第222話 運命の国民投票 国民投票編
国民投票が始まりました。
今回は特別に18歳未満の意見も必要だと言う事で特別投票をするみたいです。
ですが集計自体は18歳以上の物を採用するそうです。
日本国内で何時もの様に朝のテレビが始まる。
「朝4時となりました、みなさまおはようございます。「朝4」が始まります」と男性アナウンサー。
番組のテーマソングが流れ、中継地の映像では手を振っているキャスターの画像が次々と切替わっていく。
「では本日の天気予報からお知らせします。関東地方は概ね暖かく、しのぎやすい気候でしょう。
続きまして全国の天気です。気象予報士の天達さんお願いします」
・・
しばらく国内ニュースの解説。
そして、国際関連のニュース。
「ドーザ大陸で誘拐され人質になっている三ツ矢商事、現地日本人杉浦泰三さんの安否は依然確認されていません。時間が経過しているだけに心配ですね」と男性アナウンサーが振る。
「本当心配ですね」と女性アナウンサー。
「政治部の田崎さん解説をお願いします」
「そうですね、ドーザ大陸は自衛隊によって概ね平和な状態となりましたが、現地日本人を拉致したと思われる勢力は帝国回顧派だと言われています。日本が国民投票控える前に日本政府に対し何らかの要求をしていたのではと思われています。これに対し日本政府からの回答はなにもありません」
政治部キャスターが説明する。
「一刻も早い救出を望みます」と男性アナウンサーが締める。
日本各地の様子がアナウンサーの背後にながれ・・・
女性アナウンサーが、
「さて本日は日本としてこの世界に残るのか、元の世界に戻るのかを決める大切な日です。
大東京テレビとして、不在投票について出口調査した所では、残留48%、帰還52%と帰還意見が若干多いように見受けられます。これは当然ながら元の世界おける国際協調の一部として国連や国際機関への参加が望まれているわけです。
ですが、その差はあまりにも僅差であり、在留し日本独自の経済体制が確保できている現在、無理に戻らなくても支障がない。いや帰還しない方が日本にとって経済発展を齎すと言う事だと分析しております」
男性キャストが、
「そうですね不在投票では帰還が有利でしたが、本日9時からの投票は日本政府に対し国民の意見を強く求める物であり、戦後初めての大規模国民投票となります。
締め切りは午後9時を設定して仕事帰りでも投票が出来る様に工夫されています。
どうぞ皆さんのご意見を政府に伝える為の大切な投票ですので棄権のない様にお願いします」
女性アナウンサーが、
「国民投票の結果については即日開票が行われ、午前2時頃には大勢が決まると予測されています。
本日は午後8時から午前3時まで「特別報道番組」として国民投票の行方を追い、与党本部、野党本部、そして宗谷特別自治区の街中にカメラ中継をだしております」
「国民の意見としてどちらに決まるのか、また本日中に拉致事件が解決するのかも心配ですね」
男性キャスターがフォローを入れる。
「つづいてスポーツとエンタメコーナーです」別の女性アナウンサーが進行する。
・・
現在5時45分ですが、ここで緊急ニュースが入りました。とテロップに流れる。
「お知らせの通り緊急ニュースです」と女性アナウンサーが読み始める。
「ドーザ大陸で人質となっていた日本人杉浦泰三さんは自衛隊の活躍により無事救出されました。
繰り返します本日4時頃フマラ旧要塞港で人質となっていた日本人杉浦泰三さんは自衛隊により救出され本人は無事の様です。なお戦闘がおこり地元反乱者2名が重症を負い、「いずも」において緊急手術を行っているそうです。また他反乱者達100名は既に解散しているそうです。よかったですね田崎さん」
「はい、心配していましたが良かったですね。自衛隊の急速かつ慎重な作戦が実施されたと思います。
国民投票前に解決され、これで問題は無くなりました」
「今入った情報です。本日午前8時より当壁総理の会見があるそうです。人質救出についてでしょうか」
ど女性アナウンサーが説明する。
「はい、国民投票前に人質事件の解決をした事について会見するつもりだと推測されます」
政治部田崎は説明する。
「このタイミングは良いですね。これで安心して国民投票だけを考えられます」
「そのつもりの会見なのでしょう」
「政治部としても、国民投票前に拉致事件などが発生し、国民感情が極端になると予想していましたが、これで日本としてどの道が最適なのか冷静に判断できると言う事です」
「どうですか、この事件解決によって国民投票に影響はなくなりますか」
「それは予断を許しません、同様な事件が起こらないとは限りませんが、ひとまず落ち着いたと見て間違いないですね。それに何かあっても自衛隊が速やかに対処すると言ったメッセージを発信したと確信します」
総理官邸。
「総理ご要望通り記者会見の手筈は整いました。本日午前8時からになります」
「手配ありがとう。これで国民投票を国民個々の考えで投票できると信じます」
防衛省大臣室。
「総理よりねぎらいの声が入っております」
「そうですか。内容確認して現地第7偵察隊に送ってほしい」
「了解」
こうして午前8時から当壁総理は記者会見を行った。
「先に申し上げます。帝国復興派とか回顧派とか呼ばれる一部の勢力が日本人を拉致し、ドーザ中央政府を経由して皇帝の帰還を要求されていたわけですが、本日午前5時に自衛隊により無事救出を成功させました。彼らの勇気と作戦に敬意を払い結果人質解放を称賛致します。
もし他の地域でも同様な事件が起こらない様に自衛隊及び現地警察を含めて連絡網の整備を急いでおり、情報の共有を優先させています。
本日実施される国民投票ですが、ドーザ大陸の情勢は抜きにして日本は国民はどの道を進みたいのか日本人にとって何度目かの試練となります。
充分に考えて国民一人一人の決断をお願いいたします」
各社からの質問が相次いだが、総理は丁寧に説明を続けている。だが救出作戦については一言もコメントはしなかった。
8時30分、つまり投票所が開く30分前から、報道各社は特別番組としてこの世界、あの世界、つまり残留した場合のメリットデメリット、帰還した場合のメリットデメリットを放送していた。
しかし・・神から齎された元の世界の情報については一部に政府フィルターが掛かり、正確ではない情報が伝わっている。
戻った場合に一触即発の状況に日本が巻き込まれる可能性については言及をさけていた。
そんな中、午前9時となり、国民投票はスタートした。
日本国民として最大の関心事である為に老人や主婦と思われる人々がすでに並んでいた。
今回の特徴としては、国民投票は18歳以上が参加できるが、今回は特別に14歳以上18歳未満の学生たちも学校で特別投票用紙を渡し投票を体験させる事ができた。
特別投票用紙は全体が黄色であり、投票集計からは省かれ、特別投票の集計は別で実施される。
報道各社では主要な投票所に張り付き出口調査を実施しており、その独自集計がテレビ画面に常に出されていた。
10時の時点では、不在投票とは別に当日分の集計が統計法によって表示されているが、各社微妙に違っている。それは残留58%帰還42%と表示されるテレビ局から、残留44%帰還55%となっているテレビ局まで現れた。
午後に入り、特別投票用紙の子供達が映し出される事で、画面は華やいでいく、各社も投票集計のほかに特別集計もはいり一段と解説が熱を帯びてきていた。
一例を上げると、集計が残留52%帰還が48%に対して特別集計は残留65%帰還35%と子供達の出口調査では在留が多くなっている。
テレビ解説では
「だって日本平和ではないですか、ドーサ大陸も落ち着いているし戻る必要ないと思いませんか」と高校生らしき学生を皮切りに、「私神の桃大好き、戻ったら食べられなくなる」「私ハイエルフ様のファンなのです。戻ったら会えなくなります」「私はミソラさんにあこがれています。いつかアトラム王国に行きたいと思っています。元の世界戻るなら私だけでも残留したいです」
と各女子中学の意見が紹介されていた。
特に男子中学生や高校生、女子は全体的にハイエルフのファンが多く、これが残留が多い理由でもあった。日本は平和でした。
ありがとうございました。
次回は集計結果が出る予定です。