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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
224/251

第219話 邦人救出作戦その1

あけましておめでとうございます。

正月は皆様のおかげでゆっくりさせて頂きました。本当にありがとうございます。


邦人救出作戦が始まります。

 高野防衛大臣に当壁総理から電話がかかって来た。


「明日は大切な国民投票がある。そこで出来れば邦人救出を実施して成功させて欲しい。勿論、防衛省の作戦実施タイミングが優先なのだが、国民投票に際して邦人救出を成功させる事は、世論が公平な判断をしてくれると信じていると思っているのだが」


「総理、お話は解りました。ですが問題は人質救出と言う繊細な問題ですから、こちらが指示するのではなく現場に状況判断と突入タイミングは任せたいと思います。ただ与党の一員として解決タイミングはなるべく総理の仰るタイミングを考慮する様に現場に伝えます」


「そうですか、無理を言いました。気にせず隊員の安全と救出を優先して頂きたい」


「勿論そうさせて頂きます。人命第一に考えております」


「よろしく頼む。余計な心配はさせたくないのだが、タイミングがタイミングだけに一言言わせて頂いた」

「理解しています。お任せください」

「そうか、頼みます」

 電話は切れた。


「総理らしくないな。焦っているな」高野は呟いた。

「国民投票前日に邦人が捕らわれるなど最悪だからな」と高野は心の中で呟く。


 国民感情は、邦人を人質にした旧帝国軍人に憎悪を向けている。

 以前にドルツが国内で邦人を人質にした際もそうだったが、武力による状況変化に対して国民は敏感に反応している。

 

 第7偵察隊本部。

「人質の捕らわれている場所を最優先で特定せよ」と野田1等陸佐が指示する。

 野田2等陸佐はリリコネ街での皇帝ガリル3世家族救出、そしてフマラ要塞港での反乱軍を撃破した事を評価されて、1等陸佐に昇格している。


 ドルステイン駐留艦隊から旗艦「ひゅうが」とDD-118「ふゆづき」がドーザ大陸南にあるトリマ港街沖で訓練をしており、緊急でフラマ要塞港での反乱鎮静協力と逃亡阻止の為に軍港封鎖を命じられていた。

 下命された時、フマラからは500kmの位置に旗艦「ひゅうが」と「ふゆづき」は訓練していた。

「参謀長、フマラまでの所要時間は」

「はい。距離約500kmで約9時間後となります」と田代1等海佐。

「了解した。20時前後に到着か、事前にフマラ街の最新衛星地図で立てこもっていると思われる建物をマークして欲しい」

「了解しました。近くになりましたら偵察を具申します」

「夜中で騒がしくなるが威嚇の為にも必要だな。許可する」


 旗艦「ひゅうが」はフマラに200km程度接近した所で赤外線偵察の為にF35Bを2機発進させた。


 フマラは先の大戦で港の要塞砲は全て破壊されている為に海岸からの砲撃はないはずである。


「あれは」

「ええ、ひゅうがからの偵察と思われます」

 遠くに見えるフマラ街上空をジェット戦闘機が飛んでいる。

 フマラ包囲をする偵察小隊を支援する為に作戦行動している第71戦車連隊の田上1等陸佐が副官に尋ねた。

「偵察できる距離まで来ていたか」

「頼もしい限りです」

 戦闘偵察小隊3隊が街の周辺を、街道を封鎖している斥候小隊がフマラ街を包囲し、全ての流通を止めている。後に第71戦車連隊と交代する予定である。


 フマラ要塞港は、旧帝国第二艦隊の母港として主要設備はレンガや石積で建築されているが、一般住民は木と土で出来た住宅に住んでいる。よって一般家庭は赤外線が反応して住民の確認はできる。

 また要塞港と言う通り、街の周辺は約3mの城壁で囲われており、道は1本で城門がついている。

 街を見下ろす小高い丘2箇所には要塞砲の塔があり、内部には破壊された要塞砲が無残な残骸となっており人は見当たらない。


「隊長、師団本部経由で赤外線探査情報が入りました。それによると集会等の人が集まっている場所は確認できず、ただし石造り等の建物は探知不可とあります」

「了解した。やはり頑丈な建物に重合しているか、そして人質も同じところだな」

「だとしたら郊外のここ、旧教会を集会場に作り替えた場所が候補となります」

 フマラ要塞港の中心から東に向かう坂に集会場がある。そしてその坂の先には要塞砲跡がある。

 港には石造りの倉庫もあるが、フマラ要塞港は港中心の街づくりとなっており、楕円の様な形をしている。つまり北と南の距離は短く、東西の距離は長い。門から港までは石畳が続いているが、これは物資を運ぶためであろう。

 東西については石畳をはさんで東側が住宅街で西側は倉庫街となっているが、西側の行き止まりは城壁で出入口はない為に包囲すればとじ込まれてしまう。

 東側は要塞砲の塔まで行けば城壁に出入口と言うか通用門がある。通用門の先は森である。


「うむ。この地図からすると、ここ集会場が立てこもるのに最適だな」

「ええ、坂道を登ってくる者を監視できます」

「そして通用門があるから万が一の避難もできると」

「はい、首謀者は旧帝国軍人だと推測されます」

「そうだな。倉庫街も良いが逃げ道はないか」

「海以外にはありません」

「だが探索に時間もかかる。集会場は理想であるが判りやすい」

「では、旧帝都から第101特殊普通科連隊の2個小隊がこちらに向かっていますので西側探査を中心依頼します」

「それで行こう。斥候小隊は建物に隠れながら集会場に向かって欲しい」

「了解。第101特殊普通科連隊は1時間ほどで到着予定です」

「そうか、では0300に対処開始とする」

「通達します。同時に狙撃班を要塞砲の塔に送りたいと思います」「たのむ」


 時間は経過し、狙撃班と警護2名は先にフマラ街に潜入を開始する。

 フマラ要塞港の城門は必要時以外は常時締めているが、横の通用門には1名だけが荷車やトラックが通る時に城門を解放する為に常駐している。

 管理人は自衛隊に拘束され、通用門及び城門は自衛隊が現状管理していた。


「潜入開始する」狙撃班長は短く言い通用門から街に入っていく。時間は0200である。

 建物の影を伝い、港で出てそこから東側要塞塔に向かっていく、途中切りだった壁の様な所を登り最短で塔に到着し、狙撃班は塔最上部を取る。警護隊は塔入り口を封鎖する扉をそっと締めて内部に土嚢を敷き詰め陣地化する。塔を登る階段を守るためだ。


「狙撃A班位置ついた。状況報告。集会場に明かり及び人影多数ただし人数は不明、40名以上と思われる」


「本部了解」 

 勿論、夕方から夜にかけてF35Bが飛来していたが、それもこの時間ではいなくなっているので、集会場前で焚火を焚き何人かは食事をしている。

「不用心だな」


 ・・・

「本部から各員、特殊普通科到着、0300より倉庫街探索開始。同時に戦闘偵察1及び3が集会場までの道確保に動く。斥候小隊は街東通用門封鎖実施。以上」


 作戦開始は「ひゅうが」にも伝えられる。


 こうして未明の邦人救出作戦は静かに開始された。

ありがとうございました。

お休みを頂いたので、すぐに続きを書き始めます。

またミソラも投稿予定ですので一部の皆さまはお楽しみに。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 ある意味、日本の行く末を決めかねない重大作戦ですね(><) お人好し気質の日本人からしたら、逆に不安定な帝国を道半ばで放っておけずにちゃんと面倒を見るとか決意して残留選…
[一言] ドルツですら人質作戦が成功しなかったのに、戦術面装備面で遥かに劣る帝国残党じゃ自衛隊の特殊部隊相手が務まるわけがないんだよ、大量の人質取って救出の難易度が高いとかならまだしも
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