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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
232/251

第227話 新しい世界 神との本交渉

やっと書けました。疲れた・・・

神と会った事無いので(苦笑)会話が・・・

 駐屯地に戻った遠山特別事務次官は詳細を防衛省に報告をした。

「ええ、殆どこちらの要望は伝え神に認可されました。また記録はできませんでしたが、記録媒体を持参すれば過去の映像と会談の内容を写してくださる様です。仕組みは不明ですが、神がそのように。はいはい、ではその様に」


「大丈夫ですか」ハイエルフのヒナタに心配されてしまった。

「ええ大丈夫ですよ。皆さんはこの後どうするのですか」

「村に戻ります。次回迄時間がありますから」

「了解致しました。私は宗谷特別行政区のホテルで待機となりました。では2週間後にお会いましょう」

「はい」ヒナタは笑顔で手を振る。


「遠山特別事務次官殿!!」呼ぶ声で振り返ると鳥山陸曹長が走ってくる。

「はぁはぁ、遠山特別事務次官すいません探しました」

「ハイエルフさん達と挨拶していました」

「それはそれは、ハイエルフさん達は別動隊が村までお送りします。私は遠山特別事務次官をホテルへお連れします」

「ご苦労かけます」

「いえ、私などより遠山特別事務次官殿のご心労が心配です」

「ははは、何が起こるか分かりませんからね。それに神と対話してしまいましたから、信じられない事です」

「はい、私もハイエルフさん達と連絡係をしていますが、家族にも内緒ですので家でも話せないです」

「それでは、宗谷特別行政区に家があるのですか」

「ええ隊舎に家族で住んでいます」

「そうですか、異国の地で大変ですね。ご家族も」

「はい、子供は小さいのでエルフや獣人の子供とも分け隔てなく遊んでいます」

「それは新世代のリーダーとして資質がありますね」

 遠山特別事務次官は笑う。嘘ではない、次世代は宗谷特別行政区の住む亜人達も日本国民となるのだから差別やいじめがあってはならない。これを遠山は心に刻む。


「それではホテルまでお送りします」と鳥山陸曹長。

「よろしくお願いします。それと宿泊が長くなりますので必需品を購入できる所はありますか」

「はい、宗谷特別行政区は難民受け入れの街ですから、PXがあります。そこで宜しければご案内します」

「それで結構です」

 当初の予定では遠山特別事務次官は事前対話が終わり次第東京に帰還する予定であったが、ホテル待機を命ぜられてしまったのだ。

 リモートで会議もできるしホテルでも問題ない。


「はいではホテルまでお送りします」


 遠山特別事務次官は高機動車の助手席に座り発車した。


「遠山特別事務次官、先にPXまでご案内します」

「ありがとう」

 宗谷特別行政区のPXは難民保護区にあり、一般人、特に亜人達が顧客である。

 勿論、宗谷特別行政区に駐屯している陸自もPXを利用している。


 高機動車は大きな通りを走り、ホテル前を手前で曲がる。

「こちらが難民保護区です。入り口ある大きな建物がPXとなります」

 そこは簡易住宅が沢山並んだ、いかにも避難民街といった雰囲気ではあるが、一件だけ大きな建物があった。それがPXのようだ。


 避難民街入り口で停車し、鳥山陸曹長と遠山特別事務次官は歩き出す。

 隊員達は車両警備と遠山特別事務次官警護に別れている。


 ゲートをくぐり、大きな建物に近付く、「ここでお待ちします」と鳥山陸曹長が言うと「すまない」と一言言って遠山特別事務次官はPXに入っていく。


 品揃えは駐屯地の比ではない。様々な物が安く売っている。

 難民達相手なので殆ど原価提供されているようだ。

 売店には売り子としてエルフ達が働いており、異国を思わせる。

 遠山特別事務次官はノートと筆記用具に下着とシャツを買い足した。

 神の記憶については防衛省から記録媒体が届く予定になっていた。

 珍しいので、宗谷特別行政区の絵葉書も買い込む。

「さて、子供と妻にはがきでも書くか」柄にもないなと思うが気分転換にもなるしと思う。


 ホテルに戻った遠山特別事務次官は忙しく日々を送っていた。

 会議等は宗谷航空基地のテレビ会議室が使われ、何度か往復している。

 当初宗谷特別行政区に来た時よりは自由に出歩くことができたが、宗谷特別行政区にとって遠山特別事務次官が最高位の文官である為にVIP扱いは解けなかった。


 やがて1週間が経過して、防衛省と外務省から参加人員の概要が送られて来た。

 最初、高野防衛大臣が提案した通り、国連常任理事国から5か国全てが代表者を送り込む。

 続いて安保理非常任理事国10カ国からブラジル、インド、ノルウェーの三か国が立ち会うそうだ。

 中国、フランス、ロシア、英国、米国の常任理事国は各国2名で10名。

 非常任理事国3か国からは3名が参加する。

 その他の非常任理事国は後日大使が外務省で当日の画像を受けとる事になっている。


「13名に加え、防衛省から1名、外務省から3名の17名か、それとハイエルフ4名で21名だな。多いな」

 遠山特別事務次官はホテルの自室で呟く。

「問題は、ロシアと中国が一番で、次に米国、英国、フランス・・全部だな」

 そうである、各国の国益に直結する為に同盟と言えども強く出られる事を警戒しなければならない。

 特に中国は共産主義で有るため、「神」と言う存在を信じるのかも不安であった。

「当日宗教戦争にならなければ良いが・・・だがそれは米国など同盟国も同じか」遠山特別事務次官は心配である。


 遠山の心配を余所に準備は淡々と進んで行く。

 各国の思惑が渦を巻く。


 やがて1週間が過ぎ、各国大使を代表として迎える日が来た。


 午前10時・・・各国代表を乗せた特別機が宗谷国際空港に到着する。

 

 本日は、空港から直ぐに神々の洞窟に向かい北極大陸にて神と対話をするとの手順である。

 終わり次第、特別機で羽田に戻る予定である。


 ハイエルフ達は既に駐屯地で待機していると報告を受けている。


 やがて羽田からの特別機が空港に到着し、特別ゲートにて空港の外にでる。

 

 なお防衛省からの1名は高野防衛大臣である。今回はエスコート役として立ち会う事になる。

 外務省からは各担当課長3名が各国大使の世話をする事になっている。


 空港にマイクロバスが3台横付けになり、大使たちを乗せていく。

 勿論、同盟国同士一緒のバスである。

 先頭のバスは米国とその同盟として、英国、フランス、ノルウエーが一緒である。

 2台目は、ロシア、中国

 3台目は、ブラジル、インドの代表である。各マイクロバスには外務省担当課長が同席している。

 ただし、日本としても各国大使としても現在の国連がどの様な状態にあるか不明の為に、転移直前の状況による対応を強いられている。


 高野防衛大臣と遠山特別事務次官は3台目に同乗している。


 やがてマイクロバスは静かに発車して宗谷特別行政区の街中を自衛隊による先導を受けて止まらず走る。

 すぐに南の第2施設団駐屯地に到着した。

 ここで3台目にハイエルフを迎え、神々の洞窟に向かう事になっている。


 やがてハイエルフを乗せたマイクロバスは陸自の護衛の基に洞窟を目指して進み始める。

 2週間前は山道から舗装されていない道路であったが、現在は簡易舗装がされおり快適である。


 洞窟の前に到着すると遠山は族長に目配せをする。

『皆さま、神々の洞窟に到着しました』と族長が念話でアナウンスする。

『これから皆さまをご案内しますが、不要なお荷物はバスにおいてください。危険はありませんが邪魔になると思います。また洞窟、北極基地並びに神を撮影しても止めませんが記録できないと思ってください』

 族長のアナウンスである。


 一同はバスを降り、洞窟前に集合している。

 何となく各国間で遠慮しているようにも見える。


 高野防衛大臣は遠山に小さい声で話しかける。

「あの中国大使の随行員とロシア大使の随行員に気を付けて欲しい」

 高野防衛大臣が言っている意味を理解した遠山はヒナタにも同様に告げる。

 ヒナタはニコと笑うだけだ。ハイエルフ同士の念話は遠山には伝わらない。


『では皆さま、洞窟に進みましょう』族長が先頭で皆を誘導する。

 洞窟内は自衛隊員が警備をしているので安全である。

 やがて操作盤の前に来ると族長は操作盤に手を当て起動させる。

 操作盤横の壁が突然波打ち通路が開く。


『通路が繋がりました。この壁の向こうは北極基地です』と説明してハイエルフのヒナタとレイナが入っていく。

 各国大使たちは驚いているが、勇気を出して歩み始める。

 壁を抜けた先に、ヒナタとレイナが皆の到着を待っている。


 最後洞窟に残された人がいない事を確認して、族長とリナ、それに高野と遠山が入る。

『こちらが我々の北極基地となります。神と交信する部屋は上になります』と説明し、皆が揃うのを待つ。

 やがて族長や高野がしんがりで到着した。


『では行きましょう』とヒナタが念話で話しながらレイナと共に階段を登る。

 1階分登り、基地の3階に到着した。


『こちらの部屋が神と交信する部屋となります。どうぞお入りください。危険は無いと思います』

 各国大使は大人しく交信部屋に入る。

 遠山は少し違和感を覚える。

 (2週間前に来た時より部屋が大きくなっているのか?そんなバカな!)


『神とコンタクトします』族長が継げると部屋は少し暗くなり、天井部分に色とりどりの模様が光で点いたり移動したりしていた。

 やがて荘厳な音が響いてくる。

 高野は判らないが、神が現れる時響く音である事は知っている。


 各国大使は何事が始まるのか心配しながら待つしかない。

 やがて音と光が静まり、『神が現れました』と族長のアナウンスで各国大使は前方を見つめる。

 そこには光り輝く衣をまとった、男性とも女性とも見分けのつかない整った人物が佇んでいる。


「お忙しい中ありがとうございます」と高野が挨拶する。

『うむ。言語化開始』と神が宣言した途端に各国大使の頭に相手が言った言葉が流れ込む。


「神よ、呼出に応じて頂き感謝いたします」と族長が綺麗な声で感謝を述べる。

「その者たちは日本と一緒に転移してしまった者達だな、して私に質問があると聞いているが、なんだ」

 各国大使にはどこの言葉か判らないが、頭では理解できる様に流れてくる。


「みなさん我々が交渉している、この世界の管理者です」と高野が説明する。

 各国大使は息を飲む。

「神と呼ばれる存在にお聞きします。日本が我々を元の世界に送り返すと約束してくれたが、我々としては何度も世界を渡る事が可能ではないかと思っています。可能なのか教えて欲しい」

 米国大使が打合せ通り口火を切る。

「可能ではあるが、我を煩わす必要があるとは思えない」

「かっ可能なのですか・・では私が望めば往復できると」たまらずロシア大使が質問する。

「我を煩わす為にお前には何ができる」怒気を含んだ声にロシア大使はたじろぐ。


 ロシア大使は何も返せない。


「良い機会だから伝えておこう。我を呼び出すには強い思念が必要である。その為のハイエルフである。

 しかし、そなた達の世界、アースには魔素がない、我がその様に設計した。

 だから人々やハイエルフでもすぐに魔素が枯渇し念話が使えなくなってしまう。

 今回の帰還に際して我は冥界の管理者ダークエルフをその任に当たらせる。

 ダークエルフならばそなた達の世界に行っても冥界に戻れば魔素が補充できる。

 だが気を付けるが良い、ダークエルフは冥界の管理人、傍に寄っただけで呪われて死ぬことになる。

 そなた達人間にはダークエルフは死を齎す存在である」

 神は恐ろしい事をさらっと言う。


「では神と言われる存在、我々に世界を渡る事は不能だと言いますか」

「先ほどと同様、我を煩わせる対価としてそなた達に何ができる」


「今回1回往復させるのは、日本と言う国をこの世界に召喚し、その功績に報いる為である。

 そなた達は何の功績もない、なのに世界渡りを要求しても我はそれに答えるつもりはない。

 それと策謀を巡らし我を欺くとそのツケはそなた達の国が亡ぶと言う形で返る事を忘れずに。

 そなた達の元の世界は3回滅んでいる。4回目が必要ならばすぐに行うが」


「神よお待ちください。可能性について質問しているだけです」と高野は慌てて説明する。

「そなたが心配する事ではないと思うが」


「ですが何も知らない人々が無残に死んでいくのは日本にとっても不本意です」


「そうであるか。だが何度やっても人々で覇権を争い秩序を無くす人類など、我は不要だと思っておる。

 特に核をもって他国に武力で脅しをかけている国々などは迷惑なだけだと思うのだが」


「ですが神よ、そんな国にも億を超える何も知らない人々が暮らしています。

 その様な者達を滅ぼすのは日本としてもしのびないと思います」


「うむ。これだけは皆も覚えておくと良い、我は混乱した世界を望まぬ、人々が暮らし技術や文化を高めていく事に文明としての意味がある。だが私の管理している世界は時に混沌から悪が生まれそれが蔓延する。

 その世界をリセットする為に終末兵器を各世界に隠している。

 この世界はハイエルフに託された終末兵器がここにある。

 そ・し・て・そなた達の元の世界アースにもその兵器が隠されている。

 そなた達が混沌を作り出し、世界を混乱させるのであれば我は躊躇いなく終末兵器を使うであろう」


「そっそれは何処にある、あるのですか」と中国大使。

「アースにある兵器は地殻変動兵器。コアに置いてある。起動すれば地表全てのマグマが活性し地震が起き陸地は沈み海だけの世界となるであろう。そこから再度進化によって人間が生まれるのは何時になるかのう」


「こっコアとは地球内部の事ですか」と米国大使が枯らしながら質問する。


「そなた達の認識では、マントルの下、外核にある。それも1つではない」


「地表から約2900km程度内部と言う事ですか・・・」


「探しても無駄である。絶えず兵器は外核を移動しているからな。そして起動すれば大地は全て沈む予定である」


「本国は信じて貰えないと思います」米国大使は額に手を当てる。


「人々に知らせるつもりもないぞ。そなた達の行いの代償である」


「つまりあなたは一瞬で地球を破滅せる事ができると」


「私は管理者である。昔人々を導くために姿を現した事もあるが、人間達は自分に都合の良い様に話を作り替えるので、煩わしくなりもう姿を現さなくなった。それが答えである。

 自分達の世界で何をしても構わないが、我は管理者としてそなた達の振る舞いを見ている」


 中国大使は震えている。


「時に媒体は持ってきたか」

「はい、ここに」

「ではここでの会話を映像付きで、過去の破壊の様子も一緒に記録しよう」

「お願いします」


「もう記録したぞ」記録媒体に神は一切ふれていない。


「有難うございます」高野は礼を言う。


「御前に」ダークエルフが突然現れる。


「よいな冥界の管理者よ、そこの者としっかり打合せをするように。くれぐれも我を煩わせるな」

「はい、御心のままに」


 大使たちは突然明るくなった部屋で何があったのか思い出しているが、そこに褐色の肌を持つダークエルフが佇んでいる事で現実だと思い知る。


 ロシア大使と中国大使は膝から崩れ落ちる。


「そんな恐ろしい事・・・」

 本国にどうやって知らせたら良いのか各大使の結論は出ない。


『みなさん戻りますよ』族長が念話で話す。

 各国大使はのろのろと階段を降りて2階に戻ると、族長は壁に手をかざす。

 白い無機質な壁が波をうち、『どうぞ』と中に入ってしまう。


 入って来た逆の順番で壁に入っていく。

 抜けるとそこは洞窟であった。


 高野防衛大臣達が入ってから1分と経過していない。

 北極基地に到着してから時間が引き延ばされ、1時間経過したと体感的に思っていたが実際の時間は1分程度であった。


 高野防衛大臣達はマイクロバスにダークエルフとハイエルフを伴って乗りこむと、空港横の航空基地で打ち合わせを行う。

 各国大使と随行員は何を見たのか自失した様子で特別機に乗りこみ羽田へと旅だった。


「ダークエルフ殿、予定としては約45日後に帰還します。帰還地点は安全を考えてポイント・ネモにする予定です」

 ポイント・ネモとは太平洋上の陸地から一番遠い中心点であり、廃棄する人工衛星などを沈めるポイントである。各国の航路から大きく外れており最悪艦がぶつかり沈没と言った災難を避けられる場所である。

 ここから米国に向けて艦隊を進ませ、交信できる地点で米国に対して協力要請をする為である。

 勿論日本と転移してしまった米国第7艦隊の輸送艦隊や在日米軍も同行するので軍事的級力はそちらに依頼する。


 各国大使や随行員に家族は米国から各国に散っていく予定である。

 また、国連や米国でのニュースを各国同時放送させて新世界に戻って行く日本人を募集する目的もある。

ようやく転移の準備に入った様です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 各国の説得は一応できたようかな! まあ確かに そんなリセット爆弾のこと教えられて 祖国に伝えても信じてもらえそうにないですね! [気になる点] というか これからの世界情勢で戦争にでもなっ…
[一言] 更新お疲れ様です 中国の大使館員は帰って指導部に説明して納得させるためのハードル高すぎるから、帰還拒否で中国人租界のトップの方がマシって帰還責任者を押し付け合いそうだ
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