しさは続いているのですが、なんとかやりくりしています。

「失礼します。遠山です」

 混乱したホワイト・ハウスの大統領執務室に連結した会議室に遠山が国務省から急いでやってきた。

 FBIとシークレット・サービスがホワイト・ハウス正面玄関を激しく行き来しており、遠山を迎える者はいなかった。中からはタンカらしきものが運びだされ、救急車に乗せられでいく。行き先はジョージ・ワシントン大学病院らしい。


「よくおいで下さいました」アレクス・トルーマンJr副大統領は会議室で遠山を待っていた。

 となりにはハイエルフが二人、ダークエルフが一人、それとトミー・シュナイダー・ジュニア首席補佐官がいる。


「具合の悪い方でもでたのですか。救急車がいましたので」

「あっ遠山さんは気にしないで結構ですよ」

 大統領が倒れ気にしないと言うのは・・・事後処理に入っているのか。


「遠山さん、改めて副大統領のアレクス・トルーマンJrです。大統領の体調が悪く、急遽パリから私が呼び戻されました。貴国の状況と要望については道中に全て目を通しました。早速ですが貴国の転移についての話し合いをいたしましょう」


「有難うございます。いろいろな場所にて何度も同じ話をしましたので、私も先に進む事に異存はありません」


「有難う貴国の計画を進めましょう」


「各国大使達は船舶でサンディエゴでしたね。1週間後なら準備完了します」とトミー・シュナイダー・ジュニア首席補佐官。


「地上転移はどうする」と副大統領が首席補佐官に振る。


「はい、基本サンディエゴ近くを探しましたが、横田基地全体の大きさを考慮すると、ある程度の広さと周囲から隠蔽する為の対応も考えますと地方が宜しいかと思い「ダラス」を候補としています」

「ダラス・・大丈夫なのか」

「はい、国内線用のダラス・ラブフィールド空港を閉鎖して受け入れをします。ここなら十分な広さがあります。そして我が国から出る者はバス移動にて「ダラス・フォートワース国際空港」にて出国手続きをさせる予定です」


「転移者が移動にかかる日数分の住むところと食事の手配をお願いします。日本政府で拠出いたします」と遠山。


「ダラス・ラブフィールド空港は周囲にホテルも病院もありますので大丈夫と思います。

 時間がかかる場合は空港ロビーを解放して対応しますが、問題と言えば空港内飲食店や各店舗に対する保証でしょうか、休業補償も含みます」


「それなら日本政府に負担させてください」と遠山。


「次に、サンディエゴ到着のVIPについては係留後に希望調査を港で行い、順次バスでサンディエゴ国際空港から出発して貰います。また持ち込んだ荷物は大きさによって国際航空便や船便で送付します」


「はい、そのあたりの費用も日本政府が負担します」


「次の懸案ですが、全世界に向けて帰還希望者は・・そのダラスに集める事に、政府関係者とその家族はサンディエゴですが」


「それなら我が国の三大ネットワークとケーブルテレビに協力を要請しよう」と副大統領。

「でしたら広告費として日本国政府が出しますので、CMベースでお願いできますか」

「米国内はそれなら大丈夫でしょう。して海外は」


 主席補佐官が答える。

「海外についてはBBCに窓口を委任して全世界的に流してもらいます」

 どうやら根回しは済んでいる様子。


「他に心配はありますか」と副大統領。

「他は武器兵器の消耗品やできれば部品取りの中古を販売して頂ければと思います。将来全て自国製に変わると言えども当面の保守は必要ですから」


「その、伺いたいのですが、日本国として工業関連はどうでしょう。その転移の影響とかは心配無いのですか」

「その点は大丈夫です。軽工業、重工業ともに影響はございません」

「そうですか、なら我が国の原材料が目減りする事はないと思って宜しいのですね」

「はい、その点についてはリサイクル含め活用させて頂いています」

「了解です。それで転移については問題ありませんね」

「はい、ありがとうございます。ここに来て突然進み始めましたので驚くと共に安心しております」

 遠山は素直に「感謝」を述べる。


「しかし不思議な存在ですね。ハイエルフとダークエルフさんとは」副大統領が話を変えた。

「遠山、そろそろ(わらわ)は腹が減った。機嫌を損ねたくなければ食事を持ってこい」

 ダークエルフは我がままを言い始めた。しかし副大統領とのやり取りを黙って耐えていただけでも良しとしようと遠山は思った。

 ハイエルフはクスと笑う。


「しっ失礼しました。すぐに用意させます」と首席補佐官は慌てて内線をかけ、食事を用意させる。


「それで副大統領殿」遠山は食事が用意されるまで詳細打ち合わせを行う。

「それについては大丈夫ですよ。遠山さんが計画された通り、こちらに転移者入国は1週間後、転移して帰国する方々は3週間後で手配しています。それと日本国に持ち帰りする武器兵器については中古と言うか、新品以外の物を用意します。我々も新品の武器兵器では議会承認に時間がかかるので、中古素材として一括販売とします。これなら議会を通さず販売できますので」


「それはありがたい。3週間で用意頂ければ持って帰れます」

「リストを事前に頂いておりますので、すでに準備をしております」と首席補佐官。


「ではダラス・ラブフィールド空港に移動をお願いします」

「リストには重火器等は含まれてないですが、大丈夫ですか」

「はい、ドラゴン以外に重火器は必要ないですから、またドラゴンについてはこちらのハイエルフのお仲間が管理していますので」

「そうですか。我々もドラゴンなど見た事も無いですからさぞ大きいのでしょうね」

「はいそれなりに」遠山は言いたくなさそうだ。


 内線がなる。


「食事の準備が出来たそうです。案内します」と首席補佐官が言うと同時に職員が入って来て案内する。


「では皆さま案内しますので」と職員は遠山とハイエルフにダークエルフを連れて行く。


 日本国代表と不思議な存在のハイエルフにダークエルフがいなくなった会議室で、

「ふぅぅ。疲れた」副大統領は本音を漏らす。

「ありがとうございます」と首席補佐官。

「当然だろう。大統領が倒れ、しかも考えを読んでいるかも知れない存在を相手にしたんだぞ、緊張しない方がおかしい。それに余計な事を考えない様するだけで精一杯だ」

「私もです。あの思念波と呼ぶものをくらって気を失うのは勘弁して頂きたい」と首席補佐官。


「つらかったか」

「つらいなんてもんではありません。気づいた後が酷い頭痛で」

「そうか。大統領も未知の生物を相手にするなど正気とは思えん」

「私も止めたのですが」


「いや自業自得だろう。盟友であった頃はそこまで酷い人物と思ってもいなかったからな」

「私も気づきませんでした」

「そこまで気にする事は無い。呪いで死ぬとか説明できんだろう」

「はい・・・」


「呪いを止める事は出来るのだろうか」と副大統領。

「何とかお願いすれば」

「でもその後殺人依頼で調べたり大変だな。なら病気で死亡の方が説明しやすい」

「それはお任せします」

「様子見て発表するか」

「では広報官に事前情報を流させますか」

「それはバランス的に問題だな。病院に搬送したから漏れるだろうが、政府としては様子見ている体で頼む」

「それは了承しました」

「それ副大統領、在日大使のジョン・トールマンから日本に帰化したいと申請が」

「ジョン・トールマン大使は国務省にて取り調べを受けていると聞いたが」

「いえ、ジョン・ヒルトン大統領の指示です。大使はハイエルフやダークエルフ、そして管理者と言われるいわゆる「神」の存在を大統領に伝えましたが、一蹴されました。そして国務省に監禁の上取り調べです」


「それはダメだ。すぐに解放しなさい。そして本人の言う事を全てレポートにして希望を再度聞く様に」

「了解しました」


 大使は解放される様だ。


 ●●●


 そして1週間が経過して、日本からの転移希望者を迎える日となる。


 遠山はサンディエゴ軍港に来ている。

 一般民については完全に米国政府にお願いしているが、サポートとして在米国大使の佐伯大使にお願いしている。今回の一般民については殆どが外国籍の人々で、日本国籍を持つ者は少ない。


 ダークエルフは戻っており、現地の東京湾に集結した船舶については「リナ」「ナナ」が担当し、整理は全て海上自衛隊が行う。それに転移ポイントが近海とは言えVIPを乗せている為に護衛艦が警備につく。


 一方地上転移組は、転移してしまった外国人観光客や移住を決めていた日本人が中心だ。

 皆は横田基地に集合し陸上自衛隊の設営したテントで待機している。このテント事転移させ、戻る人達をここで受け入れる。その為の陸上自衛隊隊員も1個中隊同行する。

 この担当は「ミーナ」「レイナ」であった。


 ダークウルフには重労働なのだが、先に船舶転移を1時間後に地上転移をしてもらう予定だ。


 ここは東京湾。各国大使とその家族に大使館関係者を乗せた客船やフェリーが何隻も乗客を乗せては東京湾の沖合に停泊している。

 やがて横須賀からの護衛艦3隻が合流するが念のためなのか、ましゅう型二番艦の「AOE-426おうみ」が随伴する様だ。計4隻の護衛艦と補給艦は集合地点に向かう。


 やがて時間となり、乗客を乗せた船舶8隻が集合場所で投錨し停泊する。護衛艦を入れると12隻の艦隊編成となる。


 先頭の護衛艦「DDH-184かが」に乗りこんだ「リナ」「ナナ」は思念でダークエルフを招く。


「準備は良いのじゃな」「はい、お願いします」


「うむ。この後に横田と言う所に行くので早々に始めるぞ」


 ナナは思念で艦長に伝える。

「まもなく転移します」

 艦内放送で受諾を伝え、船舶無線で同様に随行艦全てに連絡する。


「かが」には現地で対応する為に英語や各国語に堪能な自衛隊員を同様に乗艦させており、現着の際には確認や振り分けを行うための用意がある。


 いよいよ始まる。


 艦内放送にてカウントダウンが開始される。同時に船舶無線でも放送される。


「転移カウント1分前、カウントスタート」


「転移カウント50秒経過、転移カウント40秒経過各ヒーター加熱処理、転移カウンター30秒経過。レーダソナーの稼働開始・転移カウンター20秒前、転移カウンター10秒前、工作物に捕まり衝撃に備えよ。


 9。8。7。6。5。4。3。総員注意。1。転移開始。


 あっけない位転移は終わる。

 海の色が違い、太陽が熱い。


 事前にサンディエゴ近海は退避命令が発令されていて、近くに船は近寄れない。

 

 前回の転移同様に海上10mに突然船舶が現れ、ゆっくり降下し着水する。

 位置は前回同様にサンディエゴ沖であるが、先行していたDDH-183「いずも」、DDG-179「まや」とブルーリッジと対峙する様に米国海軍が派遣している「バンカー・ヒル」「モービル・ベイ」「レイク・シャンプレイン」「プリンストン」が遠くに見える。


 転移はDDH-183「いずも」、DDG-179「まや」とブルーリッジの後方200m程度と近距離で実施され、米国政府と無線データ通信が活発に行われている。


 米国海軍の「レイク・シャンプレイン」「プリンストン」2艦が前進し、客船をエスコートしてサンディエゴ軍港につれていく。全てではなく6隻だけである。

 ここは打合せ通りである。


 すぐに「いずも」「かが」からヘリが数機上がり、先にに向かう。


 巨大なサンディエゴ海軍基地の目につきにくい場所に6隻を誘導していく。

 とは言ってもカブリヨ国定公園の沖を回り込んでサンディエゴ海軍基地に入っていくため、どうしても観光客には見られてしまうが、普通の客船である為目立つ事は無いだろう。

 だが見る人が見れば、日本国旗が描かれている客船が入港する事になる。


 サンディエゴ海軍基地に整列した米国海軍兵と自衛隊員は客船の到着を待っている。

 出迎えしている中に遠山もいた。

「5つの内の1つ目がやっと始まる」遠山は呟く。

ありがとうございます。

続いて地上転移と大統領の死についてお送りします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 馬鹿大統領が退場して、とんとん拍子に事が運び^^ まあ呪いと読心の畏怖が後押ししたのが大ですが・・・・ 予期せぬ転移で異界に放り出された残留外国人が念願の帰国。 ただ…
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