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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
225/251

第220話 邦人救出作戦その2

少し遅れました。すいません。

あとがきの「どうなるのでしょう」がうざいと書かれていましたので書きません(笑)

ですが読んで頂ける事は幸せです。

 旧帝都から急遽駆け付けた第101特殊普通科連隊は高機動車を先頭に軍用トラック(73式大型トラック)が5台で第2中隊は日付が変わる前に駆け付けた。

 師団本部からの連絡では第101特殊普通科連隊の2個小隊が来る予定と聞いていたが、実際には連隊本部参謀と第2中隊が送られて来た。


 第101特殊普通科連隊本部から参謀のマラルが司令に変わり現地指揮を任されている。

「第101特殊普通科連隊第2中隊および本部付参謀出頭しました」

「第7偵察隊本部野田である。遠路助かる。状況を説明する」


 野田1等陸佐は街の地図を出して第101特殊普通科連隊マラルに作戦説明を行う。


「了解です。では第2中隊は私服にて民間人への聞き込みを実施します」

「頼みます。あたりは付けていますが人質の正確な位置並びに敵勢力や首謀者などの情報をお願いします」


「ええ、我々元帝国軍人としても反乱は許しません、日本国のお陰で平和になったのですから、現状変更しようとする勢力は排除させて頂きます」

「ええ頼みます」「はっ」

 第101特殊普通科連隊は帝国兵捕虜の中から日本に恭順した者を訓練し一人前にしあげた兵士達である。

 特に帝都攻略時の活躍は評価されており、今回も市民達に混ざって情報収集の要員として集められた。

 しかし、その兵士達は自衛隊式の過酷な訓練により精鋭部隊となっている。


 第101特殊普通科連隊参謀のマラルが指示する。

「各小隊別に指示。第1小隊は倉庫街での聞き込み及び探査、第2小隊は住宅にて情報収集、第3小隊は飲み屋街での調査、第4小隊は本部にて情報分析と応援に別ける。必要とされる情報は1に人質の捕らわれている位置。2に反乱者概要(人数や拠点)。3に主な首謀者達の情報。よいな邦人を殺させるな、そして反乱を許すな。以上だ」

「はっ」隊員は敬礼し各小隊毎に別れ散っていく。

「マラル参謀、統率がとれてますな」

「まだまだですが、とりあえず格好はついてきました」

「いや日本人が聞き込みしても詳細情報は入らずしらばっくれるだけだ、第101特殊普通科連隊には感謝する」

「有難うございます。お役に立ってみせます」

 第101特殊普通科連隊本部は第7偵察隊本部の隣にテントを設営し交互に通信テストを実施し、リンクを完成させた。


 第1小隊は私服で2~4人に別れ倉庫街で管理している人たちに聞き込みを開始しする。

 第2小隊は、民家を1軒ずつ訪問し「替わった事ないか、困っている事はないか」聞きまわる。

 第3小隊は、2名毎の班に別れ、飲み屋街の店を決め入り店主と雑談を開始する。


 15分後には各小隊からの情報が本部に集約される。

 この情報はある程度確認(裏取り)してから報告として第7師団のリンクに流す。


 約30分後・・・


「マラル参謀情報感謝する」

「いえ、いろいろ集まってきましたが、少し確認が必要な情報があります」

「了解。感謝する」

「情報を整理すると、反乱者達は旧帝国軍人約5名が中心となった港湾労働者をまとめて総勢100名程度と推測される。その本拠地は街の東にある丘に建った旧女神教会。そして邦人も教会に捕らわれていると」

「ええ、ですが教会のどこか不明です」

「引き続き聞き取り調査を進めて欲しい。我々は狙撃班を街東の端にある砲台跡に送り込む。教会の様子は確認できると思う」

「了解しました。第7偵察隊の行動開始を通達し東には近寄らない事を厳命します」

「頼みます。0200には狙撃と監視班を送り込み、0300には教会周囲を囲む予定です」

「了解。協力できる事があれば何でも言いつけてください」

「感謝する」


 こうして第7偵察隊は邦人救出活動が開始された。


 作戦会議の結果。

 第101特殊普通科連隊第2中隊は街から東の丘に続く道を封鎖。

 第7偵察隊主力は丘の上の元教会(現集会場)を取り囲み、抵抗する者は排除。降伏する者は捕虜として第101特殊普通科連隊が尋問する事で決まる。


「総員対処開始」午前3時となり救出作戦が始まる。

 街の外に待機していた第7偵察隊本隊が街を抜けて丘に殺到する。

 第1戦闘偵察小隊から第3戦闘偵察小隊は街の中を別々ルートに進行する。

 各小隊の陣容であるが、元々威力偵察を任務とした特別な偵察隊であるため、小隊本部、戦車分隊、小銃分隊に迫撃砲分隊と言う構成である。

 全て90式戦車に87式偵察警戒車、73式装甲車と82式指揮通信車が小隊を構成した重打撃隊である。

 つまり機動装甲小隊である。

 

 また、先に砲台跡に陣取った斥候小隊は2021年に行われた豪州射撃競技会の参加者でもある。


 夜中のフマラ街に轟音を響かせて90戦車や73式装甲車が丘に殺到する。

 集会場に対して距離500m程度で全車停止し逃げ道を塞いでいる。

 90戦車6台が街を背に集会場を包囲している様子は壮観である。

 その間に各小隊の小銃分隊が主な場所に陣取り集会場を包囲してしまう。

「あれは何だ」反乱者の一人が90式戦車を指さしながら叫ぶ。

「あれは帝国軍が一撃も返すことなく敗れ去った鉄馬車ではないか」

 首謀者の10名以外の者は元漁師や港湾労働者、つまり民間人であり元帝国軍人達の口車に乗せられ反乱に加担していただけの者達である。

 早速一人が集会場に入って、首謀者達に報告をする。

「なに、鉄馬車だと・・あれが来たのか」


 第7偵察隊の野田隊長は分析した。

「反乱者達は殆どが民間人、であれば帝国との戦闘には参加をしていない。

 と言う事はこちらの力を見せつければ解散も望めるな」


「よし90TRを全面にだして圧力をかけ続けるとするか。それで残りの元帝国軍人5名だけになる筈。

 しかも人質を殺害や傷害する事で自分達の命が失われる事を考える筈」

 人質奪還作戦は、深夜注意力が低下し微細な変化にも気づかない状態で、一気に突入し相手の抵抗力を奪い人質を解放するのがセオリーであるが、素人が過半数を占める反乱者達は指揮が行き届かない中で予想外の事態に陥れば、ますます統制を乱し我先に逃げると思われた。


 そこで逃げ道を残しておけば、自らその通りに動いてくれる筈と野田は読んだ。

 その為の威力偵察隊である。


 そろそろ頃合いか、時刻は0345となり30分もすると東から夜が明ける。


「本部から偵1小隊長。勧告を実施」

「偵1了解。対処開始」

 82式指揮通信車の上部から身を乗り出した第101特殊普通科連隊のマラル参謀に拡声器を渡す。

 マラルは帝国語で勧告する。

「我々は日本国自衛隊である。日本人を人質に取り立てこもっているのは判っている。人質を解放し投降すれば首謀者達だけが罪に問われる。だが人質に傷害や殺害を企てるのであれば、集会場ごと破壊をする。

 そして集会場から逃げようとする者は射殺する。

 5分考える時間を与える。どうするか行動で示せ」

 かなり厳しい言い回しで勧告をした。


 外で見張りをしていた漁師や港湾労働者達は焦り、皆集会場に入ってしまった。

「おれはいやだ。死にたくない」と一人が騒いでしまった。

「だまれ、それ自体が日本の策略だと思わないか」と首謀者の一人がなじる。

「お前達が簡単に利権を戻すと言うから、日本を大陸から追い出すと言うから協力したんだ。

 なのにこれはなんだ。追い詰められているのは俺たちではないか」

「そうだそうだ。お前達はうそつきだ」

「こんな事に巻き込みやがって」

 男たちは口々に自分の事を棚に上げて首謀者達を罵り始める。

「お前達落ち着け、こちらに人質がある限り俺たちの目的は達せられる。

 今仲間割れをしている時ではない」

「だが、お前達帝国軍人は日本に一矢も報いることなく敗れたんだろうが、その鉄馬車が6台も来ているんだぞ。どうするんだ」

「そうだそうだ、あれに勝てるのか」

「ドメステンの城壁を一撃で破壊したと聞いている。俺たちもこの教会の瓦礫で死ぬのか」

「落ち着け、なにかあれば人質を殺すと言ってくる」

「お前まて」「人質に何かあれば集会場ごと破壊すると言っていたぞ」「そうだそうだ」

「死にたくない」震える男たちもいる。


「そんなのはったりだ」と首謀者が言う。

「本当かどうかは、こいつに聞こう」

 男たちの一人が三ツ矢商事の杉浦泰三に加えられた猿轡をはずす。

「お前、日本が言っている事は聞いていたな。お前はどう思う。本当に日本はこの建物をお前ごと破壊すると思うか」


 杉浦は考える。

 日本の人道的対応からすると建物破壊などするはずがない。

 だが・・人質である以上、なにかあれば自分が殺害される可能性もある。

 どうにか逃れる方法はないか・・


 ・・

「黙ってないで答えろ」

 杉浦は言う「帝国ならどうする。それが答えだ」

 男たちは無言になる。


ありがとうございました。

次回は早めに投稿する予定です(本当に思っています)

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 人質杉浦のナイスアシスト!?>帝国なら~ 日本を詳しく知って居たならば、度が過ぎる『人命尊重』で日本を右往左往させられるはずだが、本気になった日本の怖さも知っているだけ…
[一言] 自分達がやってきた事を思い出したら?って言われたら黙るしかないな、侵略者として好き勝手やってきたんだから
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