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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第3章 元の世界へ
220/251

第215話 首相緊急会見

いよいよ首相会見となりました。

各局はその発表に政府責任を追及する論調です。

一体どうなるのでしょうか。

 緊急内閣会議が開催された翌日。

 通常のTV番組に丁度昼12時に突然緊急会見が放送された。

 全てのTV番組を中断して、当壁総理の会見が放送された。


 各局のアナウンサーが会見場の画像をバックに説明を流している。

「突然ですが、当壁総理による緊急会見を放送いたします」

 解説員が過去の戦闘や施策の説明を始める。

「会見が始まる迄の時間、転移した日本が経験した2年間の様々な事件についてご説明したいと思います」

 TVでは転移してからの大きな事件がダイジェストとして次々と映像として流れている。


 ・・・


 突然画像が中断し、会見場の様子が再び流れた。

「映像の途中ですが、当壁総理の会見が始まりますので会見場に戻します」

 アナウンサーは黙り、画面に集中する。


 当壁総理が案内され会見場に現れる。

 飾ってある日本国旗に一礼をして椅子に座る。


「ではお時間となりましたので、当壁総理による緊急特別会見をお送りいたします」

 司会が説明する。


 画面が当壁総理のアップとなる。


「突然の緊急放送となりました事をおわび致します」

 一呼吸おいて。

「日本が未知の世界に転移して2年が経過しました。

 当初資源もなく、地理も不明の中、自衛隊及び関係各所の努力により世界の全体像が判りかけてきました。

 現在の日本は資源の採掘も進み、元の世界同様な発展も考えられる状況となってきました。

 ですが、ここに重要な問題が起こりましたので特別緊急会見として無理を言って開催して頂きます。

 ・・

 ではその内容について簡潔に説明致します。

 約8か月前にドルツ軍との戦闘が発生しました。

 卑怯にもドルツは日本人を人質に取り、日本政府に一方的な戦闘を挑んできましたが、陸・海・空の自衛隊各隊に米国の協力により、それを退け、人質を解放し、ドルツの拠点国となった南大陸まで自衛隊は遠征しドルツ国に対し降伏と敗戦の確認を行いました。これで一件落着でしたが・・・


 その際に、いまだ信じられない事ですが、我が国代表がハイエルフの協力の基に「神」と名乗る未知の生命体との交渉に成功し、ドルツを元の世界に戻す事ができました。

 現在はドルツと言う国は元の世界、我々が居た世界と違う世界へと戻りました。

 ただしそれを確認する手段を持ち合わせていないので確認できてはいません。

 「神」と言われる超知的生命体と言うべき存在との交渉は成功し、我々も元の世界に戻る事を約束する事ができました。

 ・・

 ですが・・現在の日本の状態を鑑みるに、この世界でも工業が発展できる資源発掘に必要な原資となる原油開発もできておりますし、この世界では今だ未知の資源が眠っている可能性もございます。

 先ほどの説明と矛盾しますが、「神」は元の世界に戻る事を約束されました。

 ・・

 そこで、国民の皆さまに問いたいと思います。

 我々はこの世界に留まる事も戻る事も可能な状況となっています。

 元の世界・・「神」が言う「アース」に戻る事ができると言う事です。

 ただし、我々の意思があれば、この世界「ブルーガイア」と呼んでいるそうですが、この世界に残る事も可能と言う事です。

 その是非について国民投票法を整備して戦後初の国民投票を実施したいと思います。


 この世界に残るのか、元の世界に戻るのかご判断いただきたいと存じます。


 なお、情報として「神」から神託された元の世界については、日本が世界から無くなり、日本のあった場所はただの海となっている様子だと言う事です。

 元の世界では、日本が転移してしまった事により西側陣営、特にアメリカ・EU連合と、東側ソビエト・中国に加え北朝鮮が軍事力を増大させ、一色即発の状態となっている様子です。

 ただし戦争は起きていない様子です。

 こんな世情となっていますが、日本はどうするのが最適なのか判断を求められており、政府としては戻る事を前提に交渉を続けてまいりました。


 ですが、各界より戻らなくても日本国民が幸福になれる道を進む事が出来るとの意見があり、政府としては国民皆さまの声を反映させる為に国民投票に踏み切る事になりました。

 なお、これからの交渉により、各国大使や大使館職員は、米軍に協力頂いて、限定的に元の世界に戻す事も考えられます。

 これはドルツ転移に際して、地域を限定して転移したためであり、それができるならば米国艦隊を送り出して、それだけを転移する事が出来るのではないかと考えております。

 海外に友人や親族が住んでおられる方もいるでしょう。その様な方々は意思により転移し戻る事も可能です。

 また外国籍をお持ちの方々で日本に残りたい方も日本国籍を与え残留する事も可能とします。


 どうか日本国民の皆さま、真剣にお考え頂き、残留するのか、元の世界に戻るのかご判断をお願いします。

 この重大な決断に際し、政府として無力である事を痛感しております。


 今後の予定としては・・現在開かれている212回通常開催中である国会に自由民々党として責任を持って国民投票法案を提出し、野党各党との交渉を経て成立させたいと思います。

 その後に国民のご信託を受けて判断いたします。

 どうか日本の将来を真剣に考えて頂き、最良の選択を是非お願いいたします」

 

 当壁総理は立ち上がり会見場で深々と礼をする。


 この会見を受けて各局アナウンサーと解説員は、

「大変な事態となりました。日本が元の世界に転移出来る事を国民の判断に委ねると言う事でしょうか」

「はい、大変な事ですね。実はドーザ大陸には日本が転移すると言う噂がありましたが、事実であったとは驚きです」

「そんな噂があったのですね。始めて知りました」

「ええ、取材によるとドーザ大陸で行われた会議で質問に出たそうです」

「と言う事は知らなかったのは日本国民だけと言う事ですか。これは政府の責任が問われますね」

「その通りだと思います。こんな重要な案件を国民に知らせないとする政府の責任は重いと言わざるを得ません」

「では解説員、今後のスケジュールについてはどの様になるのでしょうか」

「はい、政府に対する批判は大きくなるでしょうね。国会自体も紛糾するでしょうね。

 特に野党が一斉に反発するのではないかと予想できます」


「ですが、どうでしょう。日本が元の世界に戻るメリットがあるかどうかだと思います。

 すでに莫大な資金を投資して企業は資源開発を実施しており、この世界であれば自前で原油を含む資源確保ができています。今更戻らなくてもと思う国民も多いのではと思います」

「ですが国際協調の一員として世界の軍事バランスが崩れているのも事実でしょう。

 東側に対する最前線であった日本がなくなる事は韓国の孤立化を招き、中国等の脅威を増すだけだと思います」

「では言い換えると、日本が元の世界に戻ると、その状況に巻き込まれると言う事ですね」

「そうとも言えます」

「これは重大な問題ですね。この魔獣が闊歩する世界で日本の在り方を示すのか、はたまた元の世界に戻り国際紛争に巻き込まれるのか。日本政府の無能感を感じます」


 各局ともに政府発表に際して否定的意見が支配していた。


 政策の後だしはこのような反応となるようだ。

 

ありがとうございます。

活動報告にも書きました通り、「本日の一冊」に「戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)」が選ばれました。

大変うれしい事です。

興味ある方は覗いてみてください。


https://syosetu.com/issatu/index/no/150/



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― 新着の感想 ―
[一言] 帰還時の神による配慮も一歩間違えればWW3への最後のダメ押しになりかねないのが何とも、そういったリスク考えればハイエルフすら手をこまねくドラゴンも対応できて、日本国内では魔獣の被害も発生しな…
[一言] 更新お疲れ様です。 情報開示と批判・・・・ 開示後の混乱や不確定要素を考えると、ある程度目星をつけてからの開示と漏洩後の開示とは意味が違いますから、なかなか判断が難しい所ですね。 元世界と…
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