第212話 陰謀はおどる
またまた遅くなりました。すいません。
どうしても戦闘以外の会話シーンは苦手と言いますか筆が遅くなります。
ですがここから第3章の終わりに向て重要な所ですので頑張って書いています。
ここからの第3章話は複雑になりますので改めて詳細筋書を起こして書いています。
ドーサ大陸会議が開催される運びとなった。
日本側からは旧帝都に近い、第5師団長の南野陸将と参謀長の田森1等陸佐が参加予定である。
第5師団副団長の長崎田陸将補は師団長代理として旧帝国軍演習場であるムリナ街西の広大な演習場を駐屯地として、そこに師団中枢を置き旧帝都周辺のドーサ中央県及びドーサ西県(日本直轄領)を管理している。
第5師団駐屯地近くには施設が完成したばかりのドーサ中央空港があり、ここからアトラム王国に向かう航空路線も開通している。
ドーサ大陸会議は旧帝都の皇帝城を無血開城しているので、元老院の会議室を使用して行われることになった。ここにドーサ大陸全ての都市を「県」に区割りし知事を配置したが、その全知事を集めた会議である。勿論ドーサ大陸で初めての会議であった。
・・
「トーマス知事、ドーサ大陸会議の要請が日本よりきております。日時は2日後の13時開催とか、出ない訳にはいきませんよね」
「むっリエラ・・お前が出席しろ」
「ダメですよ、建前はトーマス知事がドーサ中央県の代表なのですから」
「だ・か・ら、知事など「やる」と言っておらんと言っておるであろう。会議したければお前がでろ」
「だから無理ですって」
「むっ不敬罪で死刑だな」
「またですか・・旧帝国法は廃止になり、日本を手本とした新憲法が制定されています。新憲法には「不敬罪」など言うあやふやな根拠の法律はありませんよ。
自分の都合が悪いとすぐに冤罪を持ち出すところは治っていませんね」
「儂はこんな事にならない為に逃げ回って・・・いや何でもない」
「トーマス元男爵、言いたい事は判りますが、重要な会議であると同時に日本が転移して元の世界に戻ると言う噂もあります。それを確認する為にも出席を提案します」
「リエラは気楽で良いな」
「あのねトーマスさん。もし日本がいなくなったら大きな事ですよ。内戦が必ず起きます」
「戦争か・・なんかつまらんの」
「トーマス知事は丸くなりましたね。前はもっとギラギラしていたのに」
「年だからな」
「うーん、分析すると日本の酒が旨くて、世間の事などどうでも良いと言う事でしょうか。けど元男爵忘れていますよ。日本が転移して居無くなれば、酒も無くなるのですよ」
「うっおっリエラそれは大変だ。儂も日本と共に移転するぞ」
「だーーーめです」
「へっなぜじゃ」
「だ・か・ら。日本がなくなれば内戦が起きると言ったでしょう」
「そんなモンは自衛隊にちょいちょいと」
「相手が正規軍ならそれでも良いでしょうけど、日本がなくなればそんな自衛隊はいないのですよ。あるとすれば、ドーサ中央県守備隊と警察です。それに対して敵対勢力は日本が言うゲリラ戦やテロですね。それは時間がかかるし、いくら自衛隊もちょいちょいと言う訳にはいきません」
「そんなもん・・誰かにな」
「それより会議です。主催は日本国ですが共催としてトーマス知事名となっていますからね。逃げないでくださいね」
「そんな面倒くさい・・・」
「逃げたら独房1週間の刑です。酒が抜けますよ」
「いやだいやだ。そんな事されたら儂の唯一の楽しみが」
「その為にもしっかりと会議お願いしますね」
「リエラ・・・覚えていろ」
「忘れました」
・・
同時刻。
ドーサ大陸東部に位置するドルステイン県ソーマ・ラシアス要塞都市を県庁とする知事ソミリア元伯爵と対するドルステイン港町の長に任命された「老体」ことトーマス2世元ドルステイン艦隊提督と二人で話をしていた。
「トーマス提督、早速ですが日本よりドーサ大陸会議を開くので参加要請がきています」
「ソミリア知事・・・そのーなんだ、提督は昔の話じゃ。日本に太刀打ちできなかったドルステイン艦隊は帝国艦隊の捨て駒に・・・悔しいのぅ」
「その海戦で生き残った提督の手腕は頼りにしておりますぞ」
「そうは言っても運が良いだけじゃよ」
「いえ海上自衛隊相手に被害を最小にして、しかも艦隊旗艦も小破で済ませた手腕を認めていますよ」
「折角ソミリア伯爵から預かった艦隊を・・・無念ですじゃ」
「ですが海上自衛隊とやりあって生き残った艦艇は他には知りません。充分に称賛に値します」
「ははは、そう評価頂けるのは伯爵だけですよ」
「ご老体やめてください、貴族制度は廃止されていますから元伯爵で今は平民と同じです」
「いや風格が平民ではありませんぞ」
「それはご老体も元男爵ですからでは」
「それもそうですな」
二人はひとしきり笑いあった後に真顔になった。
「ご老体、早速ですが旧帝都に同行願いますか」
「うむ?宰相がおるのでは」
「いや、今回の話なのですが、実は日本が元の世界に戻るのではと言う噂が流れているので、その布石の為の会議ではと思っています」
「それは儂も聞いている。まさかと思っていたが真実なのか」
「まだ分かりません。ですが先に日本を攻撃したドルツとか言う国は日本のお陰で元の世界に戻ったとか・・なら日本も戻るのではと言う、まだ噂です」
「まずいな。日本がなくなれば海上自衛隊も陸上自衛隊に航空自衛隊もいなくなってしまう。それはドーサ大陸で覇権争いが始まる事だな」
「やはりご老体もそう思われますか。私も確実に内乱となるだろうと読んでいます。さすればドーサ大陸唯一の艦隊を要するドルステインが先に狙われると」
「そうじゃのう。儂が抵抗しても艦隊を押さえれば港を持つ都市に威嚇できよう。特に西側の都市は弱いと見た」
「そうですね。現在日本直轄になっていますから日本人以外の責任者は不在ですし、落とすのは簡単と見ています」
「で、その先見の明があるソミリア知事はどう考える」
「そう来ましたか。流石老体ですな。第一に情報です。日本が本当に転移するのであれば、動くのは早い方が良いと考えています。それに・・・日本がなくなれば一番困るのは何処かと考えた結果。獣人達が一番困ると考えた次第です」
「確かに帝国からあれだけ迫害を受けた獣人とドワーフにエルフは恐々としておる事だろう」
「ええ、特に例の日本直轄領である宗谷特別行政区は獣人達の保護区になっていますので、それでその獣人代表と密かに接触していまして、日本がなくなった後に獣人達、亜人達の国を認める見返りに、戦うのなら我と一緒にと」
「抜け目ないのう。元からドルステインには獣人が港湾労働者として働いておるし、我々も違和感はないと思うが、さすがだな」
「ええ、現在は大人しくしておりますがね。もし状況が変化したなら情報と戦闘力を提供して欲しいと密約しており、見返りに資金提供しております」
「ははは。もはや民間人ではないと思うぞ」
「そんな。これでも善良な民間人です」
「それで儂が旧帝都での会議に参加する意味は」
「ご老体には海上自衛隊に知り合いも多いでしょうから情報収集をお願いしたい」
「だがあの者たちは秘密を伝えないぞ」
「よく訓練されているのは知っています。
ですのでご老体にはそれらしき情報を集めて頂き、それらを持ち寄ってすり合わせしたく考えています」
「うむ。内容は判った。出来るだけ協力するとしますよ」
「ありがたい。会議は2日後だそうで、前日につまり明日なのですが迎えの航空機が来るそうです」
「了解した。それで呼び出したのだな」
港町ドルステインからソーマ・ラシアスまでは馬で3時間の距離である。
「ご老体には敵いませんな・・・ですが日本から買った旨い酒がありますよ」
「おっそれはそれは」
トーマス2世には別の考えがあるとか・・・
ありがとうございます。
陰謀とか裏の話なんてこんな物でしょうかね。
次回もよろしくお願いします。