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戦闘国家日本 (自衛隊かく戦えり)  作者: ケイ
第1章 日本転移と自衛隊激闘編
22/251

第21話 スルホン帝国とアトラム王国

第21話を投稿いたします。


お付き合い頂いて感謝しております。

 南西諸島に向かったナナとレイナは、外務省の交渉役と打ち合わせを行いながら、猿人達と交渉していた。

 思念による会話なので、相手の言葉をレイナがゆっくり日本語で伝える。

 交渉は進んで行った。

 

 彼らの話によると、原始的な人間ではなく、約500年前にドーザ大陸であった『なわばり』争いによって、虎族やゴリラ族から迫害を受け、大陸の西から東に追いやられ、ついには海を渡ってきたのだと言う。そこで古代大陸語もここでの生活ですっかり忘れ、仲間だけに通じる符牒が短くてよいという事で、ついに大陸語はかすかな記憶となっていって、今では話せなくなったという事らしい。


(太陽の化身さま、なぜにこの地においで頂いたのですか)


(お前たちの様子を見に来たのだ)


(われらは隠れ住んでいました、今も。向こうの大きい島に住んでいたのですが、ある日あいつ等が海を渡ってきた。その頃には大陸語も忘れ、かれらの話している言葉が理解できなかった)

(だからあいつらは、私たちをまた迫害し、私たちはこの隣の島に逃げてきたのでございます)


(この島にお前たちの住人は何人いるのだ)


(はい、私たちと山の麓に村があります。私たちは60人位、山の麓は50人位)

(私たちは海で魚を取って暮らしています)

(山の民は野菜や果物を採っています)

(私たちは同じく40年前に大きい島から逃げてきた者同士)

(時々物々交換をして必要なものを分け合っています)


(わかった、ところでお前たち、この者たちが仕事を手伝ってほしいと言っている)

(聞く気はあるか)


(太陽の化身様のご家来でしたら私たちはなんでも聞きます)


(わかった明日話をしようと思う、この広場に山麓の民も呼んでくれるか)


(かしこまりました)


(一旦帰る。明日の太陽が真上に登ったら来るから迎えなさい)


(かしこまりました、太陽の化身様)


 ナナとレイナ、外務省の交渉役は上陸守備隊と共にいせの作業艇2艇で戻っていった。

 猿人達はナナ達がDDH-182「いせ」に戻るまで、平伏していた。

 外務省の交渉役は神様ってすごいなと思った。

(神様じゃないよ、ふりだよ、ふり!)レイナが突っ込む。


「さて明日はどの様な話にします」ナナが言う。

「交渉課題として、港とプラントの建設、それに労働力」

「あと翻訳機に彼らの言葉、符牒らしいが、を入れたいので協力が欲しい」

「なら時間もかかるし、若いの2人位連れて帰りましょうか」とレイナが言う。

「それが手っ取り早いよね」ナナも同意した。


 簡単に言われてもと交渉役は思った。


 続いて明日の手順を打ち合わせして、持って来た道具と食料の確認を行った。明日お土産として渡す為に。


 その頃「大島」で戦闘になっているとは、ナナとレイナは後から知るのであった。


 翌日昼頃、今度は内火艇2艇にお土産を満載して、彼らの元に向かった。

 交渉はうまく行き、若い猿人2人をつれて戻った。

 因みに食料は太陽神の食べ物と言う訳のわからない設定。

 道具は農業神からの授かりものと言う設定だ。


 交渉団は次の『大島』に向かっていた。


 チロルの地方の領主、ハイデルバーグは冒険者達を送り出して2か月を過ぎた頃から、誰も戻らないことに不安を感じていた。

 結果3か月を過ぎても連絡一つ無い。

 犯罪者100名は良いとして、冒険者100人が一人も戻らない事は驚きであった。如何に消えても良い人材とは言え、連絡一つもないのは不安を煽る結果であった。

「しかし、何一つ連絡もない、エルフで一儲け企んでいたのに、計画が狂ったな」とハイデルバーグ。

 最初から濡れ手に粟の結果を期待していたのだから、領主としてはどうなんだろうと思う。


 一方、ハイデルバーグの心配をよそに、ドーザ大陸の東、一番南に半島を領地として持つソミリア伯爵は、港町ドルステインから送り出した、船団が謎の集団に大敗を喫した事が、旗艦「エミリア」に乗せた奴隷のエルフから魔道通信にて、ソミリア伯爵に届いた。海戦で敗北し戻っている最中である。距離が400km以下でないと魔道通信は使えない。ソミリア伯爵は居城の奴隷エルフから通信を受け取ると、愕然とした。距離10kmで連射され、次々と船を沈められた、それも1発で確実に沈められたと報告にある。

 ソミリア伯爵は信じられなかった。

 いくら寄せ集めの旧式艦とは言え、一応砲艦なのだから、相手にも損傷を与えなければならない筈なのに、相手は無傷で一方的な損害を被ったとの事、「信じろ」と言うほうが間違っている。

 しかも150m級たった6艦で、850隻近くもの軍艦が沈んだと、「あり得ない事だ」と自分に言い聞かせて、そんな事が出来るのはアトラム王国の最新軍艦だけだと、かってに判断して、帝都に魔道通信にて緊急連絡を伝えた。

 途中の町で飼われている奴隷のエルフを中継して、その日の内に帝都のドメスアルム領主長公爵のもとに届いた。もし本当ならアトラム王国自国の西側から半球を回り、帝都の東側から背後を突こうとしているという事だ。見捨ててはおけない。直ちに皇帝陛下に報告すると共に、キマイ将軍配下の第5歩兵師団80万人から第1歩兵中隊10万人をソミリア伯爵領、港町ドルステインに向けて進軍させた。ソミリア伯爵には応援が行くまで、領軍で防衛しろと伝えた。こうして情報により、スルホン帝国軍は動くことになった。


 ドメスアルム公爵はサイネグ宰相から言われて、チロル地方からも山越えで強襲を受ける可能性を指摘された。さらにキマイ将軍に頼み、第2歩兵中隊10万人をハイデルバーグ領チロルに進軍させ、残りの第5歩兵師団の司令部、第3中隊、第4中隊、第5中隊と第5師団支援中隊(砲撃部隊)、第5攻城中隊(攻城兵器部隊)もチロルと港町ドルステインの中間にある要塞都市ドミニク・フーラに進軍させた。

 もし攻撃があった場合の魔道通信による連絡符牒を取り決めていた。帝都に向かっている場合は、ドーザ大陸西側でアトラム王国の上陸阻止を担っている第1師団第2師団以外の、第3師団、第4師団が要塞都市ドミニク・フーラと帝都の中間で防衛する。この2師団だけで、2百万人はいる。

 他には帝都守備軍10万人、近衛隊1万人が皇帝陛下の盾となる。

 各師団司令部には師団長付きの奴隷エルフがいて、魔道通信が使える。夜はもちろんだ。


 そんな事は知らずハイデルバーグは急に魔道通信に呼び出された。

 キマイ将軍から第2歩兵中隊10万人が行くので、糧食や場所を準備しろと命令だ。

 なんでも、アトラム王国が東側から強襲する可能性があり、もしなくてもドーザの大森林への山道から海岸までのルートの安全を確かめたいとの連絡である。しかもハイデルバーグは第2歩兵中隊の臨時参謀として「道案内」をせよとの命令である。

「みっ、道案内」ハイデルバーグは背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

「ストーンゴーレム」の村を通らなければ山の反対側に行けないのにである。

 しかも100人の冒険者達も戻ってこないのにである。

 元来ドーザ大森林は不可侵領域である。「ストーンゴーレム」の村を越えられたとしても、大森林には強い魔物がいて危険だと、ハイデルバーグ領の言い伝えとなっている。



 ハイデルバーグが絶望感に襲われたとき、同じくして魔道通信を受け取ったソミリア伯爵は歓喜に震えていた。「援軍がくる」しかもすぐに旗艦「エミリア」とトーマス2世以下、軍艦帆船160隻も帰ってくる。勝てないでも戦艦全部を餌にすれば撤退時間も稼げると計算していた。

 ただし魔道通信の最後に、旗艦「エミリア」のトーマス2世と参謀役を3名、「要塞都市ドミニク・フーラにて事情聴取するので、帰還次第送り出せ」とある。旗艦の艦長代理がいなかった。


 一方、アトラム王国では忍び込ませた密偵から、ドーザ大陸で兵の移動があるとの知らせを受けていた。

 アトラム王国は魔法国家である。スルホン帝国などの比にならないくらいの魔道具により、魔道通信を本国まで飛ばすことができる。後からこれが日本を苦しめることになるのだが。


 アトラム王国軍事会議の席上で、スメタナ王が言う。

「スルホン帝国に異変が起きている様だ」そう、密偵はスメタナ王の直轄部隊だ。

「なにか知っている者はいるか」スメタナ王は意地が悪い。

 部下の将軍や貴族が知っているわけもないのは、わかっている。


「王よ、我が国を反対側からつまり西側から襲うつもりでは」別の将軍が答える。

「王よ、かれらスルホン帝国にそんな力はありません」

「もしそうだったとしても、今建造中の400メートル級軍艦「エコーリア2世」が完成すれば、われわれがドーザ大陸の東側から帝都に攻め込みます」


「エコーリア2世」は砲撃航空母艦であった。新型30センチ砲を3門回転砲塔に装備して前から第1砲塔、第2砲塔とし、副砲は15センチ、後部は飼いならしたワイバーンに人を乗せて飛び立ち爆弾を投下する。

 まるで第二次世界大戦時の空母が足りなくなって、急遽、戦艦に航空機を乗せられる様に改修した『伊勢』の様な形であった。つまり船の後部が飛行甲板となっている。ワイバーンはVTOL(垂直離着陸)が可能なので滑走路がいらない。

 なんとアトラム王国はこれを10艦も作る計画だったのだ。

 しかもアトラム王国は新型30センチ砲の最新砲弾を20kmも飛ばし、最終誘導は魔道により驚異の命中率を誇った。これが全て完成すれば、スルホン帝国をアトラム王国の領土として、世界統一ができるのだった。

 これと別に大型航空母艦も建造していた。これはワイバーンより大型の『ブルードラゴン』を20匹乗せて攻撃できるものである。『ブルードラゴン』は自身が吐くブレス(凍る)と腹の下に籠を付けて人が乗り爆弾を落とす爆撃の両方が使えた。まだアトラム王国の秘密兵器であった。ただし『ブルードラゴン』は飛び立つときに助走が必要だが。


 こうして日本の周辺が騒がしくなってきた。

ありがとうございました。



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[気になる点] いせの内火艇...いせには内火艇じゃなくて 作業艇なんですが(゜ロ゜) 内火艇と作業艇は違います。 以上 原液元乗員より
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