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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
223/251

第218話 運命の日前夜

第218話を投稿させて頂きます。

第217話では複数の方からご指摘のあった文書重複については修正させて頂きました。

こういちさん、ぷーんひるさん、 OKEさんありがとうございます。

最初何が起きたのかわからない状況でして、返信等が的外れであれば謝罪します。

 高野は巫女としてのハイエルフ元族長を通じて「神」との確認を終えて日本に戻ってきた。

 高野は急いで首相官邸に行き報告をする。


「当壁総理、元の世界について確認できました」

「高野君、急な仕事、お疲れさまでした。それで」

「はい、報告します。文書には残せませんので口頭で報告させて頂きます」

「おねが・・少し待ってもらえますか。佐野官房長官を呼びます」

「はい・・・」

 少し時間が経過して佐野官房長官が当壁総理執務室にやってきた。

「佐野官房長官も一緒に聞いて欲しい」

「畏まりました」

「では高野防衛大臣お願いします」

「はい、報告させて頂きます」


 高野は一呼吸おいて説明を初めた。

「最初にアースと呼ばれる元の世界については、世情は不安定だと言う事です。

 中国と北朝鮮が作った海底基地については「神」が起こした海底地震によって壊滅したと言う事です。

 そしてその余波として5m級津波が中国、北朝鮮、韓国の各港に壊滅的破壊をもたらしたらしいと言う事です。

 この事象については確認できていませんので「神」からの報告を信用するしかありません」


「天災に偽装して解決させましたか、沿線住民の被害はどうなのですか」


「それについては不明です。「神」と言う存在としては下々の様子を気にしていない事が伺えます。

 報告を続けますが、懸案となっていた元の世界に取り残された人々、この世界の外国人を転移させる事については、巫女であるハイエルフ元族長が同行する事によって実現可能だと言う事です」


「ん。元の世界にハイエルフを送り込む事になるのですか、身辺警備が重要ですね」


「確かにそうですが、「神」に転移をお願いする存在が必要かと思います」


「高野君の言う通りなのだが・・・同盟国やロシアや中国に知られると大変な事態になるでしょう」


「あっそうですね。資源が豊かなと言うか手つかずのこの世界は各国喉から手がでる存在でしょう。

 一番は人口増加を抱える中国でしょうね。自分達の同胞を送り込みたいと考えるのは容易です」


「ついでに世界征服も可能だとすれば欲しがるでしょうね」


「ですが・・・「神」の怒りを買う事は容易に想像できます。

 中華思想には「神」と言う概念はありませんので」


「そうだな。元の世界が終わってしまう事も懸念されるな」


「ええ。その通りです。元のアースにも世界終末兵器が秘匿されている筈なので」


「過去の大戦で世界終末兵器が使われなかったのは奇跡だと思います」


「そうですね。当時としては日本も例外ではないと思います」


「ええ日本も当事国ですからね」


「それでどうしましょう。解決できる見込みはできたのですが、それを上回る問題がありますね」


「首相よろしいですか」話を聞いていた佐野官房長官が発言を求める。


「どうぞ佐野君。意見は多いに越したことはないですから」


「首相と高野大臣、戻りたいと言う希望を叶えることも、家族と対面したいと言う希望も叶えることが可能だと言う事で止めておいて、方法は別に考えるとして現状の内容については国民投票に重大な影響を与えると考えますが、発表しては如何でしょうか。

 元族長についてはアースと呼ばれる世界に行っても思念が使えるなら悪意に敏感だと思います。

 ある程度の護衛は必要だと思いますがやり方については高野防衛大臣を中心に考えて頂けると思います」


「多少無理はあると思うが、そう考えると護衛対象は一人だと思うので意外と容易だと思います」

 高野は既に元族長を護衛する方法を考えていた。


「そうですか、佐野官房長官発表は必要だと言う事ですね」


「そうです総理。発表する事で残留が濃厚になります」


「現在の分析はどうなっていますか」


「国民投票の分析ですね。在留が47%で転移が50%です」


「ふむ。転移派が多いですね」


「ええ、海外駐在員を抱える家族や外国人の友人を持つ方々からすると戻りたいとする考えは強いと思います」


「悩むところですね」


「ええその通りです。ですが政府として残留方向を検討するなら発表は必要だと思います」


「選択が自由ならば投票も変わります」


「ですが、元の世界に戻りたい邦人がいたならどうしますか、邦人に対する安全措置は勿論、国籍としての「日本」は無くなると思いますが」と高野。


「そうですね。「日本国籍」を取得した元外国人の対処もありますし、問題が多すぎます」


「私はこう思うのですよ。国益を第一とするなら戻らない選択肢もあるのではないかと」


「首相の言われる通りなのですが、細部に問題が多い様にも思います」と佐野官房長官。


「首相、佐野官房長官。もし今回の内容を発表されるのであれば早い方が問題もあぶり出せるのはないでしょうか。ここで考えていても出てこない問題があるかもしれません」と高野。


「そうですね。国民一人一人の問題が常にあると思います。一律で片付きません」


「それでも運命を決めなければならない」


「なら選択肢もあると言う事を国民に、そして関係各国に伝えなければなりません」


「それと各国大使に与えた分割地もどうするか考えなければなりません」


「それは佐野官房長官の方でお願いします。私は転移問題について掘り下げたいと思います」


「それで宜しいですか。なら私は国民投票前に選択もできる事をお知らせするとします」


 緊急に3者で行われた会談については口頭で各官僚や大臣にも伝えられ、総理は記者会見の予定を調整している。


 ・・・

 国会での国民投票法成立に関しては野党が全党一致で反対を表明している。

 特に首相の優柔不断な決断に対しての反対意見が多く、もともと戻る予定を「在留」もあると、そして国益としての判断を避けて国民に一任するとは何事かと、との意見が大半を占めていた。


 だが経済界は、転移してからの投資に対する回収を考え、またこの世界に資源が豊富でしかも日本がある程度市場独占できる状況に加え、アトラム王国やドーザ大陸各国の経済状況も好転している事から現世での成長が見込まれており、技術水準での日本が有利な為に残留賛成が多くなっている。


 そんな中で当壁総理は博打としての記者会見を開いた・・・


「本日はお忙しい中集まり頂きありがとうございます。当壁総理より重大な発表がございます。

 通例におきまして質問は各社1つとさせて頂き、指名により社名・担当者名を言ってから質問をお願いします。では当壁総理お願いします」司会の言葉で記者会見は始まった。


 当壁総理は壇上に登場し日本国旗に一礼をしてから座った。

「本日はお集まり頂きありがとうございます。

 元の世界における状況と外国在住の邦人を戻す方法、およびこの世界におる外国人を元の世界に戻す方法が見つかりましたのでご報告させて頂きます。

 最初に元の世界における状況ですが「神」に状況を確認した内容でございます。

 日本列島が消えた地区に中国と北朝鮮の2国が海底基地建設しておりましたが、海底地震が発生し両基地は壊滅したとの事です。

 このあたりは「神」からの報告なので詳細は不明です。

 またこの地震により、韓国、中国、北朝鮮に5m級の津波が襲い軍港及び港湾施設は壊滅したと聞いています。

 悲惨な結果となりましたが、犠牲者等は確認できていません。


 なお、世界情勢については第三国の行った行為に対し反発をしておりましたが、海底基地の壊滅により状況は膠着している様子らしいと言う事です。


 続きまして邦人帰国と駐日外国人の送り返しについて御報告します。


 政府として懸案でございました邦人帰国については「神」の協力によって実現可能となっています。

 同時に在日外国人の送り返しについても道が見えてきました。

 どちらについても各1回だけの措置でございますので、対象となる方々は良く考えて、在留するのか戻るのか決めて頂ければと思います。

 なお、この措置については国民投票後に実施したいと考えています。

 もし在留を希望する外国人の方については現状通りであり、分割した領地がある米国とEU同盟国についてはそこでの生活拠点開拓も協力させて頂きます」


「当壁総理ありがとうございます。それでは質問に移らせて頂きます」


「総理」「はいそちらお願いします」

「はい、日日新聞富田でございます。質問させて頂きます。

 元の世界については混沌としており不安定が伺えますが、大戦とかの傾向はあるのでしょうか」

「有難うございます。非常に大きな質問ですね。「神」から現状をお聞きした所では、そこまでの行き詰った状況ではないようです。どちらかと言うとロシア、中国に対し米国、EUがにらみ合っている状況で膠着している様です。ただし「神」からの内容なので不明点は多いと思いますが判っている事はそれだけでございます」

「はい、朝夕放送鷲見です。質問宜しいですか。

 前の世界に取り残されている邦人を帰還させると言う事ですが、私たちが直接話せない状況で、どのように伝えるのでしょうか、とても不安です」

「はいありがとうございます。先に在日外国人を送り返します。そして米国に協力頂き世界発信にて帰還できる事を伝えてもらう予定です。

 日時と場所を決めて集まって頂き日本へと送る手順となります

 先ほども申し上げた通り一回しかチャンスはありません」


「はいはい。名古屋放送藤見と申します。質問お願いします。

 日本国籍を持たれる方でも、元の世界に戻りたいと考える方はいると思いますが、どの様な対象を予定されていますか」

「非常にストレートな質問ですね。現在の所日本国籍を有する方を元の世界に送り返す事は考えていません。なぜなら元の世界に日本は存在していなく保護もパスポートも無効となるからです。

 送り返す方々について日本以外の国籍があり、外国に居住地を持つ方が対象となります。

 よろしいですか」


「産業経済ジャーナルの富崎です。転移は1回と言う事は、こちらで採取された鉱物や資源を元の世界に送る手段はないという認識で会っていますでしょうか」

「はい、そのとおりです」

「はい、毎毎新聞遠山です。総理のお話は国民投票で「残留」が採択された時の話ですよね。

 いまだ国民投票法自体成立していない中で早すぎませんか。その発表の意図は何なのでしょうか」


「あはは。痛い所を突かれましたな。国民投票法については与党が全力で成立を目指します。

 そして国民投票の結果については両方の想定、つまり「在留」でも「転移」でも対応できるように政府は考えていると言う事です。その一例として「残留」が選択された場合の道を示しています。

 また反対に「転移」を選択された場合に、この世界に残りたい方もいらっしゃると思いますがその場合先ほどの逆で日本は転移してしまいますから邦人保護もできません。

 この世界を自分の実力で乗り切って頂かなければなりません。自衛隊も転移しますので自己責任と言う事です」


 記者会見は予定の1時間半を大きく超え、2時間半となった。

 全ての質問まで放送はされている。


 ・・

 最初の記者会見から10日が経過した。

 補足の為の会見からは5日である。


 政府は過半数を握る有利を生かし、全野党反対の中、採決権を行使して、強制的に国民投票法を成立させてしまった。

 公示から10日後に国民投票は実施される。

 やはり今回の目的は「在留」か「移転」である。


 日本国民の運命は大きく変わろうとしている。


 民衆の中で議論が起こり、至る所で公開討論会が開かれた。

 勿論、国民投票法を良しとしない野党による集会であったが、野党の思いとは別に国民は「在留」へと傾いて行った。

 本来、「転移」すれば外国にいる親族との再会を果たせるのだが、政府が元の世界から連れ帰るとの発表をしてから、「残留」による好景気が訪れる事を国民は望んでいる。

 政府の思惑通りなのであるが・・・・そんな中、要塞港フマラで反乱軍が気勢を上げていた。

 たちまちニュースとして日本全国に伝わっていた。

 人々の反応は様ざまであるが、やはりこの世界秩序維持に日本は不可欠だと国民投票の後押しをしている。


 ・・

 要塞港フマラ。

 三ツ矢商事の杉浦泰三は現地手配が思うようにいかない為に、一時日本への帰国を予定していた。


 杉浦泰三はフマラから民間トラックに乗り、ドーザ大陸中央空港を南ルートで目指していた。

 途中で複数のトラックにより道をふさがれ、屈強な男たちに捕らえられてしまった。

「よし計画の冒頭は成功だな」とテリー。

 首謀者テリーを中心に100名近い者が帝国回顧派を名乗っていた。

 捕まえた邦人と皇帝陛下を交換材料にして、皇帝を担ぎ上げ帝国復興を願っている。


 一行はフマラの領事代行をしてるミリー元伯爵が住まう領事館に領事代行のミリー元伯爵も捕まえ本拠地としていた。

 フマラは元々軍港として帝国第2艦隊の本拠地である。街には城門があり、要塞都市となっているが、かれらは領事館(ここは元フマラの領主、ソノム・ドン・ソリア伯爵の館)に100名の仲間と共に立てこもり日本政府に対して皇帝と人質の交換を元帝都経由で発信していた。


 ・・

「総理大変です。軍港フマラで反乱が起きました。邦人が1名人質になっており皇帝の交換を要求しております」と秘書官が飛び込んできた。

「大変な事です。高野防衛大臣は」

「はっ高野防衛大臣からの連絡です」

「そうですか。なにか良い案を考えているのでしょう。私も連絡しますか」

 それから当壁総理は高野防衛大臣に電話をかけて、事態の収拾を頼んだ。


 高野は立川統合幕僚長に指示を出し、陸と海から挟み込む作戦立案を依頼した。

 勿論人質交換などは考えていない。


 統合作戦本部は「フマラ人質救出作戦」を立案し、ドルステイン駐留艦隊に対しフマラ港の封鎖を指示すると共に、シルラ村に駐屯している第7師団本部に対し、対フマラ攻略と人質奪還を命令している。


 早速、ドルステイン駐留艦隊から旗艦「ひゅうが」とDD-118「ふゆづき」がフマラに向かっていた。

 第7師団はドーザ中央空港に駐屯している第7偵察隊がシルラ村に移動し作戦本部を開いている。


 フマラ包囲網は確実に実施されていく。


いよいよ動き出した皇帝擁立派はどうなるのでしょうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 帝国回顧派、邦人一人と皇帝との交換・・・・ マスゴミは騒ぐでしょうが、ちょっと等価交換とは言い難く(><) 某ダッカ人質事件みたいに邦人を大量に集めて世論を動かすように…
[気になる点] ちょっと気になりますね。 与党のやることなら何でも反対したがる日本の野党。しかしこの場合、総理の言ったことに嘘は無いので、積極的に『元の世界への帰還』を推す理由が無さそうに思えます。 …
[気になる点] 「米国と欧米」 これだとアメリカが重複してます。
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