第22話 日本領土防衛計画
第22話を投稿いたします。
今回は挿入話になります。
なお今回の冒頭は陸上自衛隊の組織その物を語っているシーンとなります。
解りにくいなと思われた方は以下を参考に願います。
(出典:陸上自衛隊Webサイト 駐屯地・組織 (https://www.mod.go.jp/gsdf/station/index.html))
(組織図及び配置図が表示されます:陸上自衛隊 コンテンツ利用規約に従って引用させて頂いてます)
(なお本作はフィクションであり引用をさせて頂いてますが、自衛隊とは一切関係ありません)
立川統合幕僚長は統合幕僚会議を開催して、日本領土防衛の為の防衛大綱の要旨を作ろうとしていた。
現在の陸上自衛隊の配置は、北海道を中心とする北部方面隊に第2師団、第5旅団、第7師団、第11旅団を東北方面隊に第6師団、第9師団、関東を中心として新潟までをカバーする第1師団、第12旅団、そして陸上総隊総隊隷下部隊として第1空挺団、水陸機動団、中央即応連隊がある。
中京から中国四国までを担当する中部方面隊は第3師団、第10師団、第13旅団、第14旅団、九州沖縄までを担当する西部方面隊は第4師団、第8師団、第15旅団がある。
これを宗谷特別行政地区に宗谷特別方面隊を作らなければならない。もちろん、航空自衛隊、海上自衛隊も宗谷大地の北と南に派遣した艦艇を含め再配置が必要となる。
現有勢力については完全に必要戦力が不足していた。加えてどこから上陸するかわからない未知の陸上歩行巨大生物や飛行巨大生物に国内海路を襲う海中生物など、考えられる限りの対応を考えなければならない。しかも陸上自衛隊も海上自衛隊も航空自衛隊も外国製兵器や武器の供給は考えられず、国内開発に切り替える必要が早急に発生したのだ。
大型生物相手にミサイルでは費用効率が悪すぎる。
なんとか打開策を模索していた。
「なんとも頭が痛い」議長でもある立川統合幕僚長が言う。立川統合幕僚長は陸上自衛隊出身だ。
「陸上自衛隊については、旅団を拡充して師団化させたいのだが、人員と兵器が決定的に不足している」
「航空自衛隊については、戦闘機不足に加えて、輸送能力が大きく不足している」
「海上自衛隊については、現状で何とかなるとは思うが、武器の供給に不安がある」
「八方塞がりだな」
「統合幕僚長、提案があります」参加している陸上自衛隊出身幕僚が言う。
「多少の戦力不足は否めないですが、各陸上自衛隊の師団を逆に旅団レベルまで落として、旅団を新設し配置しましょう」「対陸上歩行大型生物だけならなんとかできます」
「また中央即応連隊は国内方面隊の増援部隊としての側面があります。複数の連隊を構成して、航空輸送力と組み合わせて、迅速に各旅団支援を行う方法があります」
「現在横田に米軍は整備部隊等々が残っているだけです。そこで中央即応連隊を、複数の大型生物や各国との衝突に対応して、3個連隊に増強して、現在の宇都宮から横田に転進常駐に変更」
「現在の96式装輪装甲車、軽装甲機動車、輸送防護車及び輸送トラック等を16式機動戦闘車や87式偵察警戒車に替えて高打撃化改修を行い、機動打撃連隊とし、航空自衛隊のC-2輸送機と組み合わせて、中央高速移動打撃連隊を形成してはいかがと思います。この場合C-2の増産と87式偵察警戒車へエリコン25ミリ機関砲搭載の将来性を見越して、国産35ミリ機関砲に換装しなければなりません。もちろん増産も」
「加えて、宗谷特別行政地区に駐屯地、いや防御陣地と補給、対飛行生物、対海中生物の為に航空基地や基地港を建設しないといけません。全国の施設大隊と後方支援連隊を宗谷特別行政地区に集め航空基地作成と港作成、そしてドーザ大陸西側及び北と南の防御の為の防衛基地を早急に作成させましょう」
「またコンクリートプラントを民間から買い上げ、陸上自衛隊が設置します。鉄骨等の建築素材はC-2やC-130Hなどで運べば行けると思います」「しかしC-1の航続距離は何とかならないのですかね、フルロードで1千5百キロでは届かない」「せめてC-130H並みの3千キロは欲しい」
立川統合幕僚長は唸った。「うむっ」本心はその通りであるからだ。
「私もよろしいですか」航空自衛隊出身の参謀
「C-1の改修を行ってもあまり航続距離は伸びません」「C-130Hはライセンス生産ではなく完成機体の購入ですから追加発注ができない状況です」「海上自衛隊と航空自衛隊併せて22機、米軍のMC-130H/Pは海兵隊や特殊部隊専用機ですし横田のC-130H-30は6機です。米軍に借りるとしても28機体制です」
「C-2輸送機は現在年間2機の調達で現在22機、最終30機調達でC-1を退役させる予定です。これを年間5機調達体制に変更を提言します。現在の量産体制ではそれが限界です」
「幸いなことに航空自衛隊の空対空誘導弾や空対艦誘導弾については国産化が完了しておりますが、500ポンド無誘導爆弾を始めとする対地誘導弾や爆弾は使用機会が少ないとの判断から、米国からの調達に頼っています。ですので在日米軍分を含めて、使えばなくなります」
「よって早急な国産化、特に精密誘導装置と誘導弾は必要です。対地上歩行大型生物駆除は果たせると思います」「参考に輸入したF-15Eストライクイーグルが名古屋にありますので、これを研究して、現在退役予定のF-4EJを対地攻撃進化機への改修も視野に入れたいと思います」「しかもF-4EJについてはブラックボックスをF-2設計時リバースエンジニアリングしており、ここだけの話ですがブラックボックスを最新化改修もできます」「退役予定でしたので使いませんでしたが、航空開発実験集団にて保有しています」
「さらに一つアイデアがあります。C-1や退役予定のP-3Cを対地攻撃や爆撃機への改修を検討してはいかがでしょうか、陸上自衛隊の74式戦車の退役も決まっており砲塔の転用ができれば、AC-130の様なガンシップに、第二次世界大戦のB-17の様な爆撃機が作れます。爆弾搭載量は圧倒的に不足しますが、現代の精密誘導装置と誘導弾があれば、対生物なら十分な気がします」
「また戦闘機についても不足しており、整備部品も入手困難(横田の米軍補給廠に多少ある)でありますから、国産の開発を加速して頂きたい」
別の参謀が
「海上自衛隊も同様であります。外国製兵器の輸入が不可能な事から、国産化をしたいところです。幸い砲弾等は国産化できていますが、対空誘導弾のスタンダードやシースパローは全てライセンス生産で誘導部分はブラックボックス化されているので、内製化が必要です。これは防衛装備庁の航空装備研究所と艦艇装備研究所が協力できれば進むと考えています」
「また、海中大型生物や未確認の海上大型生物の対処に現在の3インチ砲や5インチ砲では不足感があります。対艦ミサイルは高いですし、時代に逆行しますが砲艦の調達も良いのではないかと思います」
「現代の技術により、10インチ程度の大砲(256mm砲)が出来れば、打撃力も十分かと思います」
立川統合幕僚長が締めた。
「議論は出尽くしたかな」「本日出た課題を防衛計画部が中心となり、運用部と指揮通信システム部に防衛施設庁並びに防衛装備庁と共に、実現の可能性と実現時期をランク付けして欲しい。また各計画の概算もだ」
「よろしくたのむ」
自衛隊の大改革が、どこまで進むのか、どこまで実現するのか。まだ予断を許さない。
南西諸島に向かったナナとレイナは、外務省の交渉役と打ち合わせを行いながら、次の『大島』へ向かった。前回の交渉団により猿人と聞いていたが、実際にはゴリラ種族だった。彼らは大陸語を理解するので、交渉はスムースだった。
外務省交渉役が大陸語ポケット翻訳機で話す。
「大変でしたね、帝国の戦艦は日本海上自衛隊が撃退しました」
「損害の程はいかがでしょうか」
ゴリラ族族長が答える。
「私たちはドーザ大陸から帝国に追われてこの島まで逃げてきたので、帝国の追手が来たと思った」
「必死で抵抗したが50年前と同様に殺害されるだけだった」「悔しい」
「あいつらは殺す事しかしなかった。150人の同胞が100人となった」
「私たちは、それについて提案があります」「ここに私たちの基地を作り一緒に防衛しましょう」
「そして私たちは海の中の石やガスを集めて、日本に持ち帰りたい」
「あなた方が協力してくださるなら、共生できると思います」「あなた方が生き延びられるだけの食料も提供します」「必要なら農場や農園作りをお手伝いします」「いかがですか」
「それは有り難いが、大丈夫なのか、またあいつらは来ると思うぞ」
「昨日の戦いを見たでしょう。一方的だったはず」「次回来ても大丈夫と思いますよ」
「それは良くわかった。助かった」
「ところでここ以外に村はありますか?」
「ない、40年位前に猿族は追い出した」
ナナが思念で言う。
(同じ帝国に虐げられた者達なのだから、仲良くして、さもないと帝国に滅ぼされますよ)
「女神様! 女神さまが日本につかれたのですね、お守りください」
(その為には猿族や他の種族とも仲良くしなさい、帝国に虐げられた者たちで集まらないと帝国の力はそなた達を飲み込むでしょう)
猿族では太陽神の化身、ここでは女神様とされている。ハイエルフは使徒にも近い存在と言うのが良く分かった。
一方、敗戦した旗艦「エミリア」は港町ドルステインに戻る途中であった。
司令官付きの奴隷エルフは戦いの途中、女神様の思念を感じていた。エルフは魔道通信を使えるのだが、思念を受信する事が出来、これが女神信仰の元となっている。
そして、司令のトーマス2世からソミリア伯爵へ緊急通信を命令された時、ソミリア伯爵の居城にいるエルフを通じて、各中継地点にいる仲間のエルフ達に帝国とは秘密に「女神様が東の海に現れた。いずれ私たちをお救いになられる。もう少しの我慢です」と勝手に通信していた。それは帝国中のエルフの知るところとなった。
多分、ナナとエレナの事かもしれない。
戦闘を期待していた方、すいません。次回にご期待ください。挿入話を入れてしまいました。
なお繰り返しになりますが、本作はフィクションであり組織名や部隊名を引用をさせて頂いていますが、自衛隊とは一切関係ありません。よろしくお願い致します。